3 0 0 0 科学と社会

著者
長倉 三郎 高久 文麿 大島 泰郎 及川 昭文 常石 敬一 村上 陽一郎
出版者
(財)神奈川科学技術アカデミー
雑誌
創成的基礎研究費
巻号頁・発行日
2000

本研究は,平成8〜10年度に実施された文部科学省科学研究費補助金(創成的基礎研究費)「科学と社会-フィージビリティ・スタディー」に基づき,より具体的な調査研究を遂行するために企画,実施されたものである。具体的には,ほぼ月1回の頻度で開催した全体の班会議,研究テーマごとの分科会,アンケート調査,海外研究機関の実態調査,および報告書の作成などを行った。●全体班会議全体の班会議においては,「科学と社会」に関連したテーマで,1〜2名の分担者からの話題提供,学識者による講演を行い,それらに基づいて討議した。その内容は以下のようになる。「英国における科学と社会研究」松本三和夫(東京大学)「ヒトゲノム研究に関する基本原則」高久史麿(自治医科大学)「成立基盤から観る科学と社会」市川惇信(人事院)「私にとっての科学」小松左京(SF作家)「タスキーギ梅毒研究について」金森修(東京水産大学)「学校教育における科学教育と科学を教える教師の問題」木村捨雄(鳴門教育大学)●分科会次の4つの分科会に分かれ,それぞれのテーマについて調査研究を行った。(1)わが国における「科学と社会」研究の推進方策に関する調査研究・(2)力としての科学の知の発展と集積が人類社会に及ぼす影響(3)ゲノム科学革命の構造:その人間社会に及ぼす影響(4)矛盾容認社会における「科学と社会」(1)においては,(1)国内の大学などにおける「科学と社会」に関する教育・研究の実態を把握するためのアンケート調査,(2)米国大学における「社会と科学教育プログラム」の実態調査を行い,その結果を報告書としてまとめた。(2)においては,「知は力の基になる」という観点から,「科学とは何が」「知の持つ力とは何を意味するのか」「科学における光と影」「科学の将来」などについて討議し,その内容を報告書としてまとめた。(3)においては,「科学と社会」の今日的課題として「ゲノム問題」を取り上げ,「ゲノム科学革命の歴史的背景」「社会に直面する生命科学および科学者」「クローン問題」,および将来の課題としての「科学と社会センター構想」等について討議し,その内容を報告書としてまとめた。(4)においては,「科学という知の形式」「科学の知と無矛盾生」「矛盾に関する世界観」「矛盾否定社会における社会の維持と科学」「矛盾容認社会における知の形態と科学」などについて討議し,その内容を報告書としてまとめた。
著者
鈴木 正昭 伊藤 誠二 松田 彰 渡辺 恭良 長野 哲雄 袖岡 幹子
出版者
岐阜大学
雑誌
創成的基礎研究費
巻号頁・発行日
2000

本研究プログラムでは、低分子有機化合物により生体機能の制御を実現する「分子プローブ概念」のもと、機能発現機構の分子レベルでの研究から個体レベルへの応用をめざし、有機合成化学者とin vivo指向型生物系研究者の連携による化学/生物学融合型新学際的連携プロジェクトを展開するための基盤を構築することを目的とした。関連諸分野の専門家を結集し、異分野の研究者間の綿密かつ有機的な情報交換のため、2回の研究準備会議を行うとともに、外部研究者らを交えて総合シンポジウムを開催した(平成12年11月30日、参加者110人)。研究状況については冊子として取りまとめ、本研究分担者のみならず関連研究者に配付し、その情報を公開した。これらの活動を通じて研究分担者同士および関連研究者との間での有意義な意見の交換、相互評価が行われ、次の学祭研究へと展開する準備が整った。なお、以下に設定された課題についてのこれまでの主な具体的成果を箇条書きにした。(1)高次脳機能の解析と制御法について: 設計したグルタミン酸トランスポーターブロッカーを基にアフィニティカラム担体およびシナプス伝達解析のための光感受性caged-TBOAを創製(島本)。ノシスタチンがノシセプチンやPGなどによる痛覚反応に鎮痛効果を示すことを証明(伊藤)。神経細胞におけるSCG10関連分子の微小管との結合ドメインを同定、崩御制御に重要なリン酸化制御部位を決定(森)。神経保護作用を示す新規PGI_2受容体リガンド15R-TICのC-11核ラベル体の創製とその活用によるヒト脳内IP2受容体のイメージングに成功(鈴木、渡辺)。15R-TICの10倍の活性を持つ15-deoxy-TICを創製(鈴木)。(2)脳機能の保護と可塑性促進研究について: PG受容体EP3の細胞内情報伝達系を解析し、神経突起の退縮や神経伝達物質の遊離の阻害、神経可塑性や神経伝達の調節などに関与していることを証明(根岸)。ラット脳組織切片を用いたポジトロンイメージングシステムを確立し、神経細胞における障害発生機序の解明と治療法開発に有用な情報を獲得(米倉)。神経突起伸展促進作用および神経細胞死抑制作用を示す新規化合物NEPP10とNEPP11を創製し、PET研究に向けた分子設計を開始(古田、鈴木、渡辺)。(3)細胞増殖・分化制御機構の解明と細胞周期制御理論について: 核内
著者
古在 由秀 黒田 和明 藤本 眞克 坪野 公夫 中村 卓史 神田 展行 齊藤 芳男
出版者
国立天文台
雑誌
創成的基礎研究費
巻号頁・発行日
1995

人類がまだ果たしていない重力波検出を実現して「重力波天文学」を創成するためには、巨大なレーザー干渉計を長時間安定にかつ超高感度で動かす技術を開発する必要がある。本研究では基線長300mの高感度レーザー干渉計(TAMA300)を開発・製作し観測運転を試み、(1)世界の同様な干渉計計画に先駆けてTAMA300の運転開始(1999年夏)、(2)世界最高感度の更新(2000年夏)、(3)50日間で1000時間以上の観測データ取得(2001年夏)、(4)リサイクリング動作の成功(2002年1月)など、着々と感度と安定度を向上させ、重力波観測装置としての成熟を示す成果を挙げた。さらに干渉計の建設過程で行われた要素技術の開発研究でも、(5)単一周波数連続10W発振の高出力・超高安定レーザー実現、(6)広い面で均一で低損失な超高性能ミラーの評価法の確立とミラーの実現、(7)リサイクリングを適用した干渉計の新しい制御方式の発明と実験的証明、(8)位相変調光を透過する光共振器での付加雑音の原因究明と抑制、(9)波面検出法による長基線光共振器の光軸制御の実現、(10)光共振器の基線長の絶対値計測法の考案・実測と地球物理学への応用可能性示唆、(11)プロトタイプ干渉計を用いたリサイクリング動作の世界初の実証など、世界初や世界最高レベルの独創的で発展性のある成果がいくつも生まれた。本研究をさらに発展させるべく平成14年度より特定領域研究(重力波の新展開)が始まり、TAMA300のさらなる感度と安定度向上を図りながら、外国で動き出す巨大レーザー干渉計との同時観測によって銀河系周辺で発生する重力波の探査観測を行う計画である。
著者
佐藤 次高 加藤 博 私市 正年 小松 久男 羽田 正 岡部 篤行 後藤 明 松原 正毅 村井 吉敬 竹下 政孝
出版者
東京大学
雑誌
創成的基礎研究費
巻号頁・発行日
1997

1.中東、中央アジア、中国、東南アジア、南アジア、アフリカ、ヨーロッパ、アメリカを対象に、イスラームの諸問題を政治、経済、思想、歴史、地理など広範な分野にわたって検討し、近現代の政治運動、知識人の社会的役割、聖者崇拝など、将来の重要研究課題を明らかにした。2.和文と英文のホームページを開設し、研究情報を迅速に公開したことにより、日本のイスラーム研究の活性化と国際化を実現することができた。研究の成果は、和文(全8巻)および英文(全12巻)の研究叢書として刊行される。なお、英文叢書については、すでに3巻を刊行している。3.アラビア文字資料のデータベース化を推進し、本プロジェクトが開発した方式により、全国共同利用の体制を整えた。これにより、国内に所在するアラビア語、ペルシア語などの文献検索をインターネット上で簡便に行うことが可能となった。4.各種の研究会、現地調査、外国人研究者を交えたワークショップ、国際会議に助手・大学院生を招き、次世代の研究を担う若手研究者を育成した。とりわけ国際シンポジウムに多数の大学院生が参加したことは、海外の研究者からも高い評価を受けた。5.韓国、エジプト、トルコ、モロッコ、フランスなどから若手研究者を招聘し(期間は1〜2年)、共同研究を実施するとともに、国際交流の進展に努めた。6.東洋文庫、国立民族学博物館地域研究企画交流センターなどの研究拠点に、イスラーム地域に関する多様な史資料を収集し、今後の研究の展開に必要な基盤を整備した。
著者
水谷 修 米田 正人 甲斐 睦朗 賀集 寛 平野 健一郎 江川 清
出版者
国立国語研究所
雑誌
創成的基礎研究費
巻号頁・発行日
1994

総括班:国際シンポジウム(「国際社会の日本語」,1998年12月16,17日於国連大学と総括班会議(3月18日)を実施した。研究班1(センサス):「日本語観国際センサス」の第3次調査を実施した(日本)。また,調査デー夕の整理,分析を行い,一部集計結果を国際シンポジウムおよび学会等で発表した。また,事例調査として「北米日系人社会と日本語新聞」,「海外マスメディア広告における日本語研究」に関して調査および研究会を継続して行い報告書を刊行した。「災害時言語対・策に関する研究」について調査,研究会を継続した。研究班2(文化摩擦):1. 理論研究 「多言語状況と日本語:」研究会の例会で,日本語の歴史的更新と多言語状況のなかでの変容について共同考察を進めてきた。日本語についてグループ特有の理解を得,「駒場『日本語』宣言」としてまとめた。2. 社会言語学研究社会言語語学・対照言語学的観点から行ってきた,日本語母語話者と日本語非母語話者の言語行動的接触の実態,及び国内における日本人の言語行動の特徴について,補充調査を行うとともに,得られたデータの分析に報告書の執筆にあたった。研究班3(実験言語):1. 文字言語研究 「朝日新聞」記事約11万件(延べ字数5500万)と,そのCD-ROMを対象に,電子メディアにおける漢字実態を明らかにする計量言語学的な資料が得られ,新聞社の著作権使用許可を得て本邦初公開した。2. 音声言語研究 99年3月19日に東京外国語大学において研究成果発表会・ワークショップを開催した。日本語韻律習得を支援するためのパソコンソフトのCD-ROMを参加者に配布した。3. 計算機実験研究 分類語彙表の増補用語数を訳9万語までに増補した。第二言語作文・翻訳にみられる第一言語の影響という視点で作文を調査分析し,研究報告書を作成し,データを公開した。研究班4(情報発信):1. 同時通訳技法の体系化 放送通訳・2か国語放送の場面で,日本語の「組み立て]がどのように影響するのか,外国人の理解を妨げているのは何か,などを探るにあたっての前提となる基礎的研究としてグループインタビュー(対象者14人)と在日外国人に対する質問紙調査(有効回答数218件)を実施し,考察を行った。2. コーパスの作成 雑誌『太陽』の15冊文を入力した。これで目標の4分の3に達したことになる。漢字の包摂基準について,報告書をまとめた。さらに1冊分だけ,ふりがなについて調べ,字音表記の傾向をつかんだ。3. 漢字コードの考察 漢字符号に設定する機能を構造の要素と構造及び構造間の関係を使い表現する方法の妥当性を核にするため,中国:語(簡体字・繁体字),日本語,韓国語の三カ国語を処理する漢字入力プログラムを作成し,実験結果を最終報告にまとめた。4. 言語教育方法の確立 第3次段階調査研究のまとめとして以下の事項を行った。(1)新学習指導要領策定に資する基礎資料作成(2)国語教育・日本語教育に関する質問紙調査(3)学校教科書に関する分析(4)基本語彙研究に関する分析(5)公開研究会の開催(6)ホームページで資料公開(http://www.kokken.go.jp/jsl)(7)報告書作成