著者
岩崎 利彦
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.222-223, 2013
参考文献数
2

有機ELは,現在,スマートフォンなどの中小型パネルでディスプレイとして実用化されており,さらに有機ELが本来持っている薄型・高効率・自発光などの特徴を活かした次世代照明用途への適用も期待されている。本稿では,高効率化の鍵となる技術である青色リン光材料とそれを用いた白色有機EL素子について解説する。
著者
小江 克典
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.64, no.8, pp.380-383, 2016-08-20 (Released:2017-02-01)
参考文献数
11
被引用文献数
1

先人たちは自然の理について,化学,生物学,物理学,地学など異なる視点から理解を深め,新たな発見を見出してきた。理科教育の基点は自然に対する関心をもつことであり,子どもたちの興味を集める素材として「ウミホタル」を紹介したい。沿岸に生息するウミホタルの採集を通じて自然を体験するだけでなく,生物発光のメカニズムや沿岸に生息する生物の多様性の理解,様々な地層から出現するウミホタルの仲間の微小化石の観察など様々な好奇心を育むことを期待している。
著者
斎藤 紘一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.34-35, 1996-01-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
4

仙台藩は, 藩祖伊達政宗以来, 海外に高い関心を示し, 家臣の支倉常長を遠くローマまで派遣している。海外の情報や知識に対する伊達藩の積極的藩風は幕末まで続いており, 学問や産業の面で大きな成果をあげている。
著者
郡司 賀透
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.480-483, 2015-10-20 (Released:2017-06-16)

アメリカの科学教育改革が,国家規模で展開されている。「全米科学教育スタンダード」の作成(1996年),科学教育の新しい「フレームワーク」ドラフト版の提示(2011年),「科学に関する次世代スタンダード」の公表(2013年)と,スタンダードに基づくカリキュラム設計を通して改革の遂行が目指されてきた。また,現代科学教育改革のトレンドであるSTEM教育の振興に本格的に取り組んでおり,成果が着実に具体化しつつある。
著者
山田 康治 山根 庸平
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.224-227, 2016-05-20 (Released:2016-12-27)
参考文献数
6

固体でありながらその中を高速で移動することができるイオンをもつ固体を固体電解質と呼び,特に室温付近で導電率が10−3 S cm−1以上のものを超イオン伝導体と呼んでいる。このようなイオン伝導性固体は安全性を高めたリチウムイオン二次電池や燃料電池の固体電解質として大いに期待されている。同時に,これらのイオンの伝導機構は様々な実験手段で研究されており,固体材料科学の興味あるテーマになっている。
著者
大木 幸介
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.107-110, 1987-04-20 (Released:2017-07-13)

分子生物学の発展と人間の脳内を直視できるペット技術の進歩は, 人間の脳から, 心を分子レベルで解析することを可能にした。この時, 人間の脳の中心部にあり, 生命を維持する脳幹の神経で, 全脳へ神経線維を張り巡らせた神経群があって, 睡眠・覚醒(かくせい)から感情の表出まで行っている。このような神経の中に, 快感を誘い, 人間の精神系だけに分布したA_<10>神経がある。この神経とそれを活動させるドーパミン分子を中心に, 人間の快感から人間の創造性を, 分子レベルで解こうと試みるものである。
著者
大橋 裕二 関根 あき子
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.6-10, 1997-01-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
6

硫酸銅5水和物の青い結晶を加熱すると, 5分子の結晶水が順次結晶から抜け出して, 結晶は白くなって崩壊してくる。熱分析装置を使ってこの脱水の過程を追跡すると, まず2分子の結晶水が抜け出し, 次いで2分子の結晶水が抜け出し, 最後に1分子の結晶水が抜ける。硫酸銅3水和物の結晶構造と1水和物の結晶構造を比較すると, どの水分子が抜け出すのかが明らかになり, 脱水の機構が見えてくる。このようにイオン性結晶中のイオンも温度を上げればダイナミックな動きをしているのがわかる。
著者
吉里 勝利
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.514-517, 1987

私たちの体の表面は, 言うまでもなく"皮膚"で覆われている。皮膚が傷つくと, 傷跡が必ず残る。またひどい時は, ケロイド状に盛りあがって醜くなる。このような時, 本物そっくりの皮膚を人工的に作って, これを傷の部位に移植してやると, 傷跡やケロイドは, 目立たなくなるのではないか。皮膚の50%以上もの大火傷(やけど)を負った人は, 移植すべき自分の皮膚も足りず, 生命を救うことすらむずかしい。この時, 本物そっくりの人工皮膚が作れればどんなにありがたいことか。化学や生物学の進歩は著しい。このような, 夢に近かった人工皮膚の考えも現実のものとなりつつある。人工皮膚を作る時, 主役となるのは, コラーゲンと細胞である。これらを使って, どのようにして皮膚を作るのか, そしてこの人工の皮膚は, 上に述べた医学的問題の解決にどこまで役立っているのかを解説する。
著者
立川 眞理子
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.55, no.10, pp.514-517, 2007-10-20 (Released:2017-06-30)

ハロゲン元素の1つである臭素はその発見以来,種々の化合物として我々の生活に深くかかわってきた。この臭素の化学的性質について他のハロゲン元素との相互作用などをまじえて説明するとともに,工業的に製造されている種々の臭素化合物やそれらの環境中での変化などについて紹介する。
著者
竹内 敬人 伊藤 眞人 伊藤 眞人
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.554-558, 2002
参考文献数
10

この短いインタビューは, 国際純正および応用化学連合(IUPAC)の化学教育委員会(CCE)が刊行している電子雑誌Chemical Education International (URL=http : //www.iupac.org/publications/cei/)に毎号掲載されている竹内敬人博士によるノーベル化学賞受賞者へのインタビューの一つとして行われたものである。CEIに掲載されるインタビューは, 主としてこれから進路を決めようという高校生, 大学初年級の学生を対象と考えている。CEIの読者の多くは高校教員あるいは大学初年度の講義を担当する大学教員であると予想されるので, このインタビューは, それらの教員を通じて, 高校生や大学初年級の学生に浸透していくことが期待される。この企画の趣旨に賛同され, ご多忙の中をインタビューに応じて下さった白川英樹博士に心から感謝する。
著者
高山 千代蔵
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.98-101, 2006-02-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
5
被引用文献数
1

戦後60年以上経った現在,我々日本人は豊かな食生活を享受している。これは,各種の化学肥料や農薬などの農業技術に負うところが大きい。多くの優れた農業技術が,コメを始めバラエティに富んだ野菜や果物など各種の農作物の安定生産に貢献してきている。ところで,我が国の食料自給率は低く,その多くを輸入に頼っている。また,世界的に見れば8億人を超える人々が食料不足に直面している。今後,持続可能な農業を行い,食糧を安定供給することが世界の重要な課題である。本稿では,農業の生産性を向上させる上で必須の資材である化学肥料及び農薬について,これまでの進歩を解説し,合わせて将来技術を展望する。
著者
祢宜田 久男
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.429-433, 1990-08-20 (Released:2017-07-13)

中国・四国地方は瀬戸内海を隔てて相対し, 互いに密接な関係で結ばれている。その沿岸部では古くから塩の生産が行われ, 山間部では鉄や銅の製錬が行われてきた。江戸時代になると, コメのほかに綿, 藍(あい), 砂糖などの生産が盛んになった。さらに明治時代になると, 除虫菊などの栽培が行われた。これらの産業は海外との貿易や合成品の出現によって衰退したが, ソーダ工業, 金属製錬, 紡績, 合成化学などの発展を促進した。また, 各地に優れた人物が現れ, 外来文化を吸収, 同化して, 我が国の学問水準の向上に貢献した。
著者
柘植 英哉
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.228-231, 1999-04-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
6

医薬品の添加物としての界面活性剤の利用は, その方法が確立されており, 乳化剤, 懸濁化剤, 可溶化剤, 保存剤等に使用される。界面活性剤の種類, 使用量は安全性面から法的に厳しく規制されている。少し見方を変えると薬物自身が界面活性剤に近い性質を示すことが多く, 界面物性に対する知識は医薬品研究の初期段階で重要である。また, ドラッグデリバリーシステム研究ではレシチン等のリン脂質を薬物を運ぶ容器として, さらに, 界面活性物質は吸収促進剤として研究がなされている。