著者
鈴木 真一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.674-677, 2003
参考文献数
2

和歌山県下における亜ヒ酸を用いた無差別殺人事件は多くの一般市民を巻き込む未曾有のものであった。その後,類似の異物・毒物混入事件が全国で多発し,社会不安を惹起した。この事件解決のために,ほとんどの分析化学的手法や機器が用いられ,司法側から要求されるハードルをひとつひとつ超えていき,最後にはメガサイエンスの最先端施設であるSPring-8も事件の解決に寄与した。
著者
赤木 邦昭
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.54, no.8, pp.428-431, 2006

春,そして夏休みに実施している小学校高学年を対象とした「科学実験教室」。今年で4年目を迎え,これまで試行錯誤しつつ6回実施してきた。地域(千葉)の方々にも少しずつではあるが浸透してきたこの活動。中・高校の化学,物理の先生方の協力があってこそ成し得たその内容をご紹介しながら,一企業が参画する意義とメリットなども記してみたいと思う。皆様方の活動の参考となれば幸いである。
著者
辻 尚志
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.43, no.11, pp.691-694, 1995-11-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
2

身の回りにはアミノ酸をはじめ, 様々な光学活性体があり, 生体は光学活性な場を持つ蛋白質を物質の認識に用いることにより巧みにそれらを見分けながら生きている。日頃, 口にする甘味やうま味などの味, 匂いの素になる物質には光学活性体が多く, 更に, それぞれの光学異性体で作用が異なる場合が多い。医薬品にも不斉中心を持つ化合物が多く, それぞれの光学異性体で薬理作用が異なる場合がある。現在はラセミ体の医薬品が多いが, 今後は安全性の観点から, 光学活性体を開発する方向になりつつある。
著者
石田 洋一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.131-137, 1988

電子の海の中にイオンが配列しているという一風変わった構造をもつ金属は, 普通の化学物質とは多くの点で異なった性質を示す。金属がもつこのような性質が, イオン配列のどのような変化により生じているか。近年特異な構造をもつことで注目されているアモルファス合金や準結晶, あるいは極微細晶や積層膜がどのような原子的配列なのか, 最近の高分解能電子顕微鏡による金属内部や表面の原子レベル観察をもとに解説する。
著者
関口 武司
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.430-433, 2001-07-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
4

水の沸騰点あるいはそれ以上の厳しい温度環境で生息する細菌が存在する。超好熱菌と呼ばれるこれらの微生物が生産する酵素は, 常識を越えた高い温度で機能する。さらに, 有機溶媒等に対しても高い耐性を示し, 幅広い基質特性を示す酵素も知られている。常温生物からの酵素とは異なった特性を示す超好熱菌酵素は, 有用物質の工業生産など産業への応用に向けて大きな期待が寄せられている。本稿では, 超好熱菌とその酵素の特性, および応用について紹介したい。
著者
利安 義雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.40, no.8, pp.550-552, 1992-08-20 (Released:2017-07-13)

水酸化ナトリウムの溶解熱は発熱にもかかわらず, 加熱すると溶解度が増すのはなぜだろうか。
著者
兼島 清
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.162-165, 1988

子供のころはやんちゃ坊主でいたずら好きだった私は, それがエスカレートして化学の実験に興味を覚え, 化学の道に進んでいった。戦後宮古島で軍の残した変性アルコールのドラム缶のメチルを分析し, メチルの入ってないものを選別し, 木炭で精製して, 飲用の可能性を人体実験によって確め, それをもとに大宴会を催すなど奇抜なことをやり, 若いころがむしゃらに生き抜いた。琉球大学の創設にかかわり, 無の状態から出発して化学教室を作りあげた。研究では天然ガス付随水の分析から, 天然ガス埋蔵の可能性や温泉としての利用の口火を開いた。東京工業大学に内地留学し, リン鉱の地球化学的研究に打ち込み, 化学の研究のすばらしさを知り, 未知の世界の探求者に最高の喜びのあることを知った。日本南極観測隊に参加し, 南極の美しさを満喫し, スライドに収めて沖縄の青少年に南極の感動を語り激励している。
著者
小出 力
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.55, no.10, pp.482-483, 2007
参考文献数
5

近畿支部内における20年をこす中学校・高等学校のクラブ発表を中心に,小学校,中学校,高等学校における課外活動の位置づけ,内容,成果について簡潔に紹介する。同時に,これら生徒の化学研究に当たる教諭の皆さんの労苦に感謝の気持ちを表す大切さを伝えたい。
著者
定方 正毅
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.85-87, 1999-02-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
4

ラジカルによる反応の制御は室温での高速反応や非平衡での反応が可能など様々な利点を有するがこれまで実用技術までに発展した例は少なかった。その最大の原因はラジカルの計測が難しいこととラジカルの生成効率が低いためラジカル生成に高エネルギーコストがかかる点である。最近, 連鎖反応の利用や平衡ラジカルの利用および固体電解質を用いたイオンラジカルの生成技術の開発によりラジカルの高効率生成が可能になりつつある。
著者
野田 達夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.182-183, 2017-04-20 (Released:2017-10-01)
参考文献数
2

私語をする,居眠りをする……など,学生が授業に集中せずクラスの秩序が失われていくさまは,新任教員にとって時に恐怖を感じさせるものとなる。筆者はこれまでに,アクティブラーニング(以下AL)型授業による授業改善に取り組んできた。本稿では,AL型授業を行った際の学生の様子について紹介する。