著者
高野 慎二郎 佃 達哉
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.602-605, 2014-12-20 (Released:2017-06-16)

美しい光沢を発する金は,古来より装飾品等に用いられるなど我々にとって身近な金属である。有機配位子と呼ばれる分子によって表面を修飾することで,1ナノメートル程度の大きさの超微粒子(金クラスター)を安定化合物として合成することができる。これらの配位子保護金クラスターの構造を調べると,13個の金原子が「超原子」と呼ばれる正二十面体形の基本構造体を形成することが明らかになった。さらに,2つの金超原子が様々な様式で結合した双二十面体形の「超原子分子」も合成されている。本稿では,これら金原子の集団が示すナノの世界の美を紹介する。口絵30ページ参照。
著者
佐藤 成哉 亀丸 寛一 相浦 哲
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.49, no.9, pp.585-588, 2001-09-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
8
被引用文献数
2
著者
伊東 一臣
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.61, no.7, pp.362-363, 2013-07-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
6

我々がただ美しいと見ている花火。その一瞬に花火師たちの多くの努力が込められている。初めに花火の打ち上げ方法と煙火玉の構造について解説し,打ち上げに伴う問題点について述べる。次に花火を美しく演出する色を作り出す金属化合物及び星の組成を紹介し,発色の問題点を指摘する。また現在も赤,黄,緑及び青の4色に限られる発光メカニズムと発光・発色種について説明し,実際に使われる星の構造と製作法について述べる。
著者
渡辺 正
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.178-181, 1999
参考文献数
4

昨年5月から11月にかけ, 日本化学会・同化学教育協議会・「夢・化学-21委員会」は合同で, 初の試み「高校化学グランプリ」を企画実行した。今回は境界条件がきつくて「全国」の手前, 関東・東北大会に終わったが, 国際化学オリンピック(IChO)への参加を(まだ少し遠い?)射程内に置き, 大学入試レベルを超す部分もある筆記試験と, マニュアルがないに等しい実技試験(実験)で高校生の頭と腕を競ってもらった。企画のいきさつ, 現場の雰囲気, 将来展望などを紹介したい。
著者
鬼頭 真弓 長谷川 將 井上 正之
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.82-85, 2013-02-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
4
被引用文献数
1

キチンに担持させた金(III)化合物を用いる,還元性有機化合物の検出における反応条件を再検討した。反応時に用いる塩基を従来の炭酸ナトリウムから炭酸アンモニウムに変えることで,金ナノ粒子の生成による呈色が鮮やかな色調に変化した。またキチンに担持させる金(III)化合物の量を従来の五分の一まで減少させることができた。さらに,銀鏡反応やフェーリング液の還元では検出が困難であったギ酸エステルの還元性も検出できることが明らかとなった。
著者
奥 彬
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.450-453, 2002-06-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
4

ペットボトルに象徴される廃プラスチック問題を, 環境問題のみならず有機資源枯渇問題としてとらえ, 化学産業の生命線である資源保護のために, 教育界, 産官学, 消費者社会が協力して, 一定量の資源から繰り返し同じ商品を製造する資源再生の考え方を実現すべきことを説く。石油は経年的に急速に枯渇する資源, また植物資源は量的に有限な資源であるから, プラスチック産業は早急に資源増殖型の化学的な資源再生技術を考案して「資源の社会的蓄積による無限化への挑戦」に取り組むことを述べる。そのためには製造と廃棄の量を減らすだけでなく, 燃焼処理法を抑制する化学システムと生物非分解性の植物由来プラスチックの生産技術を考案すべきことも説く。さらにそれを助けるデポジット・リース・レンタル制度の普及, 素材の統一, 廃プラスチックの直接クラッキング法によるナフサ循環などを提案している。
著者
森 重樹
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.600-601, 2015-12-20 (Released:2017-06-16)
参考文献数
2
著者
中西 真 高田 潤
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.484-485, 2012-11-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
4

電磁波吸収材料は,不要な電磁波を効率良く吸収し熱に変換する材料である。電磁波の電界や磁界は物質中の電子が持つ電荷や磁気モーメントと相互作用し,電磁波のエネルギーが電子の移動や磁気モーメントの運動のエネルギーに変換されることで吸収が生じる。特に磁性損失材料の吸収機構である磁気共鳴について解説するとともに,最近の材料の開発動向についても触れる。
著者
下山 晃
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.14-18, 2002
参考文献数
21

隕石の中でも炭素質隕石は太陽系の原始物質であり, 有機物を含んでいる。隕石アミノ酸が地球起源でなく, 非生物起源であり, このため宇宙起源であることはマーチソン隕石の分析から判明した。同様な結果は南極隕石のアミノ酸分析からも判明し, その種類や存在量, また, 隕石有機物としての特徴もこれらの隕石では共通していた。その後の分析ではジカルボン酸もアミノ酸と類似した特徴をもつことが判明した。隕石有機物の起源については, これまで原始太陽系星雲中や隕石母天体上での成因が提案され, 議論されてきた。近年のH, C, Nの安定同位体比の研究は, 異常に高い同位体比を隕石有機物が示すことから, 先太陽系(つまり星間)での生成が議論され, 起源と成因について新しい展開が見られる。さらに, 個別の同位体比測定が可能になり, 分子の生成経路に関しても考察が可能となった。さらになお, 隕石有機物の化学進化はアミノ酸や核酸の塩基などの生成まで進んだことを示しており, 地球に次いで生体関連有機物が存在する天体が存在することが判明した。
著者
蓑手 重國
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.14-18, 1994-01-20 (Released:2017-07-11)
被引用文献数
3

化学を学ぶ者にとって, 物質量「モル」は非常に有用な単位である。しかし, この「モル」という単位は, これに初めて出会う高校生にとっては理解するのにかなり苦労するようである。生徒が「モル」を理解し, これを利用して物質の量的関係をうまく取り扱えるようになると, 少なくとも化学を敬遠することはなくなるであろう。そこで, 高校生が「モル」の学習の際, どこでつまずくのかを探り, それを解決する方法を考えてみる。
著者
桂田 和子
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.606-607, 2015-12-20 (Released:2017-06-16)
参考文献数
4
著者
長岡 涼太
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.282-283, 2018-06-20 (Released:2019-06-01)

長岡技術科学大学Technical Education Circle(TEC)は,青少年の科学技術教育の推進を目的に活動する学生サークルである。TECは長岡市内を中心に主に新潟県内で実験教室や工作教室を開催し,子どもたちに科学の楽しさを伝える活動を行っている。本稿では,その取り組み内容について紹介する。
著者
中山 将伸
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.154-157, 2006-03-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
2
被引用文献数
1

古くから電池の電解液には水が使われてきたが,今日の携帯電話やノートパソコンの電源に使われているリチウムイオン電池の中にはリチウム塩を溶かした有機電解液が水の代わリに使われている。本稿では,最初になぜ水ではなく有機電解液が用いられているのかを説明し,続いて有機電解液の分子材料設計をイオン伝導の観点から説明する。最後に,有機電解液を超えた新たな材料開発への取り組みについて簡単に紹介する。
著者
岡本 裕巳
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.42-45, 1999-01-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
5

分子の中で, 原子はバネ(化学結合)でつながれた質点系のように振る舞い, 固有の振動数で振動している。その振動数は赤外線の振動数に相当し, 赤外線を分子にあてると固有振動と共鳴して吸収される。これを利用して分子内振動を調べるのが赤外吸収スペクトルである。赤外吸収スペクトルは, 化合物中の官能基の同定に用いられるほか, 分子の対称性を教えてくれることもあり, 構造化学上の重要な発見に寄与している。ここでは赤外吸収がどのように測定されるのか, どのように分子構造の研究に用いられるか, その考え方の基礎を解説する。
著者
尾野 光夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.20-23, 1997
参考文献数
7

「教科書が面白い」などという台詞は, とんと聞いたことがない。理由は色々あろうが, 指導要領と検定による内容の画一化, 十年一日の如き内容の古さ, 大学入試を意識した内容のてんこ盛り等々, 数え上げれば切りがない。どうすればよいのか-使う側とつくる側との二股をかけている筆者には, 皆目見当が付かない。が, 黙っていたのでは解決策も生まれてこない。徒然なるままに思いの一端を記し, 読者のご判断を仰ぎたい。
著者
石崎 舜三
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.151-155, 1989-04-20 (Released:2017-07-13)

偉大な自然という営みの中で, 動物や植物の生命から作り出された繊維は, 水が存在する自然の環境の中で形造られ, 約紀元前3000年も前から, 我々人類の生活に深いかかわりをもちながら現在に至っている。天然繊維は, 生まれながら親水性の繊維であり, その背景も理解できよう。一方, 疎水性の合成繊維は, 自然の営みを先生に, 人類の知恵を駆使して誕生した繊維で, 生まれてから, まだ半世紀にも満たない。合成繊維は, 水のない状態から生まれてきた秀才であるが, しかし, 水に関しては天然繊維に比して, まだほど遠い。この点でまだまだ天然繊維に学ばなければならないことも多い。吸水性も吸湿性も共に高い合成繊維を作ってみたいという課題は, 合成繊維の研究に携わる者にとって大きな目標でもあり, 夢でもある。