著者
安芸 晋治
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.108-111, 2007-03-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
2

有機合成化学を学んだ者が,製薬企業の中で貢献できる仕事の領域は,新しい薬(化合物)を見出すことを目的とする創薬化学研究と,見つかった化合物を工場規模で製造するためのプロセス化学研究の2つに大きく分けられる。この両者は,有機化学の知識を使って化合物を造るという点においては同じであるが,その目的,研究の進め方が大いに異なる。本報では,プロセス化学研究の考え方,進め方の一端を示し,筆者の行ってきた研究例を紹介する。
著者
小池 晴夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.104-107, 2007-03-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
4

有機化学を専攻した学生の活躍の場を考えるとき,医薬品会社ほどエキサイティングな所はない。特に,有機合成,有機反応機構に関する知識・理解を深めた有機化学者に最適な職場は製薬部門で,プロセス化学の最短距離にある。本稿では,現在脚光を浴びているプロセス化学の目指すもの,その方法論,実例について紹介する。
著者
中村 洋
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.588-591, 2015-12-20 (Released:2017-06-16)
参考文献数
2

クロマトグラフィーは電気泳動とともに現代を代表する高性能物質分離手段である。クロマトグラフィーは固定相と移動相をツールとして様々な手法で広範囲の物質群の相互分離に活用されており,産業界においても分析・解析目的から分取目的まで広い用途がある。本稿では,クロマトグラフィーの理解に必要な用語・基礎理論を解説し,液体クロマトグラフィー,ガスクロマトグラフィー及び超臨界流体クロマトグラフィーの要点を記述する。
著者
一國 雅巳
出版者
社団法人日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.17-21, 1990-02-20
被引用文献数
3
著者
矢部 富雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.418-421, 2012
参考文献数
7

食品に含まれる糖質(炭水化物)は,タンパク質や脂質とともに三大栄養素の一つに数えられているが,糖質の摂取量は必要エネルギー量の60%程度と他に比べて非常に大きいことからも,その重要性をうかがい知ることができる。しかし,摂取される糖質はエネルギー源として利用されるばかりではなく,さまざまな生理機能に利用されている上,共生する腸内細菌が利用することによりその恩恵をも受けている。本稿では糖質がどのように化学物質としてふるまっているのかについて,「見分ける」をキーワードとして概説する。
著者
土橋 律
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.88-89, 2014-02-20 (Released:2017-06-16)

燃焼は,古くから身近なエネルギー源として用いられている。燃焼により,燃料のもつ化学エネルギーを熱エネルギーに変換することができる。本稿では,都市ガスの主成分であるメタンを例に,燃焼とエネルギー変換について取り上げた。燃焼熱の高位発熱量と低位発熱量,燃焼の総括反応と素反応,火炎からの発光(化学発光とすす粒子の発光),実際の給湯器におけるエネルギー効率向上の技術などについて概説した。
著者
浦野 泰照
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.264-267, 2011-05-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
1
被引用文献数
1

蛍光を原理とする分析手法は高い感度を有し,様々な分野で汎用されている技術である。本稿ではまず,生物・医学領域での蛍光可視化手法の有用性について,その感度,特異性の面から概説する。さらに,蛍光観測法に必須となる各種蛍光物質の挙動を化学的に正しく理解することをめざし,励起,発光,無輻射遷移の各過程についてわかりやすく解説する。
著者
田中 稔
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.65, no.8, pp.404-405, 2017

<p>肝臓は体内最大の臓器であり,代謝をはじめとした生命を維持するうえで必須の機能を数多く担っている。その中でも,三大栄養素と呼ばれる炭水化物,脂質,タンパク質のエネルギー代謝は我々が活動するためになくてはならない重要な機能である。一方,人体に有毒な物質を解毒する薬物代謝も,生命を守るためには必要な機能である。このような肝機能を十分に理解することは,健康の維持だけでなく,新薬の開発においても重要な意味を持っている。</p>
著者
仲島 浩紀
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.160-161, 2012-04-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
3

高等学校と大学の化学教育の架け橋になるような機会の提供として「化学実験」体験講座を実施した。その中で,女子高校生の日常生活の中の疑問としてでてきた日焼け止めクリームの紫外線防止効果について大学が保有する分析装置の1つであるESRを用いて検討を行った。本講座の試みとともに,得られた実験結果を紹介する。
著者
大崎 茂芳
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.484-487, 2014

細いクモの糸は柔かくて強いと言われるが,繊維集合体となると繊維間に隙間があることから必ずしも強くない。クモの糸の繊維集合体において,隙間を軽減した構造を持つ切れにくいヴァイオリンの弦作りに成功した。クモの糸の弦でストラディヴァリウスに勝るとも劣らぬ音色を呈することを科学的に明らかにした。
著者
中西 孝
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.530-531, 2006-10-20 (Released:2017-06-30)

大学で学んだことがそのまま実社会で役立つことは少ないが,広い視野でものごとを考える能力はいろいろな場面で役に立つ。広い視野でものごとを考える能力は,いろいろな教科及び科目の学習で得た知識を総合的に駆使する訓練から生まれる。このような能力を養う学習法は高校でも教えることができる。
著者
妹尾 学
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.334-337, 1994-05-20 (Released:2017-07-11)

気体分子はいろいろな方向に飛びまわり, これが器壁に衝突することによって圧力を示すと考えられ, この気体分子運動論のモデルによって, ボイル・シャルルの法則が説明されてきた。このようなモデルがどのように展開されたのか, そして気体の分子運動とは実際にはどのようなものであるのか考えてみよう。
著者
胸組 虎胤
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.170-174, 1998-03-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
5
被引用文献数
1

生体のタンパク質を構成するアミノ酸の立体配置はL体であることはよく知られているが, そうなった理由はまだはっきりしていない。ただ, L体のアミノ酸から成るタンパク質系は物質の進化で形成されたと考えられている。ここでは, アミノ酸, ペプチド, タンパク質の片手構造について説明し, L体のタンパク質系の生成した過程を化学進化の点から概説する。