著者
マクヴェイ山田 久仁子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.28-33, 2021-01-01 (Released:2021-01-01)

2020年3月にパンデミックとなった新型肺炎の影響で,ハーバード大学では3月23日から全ての授業がオンラインに切り替わり,図書館の全職員が自宅勤務となった。春学期途上の突然の移行を経て,9月の新学期はオンライン授業のみとなったが,大学図書館は,この新たな教育形態の支援を最優先として取り組んできた。本稿では,ハーバードのオンライン教育における電子資料活用の実際を,日本語資料専任ライブラリアンである筆者の職務を交えながら,報告,考察する。
著者
平井 克之 岡崎 麻紀子 奥津 佐恵子 久保 琢也 矢吹 命大 渡邉 優香
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.80-86, 2021-02-01 (Released:2021-02-01)

リサーチ・アドミニストレーター(URA)による研究力分析の効率化・高度化を進めるには,実務担当者間の連携が不可欠である。近年,データ分析の現場では,プログラミング技術を用いた分析手法が,広く利用されるようになってきた。分析作業の効率化と高度化を目的に,Code for Research Administration (C4RA)が発足した。本稿では,論文書誌情報や科研費を用いた研究力分析において,PythonやR等により作業の効率化を図った事例を紹介する。最後に,C4RAの今後の活動の方向性及びURAの普及定着への貢献の可能性を探る。
著者
設樂 成実 天野 絵里子 神谷 俊郎
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.11, pp.510-515, 2019-11-01 (Released:2019-11-01)

紀要編集者ネットワークは,紀要の編集関係者や,公開や流通を支える図書館関係者,印刷関係者等をつなぎ,意見や情報を交換できる場を提供し,紀要の発展に向けた支援につなげることを目指す活動である。本稿では,筆者の紀要編集者としての実務経験および本ネットワークを通し得た紀要編集者らの声をもとに,紀要が電子ジャーナル出版を進めてゆく上で,個別の編集委員会では対応が難しく関係部署や図書館等との連携が望まれる事項について検討した。その結果,法律知識を必要とする業務のサポート,編集や運営のノウハウの継承のための情報共有,最新の学術情報流通技術への対応のための情報共有,出版プラットフォームとしての機関リポジトリとの協働を提案する。
著者
長崎 洋
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.55-59, 2012
参考文献数
45

政治・法律・行政分野の文献には,内容的に公開しても差し支えないものが多い。また,その作成のお金の出所から考えて広く公開されるべきものが多いと思われる。それにもかかわらず,入手しにくいものが少なくないように感じられる。本稿では,まず,そのような文献を類型化し,次に,インターネット情報の発達によってそれらの入手可能性が高まっていることを述べる。最後に,今後の更なる文献の公開とその保存について,概観する。その際,これまで灰色文献に取り上げられることがあまりなかったと思われる,通達を収録した資料および国会の資料にも言及している。
著者
長塚 隆
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.12, pp.571-575, 2020-12-01 (Released:2020-12-01)

現在多くの人に関心を持たれている書籍「FACTFULNESS」の翻訳者である関美和氏による特別講演「実録FACTFULNESS 大ヒットの舞台裏」がオンライン開催された。講演者はハンス・ロスリングらによる「FACTFULNESS」がどのようにして生まれたのか。さらに,日本語版への翻訳と出版がどのようなプロセスを経て実現されたのか講演者の経験を踏まえて紹介された。日本語版への翻訳と出版の舞台裏ではどのような工夫と努力がなされていたのかを,講演者の豊富な経験を踏まえて語られたので,多くの参加者は講演に引き付けられた。
著者
大場 郁子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.490-494, 2006
参考文献数
8

研究者のための学術情報ナビゲーションツールScopus(スコーパス)は,科学・技術・医学・社会科学分野における4,000以上の出版社の15,000誌以上のタイトルを収録する書誌・引用データベースである。Scopusは,検索結果のデータをいろいろな方法で分析し,より深い洞察を得たいと考えている研究者のニーズにこたえるための機能拡張を継続的に行ってきた。ここでは,特定著者の文献収集をより正確かつ簡単にする著者識別機能と,利用者が自由に評価対象文献を選択して分析できる引用分析ツールの2つの新機能を通して,評価ツールとしてのScopusの特性を紹介する。
著者
池内 裕美
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.10, pp.486-492, 2020-10-01 (Released:2020-10-01)

「カスタマーハラスメント」とは,簡単にいうと従業員に対する顧客からの嫌がらせであり,悪質クレームとほぼ同義である。近年,流通業の店員の約7割がこうした迷惑行為を受けていた事実が明らかとなり,世の中を震撼させた。では,なぜカスタマーハラスメントは生じるのであろうか。増加の背景には,いかなる心理的・社会的要因が関係しているのだろうか。また,被害を受けた場合,従業員はどのように対処すればよいのか。本稿では,こうしたカスタマーハラスメントをめぐる諸問題について,心理学の知見や関連分野の先行研究を基に概説する。そして最後に,従業員保護の観点から組織の在り方について私見を述べる。
著者
田辺 千夏
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.7, pp.372-376, 2017-07-01 (Released:2017-07-01)

現在の第3次人工知能ブームは,情報の蓄積が爆発的に進んだことと情報処理能力が向上したことがきっかけとなっている。特許情報も例外ではなく,特許調査・解析分野への人工知能の応用は既に始まっている。筆者の所属企業である昭和電工(株)でも数年前から人工知能の特許調査分野への応用に着目しており,Patent Explorer,XLPATといった人工知能を用いた商用ツールの導入により特許調査の効率化,自動化を推進している。本稿ではシステムユーザーとしてこれらのツール導入にあたっての期待効果,使用感ならびに今後の展望を紹介する。
著者
小野寺 夏生
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.273-277, 2020-05-01 (Released:2020-05-01)

電子ジャーナルサイトJ-STAGEのアクセス統計データを用いて,このサイトから公開されている『情報の科学と技術』に掲載された記事の本文ダウンロードデータを分析した。延べダウンロード数は漸次上昇しており,最近は月3万件程度で推移している。特集記事や連載記事など,非会員に6か月のエンバーゴ期間を設定している記事の多くは,発行当月多くのダウンロードがあった後大きく減少し,6か月経過後に急上昇に転ずる。この推移の分析から,会員と非会員の閲読傾向について考察した。
著者
公益財団法人 大宅壮一文庫
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.461-466, 2016-09-01 (Released:2016-09-01)

評論家・大宅壮一が遺した雑誌コレクションを引き継ぎ,1971年に設立された雑誌図書館「大宅壮一文庫」。その前身である個人アーカイブズ「大宅資料室」から始まった雑誌収集やカードシステム,現在も受け継がれている“大宅式”といわれる独自の分類項目,所蔵雑誌とともに大きな特徴である雑誌記事索引の作成方法と変遷について解説する。インターネットの普及により容易に情報が得られるようになったが,“時代の証言”ともいえる雑誌記事索引をユニークな切り口で検索できるデータベース「Web OYA-bunko」の魅力,そして「大宅壮一文庫」の現在。
著者
大谷 周平 坂東 慶太
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.513-519, 2018
被引用文献数
5

<p>Sci-Hubとは,6,450万件以上もの学術論文のフルテキスト(全文)を誰もが無料でダウンロードできる論文海賊サイトである。Sci-Hubからダウンロードできる論文には,学術雑誌に掲載された有料論文の約85%が含まれており,Sci-Hubは学術出版社の著作権を侵害する違法サイトである。大学図書館の契約する電子ジャーナル,OAジャーナル,機関リポジトリ,プレプリントサーバーなど法的に問題ない論文サイトが在る中で,世界中から1日に35万件以上の論文がSci-Hubを通じてダウンロードされている。本稿では先ずSci-Hubの概要・仕組み・世界的な動向について述べる。次いで2017年にSci-Hubからダウンロードされた論文のログデータを分析し,国内におけるSci-Hub利用実態の調査結果を報告する。栗山による2016年調査と比較すると,Sci-Hubの利用数やSci-Hubの利用が確認された都市数は増加していた。また,Sci-Hubでダウンロードされているのは有料論文だけではなくOA論文が約20%を占めていること,クッキーの情報から約80%のユーザーは1回のみSci-Hubを利用している状況も明らかになった。</p>
著者
斉藤 浩 清水 響子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.9, pp.427-434, 2019-09-01 (Released:2019-09-01)

経済産業省が運営する400万法人のデータベース「法人インフォメーション(法人インフォ)」は,各府省保有の法人活動情報約160万件を集約しており,データを一元的に検索・取得可能である。法人デジタルプラットフォームの中核データベースとしての対象データ拡充をはじめとする継続的な発展を見据え,IMIを用いて「法人情報語彙」を整備し,多様な情報源からのデータ集約が容易に行える環境を構築した。本稿では,IMIの取組みと法人インフォにおける活用事例を紹介する。