著者
長谷部 雅彦 持井 聡子 大森 照夫 杉山 典正 近成 涼香 都築 泉
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.12, pp.616-622, 2018-12-01 (Released:2018-12-01)

介護サービス全体に占める徘徊見守りサービスの市場割合は0.2%以下,また既存サービスの利用率は10%以下という極めて少ない状況である。この原因として,既存サービスは介護従事者等の人手を必要とするケースが多い一方介護の仕事は社会的地位が低い上に低賃金・重労働のため常時人手不足を生じていることや,身体拘束や行動制限などへの留意が必要であることが認識された。そこで,これらの人権侵害に留意しつつ介護従事者の負担軽減を図ることが可能と考えられる技術要素を抽出し,技術要素を組み合わせて,本研究では,進化型ペットロボ,体内挿入カプセルロボ,未来型お供ロボを提案することとした。
著者
永崎 研宣
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.475-480, 2014-11-01 (Released:2017-04-13)

クラウドソーシングによるテクストのデジタル翻刻は近年欧米で流行しつつある。そもそもデジタルテクストには典拠と典拠性の確保という難しさがあるが,国立国会図書館近代デジタルライブラリーのデジタル化資料に対するデジタル翻刻では永続的識別子を前提としてその問題を解決可能である。また,明治大正期の活字字形のデジタル翻刻の難しさという問題もある。それらを踏まえた上で日本語クラウドソーシング翻刻環境を実現すべく「翻デジ2014」が開発・公開された。「翻デジ2014」では,単に本を丸ごと翻刻するというだけでなく,一部でもテクスト入力しておけばGoogle等の検索対象となってそこから近デジ本文画像へとリンクされるため,比較的容易に,近代日本の知をWebに結びつけることが可能となっている。
著者
岡本 真
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.8, pp.306-311, 2014-08-01
被引用文献数
1

インターネットを利用した新しい資金調達の仕組みであるクラウドファンディングの動向について,代表的サービスの一つであるREADYFOR?の運営経験に基づいて解説する。特に日本におけるクラウドファンディングの仕組みやREADYFOR?における事例に基づく資金調達に成功する秘訣を説く。
著者
光森 奈美子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.483, 2018-10-01 (Released:2018-10-01)

2018年10月号の特集タイトルは「オープン化の新たな視座」です。主に学術雑誌論文を対象としてきたオープンアクセスに加え,近年は研究データのオープン化も議論の対象となり,オープンサイエンスへと広がりを見せています。また,行政資料や行政の持つデータのオープン化は,国か地方公共団体かを問わず進められています。企業においては,これらのオープンになった情報を活用するだけにとどまらず,自らが持つデータをオープンにすることで,イノベーションの創出を目指す動きも生まれています。このように,一口に「オープン」と言っても様々な流れがあり,オープン化に対する考えや取り組み方が異なります。多様な視点からオープン化の流れを見つめるべく,本特集では異なる立場の方々からご寄稿いただきました。企業活動の中でオープンデータがどのように活用できるのか,そのメリットと課題について,株式会社日立コンサルティングの岡山将也氏,岩崎一正氏に考察いただきました。研究データのオープン化に関しては,社会科学分野のデータアーカイブである「SSJデータアーカイブ」の取り組みをご紹介いただくとともに,日本の社会科学分野における研究データのオープン化とその課題を,東京大学社会科学研究所の三輪哲先生,佐藤香先生に論じていただきました。行政資料のオープン化がどのように実現されるのかを知る事例として,神奈川県立図書館の白石智彦氏に「神奈川県行政資料アーカイブ」をご紹介いただきました。専門機関におけるオープンアクセスの実態調査を行った事例として,国立研究開発法人国立環境研究所の尾鷲瑞穂氏,野崎久美子氏,張替香織氏,村上章人氏より,同研究所の取り組みをご紹介いただきました。国際的な学術出版社であるシュプリンガー・ネイチャーにおけるオープンサイエンスに対する取り組みを,同社の小林眞代氏よりご紹介いただきました。本特集が,「オープン化」の新たな風を感じる機会となることを願っています。(会誌編集担当委員:光森奈美子(主査),渋谷亮介,寺島久美子,南山泰之)
著者
西田 彩子 大久保 三四朗 大森 照夫 木下 光博 酒本 裕明 杉山 典正 都築 涼香 法宗 布美子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.119-128, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)

本研究では,ITベンチャー企業が知育玩具にAR(拡張現実)技術を適用したAR知育玩具について,新規事業を創出すると仮定し,情報収集と調査・分析を通じて事業立案の方策を検討した。AR及び知育玩具の各々の市場が拡大傾向にあること,両者を組合せた場合に相乗効果が見込まれることから,AR知育玩具の有望性が確認された。さらに,トピックモデル分析を用いて,全体を概観するマクロ分析からセミマクロ分析,さらにはミクロ分析へと展開する新たな手法を試みた。また,ブログを対象としたニーズ分析等を行なった。これらの分析から得られた要素をもとに,「積み木を用いたTangible user interface型の幼児向け英語学習玩具」を提案した。
著者
正角 彰朗 東 智朗 矢部 悟 伏見 祥子 橋本 正義
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.7, pp.377-382, 2017-07-01 (Released:2017-07-01)

「高齢者」をテーマとして,新規課題抽出の手法および経営者向け商品開発提案の手法を提案した。本手法の狙いは,特許と非特許情報の件数対比によって未開拓市場(ブルーオーシャン)における課題を見つけることである。「特許件数が少なく非特許文献が多い分野は,社会的関心が高い分野でありながら開発が未成熟なブルーオーシャンに属する」という考えに基づき検討を行った。抽出された新規課題に基づく商品開発提案では,「①顧客,②顧客ニーズ,③目標売価,④市場規模,⑤参入障壁構築」に基づいて検討されるべきであり,その方針のもと,歩行補助装置を事例として取り上げ,商品開発提案のフォーマット化を試みた。
著者
石川 徳幸
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.9, pp.434-439, 2018-09-01 (Released:2018-09-01)

情報通信技術の発達にともない,人びとの情報接触行動も次第に変化し,紙媒体を基軸とした新聞産業は明らかな衰退期に入っている。そのため,現在の新聞業界はビジネスモデルの転換を迫られているが,そうした議論の中で常に取り上げられるのが電子新聞をはじめとするデジタル化の問題である。本稿の目的は,新聞がこれまでに取り組んできたデジタルサービスの歴史的過程を概観するとともに,そうした中で変化してきた新聞のメディアとしての特性について検討することにある。さらに,現在の新聞を取り巻く環境を概観することによって,問題の本質を掴み,向かうべき方向性を示唆することを企図している。
著者
坂元 徹
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.343-347, 2018-07-01 (Released:2018-07-01)

知的財産を取り巻く環境は劇的に変化しており,膨大な特許情報をグローバル視点で迅速かつ的確に概要・要点を分析することが求められている。このような状況の下,多くのAI技術を活用した特許調査・解析ツールが開発されており,「Xlpat」もその1つである。本稿では「Xlpat」の基本的機能や使用例について簡単に報告する。
著者
野崎 篤志
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.316-325, 2018-07-01 (Released:2018-07-01)

新聞・雑誌やニュース等で人工知能というキーワードをほぼ毎日見かけるようになってから久しい。2015年以降各種ベンダーからリリースされたAI搭載型特許調査・分析ツールの限界を知る上でも,AIの基礎知識について知ることは重要である。本稿では本特集号の各論を理解するための基礎として,AI・ディープラーニングの概要と各種統計データから見る第3次AIブームの振り返り,最近のAI搭載型特許調査・分析ツールのまとめと最近リリースされたツールの概要紹介,そして個別の特許情報業務におけるAIツールの今後の進化と利用・活用方法やAIツールとの付き合い方について述べた。
著者
佐藤 恵子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.211-215, 2003
参考文献数
6
被引用文献数
1

科学技術振興事業団(JST)は,日本の電子ジャーナルサイトが,他の電子ジャーナルサイトやデータベースとのリンクを効率的に行うために,JSTリンクセンターを開発し,2002年9月より運用を開始した。JSTリンクセンターの中核となるデータベースであるリンクマスタ,リンク情報を管理するためにJSTリンクセンターに登録されたコンテンツに対して付与されるJOI(JST Object Identifier),引用文献の自動解析等を中心にJSTリンクセンターの仕組みについて述べる。また,JSTリンクセンターの利用イメージをJ-STAGEからPubMedへの引用文献リンクを例に挙げて紹介する。
著者
佐藤 義則
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.526-531, 2009
参考文献数
45

GIS(Geographic Information System)は,地図インターフェイス上でのさまざまな情報の視覚化にとどまらず,分析と意思決定を支援するツールとして大きな発展を遂げた。近年では,時間軸を導入した歴史GIS(Historical GIS)の活用も進んでいる。本稿では,図書館や情報センターにおけるGISの活用,特に,古地図等の資料のデジタル化や時間空間データベースの活用および関連するツールの整備について,現状を整理することを目的とする。また,今後の整備においては,図書館・情報センターという枠組みを超えた幅広い協力が必要であることを示す。
著者
長屋 俊
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.267-267, 2018-06-01 (Released:2018-06-01)

昨今の図書館をめぐる情報環境の変化の流れは速く変化を捉え続けること,その上で状況を把握し実践に移すことの必要性が高くなってきています。ITに限らずものづくり技術やサービス開発力を持つ企業との連携は現在の変化の流れの中をいわば航海し続けていくために必要といえるでしょう。こうした連携事例は他の図書館/企業に対して新しいサービス展開の視点/技術提供の可能性を示してくれるはずです。本特集「図書館と企業の連携」はこのような意図で企画いたしました。各論1では十文字学園女子大学の石川敬史氏,日本事務器株式会社の渡辺哲成氏に人間型ロボットPepperを利用した新サービスの開発やガイダンス動画作成などについて司書課程の学生と企業との連携・協力により学びあいながら図書館活動を創造する実践事例を執筆いただきました。各論2では株式会社カーリルのふじたまさえ氏に様々な図書館と連携した同社サービスの事例やサービス設計時に考慮している点について,特に技術的レベルやコミュニケーションにおけるコストに関する課題の解決策について執筆いただきました。各論3では平賀研也氏に県立長野図書館におけるネーミングライツ制度導入による株式会社内田洋行との戦略的提携「知識情報ラボ『UCDL(ウチデル)』」の目的や取組み,効果,制度導入時の留意点について執筆いただきました。各論4では図書館づくりと子どもの本の研究所の平湯文夫氏に家具づくりと部屋づくりによって図書館の利用を促すよう演出する「平湯モデル」の開発及び事業展開を通じて得た知見,今後の同モデルの展開可能性について執筆いただきました。各論5では国文学研究資料館の松原恵氏,小宮山史氏,山本和明氏に歴史的典籍NW事業の江戸料理事業を通じた人文学オープンデータ共同利用センターやクックパッド株式会社とコラボしていく中で見えてきた可能性と課題について執筆いただきました。各図書館の規模の大小に関わらず網目としての結びつきの一部分であればネットワークの構成要素としての他館から受けられる恩恵によって自館のサービス可能性を拡大させることができます。図書館はこうした図書館同士の結びつきのネットワークを拡大・活用し資料・情報提供の質及び量を担保しサービス展開してきましたが,本号で取り扱ったように図書館同士だけではない図書館と企業というもう一つ別のレイヤーも眼前に広がっています。本特集が読者諸賢にとって日々の活動における一助となれば幸いです。(会誌編集担当委員:長屋俊(主査),小山信弥,松本侑子,水野翔彦,南山泰之)
著者
平湯 文夫
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.281-284, 2018-06-01 (Released:2018-06-01)

日本の図書館も,ひと頃前までの,ごく一部の人たちの利用から,全市民に利用を広げようとして革命がおきて半世紀になるが,まだまだである。まだ利用を求めることを知らない多くの市民にまで広げていくにはどうしたらよいか。筆者は,公立図書館や学校図書館で,優しく機能的な家具づくりと部屋づくりの開発と実践につとめてきて,それなりの成果をえてきた。今回は,その経験とノウハウを,大学図書館や専門図書館にも広げていけないかを考えてみた。あわせて,IT化が進む中で,閉架から資料の公開を広げて,資料の原物を五感でとらえられる図書館にしたら,図書館利用を深め,広げていけるはずだと考察してみた。
著者
長谷川 正好
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.600-603, 2017-11-01 (Released:2017-11-01)

情報専門家の社会的任務を考えた。そして,それを達成するための技術と知識以前のものとして熱力学の第二法則などを取り上げて議論した。また,情報システム構築・運営のために市場原理を情報分野に適用することが不適切であることを述べた。更に,コンピューターと人間の脳の違いを述べ,それぞれの長所を有効活用した共同作業の可能性について考察した。最後に情報専門家が拠るべき情報理論を挙げて論じた。
著者
小野寺 翼
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.156-159, 2018-04-01 (Released:2018-04-01)

ソーシャルメディアの台頭によりインターネット上での生活者と情報との接点は大きく変化した。この変化にともない広報発信という視点でも従来のマスメディア以上に生活者視点の重要性が高まっている。本稿では,ソーシャルメディア普及のきっかけやメディア特性,Facebook,Twitter,Instagramといった代表的なプラットフォームの特性を紹介している。複数の企業に対しソーシャルメディア活用の支援をしてきた筆者の観点で,広報発信のあり方を紹介する。ソーシャルメディアにおける広報発信の根本となる考え方を理解いただけるのではと考える。