著者
梅本 勝博
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.7, pp.276-280, 2012-07-01

21世紀知識社会の経営パラダイムとしてのナレッジマネジメントは,二人の日本人研究者が英語で書いて1995年に出版したThe Knowledge-Creating Companyというベストセラーをきっかけに始まったとされ,それ以降,ビジネス企業のみならず,行政や教育,医療などの非営利公共セクターにも拡がってきた。その普及の大きな推進力となったのが,グループウェアやイントラネット,データベース技術,テレビ会議システム,インターネット,ウェブ技術などの情報通信技術である。本論文では,特集テーマの総論として,ナレッジマネジメントの最近の理解と動向,ウェブの役割について論じる。
著者
松本 多恵
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.481-484, 2014

最近,ゲームの教育利用に関する研究・実践や学習成績の評価など様々な事例が報告されてきている。特にゲーミフィケーションやシリアスゲーム,ソーシャルゲームなども教育に取り入れられてきている。しかし,これらの相違点を明記した論文や書籍は少ない。そこで,本稿では,ゲーミフィケーションとシリアスゲーム,ソーシャルゲームの相違点について解説するとともに,それぞれ教育を進めるうえで考慮すべき長所と短所を整理し,解説する。そして,ゲーミフィケーション,シリアスゲーム,ソーシャルゲームそれぞれを効果的に導入するためのために考慮すべき今後の課題も含めて議論を行う。
著者
小池 聖一
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.148-152, 2016-04-01 (Released:2016-04-01)

大学アーカイブズは,必ずしも全ての大学に設置されているわけでないが,大学の個性に対応した形態をとり,その個性に相応する個人文書を所蔵している。反面,大学アーカイブズでは,これまで機関アーカイブズとして,当該機関の諸記録に目配りすることが忘失されがちであった。その点で,二室体制をとる広島大学文書館では,公文書管理法の政令指定機関となり,公文書の統一的管理を果たす一方,大学史資料室が個人文書を学術的資料として収集・整理・公開し,多様な個人文書を所蔵している。今後,アーカイブズは,全体として検証と底辺拡大の二方向を有しているが,課題は大きい。個人文書については,国立国会図書館憲政資料室,大学アーカイブズ,その他のアーカイブズとの連携による調査・研究機関が必要ではないだろうか。
著者
和田 一夫
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.143-147, 2016-04-01 (Released:2016-04-01)

過去の企業経営を知ろうと思えば,経営体が自ら生み出した文書(経営文書)の利用が不可欠となる。ただ日本で文書というと「手書き文書」のみを連想しがちである。しかし複製技術の進展だけでなく,企業規模の拡大もあって19世紀後半から「複製文書」が経営文書の中心になっている。こうしたことを踏まえて,かつ「複製文書」のデジタル化が進行していることを考えにいれながら文書の保存体制を整えていく必要がある。経営文書の保存について,日本の場合を考えて見ると,どこに何が保存されているかという利用者にとって重要な情報さえも整備されていないのが実情である。
著者
細川 一成
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.499-504, 2013-12-01

ソーシャルメディアの本格普及をきっかけに,生活者を取り巻く情報環境は大きく変わった。広報・情報発信の業務も,かつてのマスパブリシティに大きく比重が置かれたものから,ソーシャルメディアでどのように情報を拡散させるかという視点が重視されるものに変わってきた。また,ソーシャルメディアで非難・批判が殺到する「炎上」も注目され,ソーシャルメディアでの危機管理の重要性も叫ばれている。本稿では,ソーシャルメディア本格普及を迎えた現代の情報環境を読み解き,新しい広報の考え方について紹介する。
著者
杉本 重雄
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.574-580, 2003
参考文献数
22

90年代のインターネットの爆発的な広がりによって我々の情報環境は大きく様変わりした。このことは図書館の環境にも大きな影響を与え,電子図書館が注目され,研究開発が盛んに行われてきた。本稿では,これまでの研究開発を振り返り,電子図書館を指向した情報技術の研究プロジェクト,図書館を基礎にしたサービスにおける取り組み,インターネットの視点から見た電子図書館の取り組みについて述べる。その後,相互運用性,ディジタルコンテンツの長期保存といった電子図書館における課題について,メタデータを中心にした視点から述べ,IFLAのFRBRモデルやOAIS参照モデルなどを紹介する。
著者
市川 公一 小野沢 忠仁 小林 良子 棚橋 佳子 豊田 雄司 豊田 恭子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.704-709, 1998-12-01

Yahoo!Japanへのインタビュー。検索エンジンとして著名なYahoo!のカテゴリーとリンクのしくみについて解説した。Yahoo!の特徴はサーファーと呼ばれる担当者の評価により厳選されたサイトが提供されることにある。Yahoo!でのカテゴリーはゆるやかなグルーピングであり個々のサイトのリンクはカテゴリーリンクによってより有効に導かれるよう意図されている。それぞれの検索エンジンの特徴を理解し, 目的により使い分けることが情報収集のこつと言える。Yahoo!は今後検索エンジンとしての役割だけでなく, より能動的な情報提供者として, 情報がどこにあるかを紹介するメディアとなることを目指している。
著者
近藤 真吾
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.7, pp.255-258, 2014-07-01

『自動車技術情報として特許を探る』を主題として,自動車技術を取り巻く環境からその活用の実態を論じた。活用の実態は,(1)技術探索,特許から技術を学ぶ,(2)競合他社分析:特許情報を基にした開発動向のベンチマークから自社の研究・開発戦略策定,(3)新技術の市場投入時のリスク分析,(4)情報ネットワークとの連携と標準化。以上4つの各観点で,特許という技術情報の価値と活用シーンを解説した。
著者
倉田 敬子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.9, pp.352-357, 2013-09-01

e-Scienceを厳密に定義することなく,検討する視点として1)研究プロセスと2)基盤を,指向として1)技術的と2)社会的を定めた。当初から,研究を支援する基盤という方向からの議論が存在した。研究プロセスとしてのe-Scienceの構成要素として,1)共同性として「共同研究」と「オープンサイエンス」を,2)データとして「データ駆動科学」と「データ共有」を挙げた。オープンサイエンスとデータ共有が最近は注目されてきていることを示した。現在のところ,研究者はデータ共有の意義は認めながらも消極的であることを述べた。
著者
牧野 和彦
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.162-167, 2011-04-01

ビジネス情報担当者には,ヒアリング能力,情報源の知識,プレゼンテーション能力,情報の編集能力等,様々なスキルが求められる。その中でも"情報源の知識"は,それぞれのスキルのベースとなる能力である。データベース,インターネットの高度化により,初めて調査する業界・製品についても比較的容易に情報収集できるケースが増えたように思うが,知識があってこそ可能となる高度な情報提供は依然存在する。知識の蓄積はビジネス情報担当者が早い段階から取りかかるべき課題である。今回は"情報源の知識"について,弊社の新人教育への取組,研修における課題例等を通じて述べていきたい。
著者
新保 史生
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.376-382, 2008-08-01
被引用文献数
1

ウェブ・アーカイビングを実施するためには,法的に検討が必要な課題をクリアすることが前提条件とがる。ところが,その実施にあたっては,著作権法上の課題,違法な情報や他人の権利を侵害する情報が掲載されたサイトを収集した場合の対応,個人時報保護法に基づく個人時報の適正な取扱いと保護,アーカイブに記録された情報の完全性および可用性の確保など,法的に検討しなければならない課題が山積している。インターネット上の情報は非常に揮発註が高い情報であるため,それらの情報の保存は極めて重要な課題となっているが,包括収集によるウェブ・アーカイビングの実現にあたって検討が必要な法制度上の課題を整理し,法的課題解決の方途を検討する。
著者
山崎 裕子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.531-535, 2006-11-01

ブログは管理が容易なウェブサイトの一種で,現在国内ユーザ数が急速に増加しているが,国内の大学図書館でブログを運営している所はまだわずかである。本稿ではその一例として,2005年9月から2006年6月まで運営されたブログ「東大薬学図書館にっき」を紹介する。東京大学薬学図書館職員(筆者・当時)がブログを開始した意図,学内業務の一環として開始した経緯,ブログッールの選定方法,図書館内外の出来事を取り上げた記事の内容,ドメイン別・月別などに分類したアクセス状況,リンクやトラックバックなどのブログ機能の活用状況について概説し,大学図書館におけるブログの意義について考察する。
著者
加藤 亮 坂口 誠一郎 林 浩平 五十嵐 康伸
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.508-513, 2014

ビッグデータ時代に入り,ビジネス課題に対するデータ活用法(イシュー)を導出する方法論が企業では必要とされている。しかし,具体的なイシュー導出の過程や時間配分について記述している先行研究は殆どない.そこで本論文では,筆者等が参加し準優勝したデータサイエンス・アドベンチャーを事例とした事後分析に基づき,ビジネスにおける有用性及び実現性の高いイシューを導出する方法としてデータ・イシューサイクルを提案する。このサイクルは,探索期,調査期,調整期,実証期から成る。分析の結果,予測モデルの構築を行う実証期の日数は全体の1割以下であり,残り9割以上の時間はイシュー導出のための議論やデータの調査・加工を行う他3つの期間に割り当てられていたことが分かった。
著者
今野 穂
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.166-171, 2006-04-01
被引用文献数
1

札幌医科大学附属図書館は1999年6月,国内初となる異種データベース間連携システムの運用を開始した。アイヌ語で可愛いを意味し,"PIRKA"と名付けられた当館システムは米国国立医学図書館の"IAIMS"をモデルとし,利用者サービスの一元化と地域医療支援サービスの質的向上を目的としていた。2002年7月,PIRKAは,Ex Libris社の図書館ポータルシステム"MetaLib/SFX"を中心としたシステムに移行したが,地域医療支援サービスの利用者は北海道全域に拡大し,サービスの質的向上の重要性をあらためて示した。本稿では学術情報ポータルシステム"PIRKA"の概要とともに,開発に関わった当館職員の役割について述べる。
著者
栗山 正光
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.138-143, 2010-04-01

オープンアクセス(OA)の起源,定義,リポジトリ,OA方針/義務化という四つのトピックに焦点を当てて関連文献をレビューした。ハーナッドの破壊的提案,PLoSの公開状,BBB定義,機関リポジトリと主題リポジトリをめぐる議論,大学や研究助成機関のOA方針および義務化の事例などに関する海外文献を取り上げて論じた。
著者
時実 象一
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.55, no.10, pp.421-427, 2005-10-01
被引用文献数
7

オープンアクセス運動の歴史を, その重要な原動力であったSPARCを中心として振り返り, 最近の米国国立衛生研究所(NIH)の公共アクセス方針や欧州でのオープンアクセスの運動を紹介する。またオープンアクセス運動の主要な柱となっている, 電子論文リポジトリ(分野別リポジトリ, 研究機関リポジトリ, 研究助成機関リポジトリ)についてまとめた。