著者
林 和弘 太田 暉人 小川 桂一郎
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.188-192, 2006-04-01
被引用文献数
1

日本化学会は1989年から英文論文誌の電子化に着手し,試行錯誤の末,J-STAGEを効果的に利用した日本独自の電子ジャーナルを構築した。その結果,読者数の増大と,投稿数の増大につながり,出版期間の短縮と事業収支の改善にも成功した。この結果を踏まえて,2005年より電子ジャーナルの有料化を開始し,一定のアクセスを確保しながら電子ジャーナルの購読管理体制を整えることができた。本稿では,日本化学会電子ジャーナル事業の現状と,オープンアクセスへの対応,さらに,より良質のジャーナルを目指して行っている取り組みを紹介し,日本の学会系英文誌出版の課題について考察する。
著者
鈴木 哲也
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.8-13, 2017-01-01 (Released:2017-01-01)

ICTが高い利便性を持つことは疑いない。しかし,学術サーキュレーションの電子化が,教育・研究に負の効果をもたらすという研究もあるように,必ずしも,ICTは,光明ばかりを与えてくれないことを,我々は意識すべきである。その上で,電子化の限界や問題点をどう補完するか,どんな性格のものであればICTが効果を発揮するのかという問題意識のもとに,研究内容や成果発表の目的に応じてメディアを仕分け,コスト/効果,採算性も見極めつつ,学術成果公開にICTを導入すべきである。本稿では,京都大学学術出版会におけるリッチコンテンツ型電子書籍の実験的取り組み,特にiPadアプリ型電子書籍『わくわく理学』の経験をもとに,学術書籍の電子化の持つ問題点と当面の課題について,具体的に考える。
著者
屋ヶ田 和彦
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.12, pp.612-614, 2016-12-01 (Released:2016-12-01)

これまでの経験と,情報科学技術協会の3i研究会での活動,それを活かした社内での取り組みを紹介し,私の仕事に対する思いや姿勢について述べた。私は,様々な仕事や所属部署に就く事ができ,様々な業種の多様な人材が集まって創造する事の楽しさ,難しさを数多く経験させてもらってきた。できるだけ幅広い分野の人と出会い,コミュニケーションを取りながら,互いに考え話しあう事で,新しい考えが浮かびイノベーションへと結びついて行くのだと思う。そしてこれまでの体験を活かして,「この人の調査なら」と顧客に信頼されるような,調査の専門家:インフォプロを目指したいと考えている。
著者
田島 定尚
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.12, pp.608-611, 2016-12-01 (Released:2016-12-01)

日本マイクロソフトでは,働き方改革のリーディングカンパニーを標榜し,グローバルなインフラを活用しつつ日本独自の制度整備も進め,マイクロソフトのOffice 365を始めとしたICTを効果的に活用することで「フレキシブルワークスタイル」を全社で実践している。またテレワーク週間を主催し,賛同企業と共に社会全体の働き方改革に取り組んでいる。これらの事例の紹介を通じて,今働き方改革が必要とされる背景や,推進するためにどのような取り組みが必要と考えられるのか,また働き方改革が企業経営にもたらす効果とその検証結果などについて解説する。
著者
新保 史生
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.11, pp.560-565, 2016-11-01 (Released:2016-11-01)

個人情報保護法及び行政機関等個人情報保護法が10年ぶりに改正された。法改正の影響は,すべての図書館に及ぶわけではないため,各図書館は改正による影響を受けるか否か確認が必要である。改正に伴い図書館が対応な必要な事項がある一方で,要配慮個人情報の取得制限が新たに定められたものの,当該情報に関係する個人情報関係資料を除籍対象資料に含める必要がないことはもとより,除籍基準の改定なども不要である。改正法の解釈により図書館における新たな過剰反応が生じないよう,改正個人情報保護法対応にあたっての要配慮事項について解説する。
著者
谷島 貫太 阿部 卓也
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.10, pp.518-524, 2016-10-01 (Released:2016-10-01)

本稿では,東京大学附属図書館の「新図書館計画」の一環で実施された,「読書」をテーマとする三つの実証実験を紹介する。一つ目は,専門家の知識をデジタルアーカイブのなかに埋め込み,資料群を構造化することで,図書館利用者と資料との出会いを支援する実験,二つ目は,電子書籍に文献の索引と注釈を機械的に生成する機能を組み込むことで,利用者の読書行為を補助する実験,そして三つ目は,書き込み共有機能を有した電子書籍を用いて,文献講読の授業を行う実験である。これらの実験全体を通して,紙の書物と電子書籍それぞれの特性を適切に踏まえ,両者を創造的に組み合わせた読書環境を構想することの重要性が改めて浮かび上がった。
著者
石原 眞理
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.74-79, 2009-02-01

ここ数年,図書館関係の機関・団体が,図書館員の研修や養成に関する調査研究を行っている。本稿では,主に全国公共図書館協議会が行った研究を基に,図書館員の研修とキャリアパスについて考察した。図書館においては,急激に人員の削減や非正規職員化が進んでいる。一方,図書館に対する利用者の期待は,年々高まっている。図書館の現場では,従来から続いている図書・逐次刊行物などの現物提供に加え,ITC関連の技術の進展など図書館サービスをめぐる変化がある。このような状況の中で,研修の主催側は,これまで以上に研修の強化が必要になっている。図書館員側は自らのキャリアパスについての認識を持ち,受講する研修を主体的に選択することが必要であるだろう。
著者
青柳 英治
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.446-451, 2016-09-01 (Released:2016-09-01)

本稿の目的は,公開型専門図書館を取り巻く内外の状況を踏まえ,公開型専門図書館の現状把握を行い,今後の課題を検討し,解決の方策を提示することである。まず,公開型専門図書館の現状を,管理運営とサービスの側面から明らかにした。次に,公開型専門図書館の顕著な取り組み事例を参照し,二つの側面から課題の検討を行い,それを解決するための方策を提示した。具体的には次の点を提示した。管理運営においては,(1)ボランティアによる人的支援の導入,(2)交流を促進する場所としての機能,(3)外部資金の調達である。サービスにおいては,(1)レファレンス事例の公開,蔵書横断検索による利用機会の拡大,(2)社会人から児童・生徒までのサービス対象者層の拡大である。