著者
船守 美穂
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.92-98, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)

近年,大学図書館業界においても,「大学IR」という言葉を耳にするようになったため,本小論では,大学IRの成り立ちや概要,大学IRが抱える課題を紹介しつつ,これからの大学図書館と大学IRの関わりの可能性について考察する。日本の大学図書館については,大学IRのための基礎データ収集の観点から,1)教学IRに資する,学生の図書館利用状況,2)研究IRに資する,学内で輩出される学術成果の把握などが期待される。大学業務システムや研究情報管理システムの整備,相互連携が進んでいる欧米の大学では,これらを利用した3)機関データの管理・保全や,4)同システムの利用支援も大学図書館の役割として想定されているが,日本ではこれは難しい。
著者
木下 和彦 川瀬 直人 大田原 章雄
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.214-220, 2008-05-01

本稿では,インターネット上で公開・配布されているソフトウェアを活用する上で,基本的に知っておきたい事柄について概略を説明する。ソフトウェアにはフリーソフトやシェアウェアのほかに,フリーソフトウェアやオープンソースソフトウェアと呼ばれる類のものがあることを整理し,こうしたソフトウェアを探す場合には,Vectorや窓の杜といったソフトウェアの提供サイトを利用するとよいことを述べる。さらにソフトウェアのダウンロードやインストール方法について,特に初心者がつまづきやすい点について説明し,最後に利用上の注意について,特に職場で使用する場合に気をつけたいことについて触れる。
著者
齊藤 良平
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.55-59, 2018-02-01 (Released:2018-02-01)

ブランドと商標の違いはあるのか,あるとすればどのような違いがあるのか。ブランドはそれを通じて消費者が特定の企業や商品を特定できる点からすると,「企業や商品の特徴や性質(パーソナリティ)を示すものの総体」であるのに対し,商標はそれを構成する一要素である。ブランドを保護し,強化する目的は消費者と企業や商品を結びつけるコネクションを作り,結びつきを強めることによって価格や規模,技術以外の点で市場の優位性を得ることにある。本稿の後半ではその具体的な企業の取り組みと知的財産の関係について解説する。
著者
南山 泰之
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.49-49, 2018-02-01 (Released:2018-02-01)

2018年2月の特集は「意匠権・商標権」です。内閣の知的財産戦略本部が決定した「知的財産推進計画2017」によれば,知的財産は「企業・個人の経済活動や創造活動を支える礎」とされ,国際競争力の強化を図り,今後の繁栄を確保するための最重要課題,と謳われています。本協会の活動においても知的財産たる特許や著作権は非常に重要なトピックとなっており,本誌でも単独の記事のみならず特集テーマとしても度々取り上げてきました。しかしながら,私たちが知的財産として保護すべき権利はこれに留まらず,今回の特集テーマともなっています意匠権・商標権や,その他様々な法的権利が存在しています。今日におけるウェブの発展によって侵害の態様が複雑化している中,これらの様々な権利によって,何がどこまで法的に保護されるのか,の基礎を改めて確認しておくことは有益と思われます。本特集では,上記のような特集趣旨のもと,6人の方々から論考をいただきました。初めに,ユアサハラ法律特許事務所の青木博通様からは,意匠権・商標権の全体像として,法制度上の概要を詳細に解説いただきました。西村あさひ法律事務所の齊藤良平様からは,ブランドの意義やその活用戦略と,商標権・意匠権の活用による法的保護の具体的な手法についての論考をいただきました。独立行政法人工業所有権情報・研修館の宗裕一郎様からは,特許,実用新案,意匠及び商標等の産業財産権関連の工業所有権公報等を無料で検索・照会可能なデータベースである,J-PlatPatの使い方を詳述いただきました。株式会社マークアイの中村哲様,大井麻美様からは,商標調査の実態と,調査活動に資する商標データベースに関する詳細な紹介をいただきました。持田製薬株式会社の石川浩様からは,現場における豊富な知財教育の経験に基づいた論考をいただきましたいずれの方々からも,実務のご経験を背景にした極めて実践的な内容をご執筆いただいており,本特集記事を通読することによって,意匠権・商標権に馴染みがない方々にとっては学び始めのステップとして,既に担当されている方々にとっては,知的財産権の体系を様々な角度から多角的に捉えることができるものと考えています。本特集が,知的財産の保護の重要性をより深く理解し,私たち一人一人が意識を高めていくための一助となることを期待します。(会誌編集担当委員:南山泰之(主査),長屋俊,田口忠祐,小山信弥)
著者
石川 浩
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.71-76, 2018-02-01 (Released:2018-02-01)

「国民一人ひとりが知財人材」を国は目指している。知財教育についての国の取り組みを最初に紹介し,次いで,知財教育をする側,受ける側に共通の考え方・心構えを紹介する。目指すべき知財専門人材は,知財の創造・保護・活用を推進できる者ということになるが,その入口は知財に興味を持ち続け,知財マインドを醸成することから始まる。その後に,企業の知財部門で行われている教育の一部状況を紹介する。そこで,特許出願業務,調査業務,知財経営について触れる。出願と調査は車の両輪業務であり,知財経営は知財情報の再構築から始まる。
著者
中村 哲 大井 麻美
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.65-70, 2018-02-01 (Released:2018-02-01)

日本国内の商標については様々な書籍等も出版され,また特許庁やその関連組織,または弁理士事務所,地方自治体などからも多くの情報が発信されている。web検索などでも比較的容易に情報を得ることができる。対して海外商標調査や海外商標及びデータベースについて必要な情報を収集することは,それほど容易とはいえない。本稿では当社が多く扱う海外商標調査の概要について説明し,その中でどのように海外庁商標データベースが使われ,何に留意すべきかを簡単に述べたい。また重要な海外庁商標データベース,特筆すべき機能,注意すべき点などについても触れる。
著者
宗 裕一郎
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.60-64, 2018-02-01 (Released:2018-02-01)

本稿では,「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」及び「画像意匠公報検索支援ツール(Graphic Image Park)」による意匠検索の方法を紹介する。J-PlatPatは,意匠公報の検索,経過情報の照会等の機能を有する特許情報提供サービスである。キーワードや日本意匠分類等を入力することにより意匠公報を検索することができる。Graphic Image Parkは,画像意匠を含む意匠公報を効率的に検索するための支援ツールである。このツールに自分の画像デザインをドラッグ&ドロップするだけで,イメージマッチング技術による機械的な評価に基づいて,既存の登録意匠を共通の特徴をもつものから順に表示させることができる。
著者
別所 正博 坂村 健
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.582-588, 2017-11-01 (Released:2017-11-01)

IoT時代に活躍できる人材には,コンピュータ・サイエンスを身につけることと,自分と違う能力をもつ仲間と連携できることが重要だと考えられる。2017年4月に開設した東洋大学情報連携学部(INIAD)は,このような考えの下で独創的な教育を行っている。INIADでは,連携を身につけるための空間と,先進的なIoT環境を備えたINIAD Hub-1という校舎を新たに建て,コンピュータ・サイエンスの教育や,様々なプロジェクトのフィールドとして,その環境を活用している。本稿では,IoT時代の教育の観点から,INIADの取り組みを紹介する。
著者
鈴木 ゆかり 関 美分
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.25-31, 2006-01-01 (Released:2017-05-19)

限られた人員構成の中, マニュアルを使って短時間で引継ぎを行い, 確実に成果を出していくことを私たちは求められている。しかし, それを可能にしているところはどれぐらいあるのだろうか。なぜうまくマニュアルを活用できないのか。そして, マニュアルを活用していく際, 多くの人が見過ごしている点は何なのか。新任者の能力向上に大きな影響を与えるのは直接OJTを行う指導者だといっても過言ではない。そこで指導する側の心構えについて再確認をし, マニュアルについては具体的な事例を用い, 活きたマニュアルにするためのコツと, 確実に成果を出すための効果的な引継ぎ方法について伝えていきたい。
著者
李 慧瑛 下髙原 理恵 緒方 重光
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.643-649, 2017-12-01 (Released:2017-12-01)

本稿では,テキストマイニングを用いて自然言語文から未知の知見を見つける際の強みと弱みについて述べる。医中誌Webで,「情報」「科学」「技術」をキーワードとして検索した論文表題の分析例を参照しながら,強みと弱みを考察する。強みとして,人手では扱えないような膨大な量のデータに対して,数値を分析対象とする量的分析(多変量解析)と文字を分析対象とする質的分析(形態素解析)の両方を行うことが出来る。一方,弱みとして数値化されたデータでは表現できない現象の世界を分析する場合,暗黙知を抽出して形式知に置換する過程に課題が残る。
著者
藤井 篤之 中西 華子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.566-572, 2017-11-01 (Released:2017-11-01)

福島県会津若松市はビッグデータ・アナリティクス産業創出を目的としたスマートシティに取り組んでいる。本記事では筆者が所属するアクセンチュア株式会社による取り組みを中心に,同市のスマートシティの特徴と経緯および展望を紹介する。同市のスマートシティの取り組みを支える構造は,ICT専門大学である会津大学を中心とした,組織,人,データ基盤であり,スマートシティの各テーマにおける実証を通じて,地域に企業が集まり,人が集まり,産業が集まっている。今後は,取り組みを進める中で直面している,オープン性,プライバシー,競合性の各論点についての議論を深め,同市での取り組みの深化,他地域への展開を目指している。
著者
PENDLEBURY David A.
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.10, pp.546-549, 2017-10-01 (Released:2017-10-01)

ユージン・ガーフィールドは20世紀後半の情報革命の牽引者であった。彼は,著者が自分の論文の中の引用文献で作ったリンクを活用して,引用索引を科学文献検索の世界に導入した。引用索引は,研究者に新たに正確な情報検索の手段を提供するだけでなく,科学文献から科学の構造と動向研究を可能にし,科学をマッピングする方法に拡大するとともに,国,研究機関,雑誌,著者の研究のパフォーマンス分析にも導入されている。彼は,情報科学者としてだけでなく,科学と芸術分野やホームレス支援の社会福祉団体へも多大な貢献をおこなった。デービッド・ペンドルベリー(安藤聡子 訳)
著者
入矢 玲子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.43, no.11, pp.1027-1035, 1993
参考文献数
21

ILLINETは,イリノイ州全体をカバーする規模のリソース・シェアリング・システムである。1960年代に組織づくりを始め,現在では公共,大学,専門など館種を問わない約2500館が参加し,年間の図書館間貸出冊数は200万冊を超える。この成功は「情報交換」面では,2000万件以上の資料が検索でき,よく改良された貸出システムをもつILLINET-オンラインが保証した。「モノの移動」の面では,ユニークな24時間図書館間バン配送システムが可能にした。さらに「ネットワーク」では,州を15のライブラリー・システムに分割して地域密着度を高めつつ,ILLINETがそれらを統合する高次のサービス組織となったことが注目される。「システム」として,ネット内に階層構造をつくり,サービスの質によって分担を変えたことも成功の大きな要因だろう。この基礎には,情報伝達の効率化への米国人の高い意識があり,それが,州・政府からの予算の額,法制化の迅速さに反映している。

2 0 0 0 OA 編集後記

出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.8, pp.440-440, 2017-08-01 (Released:2017-08-01)