著者
福田 一史
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.8, pp.299-306, 2022-08-01 (Released:2022-08-01)

IFLA図書館参照モデルなど新しい書誌データモデルの採用・実装が進んでいるが,それらモデルによる書誌データ作成の方法論やコストについて議論の余地が大きい。本研究はビデオゲーム資料の目録作成においてゲーム作品の典拠構築にWikidataを活用した事例を通じて,オンラインコミュニティが生成したデータ活用の方法論について,網羅性・粒度・記録の完全性という3つの観点から検討した。ここでは所蔵資料の半数強のデータが接続され,コストや外部接続性について有効性が確認できた。一方で特定のデータセットだけを利用することによる課題と複数データセットの統合戦略の有効性が示唆された。
著者
福田 一史 北島 顕正 井上 奈智
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.7, no.s2, pp.s47-s50, 2023 (Released:2023-10-20)
参考文献数
14

近年、多くのボードゲームが制作・頒布されるようになった。しかし、これらゲームは未だ図書館など既存のアーカイブ機関のスコープには入っておらず、すでに多くのゲームが失われつつあり、保存スキームの構築が急務である。本研究では、そのような背景を踏まえ2022年に設立された一般社団法人アナログゲームミュージアム運営委員会による、所蔵品検索システムの開発を軸として、その資料の整理・記述・デジタイズ・アクセス提供といった施策について述べる。 同機関はゲームユーザの集合で成り立つ自律的でグラスルーツ型の組織であるため、低コストな事業推進が一つの命題となる。そのために如何に低コストで効果的なアクセス提供が可能となるか、そのための効率的なフロー構築について集中的に検討と試行をすすめてきた点に特徴がある。 本施策を通じて明らかになったノウハウや課題を整理することで、メディアを介在した地域に限定されないコミュニティのためのアーカイブ構築の方法論への知見を整理する。
著者
福田 一史 井上 奈智 高倉 暁大 高橋 志行 橋崎 俊 日向 良和 藤倉 恵一 松岡 梨沙
雑誌
じんもんこん2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.275-282, 2020-12-05

近年,多くのテーブルトップゲームが創作され消費されるようになった.また図書館でのボードゲームの活用が進むなど文化資源として注目が集まっている.すでにいくつかの民間のデータベースなど実践が存在するが,体系的な目録作成や利用には課題がある.本研究は,1) 既存DBの記述要素分析,2) サンプル資料の分析,3) 産学で組織したワーキンググループでの検討,を通じて概念モデルを策定した.記述テストにより本モデルの有効性が確認できたものの,その妥当性検証や精緻化などの課題が示唆された.
著者
髙見澤 こずえ 福田 一史
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.41-46, 2022-02-01 (Released:2022-03-22)
参考文献数
12

1980年代から家庭用ゲームを中心に急速に普及したビデオゲームは、プレイによる消耗や新製品への代替わりによる陳腐化が懸念されており、四半世紀以前に発売されたゲーム機本体およびパッケージ化されたゲームソフトのうち不具合なく作動するものの確保は今後ますます厳しくなると想定される。ビデオゲームの保存としてマイグレーションやエミュレーションなどが急務とされるなか、その前提として実物保存もまた不可欠である。本稿では博物館における資料保存の観点から、ビデオゲームの劣化要因と対策、保存環境ほか実物保存の方法論について述べる。
著者
毛利 仁美 福田 一史 ジュヒョン シン
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.7, no.s2, pp.s43-s46, 2023 (Released:2023-10-20)
参考文献数
7

国内におけるビデオゲームアーカイブに関連する研究では、その保存や情報組織化といったトピックが活発であるが、展示以外の利用・提供に関する研究は数少ない。そこで本研究では、調査や学術活動の支援に資するゲームアーカイブの検索・提供サービスのあり方、利用を通じたアーカイブの機能について探索的に検討するという目的のもと、立命館大学ゲーム研究センターの所蔵資料を用いたゲームアーカイブの提供サービスを実施した。本発表では、提供サービスにおいて実施された質問票調査やレファレンスカウンターの対応記録等より分析された、ユーザの利用状況や資料探索行動、オンライン目録サービスの評価を報告する。
著者
清水 洋 福田 一史 井上 明人 鴫原 盛之 松井 彩子
出版者
Institute of Innovation Research, Hitotsubashi University
巻号頁・発行日
2018-12

ゲーム産業生成におけるイノベーションの分野横断的なオーラル・ヒストリー事業
著者
細井 浩一 福田 一史
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

文化資源としての「デジタルゲーム」の保存活動の基盤となるデータベースにおいて、今後も増え続けていくゲームタイトルを継続的に捕捉し、その関連情報の信頼性を担保しつつ継続的に更新していくことが可能なスキームを構築することを目的として、①学術界・産業界における実用的なゲームのメタデータに関するニーズ調査とそれに基づくメタデータ設計、そして ②「作品」を用いた外部とのデータ接続と、データセットの収集・統合の自動化を目的とした実装を行う。
著者
福田 一史
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.8, pp.366-371, 2021-08-01 (Released:2021-08-01)

ビデオゲームに関わる教育や研究活動が国際的に活発化しており,ビデオゲームの知的情報資源としての側面に注目が集まりつつある。膨大に頒布されるビデオゲーム群を保存し,資料体として共同で管理し運用するためには,目録が必要不可欠である。本稿ではビデオゲームの目録作成とりわけそのデータ構造について着目し,先行研究を概観した上で,立命館大学ゲーム研究センターのゲーム保存の事例を通じて,その記述的特性を踏まえた機能要件の抽出とデータモデルの策定ならびに目録作成や,オンライン目録などによるデータ公開の手法を論じる。
著者
福田 一史 三原 鉄也 大石 康介 細井 浩一
雑誌
じんもんこん2019論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.77-84, 2019-12-07

立命館大学ゲーム研究センターは16,000点からなるビデオゲームを中心とする所蔵資料の書誌データベース「RCGS Collection 試作版」を開発・公開した.本研究では,システムの機能要件を定義し.開発に用いたOmeka Sの有効性を検証する.本実装から,ブラウザ向けデータベース機能が充実しているが,LODのデータ提供機能に課題があることが示された.
著者
福田 一史
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

FRBRは資源の内容とキャリアの区別を提案したが、その中で著作は属性と関連を精密に記録するための機能を持つ実体として明確化され、目録作成の主要な論点の一つとなった。本研究は、ボーンデジタルであり伝統的図書館資料と異なる特性を有する資料であるビデオゲームを対象に、その著作目録の構築・公開を目指す。そのために、以下を展開する。1) 事例調査とインタビュー調査を通じて、内容を記述する書誌的実体の定義・解釈・記述単位などの情報要求を抽出する。2) サンプルの分析を通じて、著作目録に必要な属性や関連など仕様を確立する。3) 著作目録を公開し、目録に対するユーザ評価の収集ならびに有効性検証を実施する。