著者
深川 聡 堀 誠 平瀬 一博 水野 和彦 藤原 健 石井 康之
出版者
Warm Regional Society of Animal Science, Japan
雑誌
西日本畜産学会報 (ISSN:09143459)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.31-38, 2002

本研究では, 2000年9月から2001年3月にかけて年内草および再生した春1番草および春2番草における収量および飼料品質の向上を目的として, いもち病に抵抗性をもつ極早生イタリアンライグラスの育成系統山系31号および長崎県奨励品種ミナミアオバと極早生エンバクとの晩夏播きにおける混播栽培を行い, 各草種の単播栽培と比較して, その混播効果を調査した.<BR>イタリアンライグラスの単播栽培では, 山系31号はミナミアオバよりもいもち病罹病程度が低く, いもち病による欠株がみられないため, 茎数密度が高かった.エンバクとの混播栽培では, 山系31号の場合ミナミアオバの場合よりもいもち病による枯死が少ないため, 年内草および春1番草におけるイタリアンライグラスの比率が高く, 年内草の粗タンパク質含有率および<I>in vitro</I>乾物消化率がともに高くなる傾向にあった.さらに, 山系31号とエンバクとの混播では, 山系31号単播よりも年内草の乾物収量, 粗タンパク質収量および<I>in vitro</I>可消化乾物収量がいずれも高かった.<BR>したがって, 山系31号は, 長崎県において普通期トウモロコシ収穫後にあたる9月上旬の晩夏に播種が可能であり, エンバクとの混播栽培によって, 従来の品種に比べ年内草および3回刈合計における乾物収量と栄養収量の改善が認められ, 安定多収の新たな作付け体系の可能性が示唆された.
著者
石井 康之
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.301-305, 2015-07-01 (Released:2015-07-01)
参考文献数
11
著者
石井 康之 長平 彰夫
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2_3, pp.185-199, 2014-09-30 (Released:2017-10-21)

特許データを用いた経済分析では,これまで特許出願された発明の価値を反映させるために被引用数が多用されてきた。被引用数で加重した発明の数と,企業価値や企業の生産性との関係を見る分析が多く存在してきた。同時に,被引用数以外にも発明の価値を表す属性について示唆した先行研究が存在する。たとえば特許出願された個々の発明が受けた異議申立や無効審判の数,IPC分類数,発明者数,外国出願の有無といった属性が,その価値の高さを示す属性である可能性が示唆されてきた。また,これら複数の属性を用いて単一の価値指標を算出する方法が先行研究によって示されてきたところでもある。しかし,これまで,こうした複数の属性を用いた属性統合指標が特許の価値を示すものとして経済分析で活用されるケースは,被引用数と比較するとほとんど存在しなかったといってもよい。そこで本稿では,6つの産業に属する企業62社の特許出願データを用いて,被引用数によって示される価値指標と,複数の属性を統合した価値指標(属性統合指標)とのどちらが,より適切に発明の価値を表しているかを比較分析することとした。コブ・ダグラス型生産関数に双方のストックを付加し,それぞれの付加価値に対する説明力を比較した。分析の結果,属性統合指標の方が被引用数よりも,産業界の共通認識に適合すると同時に,企業の生産性に対してより高い説明力を有していることが確認された。
著者
長谷川 信美 西脇 亜也 平田 昌彦 井戸田 幸子 飛佐 学 山本 直之 多炭 雅博 木村 李花子 宋 仁徳 李 国梅 SCHNYDER HANS 福田 明 楊 家華 郭 志宏 李 暁琴 張 涵 李 海珠 孫 軍 宋 維茹 ガマ デチン NAQASH J&K Rashid Y KUMAR Ravi AUERSWALD Karl SCHÄUFELE Rudi WENZEL Richard 梶谷 祐介 小田原 峻吾 平川 澄美 松嶺 仁宏 佐野 仁香 長谷川 岳子 坂本 信介 樫村 敦 石井 康之 森田 哲夫
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-11-18

中国とインドにおいて、放牧方式の違いが高山草原生態系へ及ぼす影響について調査を行った。東チベット高原では、暖季放牧地が寒季放牧地よりも植物種数が多く、種数密度と地上部現存量は低かった。土壌成分は、2012年と2004年間に差はなかった。牧畜経営では、ヤクが財産から収入源への位置づけに移行する動きが見られた。また、クチグロナキウサギの生息密度と植生との関係について調査した。インドの遊牧民調査では、伝統的な放牧地利用方法により植生が保全されていることが示された。衛星画像解析では、植生は日射、気温、積雪日数等に左右され、経年的な劣化も示された。ヤク尾毛の同位体元素組成は地域と放牧方式等で異なった。
著者
沈 益新 伊藤 浩司 石井 康之 田中 重行 田中 典幸
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.19-26, 1995-03-05
被引用文献数
1

オーチャードグラスの品種ナツミドリにおける施肥による生産性の一時的な調節が, その後の生産性に及ぼす影響を圃場実験及びポット実験により検討した. 圃場実験では, N施用量が1.8g/m^2相当の有機質肥料の基肥を施用して10月31日に播種し, 翌年1月5日に化成肥料で窒素, 燐酸, 加里の3要素とも10g/^2 (多肥区), 5g/m^2 (中肥区), Og/m^2 (少肥区)を施用した施肥処理区を設けた. その後, 4月15日に各区とも同量で中肥区相当を追肥し, その際, 刈り取り区として各区の半数を3cmの高さで刈り取り, その他は無刈り区として生長を継続させた. 1月5日から5月25日までにわたり, 乾物生長の変化を調査した. ポット実験の処理及び調査は圃場実験に準じた. 追肥までの期間は, 少肥区ほど葉面積の拡大が強く抑制されて地上部乾物収量 (DMY) が小さかった. しかし, 追肥後では, 刈り取り区及び無刈り区ともに, 追肥前の少肥による生長抑制に対する補償的生長が現れて, DMYの増加は少肥区ほど大きかった. これは, 主として, 追肥前に少肥の区ほど, 追肥後の葉面積指数 (LAI) の増大速度が大きいとともに, LAIの増大に伴う純同化率の低下が小さいことによった. 少肥によるDMYの減少に対する追肥後の補償は完全ではなかったが, 少肥によって生産を一時的に抑制しても, 適切な追肥を行えば,その後の生産が引続き抑制されることにはならないと推察された.
著者
沈 益新 石井 康之 伊藤 浩司 沼口 寛次
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.276-284, 1990-10-31
被引用文献数
2

青刈用ソルガムの生産性向上の一つの手段として,ジベレリン(GA),α-ナフチル酢酸(NAA)およびサイコセル(CCC)処理により乾物生産態勢を変更し,その処理が多回刈における乾物生産性と耐倒伏性に及ぼす影響を検討した。7月下旬と9月中旬に台風11号と22号が通過して,材料の多くが倒伏したので,その都度刈り取って1番草及び2番草とした。3番草は11月下旬に刈り取った。植物生長調節剤処理は,1,2番草に行い,3番草には行わなかった。従って,1,2番草では処理の直接的影響,3番草では2番草に対する処理の後作用を各々検討した。乾物増加は1,2番草ではGA処理により促進され,CCC処理により抑制される傾向であったのに対して,3番草のGA区では抑制され,CCC区では促進された。NAA処理では各番草とも乾物収量が増加した。葉面積指数(LAI)はいずれの処理区も対照区よりわずかに増加したうえ,吸光係数(K)が低下した。Kの低下は,GA区では草高の増大により,NAA区では茎の傾斜によると考えられた。このため,1,2番草ではGA及びNAA処理により純同化率(NAR)が増大し,乾物生長が促進された。3番草のCCC区では低温下でも茎数が増加して葉面積の拡大が促進されたことにより乾物生長が促進された。3番草のNAA区ではLAIの増加が促進されるとともに,頂芽優勢により少数の大きな分げつで個体群が構成され,低温下でのNARが比較的高く維持されたことによって,乾物生長が促進された。NAA処理によって,台風の際の耐倒伏性が強まった。これはNAA処理によって平均節間長が短く,冠根数が多くなることによると推察された。以上の結果,年間乾物収量はGA区及びNAA区が対照区より多くなり,特にNAA区では,22号台風による2番草の倒伏率が低かったので,このとき刈り取らなかった場合の年間収量は,対照区の1.9倍であった。CCC処理は年間収量を高める効果はほとんどなかった。
著者
伊藤 浩司 池上 由美 石井 康之
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.55-63, 1991-04-30
被引用文献数
3

南九州低地における暖地型永年草地の中秋から初冬までの利用と翌春の再生との関係を明らかにする目的で本実験を行った。1987年度にはグリスグラス(以下,Dgと略称),バヒアグラス(Bg)及びローズグラス(Rg)を用いて,処理区として11月27日から2月12日にわたり,未展開葉の摘出部と展開生葉の1/2とを剪除した区及び生葉の全てを剪除した区とを設け,個体光合成能力(Pa)の変化を調べた(実験1)。1988年度にはDgを用いて,10月8日,11月1日及び12月20日からそれぞれ1月23日まで約10日間隔で生葉をすべて剪除した各処理区を設けて,Pa,地上部乾物量(Dw)及び茎数(Tn)などの変化を調べた(実験2)。Dg及びBgでは,剪葉程度が弱いほど(実験1),また,この剪葉期間が短いほど(実験2),12月下旬までのPaが大きく,それに伴って翌春の再生時のPaが大きいという関係があった。越冬性の低いRgではこのような関係はなかった。他方Dgでは,12月下旬までのPaが大きいほど12月下旬の稈の乾物重が大きいため再生時におけるDw,Tn及びPaの増大速度が大きかった。しかし12月20日から剪葉を始めた区の再生状況は無処理区と大差なかった(実験2)。従ってDgやBgのように越冬性の高い草種では12月下旬までの光合成は翌春の再生に重要であり,これらの草地を利用する場合には,中秋から初冬の利用を避けて最終刈り取りを12月下旬とすることが生産性を高める一つの手段と考えられる。
著者
近藤 和彦 石井 康之 伊藤 浩司 沼口 寛次
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.60, pp.50-53, 1994-03-11
被引用文献数
1

春播き(4月5日播種)および秋播き(1O月1日播種)のベントグラスにおいて,冬期の乾物生長に対する生長調節剤処理の影響について検討した。生長抑制剤バウンティ散布区(B区),蒸散抑制剤ミドリテール散布区(M区)および対照区(C区)を設け,B区は11月中旬に1回のみ,M区は11月中旬より2週間間隔で,春播きは計8回,秋播きは計上0回処理した。地上部乾物重は,処理後4週間目ではB区が最も小さかったが,春播きでは2月11日以降,秋播きでは1月7日以降B区の地上部重が他の2区よりも大きくなった。秋播きの刈株乾物重および葉身重比率は,B区が一貫して他の2区よりも有意に大きかった。茎数は,生長抑制剤処理により増加し,その処理の影響は秋播きの方が大きいことが示された。これは処理開始時までの茎数が,秋播きでは少なく,茎数増加期に相当していたことによると推察された。したがって,地上部重の区間差は、主に茎数の差によっていた。クロロフィル濃度は宇B区の値が他の2区より高く維持された。M区の生長経過はC区に比べて優ることはなかった。以上により,冬期における生長の抑制と葉身の退色を緩和するには,秋における生長抑制剤の散布は有効であると推察された。
著者
Toaha Sahabuddin 石井 康之 沼口 寛次 蔡 慶生 園田 立信
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 = Japanese journal of tropical agriculture (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.98-107, 2001-06-01
被引用文献数
1

暖地型イネ科牧草マカリカリグラスは, 種々の環境ストレス, 特に土壌の乾燥と低温に対する耐性が比較的強く, 栽培品種(雪印系)内に形態的変異が大きい.そこで, 播種して造成した越冬後の翌年春に, 再生した越冬株を株分けし, 1株1系統とし, 合計17系統を選抜した.毎年栄養繁殖により系統保存し, 保水力の弱い砂質土壌の調査地(住吉)で4年度間にわたり, 保水力の強い壌質土壌の調査地(木花)で2年度間にわたり調査した.調査項目は, 1,2,3番草における植物体諸形質として, 地上部乾物重(DMW), 総茎数(TTN), 平均一茎重(MTW)および節間伸長茎数比率(PET)で, 翌年4月の越冬性として越冬率(POP)と再生茎数(RTN)を調査した.これらの系統間変異を1996〜1999年度に検討した.乾燥耐性は, 保水力の異なる2調査地における乾燥年度の生育状況から評価した.DMWの番草間順位はMTWおよびPETのそれとほぼ一致し, 3形質ともに2番草で最大となったのに対し, TTNは刈り取りを進めるにつれ増加した.これらの系統間変異は, DMWで最大となる傾向がみられ, 刈り取りを進めるにつれ概して増加した.顕著な小雨で土壌の乾燥が認められた住吉の1998年度2番草を除いて, 全系統の植物体諸形質は異なる年度間でほぼ正の相関関係が成り立ち, 乾燥ストレスのない場合, これらの系統間差は年度間で安定であることが示唆された.住吉において温暖な冬を経過した1998年春と1999年春では, より寒い冬を経過した1997年春と2000年春に比べ, POPとRTNは増加し, その系統間変異は減少した.植物体諸形質とPOPとの間には, 上記した住吉の1998年度2番草で唯一正の相関関係が認められた.しかし, 保水力の強い木花では, 全系統の植物体諸形質と越冬率との相関は両年度とも認められなかった.このことから, 乾燥土壌下でも高い生長能力を示す乾燥耐性の強さとより寒い年度で高い越冬性を示す低温耐性の強さとの密接な正の関連性が示唆され, 圃場実験により植物体諸形質と乾燥および低温の両耐性に優れたマカリカリグラス系統の選抜が可能であると推察された.