著者
佐藤 成見 白須 未香 東原 和成
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.774-781, 2015-10-20 (Released:2016-10-20)
参考文献数
28

ムスクは,官能的で魅惑的な香りを有し,古代から人間社会で香料以上の役割を担ってきた.天然ムスクであるムスコンは現在希少であり,その代替となるべく多くの合成ムスク香料が開発されてきたが,なかには毒性を指摘されるものもあり,問題となっている.当研究室では,ムスコンの受容体をマウスやヒト,4種の霊長類で同定し,それらのさまざまなムスク香料に対する構造活性相関を調べた.ヒトのムスコン受容体であるOR5AN1の応答性は,私たちが実際にムスク香料を嗅いだときの感覚とよく一致しており,ヒトのムスクの匂い受容の鍵となる受容体であることがわかった.これらの結果は,より良い新規ムスク香料の開発に貢献すると期待される.

7 0 0 0 OA 山海庶品

著者
佐藤成裕<佐藤中陵>//〔著〕
出版者

本書は、今日の動物図鑑と植物図鑑を合わせたようなもので、江戸後期の博物学者佐藤中陵(1762−1848)の手になる。中陵は、天明元年薩摩藩に出仕して以後、白河、米沢、会津、松山等の諸藩に招かれて産物調査をした後、寛政11年水戸藩に仕え、斉昭の第9代藩主襲封後の天保元年、本書編集係となり鋭意編纂に取り組んだ。天保14年藩校弘道館の本草教授となった中陵は、すでに編纂の済んだ分を藩校内の医学館に収め、薬草の研究や栽培のために利用させてきていたが、明治元年10月の藩内抗争時、火災に遭って焼失し、わずかに数巻を残すのみとなった。浩瀚な編著だったというが、目録も残っておらず、その全容を窺うことはできない。当館本の箱蓋には「山海庶品 残闕」と、また表紙題箋及び巻頭には「佐藤成裕著自筆」と、ともに旧蔵者伊藤篤太郎によって記されている。篤太郎は、幕末から明治にかけて博物学の分野で活躍した伊藤圭介(1803−1901)の孫で、自身も植物学者、理学博士であり、祖父圭介の蔵書を襲蔵していた。
著者
神田 賢 北村 拓也 金子 千恵 井出 愛実 古西 勇 渡辺 慶 佐藤 成登志
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.407-416, 2019 (Released:2019-12-20)
参考文献数
49

【目的】地域在住高齢者女性の本態性慢性肩こり有訴に影響を及ぼす因子を比較した。【方法】地域在住高齢者女性33 名(有訴群22 名,無有訴群11 名,平均年齢71.1 ± 4.4 歳)を対象に,頭部突出角度(以下,FHA),上位胸椎前傾角度,頸部屈筋群持久力,頸部機能不全度(NDI)を評価した。【結果】肩こり有訴の有無におけるFHA,上位胸椎前傾角度では,有意な差を認めなかったが,頸部屈筋群持久力では,有訴群が無有訴群と比較して有意に低い値を示し,頸部機能不全度では,有訴群が無有訴群と比較して有意に高い値を示した。また,筋持久力においては,肩こり有訴群のオッズ比が有意に高い値を示した。【結論】地域在住高齢者女性においては,頸部屈筋群持久力は本態性の慢性肩こり有訴に影響を及ぼす因子となることが示唆された。また,本態性の慢性肩こり有訴は,頸部機能にも影響を与える要因となることが示唆された。
著者
佐藤 成基
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.348-363, 2009-12-31 (Released:2012-03-01)
参考文献数
53
被引用文献数
1

1990年代以後,欧米先進諸国の移民統合政策が変化してきている.それまでの「デニズンシップ」や「多文化主義」に傾斜した政策が後退し,「統合」という概念により重点が置かれるようになっている.それは一見,「グローバル化」時代のトレンドと矛盾するように見える.本稿は,このような最近の変化を,19世紀以来の国民国家形成とグローバルな移民の拡大との歴史的な連関関係のなかで考察してみる.国民国家は,19世紀以来200年間のグローバルな変容のなかで形成/再形成され,またグローバルに波及してきた.そのようななかで国民国家は,移民を包摂・排除しながらその制度とアイデンティティを構築してきた.本稿は,その歴史的過程を明らかにしたうえで,最近の欧米先進諸国の「市民的」な移民統合政策への変化が,「異質」なエスノ文化的背景をもった移民系住民を包摂するかたちで国民国家を再編成しようとする,新たな「ネーション・ビルディング」への模索であるということを主張する.最後に,こうした最近の欧米先進諸国における変化から日本の状況を簡単に検討する.
著者
佐藤 俊光 佐藤 成登志
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1256, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】腰痛患者では腹横筋や腰部多裂筋などの体幹深部筋の活動性・持久性の低下が報告されている。腰部安定性を図るエクササイズにはHollowingとBracingの2種類の方法が提唱されている。Hollowingは,腰椎・骨盤を動かすことなく腹部をへこませる方法であり,表在筋群から独立して体幹深部筋の収縮を促すことで腰部の安定性を図る。それに対して,Bracingは,腹部をへこませることなく腹壁の3層である外腹斜筋,内腹斜筋,腹横筋を活動させることで腹部を硬くする方法であり,腹斜筋群を用いることにより安定性を向上させる。以上のエクササイズを用いた研究は,腹横筋を中心とした側腹部筋に着目した報告が多いが,体幹深部筋である腰部多裂筋の働きを見た研究は少ない。そこで本研究の目的は,体幹エクササイズの収縮様式が腰部多裂筋に与える影響を超音波画像および表面筋電図を用いて定量的に比較,検討することである。【方法】対象は整形外科疾患のない健常男性8名(年齢22.6±1.1歳)である。使用機器は超音波画像診断装置,筋電図計測装置一式とした。測定肢位は腹臥位とし,超音波診画像断装置を用いて画像表示モードはBモード,3.5MHzのコンベックスプローブで撮影を行なった。プローブは,第5腰椎棘突起より外側2cmで脊柱と平行に縦に設置した。超音波画像にて第4腰椎-第5腰椎の椎間関節を確認し,皮下組織と椎間関節までの距離を腰部多裂筋の筋厚として計測した。測定中の運動課題は,安静,Hollowing,Bracingの3つとして,各動作時の筋厚を3回ずつ測定し平均値を代表値とした。表面筋電図は第5腰椎および第1仙椎棘突起の外側にて腰部多裂筋に電極を貼付した。解析はサンプリング周波数1000Hz,バンドパスフィルターは20~500Hzで処理し,全波整流した。MVC計測の後,各動作時の%IEMGを算出した。筋厚,筋活動ともに得られたデータを統計学的に検討した。なお,有意水準は5%とした。超音波画像診断装置における多裂筋の筋厚測定の検者内信頼性は,同一測定を3回実施した。得られた結果に対し級内相関係数(以下,ICC)を用いて検者内信頼性を確認した。【倫理的配慮,説明と同意】本研究に先立ち,対象者には研究内容に関する充分な説明を行い同意を得た。【結果】超音波におけるICC(1,1)は,安静時0.90~0.99,Hollowing時0.91~0.99,Bracing時0.91~0.99であり,それぞれLandisらの分類にてalmost perfect以上の相関を認めた。各運動課題での筋厚は,安静時28.8±1.7mm,Hollowing時29.3±1.6mm,Bracing時31.5±1.6mmとなり,Bracing時は安静時およびHollowing時よりも有意に増加していた(安静時p<0.01,Hollowing時p<0.05)。なお,安静時とHollowing時では有意な差は認められなかった。筋活動では,Hollowing時5.44±0.87%,Bracing時8.17±3.08%となり,Bracing時はHollowing時に比べて,有意に高い値となった(p<0.05)。【考察】腰部多裂筋厚はBracing時において安静時およびHollowing時より有意に増加した。Bracingの収縮様式は等尺性収縮であり,体幹屈曲筋と伸展筋の協調した働きが必要である。腰部多裂筋は腰部背筋群の中で最も強力で最大であると報告されていることから,Bracingによる腰部多裂筋の働きが考えられる。しかし,腰部多裂筋は腰椎伸展に必要な筋出力よりも,腰部の安定性に寄与していると報告されている。つまり,等尺性収縮による関節運動の代償を抑えるための姿勢制御として腰部の安定性に作用したとも考えられる。今回,表面筋電図を用いて腰部多裂筋を計測したところ,Bracing時の筋活動は8.17±3.08%であった。Bracingは十文字に交差している腹斜筋の補強により十分な腰部安定性を提供する。このため強い同時収縮が必要とされることはなく,MVCの5~10%程度の収縮であると報告されている。この報告より,Bracingにおける腰部多裂筋厚の増加は腰部の安定性に働いたと示唆された。また,安静時とHollowing時では筋厚に有意な差を認めなかった。Hollowingの収縮様式は腹横筋を求心性に収縮させる作用があり,腰部多裂筋への直接的な影響はほとんどない。このために腰部多裂筋への筋厚は変化しなかったと考える。しかし,本研究の限界として健常者を対象にしたデータであり実際に腰痛患者に同様の効果が生じるかは明らかではない。今後は腰痛患者を対象にしたデータ計測より詳細な効果を検討していく必要があると考える。【理学療法学研究としての意義】本研究により,Bracingは腰部多裂筋厚を有意に増加させる効果があり,腰部安定性への関与が示唆された。腰痛患者をはじめ体幹深部筋の活動性低下に対するエクササイズの一つとなる可能性が示唆されたことから,理学療法学において意義のある研究であると考える。
著者
佐藤 成基
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.37-53,224, 2002-02-28 (Released:2016-11-02)

This paper attempts to explore the relationships between nationalism and fascism in historical contexts. Nationalism is political action seeking to represent the "wills " and "interests" of the "nation" as a political (imagined) community, also regarded as "us" or "a people." Forms of nationalism historically vary. Fascism could be regarded as a form of nationalism, which first emerged in Europe under the impacts of the First World War. This "total war" brought about dramatic changes in the relationships between "state" and "society": while the state expanded their ruling functions and came to penetrate civilian lives more deeply, various political groups in society began to claim more actively their interests to the state. State and society were thus "democratized." As a result of these changes, nationalism turned from an official, top-down movement, which had still been dominant in the prewar period, into a popular mass movement seeking to mobilize the "nation" as a whole. The First World War also transformed the idea of nationalism: strong solidarity under the "total mobilization" and "fraternity" in trenches were idealized as symbols of the nation. The idea of the nation came to be associated with the memory of the experiences of national solidarity during the war. "Front soldiers" coming back from the battlefields became active bearers of nationalism and developed militant "paramilitary" movements. Moreover, the idea of "national self-determination," which was officially recognized by world leaders as a principle of international politics in the Paris Conference, raised the moral and political legitimacy of nationalism, although the Versailles settlement could never fully realize this ideal and even engendered resentments in some "nations." All these changes contributed to the rise of the popularity and the intensity of nationalism in the postwar period, which fascism was able to utilize to gain mass support.
著者
佐藤 俊光 佐藤 成登志
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1050, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】四肢の動きに連動した腰部の固定を提供する動作として,Abdominal Hollowing(以下,AH)とAbdominal Bracing(以下,AB)が提唱されている。この動作は,関節運動を起こさずに体幹深部筋を随意的にはたらかせることが可能なエクササイズである。第49回日本理学療法学術大会にて,健常者を対象にAHとABが腰部多裂筋に与える影響を検討した結果,ABは腰部多裂筋の筋厚を有意に増加させることが明らかとなった。腰痛患者において,腰部多裂筋に機能不全が生じる報告が多数されている。近年は,腰部多裂筋の筋内圧上昇による腰椎背筋群コンパートメント症候群による筋・筋膜性腰痛も挙げられている。関節運動を起こさずに行える本エクササイズは,関節組織への負担軽減,非疼痛下での介入が可能であり,腰痛患者に有用なエクササイズになると考えられる。よって,本研究の目的は腰部安定化エクササイズが,体幹深部筋の筋厚に与える影響について超音波診断装置を用いて明らかにすることである。【方法】対象は,当院を受診している女性腰痛患者6名(年齢63.3±14.1歳,BMI 21.8±3.7,罹患期間14.2±13.6ヵ月),神経症状や手術歴のない非特異的腰痛患者である。使用機器は超音波診断装置とした。プローブは,周波数7.5MHzのリニアプローブを使用した。測定筋は,腹横筋と腰部多裂筋とした。測定肢位は,AHは背臥位で股関節・膝関節90°となるよう台の上に下肢を挙上させた。ABは腹臥位にて腹部と下腿にクッションを入れ,安楽な姿勢をとるようにした。いずれも測定筋における重力除去位で行った。測定は,エクササイズ毎に左右の筋厚を2回ずつ計測し,疼痛の訴えがある部位を疼痛側,反対側を非疼痛側とした。問診時に疼痛が両側と答えた対象者は,測定者が評価を行い,疼痛側を同定した。得られたデータは,統計学的解析を行い,有意水準を5%とした。筋厚測定の信頼性は,級内相関係数(以下,ICC)を用いて,検者内信頼性を確認した。【結果】各筋厚測定のICC(1.1)は0.829以上あり,高い相関を認めた。エクササイズ間の筋厚変化率において,腹横筋は疼痛側でAH 139.7±26.1%,AB 134.2±21.7%,非疼痛側で,AH 159.7±22.9%,AB 149.5±20%であり,疼痛側・非疼痛側ともにAHとABでは有意な差は認められなかった。腰部多裂筋では,疼痛側でAH 101.9±2%,AB 105.7±2.8%でありAHと比較してABで有意に高値を示した(p<0.05)。非疼痛側では,AH 100.8±1.9%,AB 105.8±1.4%であり,同様にAHと比較してABで有意に高値を示した(p<0.01)。各エクササイズでは,腹横筋,腰部多裂筋ともに疼痛側・非疼痛側において有意な差は認められなかった。また,罹患期間と各筋厚変化率の相関関係も認められなかった。【考察】本研究より,腰部安定化エクササイズにおいて,ABはAHより腰部多裂筋の筋厚を増加させ,体幹筋の同時収縮を高めることが示唆された。Richardsonらによると,AHは腹横筋を中心に体幹深部筋の収縮を促すことで腰部安定化が図られると報告されている。しかし,McGillらは,腹横筋だけでは腰部の安定性は不十分であり,腹斜筋群の収縮も用いることで安定性を高められると報告している。さらに大江らは,下肢挙上動作前にABも用いることで腰椎部の可動性が小さかったことを報告している。本研究は,超音波診断装置を用いて,定量的にエクササイズ間の体幹深部筋の筋厚変化率を明らかにした。各エクササイズでは,腹横筋,腰部多裂筋ともに疼痛側・非疼痛側において有意な差が認められず,また罹患期間と各筋厚変化率の相関関係も認められなかった理由としては,運動療法が慢性腰痛患者に効果的であることや,痛みに応じた活動性の維持を早期から行うことで,安静期間の縮小,運動の再学習が筋厚に影響を及ぼしたと考える。しかし,本研究の限界として,横断的研究であり,対象は運動療法が効果的な慢性腰痛患者であること。また,リハビリ目的に通院しているため,治療介入因子が関与していた可能性が考えられる。今後は,急性期・亜急性期におけるエクササイズの効果および,縦断的研究における継時的変化を明らかにする必要がある。【理学療法学研究としての意義】本研究により,ABを用いることで腰部多裂筋の筋厚を増加させ,体幹筋の同時収縮を高めることが明らかとなった。これにより,腰部への負担軽減,および腰痛予防の観点から意義のある研究であると考えられる。
著者
山本 智章 佐藤 成登志 石川 知志 Yamamoto Noriaki Sato Naritoshi Ishikawa Tomoji
出版者
新潟医療福祉学会
雑誌
新潟医療福祉学会誌 (ISSN:13468774)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.46-50, 2008-12

We reported clinical results of the treatment of lumbar disk disorder patients by using active traction apparatus DRX-9000(Axiom Worldwide, Tampa, FL, USA). Fifty patients were received 30-minites sessions every week or 2 weeks, for 3 months. Pain as measured on visual analog scale rating significantly decreased at 4.91±0.93 to 2.69±1.02 (p<0.01), and 76% patients indicated satisfaction for treatment. . DRX-9000 spinal decompression is expected to improve discogenic low back pain producing negative pressure in intervertebral disc by different mechanism from conventional traction. Further studies are requires to demonstrate the evidence of effectiveness of DRX-9000 treatment on lumbar disc disorders.能動的牽引治療器DRX-9000による椎間板障害患者の治療を行い、76%の患者で疼痛の改善効果が得られた。これまでの牽引装置と異なるメカニズムで椎間板に陰圧を生じることにより除圧効果が期待される。本治療器の有効性の確立にはさらなる検討が必要であり、Randomized double blind trialを含めた研究の蓄積が求められる。
著者
佐藤 成基
出版者
茨城大學政経學會
雑誌
茨城大學政経學會雑誌 (ISSN:02865734)
巻号頁・発行日
no.74, pp.27-43, 2004-03-10
著者
神田 賢 北村 拓也 佐藤 成登志 鈴木 祐介 渡辺 慶 久保 正義
出版者
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.11, no.6, pp.902-907, 2020-06-20 (Released:2020-06-20)
参考文献数
23
被引用文献数
1

座位での異なる姿勢における腰部多裂筋の血液循環動態の経時的変化の検証を目的とした.過去1年以内に腰痛症状のない健常男女12名(平均年齢20.9±0.4)に,近赤外線組織血液酸素モニター装置(NIRS)を用い,腰部多裂筋の血液循環動態を,座位体幹中間位,屈曲位,伸展位で測定した.結果,腰部多裂筋のoxy-Hbおよびtotal-Hbが,屈曲では動作直後から屈曲位保持までに減少し,伸展では,姿勢保持後から10秒後まで増加することが示唆された.
著者
川田 十三夫 佐藤 成美 山下 彦王 宅見 賢二 采見 憲男 渡辺 健二
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.9, no.5, pp.358-363, 1968
被引用文献数
1

Cells of <I>Clostridium botulinum</I> type A strain 190 grown in thioglycolate medium (GYPT medium) autolysed after having reached a maximum growth. This strain was dissociated into large and small colony-forming types in semisolid media. The cells obtained from the large colony type autolysed more rapidly than those from small one. Washed cells harvested at logarithmic growth phase lysed in phosphate buffer at 37&deg;C within 2-3 hours. Autolysis rose above pH 6.0 and was optimal near pH 7.0. The potential for autolysis reached a maximum toward the end of the logarithmic growth phase and thereafter the cells became resistant to autolysis. The autolytic activity was destreyed by heating the cells at 60&deg;C for 10 minutes and was slightly affected by cysteine (10<SUP>-2</SUP>M), N-ethylmaleimide (10<SUP>-2</SUP>M) and mercaptoethanol (10<SUP>-1</SUP>M).<BR>During autolysis nitrogen, protein, nucleic acids, reducing sugars, amino sugars and botulinum toxin were released from the cells as the reduction of the turbidity in cell suspension occurred. Electron microscopic observations on the process of autolysis revealed that the partial lysis of walls occurred first at the end of the organism and the cytoplasmic contents were lost through such lesions. The lysis of the wall centripetally spread and finally the morphological entity of the wall was completely lost. From these findings it is suggested that the autolysis may be proceded by auto-digestion of the cell wall at the end of the organism.
著者
神田 賢 北村 拓也 佐藤 成登志 古西 勇 鈴木 祐介 渡辺 慶 久保 雅義
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.483-487, 2020 (Released:2020-08-20)
参考文献数
25

〔目的〕若年女性の本態性慢性肩こり有訴が頸部に影響を及ぼす因子を比較検討した.〔対象と方法〕若年女性40名(有訴群20名,無有訴群20名,平均年齢21.4 ± 0.7歳)を対象に,頸部屈伸筋群持久力および最大筋力,頸部機能不全度(NDI)を評価した.〔結果〕肩こり有訴群は無有訴群と比較して,頸部屈伸筋群持久力時間において有意に低い値を示したが,屈伸筋群最大筋力においては,有意な差を認めなかった.頸部機能不全度では,有訴群が無有訴群と比較して有意に高い値を示した.〔結語〕若年女性においては,本態性慢性肩こり有訴は頸部屈伸筋群持久力に影響を及ぼす因子となる可能性が示唆された.また,本態性慢性肩こり有訴は,頸部機能にも影響を与える可能性が示唆された.
著者
新 弘一 高崎 優 勝沼 英宇 佐藤 勝彦 渋谷 健 佐藤 成實 平山 八彦
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.29, no.11, pp.881-887, 1992-11-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

消炎・鎮痛薬 Alminoprofen アルミノプロフェン (ミナルフェン®錠) の高齢患者 (慢性関節リウマチ患者3例, 変形性脊椎症患者2例, 平均79±5歳) における血中濃度推移を指標とした pharmacokinetics の解析を行い, 若年健常者における調査成績 (Shibuya et al. 1989) との比較検討を行った.その結果, 最高血中濃度 (Cmax) は, 服薬第1日目が16.1±2.5μg/ml, 第3日目が25.2±1.6μg/ml, 第5日目では21.6±2.7μg/mlで, 最高血中濃度到達時間 (Tmax) は約2時間であった. また, 血中濃度曲線下面積 (AUC) は, 第1日目のAUC0-∞は58.5±6.3μg・hr/ml, 第3日目のAUC0-4はそれぞれ58.5±3.1, 58.1±8.5μg・hr/mlで極めて類似しており, 若年健常者のAUCと比較して著しい差異はなかった. 蓄積性に係わる消失相の半減期 (t1/2) は, 投与第1日目が2.45±0.35hr., 第3日目が2.09±0.82hr., 第5日目では2.49±0.63hr. であり, いずれも著しい差異はない. また, 本薬の高齢者における蓄積率は1.16±0.05で, 若年健常者での1.2と比べ差異は認められなかった. さらに, 血漿中の平均滞留時間 (MRT) は第1日目が2.31±0.03hr., 第3日目が2.15±0.09hr., 第5日目では2.15±0.07hr. であり, 分散時間 (VRT) は第1日目が0.95±0.05hr2, 第3日目が0.88±0.09hr2, 第5日目では1.06±0.07hr2であった.これらの pharmacokinetics に関する調査成績から, 本薬の高齢者におけるTmax, t1/2はやや延長するものの, AUCや蓄積率等は成人健常者と比較的類似しており, 高齢患者に連続投与しても若年成人健常者と同様に, 体内蓄積性はないか又は極めて弱いものと考えられた.