著者
保坂 遊 音山 若穂
出版者
一般社団法人 日本保育学会
雑誌
保育学研究 (ISSN:13409808)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.95-106, 2016 (Released:2017-03-22)
参考文献数
37

本研究では,児童養護施設の児童に対する心理的・行動的支援の一環として臨床美術による介入を行い,その実践を通して,児童の行動や情緒に肯定的な変化が認められるか否かについて検証することを目的とした。施設に入所する 32 名の児童を対象として,介入群と非介入群とに分け,介入群には計 8 回からなる臨床美術のセッションを行った。介入前後の CBCL を比較した結果では,介入群において CBCL 総得点をはじめ,内向尺度および攻撃的行動尺度に肯定的な変化が認められた。また,支援員や教諭の報告にも,介入後に肯定的な変化が認められる児童が含まれていることが示された。
著者
坂田 成輝 音山 若穂 古屋 健
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.335-345, 1999-09-30
被引用文献数
1

本研究では,教育実習期間中に実習生が経験するストレッサーを継時的に測定する尺度(教育実習ストレッサー尺度)の開発を目的とした。157名の実習生を対象に,34の刺激事態項目に対してその経験の有無と不快に感じた程度を実習期間中に計3回評定させた。同時に心理的ストレス反応尺度(PSRS-50R),高揚感尺度,身体的反応尺度に対しても継時的に評定させた。項目分析の結果,5つのストレッサー・カテゴリー(基本的作業,実習業務,対教員,対児童・生徒,対実習生)から構成される教育実習ストレッサー尺度(計33項目)が作成された。教育実習ストレッサー尺度で測定された各ストレッサー得点と心理的ストレス反応得点との継時的な関係を検討した。実習開始直後では多くの心理的ストレス反応に作用するストレッサーに共通性が認められた。しかし実習中頃になると反応毎に作用するストレッサーが異なり,実習が終了近くなると再び多くのストレス反応に作用するストレッサーが共通してくることが示された。以上の結果から,実習生に生起する心理的ストレス反応へのストレッサーの作用を捉える上で教育実習ストレッサー尺度は有効な尺度であることが示された。
著者
所澤 潤 中田 敏夫 入澤 充 小川 早百合 古屋 健 江原 裕美 澤野 由紀子 志賀 幹郎 山口 陽弘 田中 麻里 YOFFE LEONID G 服部 美奈 山崎 瑞紀 日暮 トモ子 猪股 剛 小池 亜子 小室 広佐子 近藤 孝弘 三輪 千明 市川 誠 音山 若穂 前田 亜紀子 徳江 基行 モラレス松原 礼子 佐藤 久恵 林 恵 清水 真紀 福田 えり (石司 えり) 白石 淳子
出版者
東京未来大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-11-18

ドイツ、イタリア、チェコ、ブラジルは、学齢児の就学義務を設定している。ドイツとイタリアでは子供は社会の責任で国籍に拠らずに最低限の教育を受けさせねばならないという考えがあり、また、4国には、居住する子供を国籍で判別することが技術的に困難であるという共通の事情がある。それに対して、中国、韓国、台湾、タイでは、日本と同様、国家は自国民の子供に対してだけ就学/教育義務を課すという考えが主流である。いずれの国でも教授言語を習得させる特別な教育が設定されているが、並行して母語保持教育を実施する点についてはいずれの国もほとんど制度化が進行していない。