- 著者
-
本同 宏成
上野 聡
- 出版者
- 一般社団法人 色材協会
- 雑誌
- 色材協会誌 (ISSN:0010180X)
- 巻号頁・発行日
- vol.91, no.2, pp.58-62, 2018-02-20 (Released:2018-03-01)
- 参考文献数
- 35
チョコレートは,カカオ脂(ココアバター)にカカオマス・砂糖・乳粉末などの固体粒子が分散した固体コロイドである。チョコレート独特の物性はすべてチョコレート中のココアバターの物性が担っている。ココアバターには,六種類(I ~VI型)の異なる結晶(多形)があらわれ,多形によりテクスチャー(口溶け感や舌触り感)が異なる。すなわち,結晶多形制御が,チョコレートの美味しさと密接に関係している。結晶多形のうち,V型多形が,美味しいチョコレートを作り,したがってV型多形への結晶化法が重要である。この結晶化法は,テンパリングと呼ばれる温度制御法としてよく知られている。ところで,ココアバターは温度変化や時間経過により,結晶状態が変化し,粗大な結晶が出現しチョコレート表面が白くなる,ブルームと呼ばれる劣化現象があらわれる。この白くなる程度を計測し,ブルームの進み具合を調べるのに白色度計が用いられている。