著者
山崎博子 大原隆明 堂囿いくみ
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.75-88, 2004-03 (Released:2009-12-19)

跡見学園女子大学構内に植栽されているサクラの分布および同定調査を行った結果, 2003年10月現在, 全域にわたり合計166個体のサクラが植栽されていることが明らかになった。そのうち, 145個体30種類を同定することができたが, その主なものはサトザクラ類 (70個体, 全個体数に占める割合は42.2%), 野生型のヤマザクラ (32個体, 同19.3%), ソメイヨシノ (15個体, 同9.0%), 野生型のエドヒガン (8個体, 同4.8%) であった。最も一般的に植栽されるソメイヨシノの個体数が比較的少なく, 野生型のヤマザクラやエドヒガンが高頻度で見られるのは本調査地の特徴のひとつであると考えられる。サトザクラ類は計18品種を同定することができたが, このうち個体数が多かったものは 'イチョウ' (24個体) および 'カンザン' (17個体) の2品種のみであった。ヤマザクラやサトザクラの園芸品種中には 'コウダイジ' や 'ベニナンデン' といった栽培されることが稀なものが含まれていることも特徴的であった。なお, 今回同定できなかったものは21個体あったが, その内訳はサトザクラの一品種と思われるもの (2種類2個体) と品種名がない交雑品 (19個体) であった。
著者
山田 徹雄
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.89-102, 2004-03-15

産業革命期のバイエルンが「農業的・小経営的」経済像として描かれている一方, 現在のミュンヘンを中心とする地域はハイテク産業の発展によって特徴付けられている。この対立するバイエルン経済像を生んだ要因を検証するための一作業として現代のバイエルン, ミュンヘンを統計資料に依拠して把握した。その結果, バイエルンは現在のEUにおいて, 一国規模の経済力を有し, オーバーバイエルンの中心都市ミュンヘンは, ドイツの他の都市より抜きん出て経済が堅調であること, また, ミュンヘン地域の発展にとって周辺地域の雇用創出効果がその重要性を増していることが明らかになった。
著者
高橋 善隆
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.A77-A90, 2009-09-15

アメリカ合衆国で最大のマイノリティ集団となったヒスパニックは政治の世界にどのような影響を与えているのか。2008年の大統領選挙ではニューメキシコ、ネバダ、フロリダなど民主党が共和党から奪った多くの州でヒスパニックの動向が重要であったとされている。2004年には必ずしも民主党支持を明確に示さなかったヒスパニックが2008年にはオバマの勝利に貢献したのはなぜなのか。 また人口構成の上でのシェアの拡大ばかりでなく社会的内実や質的変容においてヒスパニックはアメリカ社会にどのような変化を及ぼしているのか。 移民法改正をめぐる政治過程、移民に敵対的なカリフォルニア州の住民提案との対抗関係、西海岸にみられる新たな労働運動の担い手としてのヒスパニックの活動、などの検討を通じてヒスパニックが現代アメリカに与えているインパクトと更なる潜在的可能性について考察してみたい。
著者
村松 加代子
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.A37-A50, 2009-03-15

This paper has two aims: one is to examine the significance of the two well-known artist colonies whose central members were Virginia Woolf (1882-1941) and Julia Margaret Cameron(1815-78). Both women are, first and foremost, famous for their innovative ideas in their respective fields of art, namely, literature and photography, and have frequently been referred to in the discussion of "modernism" in art scene.As Julia Margaret's great-niece, Virginia naturally developed an interest in, and an affinity with, her remarkable ancestor though Julia had been dead for four years when Virginia was born. We can see Virginia's affectionate interest in Julia, in the form of her two works,Freshwater: A Comedy with her great-aunt as its heroine, and Victorian Photography of Famous Men and Fair Women by Julia Margaret Cameron which Virginia compiled with Introduction by herself and her art critic friend Roger Fry.The other aim of this paper is to clarify the national identity of the British people by shedding light on "salon culture" (my words) which flourlished through the 18th and 19th centuries and is still found in different contexts of British social scene.世界は、自我が主人公のドラマである。―サンターヤナ強い個性が満ち溢れている時代や地域には、奇人が大勢いる。いま、そうした人間がほとんど見られないのは、われわれの時代が大きな危機を迎えていることを示している。― J. S. ミル
著者
宮崎 圭子
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.A93-A104, 2008-03

中高年のグループに「自己理解」をテーマにサイコエデュケーショナル・グループを実施する機会を得た。本研究の目的は、そのサイコエデュケーションの効果を検証することである。さらに、同様のプログラムで、以前実施した大学院生を対象とするサイコエデュケーショナル・グループ(宮崎, 2004a)との効果を比較し、グループ特性の違いがどのようにサイコエデュケーションの効果に影響するか、その異同を論じることが、2つ目の目的である。両グループとも、サイコエデュケーション実施前後に時間イメージ尺度(都筑, 1993)に回答を求めた。この尺度は現在イメージ、過去イメージ、未来イメージから構成されており、各イメージ尺度は20項目から成っているものである。中高年グループでは、現在イメージがサイコエデュケーション実施後において5%水準で有意にポジティブな方に変化した。さらに現在イメージが「楽しい、安定な」(5%水準)方向に変化した。過去イメージでは、「受身的な(5%水準)方に変化が見られた。院生グループでも、現在イメージがサイコエデュケーション実施後において1%水準で有意にポジティブな方に変化した。現在イメージが「楽しい」(1%水準)方に、「すばらしい、魅力のある」(5%水準)方に改善された。未来イメージにおいては、「楽しい」(1%水準)、「すばらし」(5%水準)方に改善された。また、サイコエデュケーション実施前においては、「家族と同居」群の方が「一人住まい」群より、5%水準で有意に現在イメージがポジティブであったことが明らかとなった。同じサイコエデュケーショナル・グループのアプローチをとり、同じワークを行ったにもかかわらず、グループの特性によって時間イメージの変化が規定されることが明らかとなった。今後の課題として、多様なグループに同様のサイコエデュケーショナル・グループを試み、その変化を詳細に検討していくことである。
著者
石田 信一
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.99-113, 2006-03-15

両大戦間期のユーゴスラヴィアは四つの時期に区分することができる。(一)国家形態が定まっていない建国直後の時期(一九一八年〜)、(二)中央集権的で県(オブラスト)制度が導入されたヴィドヴダン憲法体制の時期(一九二二年〜)、(三)同じく中央集権的で州(バノヴィナ)制度が導入された国王独裁および欽定憲法の時期(一九二九年〜)、(四)クロアチアに一定の自治権を付与した時期(一九三九年〜)である。県制度は建国以前の歴史的単位を細分化・無力化することを主眼としていたが、その時期には辛うじて維持されてきた歴史的単位の枠組さえも、州制度への移行によって全面的に撤廃されてしまった。これは国家・国民統合の強化を目的とした措置であったが、歴史的単位を基盤とする分権体制を求めてきた諸集団から強い反発を招いて、ほとんど国内政治の安定化に寄与しなかった。とくにクロアチア人の間では早くからさまざまなバリエーションでの国家再編構想が提示され、連邦的再編への要求も強まっていった。それは一九三九年にクロアチア自治州が創設されることで部分的に実現したが、第二次世界大戦の進展により、その成果を検証しえないまま国家そのものが分裂・解体してしまった。本稿では、両大戦間期のユーゴスラヴィアにおける地方制度の変遷と国家再編構想について、とくに主要民族であるセルビア人とクロアチア人の関係に着目しつつ、主としてクロアチア側の視点から分析を試みている。
著者
香山 はるの
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.37-47, 2004-03-15

ディケンズの描く女性はヴィクトリア朝の性をめぐるイデオロギーを強く反映しているとしばしば言われる。たとえば、彼の小説には、当時の社会で理想とされた女性像-清らかで優しく夫を支える「家庭の天使」ともいうべき女性キャラクター-が多く登場する。また、ディケンズの世界ではこうした「家庭の天使」とそのイメージから外れたいわゆる「逸脱した」女との間に明白な境界線がある。そして前者は「善」、後者は「悪」という価値判断が明確に小説の中に描きこまれているのである。こうしたことから、これまで多くの批評家がディケンズの女性キャラクターを一面的、画一的だと批判し、この作家の女性に対する認識の甘さを指摘してきた。しかし、こうしたディケンズの特長は特に初期の作品に顕著であり、中期、後期の作品になると微妙に様相が異なってくる。それは一言で言えば、彼の「逸脱した」女性への関心が高まってきたということであろう。前期の作品では、こうした「規格外」の女たちは、コミカルな効果或いは風刺の目的のために使われる場合が殆どであったが、1850年代あたりからはよりシリアスに扱われるようになる。本稿では特に後期の代表作と言われる Great Expectations を取り上げ、3人の「規格外」の女たちについて考察した。すなわち、押しつけられた「母性」に縛られるミセス・ジョー、男に棄てられ「家庭の天使」になりそこねたミス・ハビシャム、ハビシャムの男性への復讐の道具として使われるエステラである。3人の女は社会の規範に反し、或いは挑戦したために手酷い報いを受けるが、ディケンズは彼女たちの言動の背後に潜む問題に鋭く目を向けている。また、エステラについては苦しみを超えて成長した姿が示唆されていて特に興味深い。彼女は続く Our Mutual Friend のベラと同様、ディケンズの数少ない「成長するヒロイン」である。エステラやベラの内面の葛藤や道徳的覚醒の描写は、晩年のディケンズの女性に対する洞察の深まりを示すものと言えるだろう。
著者
香山 はるの
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
no.36, pp.35-42, 2003-03

この論文はAnthony Trollopeの後期の作品The American Senatorを'condition-of-England' novelとして読む試みである。アメリカからイギリス見聞にやってきたElias Gotobed(以下Senator)は,好奇心旺盛で見るもの聞くもの全てについて,愚直なまでに正直なコメントをし,しばしば周りの者を苛立たせる。その様子は読者の笑いを誘うが,小説中の彼の役割はそういった喜劇的なものにとどまらない。たとえばSenatorは,国教会や陸軍,選挙区等,イギリスの諸制度に潜む不平等や矛盾を指摘するが,実際彼の見方は間題の核心をつくものが多い。また,彼はイギリス社会の腐敗を階級の問題と結びつけ,貴族の金権支配や上流階級に蔓延るマテリアリズムなどを,痛烈に批判する。Trollopeは究極的には,Senatorの示唆するようなイギリスの社会構造の変革までは考えていないようだが,その内部にある(上に言及したような)様々な間題についてはしばしば,このキャラクターの声を借りて自分の見解を主張している。この小説が出版された当時はSenatorの辛辣なイギリス批判に反感を抱く批評家も多く,評判は概して芳しくなかった。しかし,この小説を今後のイギリスのあるべき姿を探った'condition-of-England' novelとして捉えると,Senatorこそがその要となる人物であることがわかる。Senatorは外国人訪問者という立場から,イギリスの「常識」を外から眺め,(イギリス人自身が気づかない,或いは認めたくない)その非合理性を暴いてみせる。小説の後半,Senatorの講演は中断され,彼は再び'New World'に戻るが,彼の残したメッセージは,ヒロインMary Mastersの幸せな結婚といったコンヴェンショナルなエンディングに完全にかき消されることなく,その余韻を残している。The American Senatorには,それまでアメリカをはじめ,様々な国を旅してきたTrollopeが体得した2つの視点-内なる母国と外から眺めたイギリス-が興味深く交錯し,深いアイロニーを生み出しているのである。
著者
村越 行雄
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.A57-A74, 2010-09-15

「嘘」という言葉の日常的使用における曖昧性を解明する意味で、最初に話し手側の立場に限定し、その上で11の基準に基づいて分析を実施した。具体的には、非事実性(反事実性)、自己認識性、意図性、欺瞞性、隠蔽性、目的性、悪意性、不利益性、自己保護性、拡張性(連鎖性)キャンセル性(修正・訂正、取り消し・撤回)の11基準である。以上の分析によって、全てが解明されるというわけではない。更なる基準の追加、聞き手側からの視点、1対1の関係以外の1対複数、複数対複数などの分析が必要になってくると言えるからである。ただ、嘘の解明を厳密にすることが果たして必要なのか、むしろ曖昧さにこそその本来の意義があると言えないのか、その他の疑問が当然生じてくるのであり、従って今回の分析は、それ以降に続く分析の第1歩としてではなく、あくまでもこれ自体で完結する分析として位置づけられるものである。更なる展開は、全体的な方向性を見た上でのことになろう。
著者
林 正子
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.29-46, 2010-03-15

The purpose of this article is to examine the process of printing and circulation of a Vietnamese historical book -- Dai Nam Thuc Luc Chinh Bien(大南寔録正編)which was printed in 1873. Dai Nam Thuc Luc Chinh Bien, its title was identical with the veritable record of Nguyen dynasty (阮朝), was handled by a Frenchman Lu Gia Lang(蘆嘉陵) to a Vietnamese Dui Minh Thi (惟明氏) in French colonial ruled Cochin-China. Through the analysis of the version kept in the Toyo Bunko(東洋文庫), it is clear that the Dai Nam Thuc Luc Chinh Bien was printed in Fo-shan(仏山) in Guang-dong(広東)province of China, and was distributed from Gia-dinh(嘉定) to all the Vietnamese provinces. Furthermore, to examine the applicability of his defi nition on Dai Nam Thuc Luc(大南寔録), as well as the Shi-lu(実録) of the East Asian cultural or Chinese character cultural area (漢字文化圏) in future research.
著者
林 正子
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.29-48, 2008-03

Shi-lu (実録) was a common historical official record form adopted in East Asia in the pre-moderrn period. The purpsose of this article is to examine the relationship between the Nguyen Dynasty (阮朝) and Liu Yong-fu through the analysis of the entries in Dai Nam Thuc Luk, the Vietnamese official records. During the French invasion of Vietnam in 1880's, Liu and his army - the Black Flags fought against the French, to protect their hometown Laokai (保勝) in Vietnam. His two victorious battles were the first victories by the Asian army against the European army in Asia during that period. Nevertheless, Vietnam was eventually defeated and become a French colony in 1885. There are 80 items of record in Dai Nam Thuc Luk concerning the interrelation between the then Emperor Tu-duc (嗣徳) and Liu Yong-fu. Through analysis of these records, the writer examines the style of description of the official efforts to convey to the French that the Emperor was not connected with the resistance of Liu and his army against the French.
著者
林 正子
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.87-100, 2009-03-15

On the Formation of Dai Nam Thuc Luc (大南寔録)(V): An introduction of Xie Gui-an, Zhong guo shi-lu tishi xue yan jiu (謝貴安『中国実録体史学史研究』).A ten-year project on the compilation of the Qing Shi (清史編纂十年プロジェクト), sponsored by the Chinese government, is being under taken by scholars in China(mainland), Hong Kong, Macao andTaiwan. This project is expected to completed in 2013, the 100th anniversary of the Xin-hai Revolution (辛亥革命). This compilation, which will be counted as the 27th Official History (正史), is taking a "new synthesis"(新総合体). Marxism historiography instead of the traditional form of biographical historiography(紀伝体). The above mentioned project has an influence on the research on Shi-lu (実録), the historicalmaterials of Official History. This article intends to introduce Xie Gui-an's new definition on the form of theShi-lu, which he refers to as a chronicle form with additional biography (編年附伝体), one body with two wings (一体二翼) including 直書 (description based on facts) and 曲筆 (perversion of the truth), and furthermore,to examine the applicability of his definition on Dai Nam Thuk Luc (大南寔録), as well as theShi-lu of the East Asian cultural or Kanji cultural area (漢字文化圏) in future research.
著者
石田 信一
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.1-18, 2010-09-15

旧ユーゴスラヴィア連邦から分離・独立したクロアチアの学校向け歴史教科書における近代史に関する記述の変化を、一九八〇年代末までの連邦時代、独立直後の一九九〇年代、新たな学習指導要領が導入された二〇〇六年以降の三期に分けて詳細に辿りつつ、その特徴と問題点を明らかにした。共産主義者同盟による一党独裁体制下にあった連邦時代においてさえ、クロアチアの歴史教科書は世界史(主にヨーロッパ史)、クロアチア史、その他のユーゴスラヴィア諸民族史の三層構造となっており、「国民史」的側面を持っていたが、必ずしもクロアチア史に関する記述の比率は高くなく、諸民族の融和を意図してユーゴスラヴィア主義(思想)や「民族体」への言及などの特別な配慮が見られた。しかし、連邦解体に伴う激しい「内戦」を経験した一九九〇年代の歴史教育・教科書は「国民史」一辺倒のものに変貌し、「狭隘な民族的歴史観」を押し付けるものとなった。それが近隣諸国間の不和を助長した面もある。最近では、近隣諸国との教科書対話などを通じて、かつてほど極端な記述は見られなくなり、「クロアチア国家(国民)教育基準」に基づく新たな学習指導要領の下で教科書の記述のあり方も多様化している。それでも、文化史・社会経済史に関する記述や「少数民族」に関する記述など、さらに改善すべき点も少なくない。クロアチアを含む旧ユーゴスラヴィア諸国において現在進行中の歴史教育・教科書の改善策は、同じように歴史教科書問題を抱える日本にとっても参考にすべき点があると思われる。
著者
池上 貞子
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.A1-A12, 2009-03-15

台灣女詩人席慕蓉是一位暢銷作家。在台灣和大陸都曾經興起過席慕蓉熱。她的詩很受年輕人歡迎。大槪因爲這個緣故,有些學者認爲她的詩太過於浪漫,不値得硏究。其實,這位既做畫家、教師、散文家,同時又是妻子、母親的女詩人非同尋常。她的祖籍在內蒙古,自認爲是成吉思汗的後代,並引以自豪。她三十年來的寫作生涯可以說是一個嚮往原鄕,追求認同的過程。她怨恨青春不再來,不只是因爲時間不能倒流,更是因爲她當時沒能盛開。 她後來終於回到原鄕,尋到了自己的根。可是她彷彿擁又有了新的感槪和追求。並將這些表現在詩歌裡。筆者有幸飜譯,編輯一部日文版的席慕蓉詩選。期盼著通過分析她的作品,考察她究竟是如何把對原鄕的思念之情融入到自己的作品之中的,從而進一步探索她目前仍在苦苦尋求著的東西。