著者
古谷 正
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.587-592, 1980 (Released:2010-04-30)
参考文献数
17

根菜の収穫作業は, 人力手作業を主体とする重労働にたよっており, 機械化技術の開発が望まれている。収穫の機械化研究は, 一方ではトレンチャーやサブソイラなど既存の機械利用の多目的化により, 他方では欧米諸国で開発された根菜収穫機の改良研究という方向で検討が進められている。収穫の機械化がいづれの方向で進むにせよ, まず, 根菜収穫の基礎事項として根菜の物理性を明らかにしておく必要がある。本報では, 根菜の物理性を明らかにするとともに, わが国の農業事情下でも適応した小型でしかも構造的に単純な根菜収穫機構を開発し, 収穫機の作物に対する適応性を解析した。第1報では根菜の物理性に基づく問題を提起し, 第2報では平行した2枚の矩形板により根菜を周囲の土ごと収穫する根菜収穫機構について解析, 第3報では小型円板による根菜収穫の模型実験について解析, 第4報では試作した新しい根菜収穫機の性能を解析した結果を報告する。
著者
清水 浩 林 節男
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.551-557, 1977 (Released:2010-04-30)
参考文献数
4
被引用文献数
1

この報文は, もみがらを熱利用した残滓のもみがらくん炭が, ろ材として利用されるときに示す特性についての研究結果である。研究には, もみがらおよび各種燃焼度で各種破砕度のもみがらくん炭の計7種の材料を対象とした。これをろ材として利用するときに関係する基礎的な物性値を, まず把握した。その同一材料を供試して, 各種加圧力条件下での流水抵抗と圧縮歪とを求め, これを Kozeny-Corman の式に適用して, 圧縮層の仮想毛細管の直径を供試材料別に算定した。また, 実用装置の場合について, 流速と層厚との関係で最終加圧力を計算し, 供試材料別にろ過層の機能を明かにして, 適正条件を探究したものである。
著者
佐竹 利子 福森 武 劉 厚清 河野 元信 佐々木 泰弘
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.115-121, 2004-01-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
11
被引用文献数
2

玄米の水浸漬条件が, 米粒内のGABA (γ-アミノ酪酸) と遊離必須アミノ酸の生成量, 並びにビタミンB1とミネラルMgの含有量に及ぼす影響を明らかにし, 高い機能性を有する主食用米の調製加工技術の開発を図る。本報では浸漬工程における処理条件を解明することに主眼を置き, 続く蒸熱, 加湿熱風, 通風冷却, 精米, 通風乾燥の一連の工程については同一条件で処理した。試験の結果, GABAと遊離必須アミノ酸の生成量は浸漬条件によって大きく異なり, ビタミンB1とミネラルMgについては, 粒内各部位の含有率に変化が生じた。試験条件の範囲では, 水温30℃で2時間浸漬後に水切りし, 吸水玄米が乾かないようにして雰囲気温度30℃で22時間放置した場合に, GABAと遊離必須アミノ酸が最も顕著に増加し, ビタミンB1とミネラルMgと同様に胚乳部に移行することを認めた。
著者
林 尚孝 森泉 昭治 弓矢 智生 唐橋 需 森本 国夫
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.343-348, 1985 (Released:2010-04-30)
参考文献数
18

耕うんの効果を判定するためには, 土壌状態の変化を評価できる試験法が確立されねばならない。そのためには砕土状態や反転状態を定量化して表現する必要がある。砕土状態を表わす土塊分析法にも多くの問題がある。採土法や篩の目開き体系などが標準化されていない上, 篩別された土塊の評価法も確立されているとは言えない。本報告では, レイリー分布によりロータリ耕うん後の土塊分布がきわめて良く近似でき, 近似式のふたつのパラメータから平均重量直径と標準偏差, その他の土塊に関するパラメータが簡単に求められることを明らかにした。砕土状態を数量化することができるので, 土塊分析にとり本方法は有力な手法となろう。
著者
城崎 博美 北野 昌則
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.509-515, 1979
被引用文献数
1

本研究は, 装軌車の軌弱地における旋回性能について基礎的な解析を行うものである。本報ではこれまでに検討してきた堅固路面における旋回理論をもとにして, 履帯と路面間の摩擦力が履帯のすべり量によって異なったり, 車両重量や履帯のすべりのため路面が沈下したりする場合について定常旋回理論式を導き, 数値解析を行った結果について報告する。第2報以降では履帯のすべり特性, 路面の沈下や盛上り, 旋回半径, 旋回に必要な起動輪トルク等について実験用模型装軌車を用いて実験を行った結果と数値解析結果を比較検討するとともに, 車両の形状や重量, 履帯幅やグローサの形状等車の構造諸元や, 土の諸性第質が旋回性能に及ぼす影響などについて報告する。
著者
常松 栄 吉田 富穂 松居 勝広
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.37-40, 1955-11-15 (Released:2010-04-30)
参考文献数
5

The pulling performance of the tractors, which are well adapted to heavy duties, as soil-improvement work and reclamation work etc., should be determined with not only the drawbar horse power but the maximum drawbar pull and the increasing rate of slip causing by the draft.This paper contains the maximum drawbar pulls and the maximum specific drawbar pulls (The maximum drawbar pull/Total weights of tractor including fuel, oil, water and operater) characterized to the type of tractor-crawler, semi-crawler, and wheel-which were investigated in the different types of soils-dry or wet heavy clay soil, clay-loam and volcanic light sandy loam or gravelly soil. i. e.1. If the type of tractor and the method of hitching are both similar, the max. specific drawbar pulls are approximately constant value concerning with the type of soil. (vid. Table 3)2. The value of the max. specific drawbar pull may be higher in heavy clay soil, lower in volcanic soils, and medium in clay-loam.3. In heavy clay soil, increasing the moisture content, decreases the max. specific drawbar pull. But just opposite in volcanic soils.4. Where the moisture content is not so much in heavy clay soils, the max. specific drawbar pull of crawler tractor is a little higher than wheel tractor. But in volcanic soils, the difference of these values is evidently large amount.5. If wheel tractors are set the wheels on the land for subsoil-plowing, where the furrow walls may collapse easily, the max. specific drawbar pull decreases evidently, in such field it is almost impossible to increase the max. drawbar pull by setting the wheels in the furrow-sole.
著者
新家 憲 前川 司 常松 哲 高 鋭 趙 和平
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.61-66, 1990 (Released:2010-04-30)
参考文献数
8

アスパラガスの主根群域へ液体肥料を深層高圧圧入するインジェクタを開発した。まずアスパラガス根系域の広がなりを調べ, 根をなるべく切断しないように液肥を圧入すべき位置を決定した。つぎに室内ほ場で水の高圧圧入によるけん引抵抗力試験を行い, けん引抵抗力の減少及び全所要動力の低減を試みた。結果としてアスパラガスの根は深さ10-30cmに大部分あり, 横の広がりは50cmであった。従ってこの根域をさけて圧入する必要がある。けん引抵抗力の減少量は走行速度, 水の測量, 水を流さない時の初期けん引抵抗力の大小に影響された。けん引抵抗力は条件の良い時におよそ45%, 所要動力は16%が減少した。
著者
陳 介余 宮里 満 石黒 悦爾
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.65-72, 1993 (Released:2010-04-30)
参考文献数
15

スイカを完全弾性球体モデルと仮定し, その質量, 周波数, 伝播速度とセン断弾性係数の関係を理論的に解析し, 内部品質判定の指標を導いた。試料の打撃音および振動波形をFFTアナライザで解析し, これらの結果を判定措標に用いることにより簡便にスイカ内部の空洞や煮え等の内部品質の検出が可能であることを示した。さらにパワースペクトル解析により第1ピークと第2ピークの振幅差と第1ピークの振幅の比と重量の関係を利用すると空洞の大きさの推定が可能であった。
著者
古賀 康正
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.1-7, 1989

収穫後処理技術は社会的諸条件に強く関連しており, その技術協力には総合的な視点と柔軟な対応とを要する。技術的改善の実現は社会的前提を要するが, 公的援助においては外交的配慮によって明示されないことも多い。また資金的援助の実施が自己目的化されることもあるが, 現実の改善はその国の人々自身の活動によってのみ達成される。日本の貢献が期待されるが現状は不十分である。民間による技術協力も推進する必要がある。農業機械技術者はその活動が社会的福利を実現するような方向を判断して活動すべきである。
著者
高木 史人 南 清司
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.349-360, 1986

大量の穀物を長期間安全に貯蔵するためには, 穀物がサイロへ投入されてから排出されるまでの段階で発生する様々なトラブル (偏析・固結・破砕・発熱・閉塞・変質等) の中で, 他のトラブルの原因となる穀物をサイロへ投入する際の偏析や貯蔵中の固結に対して, 適切な防止策を講ずることが重要である。<br>そこで, 輸入大豆サイロによる偏析と固結の実態調査と貯蔵物である丸大豆・割豆・ダスト・夾雑物・豆皮に関する各種の物性実験をおこなった。実験の結果, (i) ダストは吸湿性・固結性・発熱性等が高く第1に除去すべき物質である。(ii) 割豆は流動性が悪くダストと共に固結物を形成しやすい物質である。等が明らかになった。以上の結果を基にして, 偏析・固結の防止策を検討し, サイロ投入時に偏析を起こさない粉粒体供給装置を提案した。
著者
山本 博昭
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.3-12, 1994
被引用文献数
1

不整地走行車両には多様な形態が考えられるが, ハウジング揺動型の小型クローラ4基で走行する車両の試作開発を試みた。各クローラは, 走行駆動と同時にそれ自体を回転・揺動させて車体地上高を変え, 路上の段差・障害を踏破しようとする構想である。また, 前後にある左右クローラ揺動軸を差動装置で連結し, 互いに逆方向に差動するそれらの揺動運動を利用して, 車体左右の地上高の差を修正し, 両輪の常時接地と車体の水平化を図った。本報では, 試作車両の構造・機能の特徴, 差動機構を利用した走行部の機構学的特性及び各クローラ接地反力 (接地荷重) の変動に関する解析結果について報告する。
著者
北野 昌則 渡辺 啓二 篠村 和也 藤島 明宏
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.23-31, 1994 (Released:2010-04-30)
参考文献数
7

本報文では, 装軌車の超堤性能, すなわち垂直段差障害に対する装軌車の走行性能を明らかにすることを目的としており, 車両諸元および履帯と地盤間のすべり特性などから超堤運動の理論モデルを確立するとともに, 理論解析と模型実験の両面から比較検討した。その結果, 履帯と路面の相互作用を考慮した超堤運動の理論モデルにより装軌車の超堤性能の解明が可能となった。また, 装軌車の超堤性能は車両の幾何学的形状と地盤特性に大きく影響を受けることが明らかとなった。
著者
今野 博
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.328-335, 1970-03-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
4
著者
松田 郁生 森嶋 博 瀬尾 康久 相良 泰行
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.75-82, 1990
被引用文献数
2

食パン工場のオーブンから未利用のまま排出されている130~180℃の排ガスの再利用を検討するために, オーブンの熱および物質収支を計測した。そのデータからエクセルギを算出し, 排熱エネルギの質を明らかにした。排熱エネルギを吸収冷凍機の熱源として利用したエネルギリサイクリングを想定し, 冷凍能力を試算した。その結果, 冷却工程においてパンを冷却するのに必要な冷熱が得られることが分かった。
著者
加藤 宏郎 坂口 守彦 大井 康之 丸尾 信 豊田 薫
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.76-83, 2000-05-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
21
被引用文献数
6

魚介類の官能的鮮度評価法に代わる迅速かつ簡便な鮮度評価方法の1つとして, 10kHz以上の高周波域での電気的評価方法の開発を試みた。電気インピーダンスやその要素の周波数特性による材料評価法はインピーダンススペクトロスコピー法とも呼ばれ, 生物組織では損傷や鮮度低下など細胞レベルの劣化情報を迅速に得ることができる。本報では, マダイ背肉部分の抵抗・リアクタンスなどの周波数特性や複素インピーダンス軌跡の氷蔵期間中の変化を測定し検討した。その結果, 鮮度変化に伴い明らかに変動する実用的鮮度指標として, 電極分極インピーダンスが微小となる10kHz~1MHzの高周波域から算出した Cole-Cole の円弧半径, 異なる周波数 (10kHzと1MHz) における抵抗比と差, 中心緩和周波数, リアクタンスのピーク値などを選び出した。