著者
江藤 裕之 岸 利江子 岩崎 朗子 坂本 ちより 頭川 典子 青木 三恵子 久保田 智恵 杉浦 絹子 八尋 道子
出版者
長野県看護大学
雑誌
長野県看護大学紀要 (ISSN:13451782)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.31-39, 2002-03-31
被引用文献数
1

医療職者間の専門用語や隠語には外国語からの借用語,造語が多いことはよく知られる.特に,ドイツ語起源の隠語が使われることが多く,会話内容の秘密保持という点に一役買っている.しかし,頻繁に使われる隠語であっても,中には借用した語の原形をとどめていないものも多く,また,その起源がドイツ語であるとの認識がなされていない語も多く存在する.本稿では,日本における医療職者間で使われるドイツ語隠語研究の第一段階として,いくつかの隠語を取り上げ,それがどのような起源を持ち,またいかなる形で今日の日本の病院内で使われているのかを概観し,医療職者間ドイツ語隠語の特徴を造語法という点からまとめてみた.情報開示が問題になる今日の医療・看護の現場で,第三者には理解不能な語がどのような形で扱われ,また今後どのように扱われるべきなのか.このような問題意識を踏まえ,今後の研究の出発点としたい.
著者
田中 建彦
出版者
長野県看護大学
雑誌
長野県看護大学紀要 (ISSN:13451782)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.51-60, 2002-03-31

アイルランドではほとんどの人がケルト語に属するゲール語を話していたが,英語を話すイングランド人によって植民地化され,この国の言語は英語にとって代わられ,アイルランド語(アイルランドで使われているゲール語をアイルランド語と呼ぶ)は次第に衰退していった.植民地支配者の言語である英語が少しずつ社会に浸透していったことに加えて,教育現場でアイルランド語の使用を禁止し,すべての教科を英語で教えることを命ずる政策が実施されたこともアイルランド語の衰退に大きな役割を演じた.19世紀に自治権を獲得したアイルランド政府は,
著者
江藤 裕之
出版者
長野県看護大学
雑誌
長野県看護大学紀要 (ISSN:13451782)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.95-99, 2002-03-31

意味的連鎖という視点からの語源研究の有効性を,healthを例に検証してみた.「健康」を意味するhealthは,「完全な」を意味する古英語halを語源とする.このhalからは,whole,hale,holy,heal,hallow等の語が派生するが,これらの語はすべてhealthと語源を同じくする同族語であり,意味的に関連する.その背景には,「完全なるもの」を崇高なものと讃える古代ゲルマン人の宗教的イメージがある.このように,語の源へと意味的に遡ることで,その語の持つ文化史的背景から,その本質的な根本イメージに触れることができ,今日的意味の奥底を理解する糸口をつかむことができる.また,言葉を手がかりに,物証の残っていない古代人の頭の中,すなわち「人間により認識されたもの」を認識し,そのイメージの世界が言葉の中に残っていることを理解する手がかりを得ることができる.
著者
江藤 裕之 岸 利江子 岩崎 朗子 坂本 ちより 頭川 典子 青木 三恵子 久保田 智恵 杉浦 絹子 八尋 道子
出版者
長野県看護大学
雑誌
長野県看護大学紀要 (ISSN:13451782)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.31-39, 2002-03-31

医療職者間の専門用語や隠語には外国語からの借用語,造語が多いことはよく知られる.特に,ドイツ語起源の隠語が使われることが多く,会話内容の秘密保持という点に一役買っている.しかし,頻繁に使われる隠語であっても,中には借用した語の原形をとどめていないものも多く,また,その起源がドイツ語であるとの認識がなされていない語も多く存在する.本稿では,日本における医療職者間で使われるドイツ語隠語研究の第一段階として,いくつかの隠語を取り上げ,それがどのような起源を持ち,またいかなる形で今日の日本の病院内で使われているの
著者
江藤 裕之
出版者
長野県看護大学
雑誌
長野県看護大学紀要 (ISSN:13451782)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.95-99, 2002-03-31

意味的連鎖という視点からの語源研究の有効性を,healthを例に検証してみた.「健康」を意味するhealthは,「完全な」を意味する古英語halを語源とする.このhalからは,whole,hale,holy,heal,hallow等の語が派生するが,これらの語はすべてhealthと語源を同じくする同族語であり,意味的に関連する.その背景には,「完全なるもの」を崇高なものと讃える古代ゲルマン人の宗教的イメージがある.このように,語の源へと意味的に遡ることで,その語の持つ文化史的背景から,その本質的な根本イメ
著者
田中 建彦
出版者
長野県看護大学
雑誌
長野県看護大学紀要 (ISSN:13451782)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.51-60, 2002

アイルランドではほとんどの人がケルト語に属するゲール語を話していたが,英語を話すイングランド人によって植民地化され,この国の言語は英語にとって代わられ,アイルランド語(アイルランドで使われているゲール語をアイルランド語と呼ぶ)は次第に衰退していった.植民地支配者の言語である英語が少しずつ社会に浸透していったことに加えて,教育現場でアイルランド語の使用を禁止し,すべての教科を英語で教えることを命ずる政策が実施されたこともアイルランド語の衰退に大きな役割を演じた.19世紀に自治権を獲得したアイルランド政府は,
著者
江藤 裕之
出版者
長野県看護大学
雑誌
長野県看護大学紀要 (ISSN:13451782)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-9, 2004

トーマス・マンの小説『ヴェニスに死す』の「死」の意味は何か.本稿では,ニーチェのギリシア悲劇論に見る「アポロ的-ディオニソス的」という象徴的対立概念を補助線として,主人公アッシェンバッハの「死」についての解釈を試みるものである.ヴェニスはアッシェンバッハを主人公とする悲劇の劇場であり,その「死」は「アポロ(理性)的日常」からの解放であり, 「ディオニソス(芸術)的世界」への再生であった.『ヴェニスに死す』に見るギリシア的耽美の世界と,本作品の主題である人間の生と芸術との運命的な関係を見ることは,合理的世界を是とする近代社会に生きる人間の苦悩を理解し,ファンタジーという精神の逃げ場の世界の重要性を考えるヒントになる.そして,ディオニソス的芸術美に殉じることで自らの生を永遠のものとしたアッシェンバッハの姿とギリシア悲劇の本質とを重ねあわせることで,芸術活動を通しての人間精神の永遠性への志向を理解することができよう.
著者
村井 里依子 松崎 緑 岩崎 みすず 小林 美子
出版者
長野県看護大学
雑誌
長野県看護大学紀要 (ISSN:13451782)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.41-49, 2002-03-31

本研究は,学生が実習前後において精神障害者に抱くイメージとその変化を明らかにすることを目的とした.対象者は,1998~2000年度の精神看護実習に参加した長野県看護大学生236名である.自由記述による回答を質的に分析してカテゴリー化し,カテゴリー毎に実習前後のデータ数を比較した.その結果,精神障害者に抱くイメージとして≪疾患と症状≫≪特有の性質≫≪学生自身の思い≫など,実習前14,実習後18のカテゴリーが抽出された.また実習前後におけるイメージは,学生の生活体験や授業の知識によるものから,実際に精神障害者
著者
花村 由紀 縄 秀志 野坂 俊弥 池内 美希代
出版者
長野県看護大学
雑誌
長野県看護大学紀要 (ISSN:13451782)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.19-25, 2004

腹部正中創の創部張力と離床動作との関係を明らかにし,創部の負担が少ない離床方法を検討する事を目的とし,動作画像及び創部張力の分析を行った.その結果,以下の事が明らかになった.創部は「上体を起こし座位から手をついて向きを変え端座位になる」動作で縦に伸長し,「背筋を伸ばしたまま上体を起こす」「片脚ずつ下ろして端座位になる」「柵や紐を使用する場合に完全に側臥位になってから上体を起こす」動作で横に伸長していた.縦,横が伸長しない動作は「手をつかず座位から端座位になる,背筋を丸めたまま上体を起こす」「脚を上げたまま腰を回転させ端座位になる」「側臥位にならずにやや上向きのまま上体を起こす」であった.以上より創部の伸長を小さくする動作は「常に背中を丸めて動く」「紐や柵を使用する場合は完全に側臥位にならずにやや上向きのまま上体を起こす」「脚を上げたまま上体を起こし,腰を回転させ端座位になる」であった.