著者
宮澤 由妃 深野 義人 見越 大樹 井上 寿男 丸岡 秀一郎 黒田 和道 権 寧博 橋本 修 山岸 賢司
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.13, no.6, pp.310-311, 2014 (Released:2014-12-31)
参考文献数
4

Next-generation sequencers (NGS) have made it possible to analyze entire genome sequence. NGS can be used for the identification of genes associated with a wide variety of diseases. We investigate RNAs encoded by intergenic regions to identify novel genes that are involved in respiratory diseases. The respiratory tracts of mice were exposed to lipopolysaccharide to establish a model of respiratory disease. RNA expression levels in the mouse exosome were analyzed by NGS to identify genes involved in the development of respiratory diseases. Several disease-related regions exhibited altered expression levels of intergenic RNAs.
著者
高田 雄太 大越 昌樹 星野 稔 石川 敦之 石川 誠 中井 浩巳
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.242-249, 2014 (Released:2014-10-12)
参考文献数
47

DNAは電荷輸送特性を有し,生理的な機能のみならず電荷輸送デバイスとしての応用が期待されている.電荷輸送特性のうち,ホール移動に関して,実験的・理論的研究から多くの知見が得られてきた.しかしながら,過剰電子移動(EET)に対する知見は限定的である.本研究ではMarcus理論に基づいて,密度汎関数理論(DFT)レベルの量子化学計算によるDNA内EET速度の算出を試みた.隣接チミン間のEET速度の計算値(2.31 − 3.49 × 1010 s−1)は,実験値(4.4 ± 0.3 × 1010 s−1)を良く再現した.また,ミスマッチ(MM)塩基対を含む系に本手法を適用し,MM塩基対の挿入によるEET速度低下のメカニズムを明らかにした.
著者
八木 徹 神部 順子 中山 榮子 長嶋 雲兵 青山 智夫
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.199-209, 2014 (Released:2014-10-12)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

茨城県西南部,千葉県北西部,埼玉県西部の放射性物質の2012年4月から2013年3月までの一年間の環境動態を調べた.ガンマ線空間線量率の時系列変化をフーリエ変換してNyquist周波数48.2時間を境界として低周波,高周波成分とに分けた.低周波成分では,つくばみらい,石岡,牛久,土浦市,境町で7~8月に放射性物質の流入を示す線量率増加があった.高周波成分の中では24時間周期の現象がフーリエ・スペクトル中に特徴的に見出された場所があった.その現象を詳しく調べるため,毎日の4, 12, 20時の空間線量値の時系列変化を一年間にわたって調べた.12時の空間線量値は各地点特有の変化を示した.低周波,高周波成分の両方で放射性物質の移動が確認された.
著者
中村 貴英 河野 貴久 小林 亮 尾形 修司
出版者
Society of Computer Chemistry, Japan
雑誌
Journal of computer chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.59-68, 2011-12-31

対象系全体を必要な物理精度に応じて部分系に分け,各部分系に必要精度を持つ計算手法を適用する同時並列型ハイブリッドシミュレーション法が最近注目されている.我々は,原子(粒子)描像であったり連続体描像であったりするなどのハイブリッドシミュレーションコードが出力する多様かつ多数な物理変数の数値を統一的に扱い,さらにそれらの時間変化をアニメーションとして可視化するソフトウェアAkiraを開発した.Akiraを用いると,原子描像と連続体描像を混在させたり,多彩に表示した原子群のダイナミクスを原子毎の軌跡として表示させたりするなど様々な形式で,シミュレーションの結果を物理的な解釈がしやすくなるように表現することが出来る.簡易な操作で時間変化を,静止画のシークエンスとしても出力出来る.ソースコードはJava言語でOpenGLを用いて作成しているため,プラットホームの違いを気にしないで利用出来る.ユーザーが独自に改変することも,ソースコードと共に開発資料を公開しているため容易である.本論文ではAkiraの特徴的な機能を,いくつかの応用例を通じて概説する.
著者
常田 貴夫
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.71-82, 2014-03-21 (Released:2014-03-21)
参考文献数
36
被引用文献数
1

理論化学の研究対象において金属表面や金属錯体が主要になりつつある現在,相対論的密度汎関数法(RDFT)の重要性は増している.この方法は,多電子系の電子状態を金属を含む大規模系の反応や物性を定量的に取り扱えるため,大規模金属系の理論研究においてもっともすぐれた理論の1つであることは間違いない.RDFTは量子電気力学にもとづく確かな土台をもつ理論であり,化学における相対論的計算の主要理論となっている.本レビューでは,RDFTの基礎を説明した後,最新の2成分RDFTに至るまでの具体的な道筋を明らかにする.さらには,RDFTが将来的に進むであろう道筋も示すことも目的としている.
著者
藪下 聡
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.43-49, 2014-03-21 (Released:2014-03-21)
参考文献数
16
被引用文献数
2

重原子系電子状態計算手法の一つとして,1成分L-S基底を多電子配置関数として用いるスピン軌道配置間相互作用法(SOCI法)を開発・応用してきた.特に計算効率を高くするには,群論を効果的に用いることが重要である.まずU (2n)群の生成演算子の結合定数をGUGA法によるセグメント積で表現した.さらに偶数電子系に対しては,通常のMs固有関数形のスピン関数の代わりに,時間反転操作に対して不変である「実数スピン関数」を用いることにより,SO相互作用を含むハミルトニアン行列を実対称行列に変換し,さらに二重群の意味で特定の既約表現ブロックだけの計算を可能とした.奇数電子系においても,計算効率を維持したまま,直接法による大規模SOCI計算を可能とする方法を用いている.
著者
本間 善夫
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.21-26, 2008-03-15 (Released:2008-03-15)
参考文献数
29
被引用文献数
2 2

Javaアプレットで動作するフリーの分子ビューアJmolを利用し,ブラウザで3D構造を参照できる生体高分子のWeb教材集を作成して公開した.Protein Data Bank(PDB)に収録されている構造データを必要に応じて加工し,Jmolスクリプトを用いて各データに適した様々な表示変更が可能になるようにしたもので,生命科学の教育・学習に活用可能である.これまで本研究室では以前広くChimeを用いて公開してきた教材を順次変換しているもので,膜タンパク質,シトクロムP450, 糖タンパク質など,種類別にしてそれぞれ構造の特徴を強調可能にすることで使いやすくしている.
著者
八木 徹 神部 順子 青山 智夫 長嶋 雲兵
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.78-80, 2012-04-28 (Released:2012-05-10)
参考文献数
2

太陽光の大気の散乱による空の色の変化を見るために,ペットボトルと傘袋に満たした水にワックスを懸濁させ,それに白色LEDの光を当て,白色光の散乱をみる実験を行った.その写真をデジタルカメラで撮影し,デジタル画像解析を行ったところ,赤R,緑G,青B成分のうち,Rは光源から離れるにつれ,緩やかに減衰し遠距離まで到達でき,他方Bは急速に減衰し,GはRとBの中間の減衰傾向を持つことが示された.簡単な道具で定性的に太陽光による空の色の変化をデモンストレーションできた.
著者
大澤 映二
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.A31-A38, 2011 (Released:2011-12-31)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

The author first diagnosed the reason for waned interest in the industrial application of fullerenes as being the failure in determining the mechanism of formation of C60 under unusual conditions in time. Recently, the Irle-Morokuma group solved the mechanism by performing combined quantum mechanics and molecular dynamics calculations on random assemblies of C2 molecules at 2000 to 3000 K. They proposed a shrinking hot giant road mechanism, which fits Prigogine's irreversible thermodynamic theory. Still the last steps of this mechanism leading to significant yields of C60 could not be satisfactorily reproduced. The author suggests carbon mono-oxide as a critical catalyst for giant fullerenes to close to C60.
著者
長岡 伸一 寺前 裕之 長嶋 雲兵
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.177-182, 2010 (Released:2010-10-01)
参考文献数
12
被引用文献数
3 3

大学での教育においてMicrosoft Excelを用いた水素様原子の軌道の動径関数と動径分布関数及び水素分子イオン(H2+) の分子軌道や炭素の混成軌道の三次元等高線図を描画する実習を行った. 得られた等高線図の一部は多くの量子化学の教科書の図と矛盾しており, 従来の教科書の説明は誤解を招きやすいことがわかった.
著者
青山 智夫 神部 順子 長嶋 雲兵
出版者
Society of Computer Chemistry, Japan
雑誌
Journal of computer chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.7, no.5, pp.185-200, 2008-12-15
参考文献数
17
被引用文献数
2 3

デジタル一眼レフカメラで月光スペクトルと空の色相を撮影し,空中Suspended Particulate Matter (SPM) を計測する簡便法を示した.カメラに取り付ける回折系の制作方法,色相の定量化とSPM濃度の関係を示した.それらの方法により北緯32度,東経120 ∼130度間の空中SPMの濃度と性質の相違を評価し,次の結果を得た.<BR>1. 東経120度以西では仰角大の場合に高SPM濃度となる場合がある.物理的には仰角小の方が濃度は高くなるが,強い上層風に乗りSPM塊が流れているのならば逆転する可能性がある.地上高数kmに高濃度SPM塊が存在する場合はライダー観測にある.<BR>2. 仰角58度の月光スペクトルの青色領域に顕著な吸収帯がある.仰角20 ∼30度ではその吸収帯がなまる.光は仰角小ほどSPM層を長距離通過するので多種類のSPMの吸収の平均となる.仰角大の月光スペクトルに吸収帯があることはSPM塊の局在性を示す.<BR>3. 東経120度以西では地上のSPM濃度と仰角小のスペクトルの赤色成分との間には関連がない.東経131度では地上のSPM濃度が高いとき小仰角では赤成分が顕著となり青緑色成分は減少する.月の色は橙である.<BR>4. 東経120度以東の成層圏に不可視のSPMが存在する.<BR>これらの結果はSPMの性質が経度10度を移動する間に変化していることと矛盾しない.
著者
青山 智夫 八木 徹 神部 順子 中山 榮子
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
pp.1105270129-1105270129, (Released:2011-05-28)
参考文献数
9
被引用文献数
4 2

2011年3月11日14時46分, M9.0の東北地方太平洋沖地震が誘発させた福島第1原子力発電所事故の放射性物質拡散について測定値に基づき考察した.(1) 放射性物質の拡散は方向による相違がある.原発から北西方向に20, 30, 40, 65 kmの地点で年間空間線量率の積算値を予測すると293, 162, 41.1, 16.2 mSv/yearとなり,40 km地点の実測値を737時間積算すると7.6 mSvとなった.(2) 同地点の土壌から105 Bq/kgオーダの 137Cs が3月20日と26日に検出された.土壌中の137Csの残存放射線量はバラツキが大きく,時系列関数は計算できなかった.131Iの滞留半減期は9.6日である.池水中の137Csの滞留半減期は11日,131Iは7.2日であった.これらの数値は4月14日17時までに公表されたデータに基づいて算出された.