著者
内野 彰 山口 誠之
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.58, pp.39-40, 2005-12

ジクワット・パラコート混合剤は非選択性除草剤として市販される除草剤であり、水稲作では秋期稲刈り取り後や春期耕起直前などの雑草防除に使用される。パラコート単剤およびジクワット・パラコート混合剤については、従来の茎葉処理剤として雑草を枯殺する効果に加え、種子処理により種子の幼芽・幼根の伸長を抑制する効果のあることがイネや数種の雑草で報告されている。このことから、こぼれ籾発芽防止や雑草イネの防除への応用試験が行われ、雑草発生抑制効果の実用性についても検討されている。本試験では、こうした効果の積雪寒冷地での実用性を検討するため、ノビエ種子への効果を積雪前秋期処理と融雪後春期処理で比較し、水稲種子への効果を処理後土中に保存した場合と処理後土壌表面に保存した場合で比較した。
著者
山崎 篤 山本 岳彦 松尾 健太郎
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.68, pp.123-124, 2015-12

食生活の変化により、野菜の中で加工・業務用途が急激に増大してきたなかで、水田を主体とする土地利用型農業の収益改善にも寄与するものとして、加工・業務用野菜を水田で作ろうという取り組みが活発になってきた。水田転作品目として、機械化一貫体系が構築されていて大規模でも取り組みやすいタマネギが選択される事例は多い。しかし、特に日本海沿岸の積雪地帯において10a当たり収量が2.0t以下と全国平均の半分以下となるなど、これまで慣行的に行われてきた秋まき栽培が非常に生産性が低いため、水田農業の比重が大きいにもかかわらず東北地域においては選択しづらい品目であった。そこで、生産性の低さの原因と推察される冬の寒さや積雪を回避できる栽培方法として、これら地域における春まき作型の開発に向けて研究を進めている。ところで、収穫までの間に展開するタマネギの葉は、主に形態的な特徴から、普通葉(+保護葉)、肥厚葉、貯蔵葉、萌芽葉に分けられる。これらの葉の構成は、早晩性や収量に大きく影響するものと考えられる。特に本圃での生育期間が短くなる春まき栽培ではこの点が重要となる。そこで、本研究では、2012~2014年の3か年におけるこれらの葉の構成に及ぼす播種時期(2/14、2/28、3/14)の影響およびその年次変動について、いくつかの品種を用いて調査した。
著者
上田 賢悦 清野 誠喜 齋藤 了
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.58, pp.265-266, 2005-12

9月以降に収穫する晩生品種の枝豆に対し、産地は盛夏期の枝豆よりも食味、食感ともに優っていると評価している。しかし、本報告に先立ち実施した調査によれば、首都圏在住の消費者は9月以降に販売されている枝豆に対し、「夏の残り物」というマイナスイメージを購入前から持っている。こうした産地と消費者間の意識の乖離は、産地による「美味しい事実・理由」の説明が不十分であることも、その一因として考えられる。そのため産地側は、この"意識の乖離"を理解した上で、マーケティング対応を検討することが求められる。本報告は、「ホームユーステスト(in-home use test)」により、9月以降に販売される枝豆に対する消費者意識を明らかにし、県産枝豆のマーケティング対応の方向性を検討する。具体的には、(1)9月以降に販売される枝豆に対する消費者意識の把握、(2)9月以降に販売される枝豆の訴求ポイントの検討、である。
著者
齋藤 文信 田口 淳一 清野 誠喜
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.61, pp.225-226, 2008-12

転作菜種を基幹とする菜種油の販売に向けた消費者調査。ホームユーステストによる調査。秋田県では、水田転作の推進や遊休農地解消を目的として菜種作付を進めている。そこで栽培された菜種から食用油を製造(搾油)、食用油として使用後その廃食油からバイオディーゼル燃料を製造し、自動車や農業機械の燃料に使う構想を提案している。しかし、国産菜種を原料とした菜種油の割合は原油生産量ベースで0.09%(「我が国の油脂事情2005年」)と極めて少ないことから、国産菜種油の商品流通量は少量であり、商品として認知されているとは言い難い。また、消費者の食用油購入に関する研究は美味しさや機能性に関する研究が中心で、価格帯や原料産地・油分抽出法の違いに関する評価を分析した研究は十分に行われていない。そこで、本研究では消費者の食用油購買状況や秋田県産菜種を原料とした菜種油の評価について価格帯を中心に把握することを目的とする。
著者
由比 真美子 青木 和彦 加藤 晶子
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.61, pp.67-68, 2008-12

東北地域は国内ソバ作付面積の30%近くを占める重要産地であるが、平均反収が少なく収穫量シェアは20%を下回っており、収量性や品質の向上により収益性を高めることが生産振興上の課題と考えられる。食品の健康機能性について関心が高まる中、ソバでも高ルチン・高抗酸化活性などの研究が行われてきたが、Fagopyritolの構成成分であるD-chiro-inositol(以下、DCI)についての情報は少ない。DCIには動物実験において血糖降下作用が認められ、類似成分のpinitolにはヒト臨床試験で効果が認められており、糖尿病の治療・予防効果が期待されている。本報では、前報の試験でDCI含量が多かった外国産遺伝資源3点と、国産遺伝資源の中では比較的含量が多かった「九戸在来1」について、個体別DCI含量を調査した結果を報告する。また、あらたに遺伝資源90点についても調査したので報告する。
著者
三浦 賢一郎 齋藤 節男 川畑 茂樹
出版者
[東北農業試験研究協議会]
巻号頁・発行日
no.54, pp.117-118, 2001 (Released:2011-03-05)
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.59, pp.219-220, 2006-12

デルフィニウムは冷涼な気候に適し、需要も伸びていることから、青森県では振興品目の一つとしている。しかし、市販品種は花色やボリューム等の切り花品質のバラツキが大きく生産上の課題となっている。そこで、雑種強勢育種法ならびに個体選抜により、これらの品質に優れ、揃いの良い品種を育成したので報告する。
著者
渡辺 満 清水 恒
出版者
[東北農業試験研究協議会]
巻号頁・発行日
no.57, pp.267-268, 2004 (Released:2010-05-10)
著者
野沢 智裕
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.61, pp.31-32, 2008-12

大豆跡復元田を利用した水稲不耕起V溝直播の除草剤体系。水稲不耕起V溝直播は、愛知県農業総合試験場が開発した水稲直播技術であり、冬季代かきを前提とした栽培体系により、従来の水稲直播技術に比べて、栽培安定性が高く、移植栽培と同等の収量、品質を得ることができるとされる。この技術に魅力を感じた筆者は、積雪寒冷地では冬季代かきの実施が困難であると考え、代かきを省略した技術体系の実用化に向けて2005年から試験を実施してきた。これまでの試験から、大豆跡復元田においては、大豆収穫後積雪前までの期間にロータリ耕による整地を行うことで消雪後に固結し、播種前の代かきを省略しても実用的な播種が可能になること、播種量を8kg/10a程度とし、窒素成分で2kg/10aの施肥を苗立ち期に行うことにより移植並の収量が得られることなど、積雪寒冷地での実用化に目処が付いた。しかし、慣行の除草剤体系(一発剤→クリンチャーバスME液剤の体系処理)では雑草の防除効果が不十分であるという問題が残された。この問題を解決するため、愛知県が確立した除草剤体系を含む4種類の除草剤体系の比較を行ったので、その結果を報告する。
著者
浅野 真澄
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.62, pp.17-18, 2009-12

宮城県における移植時期は5月の連休中に集中し、障害不稔による冷害や出穂期の高温による品質低下などが懸念されていた。そのため、これらの改善を目的に移植を5月15日以降に行う晩期栽培を推進しており、移植時期盛期の県平均も5月9日と徐々にではあるが遅くなり始めている。また、「ササニシキ」においては、移植時期の違いによる収量の差は小さく、移植時期が遅いほど外観品質が良くなる傾向のあることが報告されている。そこで今回は、「ひとめぼれ」における晩期栽培が品質に与える影響や、収量を普通期移植と同等に維持するための移植方法等について検討した。
著者
大竹 真紀
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.67, pp.133-134, 2014-12

福島県会津地域はシュッコンカスミソウの夏秋期の主産地であり、市場性の高い品種を導入するとともに収量を上げる摘心方法の改善を進めている。主要品種「アルタイル」は、育成した谷によると、吸肥力が強く茎葉が剛直になりやすいため施肥量を控える必要があるが、窒素吸収の実態は明らかになっていない。そこで、高冷地の夏秋出荷作型において摘心方法にあった窒素施用量と採花本数について検討した。
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.59, pp.223-224, 2006-12

ラークスパーは千鳥草とも呼ばれ、青から白、ピンクなど豊富な花色、一重と八重の花型、そして一本立とスプレーの草姿をもつ多様な花である。この花は、以前にデルフィニウムと同じ属の植物として取り扱われていた1年草であり、その生理・生態はデルフィニウムと類似すると考えられるが、デルフィニウムよりも開花までの期間が短く、ロゼット性が弱い。このことは、施設の占有期間や開花調節のし易さの点で大きなメリットと考えられる。そこで、青森県におけるラークスパーの作型開発を目的に、ポット試験によって、播種時期が生育と開花に及ぼす影響について、いくつかの知見が得られたので報告する。
著者
池田 泰子 高橋 秀昌 菅原 秀治 渡辺 伸
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.62, pp.113-114, 2009-12

ラズベリーはバラ科キイチゴ属の低木で、寒冷地での栽培に適し、結果樹齢に達するのが早く、新規導入する品目として有望である。二季成り性品種は、前年の秋果の結果枝が翌春の結果母枝となって夏果を結実し、春から伸長したシュートに秋果が結実する性質を持つ。ラズベリーの国内の需要は10年前の約10倍に増加しており、今後も安定的な需要が見込まれる。しかし現在は、需要のほとんどが輸入品でまかなわれている一方、国内ではほとんど産地形成されていない状況にある。山形県の内陸北部、最上地域は、中山間地域で冷涼な気候のため、ラズベリーの栽培に適すると考えられるが、多雪地域であり、こうした地域での栽培管理についてはこれまで明らかになっていない。そこで、二季成りの結果習性に着目し、省力的な越冬対策とともに、秋季に安定生産できる方法について検討した。
著者
小野 洋 野中 章久 金井 源太 古川 茂樹
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.65, pp.209-210, 2012-12

東日本大震災では農業生産・生活面で多くの混乱がもたらされ、とりわけ震災直後の輸送用燃料不足は深刻であった。こうした経験を通じ、域内で調達可能な再生可能エネルギーに注目が集まっている。農村における太陽光パネルの設置はその一例であるが、農業生産に関連した取組としては、耕作放棄地を利用した油糧作物生産があげられる。そこで本稿では、耕作放棄地におけるエネルギー生産の可能性を検討するため、ナタネを対象としたLCA(ライフサイクルアセスメント)を行う。ナタネはわが国を代表する油糧作物であり、1. 幅広い地域で栽培可能、2. 景観作物として集客可能性があり地域活性化に資する、3. 比較的少額の投資でエネルギー化が可能等の特長がある。なお、以下の分析に用いるデータは、岩手県西和賀町を対象とした現地圃場における実証試験結果である(新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業:平成21~23年度農林水産省)。