出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.55, pp.285-286, 2002-12

岩手県では、玉山村の黒平豆、葛巻町のそば、一関市の曲がりネギ、宮守村のわさび、岩泉町の龍泉洞の水など、地域を代表する特産農産物や商品、観光資源の提供等による地域資源の高付加価値化が取り組まれている。しかし、これら地域特産物は商品として見た場合、必ずしも実績のあるものだけではないことから、販売額等の実績があがっている特産物の成功要因を把握管理することは、他の地域や品目での地域資源の特産品化による地域活性化をはかる上で欠かせない。そこで地域資源の特産品化のポイントとなる事項について、販売金額等を基準とした場合の、いわば経済評価に裏打ちされた特産品化の要因を明らかにすることにより、今後のさらなる商品化に必要な要因を評価項目に見出すことを試みた。
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.54, pp.51-52, 2001-12

水田への有機物施用は、かつては堆肥などの腐熟有機物が主体であったが、現在では、コンバインの普及に伴い稲わら施用が増加している。稲わらなどの未熟有機物の鋤こみは、土壌の還元化を促進させることから、異常還元が発生する危険性は以前よりも増大していると考えられる。また、福島県内の水田転換畑において、有機物残渣を起因とする異常還元と考えられる生育障害が報告されている。そこで、無代かき栽培による土壌の還元化抑制効果に着目し、代かき栽培との比較試験を行い、無代かき栽培における土壌の特性と水稲の生育、収量について考察した。
著者
小田桐理佳
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.58, pp.267-268, 2005-12
被引用文献数
1

えだまめは、全国各地で様々な品種が存在しており、地域特産品として産地化が図られている。最近は茶豆の評価が高く、新潟県や山形県ではすでに「新潟茶豆」や「だだ茶豆」等、ブランドとして確立されている。青森県では、在来種の「毛豆」(晩生種)から、その早生品種「あおもり福丸」「あおもり豊丸」が育成され、この3つの品種を組み合わせて「毛豆シリーズ」として産地化・ブランド化が図られている。これらは、育種や普及関係者の間では、莢の毛が茶色で毛の量が多いため見た目は悪いが、大粒で良食味であると評価されている。そこで、毛豆シリーズのブランド化に当たって、あおもり福丸、あおもり豊丸の食味や外観が消費者にどのように捉えられているのかを定量的に明らかにすることを目的にCS分析を行った。CS分析は、消費者が調査対象とする物のどの要素をどの程度重視しているか、またその改善すべき度合いを数量的に明らかにすることができる手法である。食味アンケートは、一般的な市販の枝豆と、良食味という評価が高い「茶豆系統」の枝豆と比較した場合の2回に分けて実施した。
著者
椿 信一 佐藤 友博
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.61, pp.177-178, 2008-12

近年、国内でのメロン消費量は低迷しており、本県でも地這いメロン栽培面積は減少の一途をたどっている。このようにメロンが消費者に敬遠されるようになった要因の一つに、発酵果や未熟果といった、外観で判別しにくい不良果の混入により、食味品質が不安定なことがあげられる。そこで、本県産メロンの消費拡大を図るために、県内の主力品種'KA-91'(商品名:"秋田美人")と比較して発酵果が少なく適期に収穫可能な、併せて果実肥大性を重視した独自品種を育成する。
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.57, pp.67-68, 2004-12

水稲の無農薬無化学肥料栽培において、紙マルチ除草やアイガモ除草など様々な雑草防除技術が確立されてきている。しかし、雑草防除効果に優れる技術は、資材費が高いことや多くの労力を必要とする等の課題がある。そこで、廃棄物として処理される籾殻を利用することにより、資材費を抑えた雑草防除技術を検討した。本報では雑草の防除効果について検討した結果を報告する。
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.55, pp.85-86, 2002-12

岩手県における麦作は、主要な転作作物として重要な位置を占めているが、近年麦の本作化が推し進められる中その面積は急激な増大を見せている。しかし、通常の秋播き栽培では、播種作業が水稲や大豆の収穫作業と競合することなどが経営的課題となっている。このような中、春まき栽培や不耕起播種栽培なども試みられているが、十分な解決策とはなっていない。北海道においては、春巻き栽培の補完技術として根雪直前に春播性小麦を播種することにより、融雪直後から生育を開始させ、収量・品質を向上させる技術が取り組まれている。本県の主力品種である秋播性の「ナンブコムギ」について同様の方法で冬期に播種したところ、正常に出穂・成熟し、ある程度の収量も確保されることがわかった。ここでは、冬期播種栽培における生育特性と栽培方法について、これまで検討した結果を報告する。
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.59, pp.147-148, 2006-12

2005年5月27日と6月4日に山形市や天童市を中心に降雹があり、オウトウ、セイヨウナシ等の幼果に被害が発生した。今後同様な被害が発生した場合の事後指導等に役立てる目的で、これら被害果の状況と収穫期の様相を追跡調査した。
著者
菊池 一郎 杉田 誠一 前田 亨
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.62, pp.127-128, 2009-12

平成20年5月26日に青森県津軽地域の鶴田町、板柳町及びその周辺で降雹がありブドウ'スチューベン'でこれまで経験の無い甚大な被害が発生した。雹害を受けた時点の新しょうは初期伸長中で軟らかかったことから、茎、葉柄に多数の打撲等の傷を受け、かつ葉の裂傷も多く、生育不良が懸念された。また、新しょうの茎と同様に花穂の穂梗、穂軸にも多数の打撲等の傷が観察された。そこで、被害を受けた花穂(果房)を被害程度別に追跡調査し、生育、品質等について比較検討したので報告する。
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.55, pp.249-250, 2002-12

シンフォリカルポスはスイカズラ科シンフォリカルポス属に分類され、北アメリカからメキシコが原産地の洋種枝物花木である。1本の枝から数本の側枝が発生し、その先端に10数個の果実からなる果房を形成する。この果実は8月下旬以降に肥大し、直径1cm前後の球形状となり、品種により白色またはピンク色に着色する。収穫は果房の3分の1以上が肥大した頃に行い、葉付きで出荷される。暖地・中間値では実付きが悪くなりやすく、秋冷の早い寒冷地が栽培適地で、日本国内の主な生産地として長野県、群馬県などがある。この品目は最近注目されている枝物花木の一つであるが、消費者段階では果実および葉の萎れ、枯れが発生しやすく、改善が望まれている。近年、切り花の品質保持に及ぼす抗菌剤や糖の影響が明らかにされてきており、切り枝類にも効果が期待される。そこで、本研究ではシンフォリカルポス切り枝における抗菌剤とスクロースの連続吸水処理が鮮度保持に及ぼす影響について調査した。なお、本研究では平成12年から実施している新技術地域実用化促進事業「寒冷地における枝物花木類の栽培技術体系の確立」の一部をまとめたものである。
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.56, pp.101-102, 2003-12

イタリアンライグラスは、関東以西の温暖地・暖地を中心に通常冬作の一年生作物として栽培されているが、出穂後も再生力があるので、夏があまり高温にならない地域に向けて2年以上の利用を目的とした品種が育成されている。北東北は夏が穏やかなので、これらの品種の越夏栽培が可能とみられるが、冬が低温・多雪であるため温暖地向き品種は越冬性が十分でなく、栽培面積は僅かにとどまっている。イタリアンライグラスは良質で春一番草の収量が高く、耐倒伏性に優れた品種も育種されているので、寒地型牧草の中でも特に採草に向いている。本試験では、温暖地で越夏性について選抜したイタリアンライグラス系統を寒冷地で越冬・越夏性等の評価と選抜を行い、寒冷地で採草に向く多年生ライグラス類の育種の可能性を検討した。
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.55, pp.11-12, 2002-12

宮城県では近年移植期が4月末から5月始めの連休に集中するようになって、出穂期が早まり登熟期が夏季の高温に遭遇し産米の品質が不安定になっている。このため、5月中旬以降に移植して、登熟期の高温を回避することを推奨している。この作期のものを宮城県では「晩期栽培」と言っている。2001年は、「晩期栽培」を行っている主要品種の減数分裂期前頃から気温は平年より低くなり、さらに低温が継続するとの予報もあり、「晩期栽培」を行ったものに集中的な障害不稔の多発が危惧された。そこで、主として、「晩期栽培」を行った本県主要品種について出穂日別に不稔発生状況を調査したのでその結果を報告する。
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.54, pp.163-164, 2001-12

サルナシはマタタビ科に属し、落葉つる性木本で、山形県内にも数多く自生している。果実は甘い香りを放ち、生食及び、果実酒の原料等として利用されている。サルナシは中山間地域の特産果樹として産地育成の気運が高まっていることから、本県で栽培する品種及び自生系統を収集し、その特性を明らかにしたので報告する。
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.53, pp.153-154, 2000-12

1998年8月27日から31日にかけての集中豪雨(26日~31日総雨量329mm:福島地方気象台発表)により、福島県内の阿武隈川流域のモモ地帯で浸水害が発生した。被害が著しい地区では8月27日夜から9月1日朝方まで4日~6日間にわたって浸水し、樹体被害が大きな問題となった。そこで、浸水による被害及び翌年の樹体への影響等について調査し、結果をまとめることができたので報告する。
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.53, pp.155-156, 2000-12

1998年8月27日から31日にかけての集中豪雨により、福島県内の阿武隈川流域のモモ地帯が浸水し、甚大な被害が発生した(第1報)。このため、被災者農家を対照としたアンケート調査により、浸水害の発生した地区の被害状況を把握するとともに事後に構じた技術対策の有効性について調査を実施した、本報ではこの結果を報告する。
著者
今 智之 深澤 朝子 工藤 剛
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.59, pp.149-150, 2006-12

青森県では、8月上中旬に収穫する極早生種として'夏緑'、'祝'、花祝(俗称)、'ラリタン'、'ビスタベラ'などが栽培されている。しかし、'夏緑'以外は酸味が強いなど食味が劣るため、主にお盆のお供え用として利用されている。そこで、当場では食味のよい赤色の極早生種として'あおり11'、'あおり12'、'あおり16'を育成し、品種登録されたので、その特性を報告する。
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.58, pp.269-270, 2005-12

仏壇や墓参り時の供花によくキクが用いられ、花持ちも良いのでお盆・秋彼岸の時期は花束の中で欠かせない存在である。そこで、8月9月は特にキクの需要が高く、市場での単価も高い時期になるが、市場以外でも販売チャネルの一つとして、産地近隣の農産物直売所(以下、「直売所」)や路上販売、庭先販売等が考えられる。直売所は、近年農産物の販売チャネルとして注目されており、また成功例も多い反面、花きについての消費者ニーズの把握調査は蓄積がなされていない。そこで一般消費者のニーズを把握するため、仙台市内の消費者を対象に供花購買実態を調査した。また直売所での販売を促進するため、宮城県内の直売所の販売状況を調査したので、その結果を報告する。
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.58, pp.225-226, 2005-12

福島県における小ギク栽培は、8月お盆、9月彼岸出しが主力となっており、適期出荷を目的とした電照栽培が一部導入されている。しかし、電照に対する品種別の開花特性が不明であり、開花時期が安定しないことが問題となっている。そこで、8月咲き主要品種に対する電照時間の違いと開花時期との関係について検討した。
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.56, pp.171-172, 2003-12

オウトウは通常の冷蔵施設を用いた貯蔵では鮮度保持期間が短いため、品種の組み合わせや加温ハウス栽培等を組み合わせて出荷時期を前進させることで販売期間の拡大が行われているが、7〜8月の観光客等への対応については、晩生の良食味品種'紅秀峰'が収穫される7月中旬が晩限となっており、それ以降の需要に対応できていない。7月中旬以降は、学校の夏休みやお盆期間の帰省、各地で開催される夏祭りなど、県外からの来客が多く、この時期に山形特産の「さくらんぼ」を供給できれば消費の拡大とともに、山形のイメージアップにも効果が高いものと考えられる。そこで、筆者等は雪むろを利用した場合のオウトウ果実の長期貯蔵について検討したので報告する。
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.57, pp.267-268, 2004-12

ダッタンソバの種実には普通ソバの数十倍から100倍量のルチンが含まれており、健康食品素材としての認識が定着している。また、種々の作物のスプラウト(若芽)は栄養豊富であり、ブロッコリーでは抗ガン成分であるスルフォラファンの発見等、注目されている食品素材である。我々はこれまでにソバスプラウトのフラボノイド組成を明らかにしているが、ダッタンソバについては、スプラウトとしての利用は普通ソバと比較してもきわめて僅かであり、フラボノイド組成等に関する詳細な報告も見あたらない。そこで本研究では、ダッタンソバのスプラウトとしての利用拡大に資する目的で、スプラウトのフラボノイドの組成、含量の推移について調査した。