- 著者
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藤本 龍児
- 出版者
- 「宗教と社会」学会
- 雑誌
- 宗教と社会 (ISSN:13424726)
- 巻号頁・発行日
- vol.13, pp.51-73, 2007-06-09 (Released:2017-07-18)
イラク戦争を押しすすめた世界観を提供したのは、ネオコンと宗教右派だと言われている。すでに現在では、イラク戦争にたいする反対の声が多くなってきた。しかし、今後、両者の世界観は完全にその思想的な説得力を失うのだろうか。これまでネオコンと宗教右派については「両者がどれほどブッシュ政権にたいして現実的な発言力をもっているのか」ということが論じられてきた。しかし、上記のような問題を考察するためには「両者はどれほどアメリカ国民にたいして思想的な説得力をもっているのか」ということを問わねばならない。そこで、こうした問題を問うために、両者を公共哲学的な観点から比較する。本稿では、両者の世界観がもつ影響力の射程を明らかにし、両者を建設的に批判するための条件を導き出すことを目的とする。第1章では宗教右派の世界観を、第2章ではネオコンの世界観を明らかにし、第3章では、両者の世界観を比較して、その共通点と相違点を浮かび上がらせる。そして最後に、両者を建設的に批判するための手がかりを導きだす。