著者
安藤 敏夫
出版者
公益社団法人 日本顕微鏡学会
雑誌
顕微鏡 (ISSN:13490958)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.56-61, 2019-08-30 (Released:2019-09-07)
参考文献数
21

詳細ではあるが静止構造しか得られない従来の構造生物学的手法や,光学プローブを介して動態を間接的に可視化する1分子生物学手法の限界を破るべく,AFMを飛躍的に高速化するための技術開発が進められ,約10年前に高速AFMは確立した.この新規顕微鏡により,タンパク質分子の機能活動中の動的な姿を直接観ることが初めて可能になった.既に数十種類に亘るタンパク質系の高速AFM観察が行われ,分子の動画像が他の手法では得られない機能メカニズムへの深い洞察を与え得ることが実証された.現在この方向の研究が更に盛んに進められている.それと並行して,高速AFMの機能拡張に向けた更なる技術開発も進められ,高速AFMの対象が分子からオルガネラ,バクテリア,動物細胞へと拡大しつつある.本稿では,高速AFM技術とこれまで行われた応用研究を概説し,現在抱える技術的問題とその克服に向けた更なる技術開発の方向を示す.
著者
安藤 敏夫 飯田 新一 国分 尚 上田 善弘 MARCHESI EDUARDO
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.95-109, 1995-04-28
被引用文献数
10

ペチュニア品種の改良は, 1834年のP.axillarisとP.integrifoliaの交雑に始まる。少なくとも当初はどちらもウルグアイ産のものが使われたことから, 品種の遺伝的背景を解析するには, ウルグアイ産の両種の実態を解析することは有意義であろう。本報では, まずウルグアイ内にP.axillarisの2亜種の存在を見いだし, その分布状況を調べた。5季に渡る実地踏査の結果, ウルグアイ南東部のCanelones, Maldonado及びMontevideoの3郡には, 花冠が大きく, 花筒が短く, 2強雄ずいをもつ亜種axillarisが, 北西部のArtigas, Salto両郡には, 花冠が小さく, 花筒が長く, 等長雄ずいをもっ亜種parodiiが各々分布していることが分かった。これら計5郡産の60標本から, 花筒長, 花冠縁部長, 花茎長, がく裂片長及び花筒長/花冠縁部長の5形質を計測し, ステップワイズ判別分析により両亜種の判別関数を得た。これに他郡産標本の値を代入して, ウルグアイ全域からの計174地点分の標本を判定した。ウルグアイ中央部を流れるネグロ川を境として, 南東部に亜種axillarisが, 北西部に亜種parodiiが分布していたが, 境界付近の南西部には判定を保留すべきものが認められ, そこで形態が遷移している可能性が示唆された。
著者
浅野 和久 安藤 敏幸 石川 斎 岡田 哲也 岡田 まゆみ 小竹 康一 杉江 良基 杉江 予支子 須田 勝治 田口 静 田口 由紀子 永尾 栄子 長谷川 千里 日比 禎紀 日比 きよみ 古橋 徳昭 古山 享嗣 古山 智百合 山口 拓男
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.23-35, 1994-01-31
参考文献数
12
被引用文献数
5

盆地霧("放射霧")の特性を把握するために,岐阜県恵那地方で霧の観測を行った.(1)その結果,恵那地方の典型的な盆地霧は前日晴れて当日朝晴れの場合に見られ,木曽川沿いを中心に盆地底に出現の多いことがわかった.(2)盆地霧の一生は,"発生期"・"変化期"・"発達期"・"消滅期"の4段階に分けられた.(3)観測結果をもとに霧の発生から消滅までのメカニズムをまとめると次のように推論できる.霧は一旦発生すると,霧粒からの放射冷却や周囲との温度差などによって変化・発達し,霧粒の重みで降下して消滅するという過程をたどる.すなわち,霧の一生は霧の自己運動(内的要因)で説明できる.これに外的要因(地形・日射・局地風等)が加わって,拡大時期や消滅時期が決定される.(4)恵那地方の盆地霧は単純な放射霧ではなく,放射冷却の影響が強い混合霧である.
著者
國分 尚 安藤 敏夫 渡辺 均 塚本 達也 MARCHESI EDUARDO
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.207-219, 2000-02-28

既に報告したウルグアイにおけるPetunia axillaris subsp. axillarisとsubsp. parodiiの中間型の由来について考察するため,野生種子由来のsubsp. axillarisとsubsp. parodiiから正逆組み合わせのF_1,さらにF_2個体を育成し,花器形態の遺伝様式を調査した。特に,ウルグアイの2亜種を区別する重要な形質でありながら,今まで無視されてきた雄ずいの状態(2強または4強)に注目し,以前の研究者にも取り上げられている花筒長および花冠径とともに計測した。また,花筒長/花冠径比と,Kokubun et al.(1997;植物分類,地理48巻:173-185)の判別関数Z_<12>による判別得点を2次変数として分析に供した。その結果,各形質は量的に遺伝していたが,4強雄ずいはF_1個体には現われず,F_2になって初めて出現し,あたかも劣性遺伝子のようにふるまった。Subsp. axillarisとsubsp. parodiiよりも分散が大きく,それはsubsp. axillarisを母親にしたF_1個体にも継承された。F_1,F_2個体とも,計測値はおおむね両親の値の範囲に分布した。正逆の組み合わせを比較した場合,計測値は母親の値に近く,特にsubsp. axillarisを母親とした場合,subsp. axillarisとF_1・F_2個体の値の分布に重なりが見られた。このことは判別得点についても言え,前報でsubsp. axillarisと判定された群落の中にもsubsp. parodiiの遺伝子が浸透している可能性が示唆された。F_2個体では花筒が長いほど4強雄ずいに近くなる(subsp. parodiiに似る)傾向が示された。Colonia州のLa Plata川沿いに見られた中間型は本研究で得られたF_2個体の一部に似ており,この中間型が雑種起源である可能性が認められたが,FloresおよびSoriano州のNegro川下流域に見られた小輪の花をもつ中間型はsubsp. axillarisとsubsp. parodiiの交雑だけで説明することは難しいと思われた。
著者
下川 公子 安藤 敏 岡 紀子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.5-9, 2010

日本FARMDOC協議会(JFA)での「検索報告書研究会」の研究結果を発表する。特許庁は1989年から、審査処理効率の向上を目標に「工業所有権に関する手続き等の特例に関する法律」に基づき、先行技術調査の検索外注を開始した。医薬系分野では、(1)工業所有権協力センター(Fターム検索)と、(2)化学情報協会(2005年開始、化学物質の構造検索)の2箇所が主な外注先であり<SUP>[1]</SUP>、外注検索の結果は「検索報告書」<SUP>[2]</SUP>として全て公開されている。本発表では、社団法人 化学情報協会の「検索報告書」を対象に、化学物質関連特許出願を抽出し、審査のための先行技術文献調査としての深さと広さを検討した。特に、「検索報告書」と特許庁の拒絶理由通知書を比較し、外注先検索者のスクリーニングサーチの結果へ特許庁審査官による拒絶理由通知書の引例の追加がある場合について、部分構造検索式の作成、サブセット構造検索による絞り込み、キーワードの選定と絞り込み、などについて精査した。その結果、特許庁の新規性調査および進歩性調査の考え方を確認できたことにより、今後の自社内での特許出願前調査、特許出願戦略に生かすことができると思われる。さらには、化学物質の調査で見落としがちな問題点を認識することができた。<SUP>[3]</SUP>
著者
小林 昂平 古寺 哲幸 田原 悠平 豊永 拓真 笠井 大司 安藤 敏夫 宮田 真人
出版者
公益社団法人 日本顕微鏡学会
雑誌
顕微鏡 (ISSN:13490958)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.67-71, 2019-08-30 (Released:2019-09-07)
参考文献数
27

Mycoplasma mobile(以下モービレ)は,ペプチドグリカン層を持たない,魚の病原細菌(単細胞の生物)である.モービレは固形物表面にはりつき,はりついたまま滑るように動く滑走運動を行う.滑走メカニズムにおいて,モービレの細胞表面にあるタンパク質でできた“あし”が,宿主細胞表面のシアル酸オリゴ糖を引き寄せ,菌体を前に進める.この滑走運動は,細胞内部にあるモーターがATPを加水分解することにより駆動されるが,ATPの加水分解によりモーターがどのような構造変化を起こすかは明らかになっていない.そこで本研究では,高速原子間力顕微鏡(以下高速AFM)を用いて,細胞内部におけるモーターの動きを可視化することを目的とした.ガラス基板表面に貼り付けた細胞表面を高速AFMでスキャンすると,内部モーターと思われる粒状の構造がシート状に並んでいる様子が見られた.さらに,個々の粒子は滑走方向に対して右方向に8.2 nmシフトする動きを示した.
著者
安藤 敏 高橋 千晶 幾見 京子 増田 彩子 清水 俊雄
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.195-201, 1997

アルファルファ雄性不稔系統(CMS)のオルガネラの遺伝情報を栽培品種に導入するため非対称融合法の検討を行い,その結果,安定して雑種カルスを得る方法を確立した。栽培品種のプロトプラストはヨードアセトアミド(IOA)で処理し,CMSのプロトプラストにはX線を照射したのち電気融合法で非対称融合を行った。栽培品種のプロトプラストはアガロース包埋法で培養した場合,6mMのIOAで処理することでほとんど不活化できた。CMSのプロトプラストのコロニー形成を抑えるには900Gy以上のX線照射量が必要で,他の植物と比べ高いことが明らかとなった。融合処理した細胞はアガロース包埋法で培養したが,この時,培養の最初からナース細胞を加えず,アガロースのまわりにKaoの液体培地のみを加えることにより,不定胚を形成するカルス(embryogenic callus:EC)の出現が確認できた。両親の植物体から全DNAを抽出し,ミトコンドリアDNA(mtDNA)をプローブとしてサザンハイブリダイゼーションを行いRFLP(制限酵素断片長多型)を調査した結果,制限酵素XhoIとプローブatpAの組合せで両者を明確に区別できることを見いだした。IOA濃度として3mMと6mM,X線照射量として1350 Gyと2250 Gy,アガロースのまわりに添加する培地としてKP培地とKC培地を選び,それぞれの組み合わせで融合処理と培養を行い,カルス形成,EC形成,植物体の再生およびmtDNAのタイプ毎のカルスの出現割合に及ぼす影響を調べた。その結果,IOAは低濃度(3mM)の方がカルス数,EC数,再生植物体数が多かったが,栽培品種型のエスケープカルスを抑えるためには高濃度(6mM)が必要だった。X線照射量は2250 Gyの方がカルス形成の頻度が高かった。CMSのプロトプラストに2250 Gyという高い量のX線を照射する条件では,核ゲノムだけでなくオルガネラゲノムが破壊されることが懸念されたが,mtDNAの分析からCMS特有のバンドが確認され,この条件が許容されると判断された。細胞質雑種と考えられるカルスの出現割合,及びECや再生植物体数から考えると,IOA 6mMとX線照射量2250 Gyの組み合わせが最もよいと考えられた。MtDNA分析で雑種型と判断されたカルスについてmalate dehydrogenase(MD)のアイソザイム分析を行った結果,CMS特有のバンドをもたず核が栽培品種型であるサイブリッドと考えられるものが得られた。再生植物体についてもmtDNA分析を行ったが,全て栽培品種と同じ型を示し,雄性不稔の形質は導入されていないものと判断された。
著者
安藤 敏夫
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.213-218, 2002-09-15
参考文献数
40

ペチュニア属遺伝資源の評価に関連する筆者らの研究経過を取りまとめた.広義のペチュニア属には, 互いに交雑できない3群が存在し, その3群は種子表面形態・核DNA量などで識別できた.ウルグアイには花器構造の異なるP.axillarisの2亜種がすみわけており, 中間型の分布する地域を特定し, 園芸的に重要な形質をもつ群落を抽出した.野生種の花に新規物質11を含む, 30種類のアントシアニンを確認し, 遺伝資源としての可能性が議論された.ペチュニア属とカリブラコア属の全種に関して自家(不)和合性が調査され, 自家和合種が降水量の少ない地域に分布する実体を示した.基本的に自家不和合であるP.axillarisの亜種axillarisには自家和合個体を希に交える群落があり, 自家不和合性の崩壊現象を研究する素材として使われた.このほか園芸学と植物学の学際領域としての園芸遺伝資源学の研究領域を紹介した.
著者
安藤 敏 高橋 千晶 幾見 京子 増田 彩子 清水 俊雄
出版者
日本育種学会
雑誌
Breeding science (ISSN:13447610)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.195-201, 1997-09-01
参考文献数
20
被引用文献数
1

アルファルファ雄性不稔系統(CMS)のオルガネラの遺伝情報を栽培品種に導入するため非対称融合法の検討を行い,その結果,安定して雑種カルスを得る方法を確立した。栽培品種のプロトプラストはヨードアセトアミド(IOA)で処理し,CMSのプロトプラストにはX線を照射したのち電気融合法で非対称融合を行った。栽培品種のプロトプラストはアガロース包埋法で培養した場合,6mMのIOAで処理することでほとんど不活化できた。CMSのプロトプラストのコロニー形成を抑えるには900Gy以上のX線照射量が必要で,他の植物と比べ高いことが明らかとなった。融合処理した細胞はアガロース包埋法で培養したが,この時,培養の最初からナース細胞を加えず,アガロースのまわりにKaoの液体培地のみを加えることにより,不定胚を形成するカルス(embryogenic callus:EC)の出現が確認できた。両親の植物体から全DNAを抽出し,ミトコンドリアDNA(mtDNA)をプローブとしてサザンハイブリダイゼーションを行いRFLP(制限酵素断片長多型)を調査した結果,制限酵素XhoIとプローブatpAの組合せで両者を明確に区別できることを見いだした。IOA濃度として3mMと6mM,X線照射量として1350 Gyと2250 Gy,アガロースのまわりに添加する培地としてKP培地とKC培地を選び,それぞれの組み合わせで融合処理と培養を行い,カルス形成,EC形成,植物体の再生およびmtDNAのタイプ毎のカルスの出現割合に及ぼす影響を調べた。その結果,IOAは低濃度(3mM)の方がカルス数,EC数,再生植物体数が多かったが,栽培品種型のエスケープカルスを抑えるためには高濃度(6mM)が必要だった。X線照射量は2250 Gyの方がカルス形成の頻度が高かった。CMSのプロトプラストに2250 Gyという高い量のX線を照射する条件では,核ゲノムだけでなくオルガネラゲノムが破壊されることが懸念されたが,mtDNAの分析からCMS特有のバンドが確認され,この条件が許容されると判断された。細胞質雑種と考えられるカルスの出現割合,及びECや再生植物体数から考えると,IOA 6mMとX線照射量2250 Gyの組み合わせが最もよいと考えられた。MtDNA分析で雑種型と判断されたカルスについてmalate dehydrogenase(MD)のアイソザイム分析を行った結果,CMS特有のバンドをもたず核が栽培品種型であるサイブリッドと考えられるものが得られた。再生植物体についてもmtDNA分析を行ったが,全て栽培品種と同じ型を示し,雄性不稔の形質は導入されていないものと判断された。
著者
渡辺 均 安藤 敏夫 塚本 達也 / Eduardo Marchesi
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.33-40, 2001-01-15 (Released:2008-01-31)
参考文献数
35
被引用文献数
10 20

ペチュニア品種の育種に資するため, 赤花の希少種であるPetunia exserta (2n=14)とPetunia sensu Jussieu (Petunia sensu WijsmanとCalibrachoaの総体)46分類群との交雑親和性を調査した.P. exsertaとCalibrachoaの正逆交配からはさく果が得られなかった.P. exsertaを母親とした場合はP. occidentalisを除くすべてのPetunia sensu Wijsman分類群と交雑可能であったが, 父親とした場合, 交雑可能なのは6分類群に限られ, 本種が一方向不親和性(unilateral interspecific incompatibility)を示す場合の多いことが判明した.P. exserta×P. axillaris subsp. axillarisのF2世代は赤花個体を分離したが, P. exsertaに最も近い発色をする個体にはP. exsertaの主要色素であるdelphinidin配糖体が優位に存在し, 従来の赤花とは異なる機作によって赤色を発現させる可能性が示唆された.
著者
金 恩一 藤井 英二郎 安藤 敏夫
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.139-144, 1994-03-31
被引用文献数
3 6

緑地の視覚心理的効果を明らかにするため,植物の視覚的要素の一つである色彩に着目し,それと眼球運動,脳波との関係について検討した。視覚対象としては,ペチュニアの6品種(紫,赤,ピンク,サーモンピンク,黄,白)と花のないペチュニアそれぞれを面的に広がる形で被験者の前に提示し,そのときの眼球運動をトークアイで,脳波を脳波計によって測定した。その結果,眼球運動と脳波の間にある種の関連性をみることができた。また,既報の色布を用いた実験と比較した結果,男女差については緑色を除いて他の色では類似した傾向を得ることができた。
著者
安藤 敏夫 内橋 貴之 福森 義宏 福間 剛士 古寺 哲幸 紺野 宏記 ウオング リチャード 村上 聡 小椋 光 豊島 陽子 神取 秀樹
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2012-05-31

三つの課題に取り組んだ。課題1では、既に確立した高速AFMを利用して多様な蛋白質系で起こる動的プロセスを観察し、機能メカニズムに迫るとともに、従来技術では困難な天然変性蛋白質の構造解析が高速AFMで可能であることを実証した。課題2では、振動を起こさずに広域を高速走査する技術やイメージング中に試料を操作可能なインターラクティブ高速AFMを開発し、その有効性を実証した。また、カンチレバー走査方式の高速AFMと蛍光顕微鏡との複合機を開発し、蛍光像と高速AFM像の同時取得を実現した。課題3では、非接触観察可能な走査型イオン伝導顕微鏡の高速化に向け要素技術を開発し、約100倍の高速化に成功した。
著者
國分 尚 安藤 敏夫 光山 修司 渡辺 均 塚本 達也 Marchesi Eduardo
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.26-39, 2002-01-15
被引用文献数
1 1

南米ウルグアイの102地点から採集したPetunia axillarisの種子より植物を育て, 園芸的に重要と考えられる3つの花器形質と7つの栄養器官形質を計測し, その変異幅を調査して, 有用と考えられる形質の集中する地域を抽出した.両形質の多くについて, 亜種axillaris, 亜種parodiiおよび2種の中間型の間に有意差がみられた.各群落は株の高さ, 株の幅, 開花時の側枝数の3形質を用いたクラスター分析により次の6つの形態型に分類できた.1)直立・高性, 2)中間型, 3)コンパクト, 4)粗放, 5)小型・ほふく性, 6)大型・ほふく性.これらの形態型と自生地の環境, 特に河岸, 海岸の群落について考察し, また種内分類群との関連についても述べた.さらに園芸的に利用可能と思われる形質をもつ群落とその育種における有用性について考察した.
著者
安藤 敏夫 内橋 貴之 渡辺 琢夫
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2008-05-12

分子・細胞で起こるダイナミックな現象を高解像で直接可視化できる高速原子間力顕微鏡を世界に先駆けて完成させた。その結果、いくつかの機能中のタンパク質分子の動的構造変化や動的分子プロセス、生きた細胞で起こる動的現象を撮影することに成功し、この新規顕微鏡の有効性、革新性を実証した。
著者
安藤 敏夫 上田 善弘 橋本 悟郎
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.17-26, 1992-02-25
被引用文献数
5

Petunia属の今後の研究に資する為,Calibrachoa属を含めた広義のPetunia属を記載した文献,71編を集め,最新の記載に従って配列し解析した.文献には,64種類の種名が認められ,それらはFries(1911),Wijsman and de Jong (1985)およびWijsman(1990)に従って7グループに類別できた.そのうち,およそ40種類の種名は,採用可能なものであったが,いずれも今後の検討を必要とした.いくつかの種名に対しては,手続き上の誤りが認められた.ブラジル,ウルグアイ,アルゼンチン,パラグアイ及びボリビアに於けるPetuniaの分布がまとめられ,各国,各州に分布する種数が推定された.それぞれの種に対して,タイプ標本の種類とその存否が検討された.