著者
野田 章子
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.332_1, 2016

<p> 本研究の目的は、小学校の「総合的な学習」等で実践できるアフリカの舞踊学習教材の開発である。現在「体育」で学習する外国のフォークダンス教材は、欧米の舞踊に偏った傾向がありそれ以外の国のものはほとんど取り上げられていない実情がある。特にエチオピアを含むアフリカの舞踊に関してはほとんど実践された事例がない。本研究で扱ったエチオピアは、アフリカで3000年の間独立国として自国の歴史を築いてきた貴重な国であり独自の文字や宗教が現存している。また80以上の民族と100を超す言語、複数の宗教を有する国であり、舞踊にもその多様性が反映されていて多くの研究者からその研究価値が指摘されている。これらのエチオピア民族舞踊の特徴を踏まえ本研究では、エチオピアの東西南北に調査地を選定し、現地での詳細なフィールドワークにもとづく舞踊学習教材の開発を試みた。本発表では、中央、西、南の地域をとりあげ作成したデジタル教材(web教材)の内容について報告する。</p>
著者
細谷 洋子
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.69, pp.55_2, 2018

<p> カポエイラとは、350年ほど前にブラジルで創出されたアフリカ系ブラジル文化固有の格闘技である。これまで報告者は、児童、生徒、学生を対象に、数回のみの体験授業(45分~90分)ならびに正課授業(90分×15回)における、カポエイラを教材とした授業を実践してきた。これらの授業では、知識による理解だけでなく、学習者自身の身体を介した体験的な文化理解を目指した。これまでの実践を振り返ると、授業では、カポエイラにおいて不可欠の民族楽器による演奏や合唱を必ずおこなっており、それによって文化的な文脈の場が再現されていた。そのようなカポエイラ固有の実践形式や、組手中の駆け引きは、学習者間のコミュニケーションの促進に役立つと見受けられた。また、学習者は非日常的な雰囲気の中、「楽しさ」を伴う情動的な活動を体験し、文化としてのカポエイラについて深い理解がもたらされたようであった。しかしながら、教育目的、学習内容・方法、学習者のニーズ等を踏まえた教材化における改良の余地があり、課題も多い。そうしたカポエイラの教材化の現状について報告する。</p>
著者
松本 奈緒
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.68, pp.274_2, 2017

<p> 近年、教員養成課程を持つ大学において、教員免許取得希望の学生の省察力や反省的思考力の育成が重要視されている。省察とは授業の振り返り活動のことであり、教育活動を確立した教授技術を適用する営みとして捉えるのではなく、教育の複雑な状況下で問題解決を行った自己の実践を省察的に振り返り解決策を求める営みとして捉える。将来、反省的思考活動を含めて活動を行える教師になるために、省察活動を含めた様々な活動が教員養成課程を持つ大学で試みられ、保健体育分野においてもいくつかの実践例が行われている。本研究では、大学の学部における模擬授業を含めた授業の中で省察活動を行い、その省察内容がどのような特徴を持つのか、また、学生の2年次と3年次ではどのように省察内容が深まっていくのか明らかにすることを目的とする。研究の結果、以下の点が明らかとなった。2年次に関しては、声の大きさや話し方、単調に進行するだけの授業への反省、時間配分の不足、教材そのものに関する感覚的な把握に関する省察があった。3年次に関しては、めあてに関する意識、生徒の行動に対するリアクション、自己評価と他者からの指摘のズレの認識に関する省察があった。</p>
著者
松本 奈緒
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.69, pp.239_1, 2018

<p> 学校体育におけるダンス領域は、イメージをとらえた表現や踊りを通した交流を通して仲間とのコミュニケーションを豊かにすることを重視する運動である。中学校の体育教諭がダンスの授業実施にあたり何を問題として捉えているのかという調査において、苦手意識を持つ生徒や恥ずかしさを感じる生徒への指導や働きかけとの回答もあり(松本、2013)、中学校段階のダンスの実施に関して生徒がダンスをどう捉えているのか実態を把握することの重要性が指摘できる。そこで本研究では中学生を対象とし、ダンス領域に対する嗜好・イメージを明らかにすることを目的とした。本研究の対象は中学校1年生、全138名(男子65名、女子73名)であり、研究方法は質問調査紙法による回答とした。研究の結果、以下の点が明らかとなった。ダンスの嗜好に関しては、ダンスを好きと回答したのは全体の58.0%(男子43.1%、女子71.2%)、嫌いと回答したのは全体の16.7%(23.1%、女子11.0%)であった。またダンスのイメージについては、楽しそう、かっこいい、リズムにのって踊る、激しく踊る、全身で表現という回答があった。</p>