著者
井関 邦敏
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.5, pp.1253-1258, 2012 (Released:2013-05-10)
参考文献数
9

慢性腎臓病(CKD)は腎機能(糸球体濾過量:GFR)を中心とした分類であったが,アルブミン尿(albuminuria:A)が追加され腎臓病の原因(cause:C)と併せてCGA分類(仮称)に変更された.3カ月以上持続する慢性の病態であり,予後(死亡,心血管障害,末期腎不全など)と密接な関連がメタ解析で証明され,ヒートマップとして示された.高齢者に多いステージ3が3a,3bに細分化された.
著者
三浦 聖史 下堂薗 恵
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.2, pp.283-288, 2019

<p>脳やシナプスは可塑性を有することが明らかになり,そのメカニズムの解明を背景として,脳卒中リハビリテーションには,訓練の量,頻度ならびに課題特異性という3つの要素が重要であるとの知見が蓄積され,推奨されるようになった.脳卒中急性期では,早期離床により廃用症候群を予防するとともに,早期にADL(activities of daily living)を向上させることが重要である.さらに,回復期ではCI療法(constraint-induced movement therapy)や促通反復療法といった療法士の指導や徒手による運動療法を軸として,電気刺激や振動刺激等のさまざまな物理療法や非侵襲的脳刺激法(non-invasive brain stimulation:NIBS),リハビリテーションロボットを併用し,患者の運動意図を正しく実現し,反復することが,患者アウトカムを向上させると考えられる.超高齢社会の我が国における回復期リハビリテーションでは,アウトカム実績とその効率性が求められており,さらに,近い将来における再生医療の実用化に向け,効果的かつ効率的なリハビリテーション治療の発展がますます必要とされるであろう.</p>
著者
山田 健太郎 成冨 博章
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.90, no.4, pp.607-612, 2001-04-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
6

コハク酸スマトリプタンはセロトニン受容体の選択的なアゴニストで, 1990年代から海外で広く使用されるようになった片頭痛治療薬である.我が国では2000年1月から皮下注用製剤の使用が認可されている.本剤は,前駆症状期,前兆期に投与して頭痛発現を阻止しようとする従来の治療薬とは大きく異なり,頭痛増強期に投与して強力な頭痛抑制効果が得られる.作用機序に関する研究は片頭痛の病態解明に大きく貢献している.
著者
岩本 愛吉
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.9, pp.2425-2436, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
3
著者
浅野 浩一郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.6, pp.1149-1155, 2019-06-10 (Released:2020-06-10)
参考文献数
8

標準的治療でコントロールできない喘息を重症(難治性)と判定する前に,本当に喘息か,正しい薬物療法を行っているか,併存症は適切に管理されているか,増悪因子は同定され排除されているかを確認する必要がある.一方,末梢血好酸球数や呼気NO(nitric oxide)濃度等の2型炎症バイオマーカーが上昇している場合には,アスピリン喘息(aspirin-exacerbated respiratory disease:AERD)や好酸球性副鼻腔炎(eosinophilic chronic rhinosinusitis:ECRS),アレルギー性気管支肺真菌症(allergic bronchopulmonary mycosis:ABPM),好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:EGPA)等の鑑別が重要である.
著者
黒川 清
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.89, no.12, pp.2407-2409, 2000-12-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
14
著者
松枝 啓
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.85, no.7, pp.1085-1097, 1996-07-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
7

吸収不良症候群と蛋白漏出性胃腸症を来す疾患において経腸栄養療法を合理的に施行し治療効果をあげるためには, 1)吸収不良症候群と蛋白漏出性胃腸症の病態に適合する経腸栄養剤を選択し, 2)経腸栄養療法の合併症を予防し,そして3)患者の苦痛を軽減するための器具の選択に留意することなどが必要となる.とくに,病態に適合する経腸栄養剤の選択では,各種栄養剤の組成の相違を把握するのみならず3大栄養素の消化吸収の病態生理を考慮して栄養剤の選択を行うことが重要である.このような観点を考慮して,吸収不良症候群と蛋白漏出症候群における経腸栄養療法を解説した.
著者
柳瀬 敏彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.8, pp.1557-1563, 2006-08-10 (Released:2009-03-27)
参考文献数
12

副腎皮質クローン化細胞からの副腎組織の再生の報告やES細胞でのSF-1の恒常的発現によるprogesterone産生の報告を認める. 骨髄細胞のステロイド産生細胞への分化能については未知数であったが, 我々は長期培養骨髄細胞へのアデノウイルスによるSF-1の強制発現により, 副腎皮質刺激ホルモン (ACTH) に反応しde novo に多様なステロイドホルモンを分泌するステロイド産生細胞の創出に成功した. この発見は, ステロイドホルモン欠損症に対する自家細胞移植療法の第一歩となる可能性がある
著者
布施 一郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.88, no.6, pp.1040-1047, 1999-06-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5
被引用文献数
1

薬剤性造血障害のうち,薬剤起因性の貧血は赤血球のみが減少するものと,汎血球減少を呈するものの二つに分けられる.前者の代表は免疫性溶血性貧血と赤芽球癆であり,後者の代表は二次性再生不良性貧血,治療関連骨髓異形成症候群,白血病である.血液疾患のほとんどが薬剤によって惹起されうるので,これらの病因及び主な起因薬物を把握することが臨床上重要である.
著者
綿田 裕孝
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.9, pp.2110-2115, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
8
著者
上村 直実
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.3, pp.464-467, 2006-03-10 (Released:2009-03-27)
参考文献数
10
著者
一ノ瀬 正和
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.93, no.4, pp.794-799, 2004-04-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
20

気道過敏性の亢進とは,わずかな刺激物質の吸入で,気道狭窄をきたすことで,気管支喘息の重要な病態の一つである.この亢進には気道平滑筋,自律神経系,気道上皮,微小血管,炎症細胞等多彩な細胞群が関与しており,それぞれの制御が喘息治療に繁がる.慢性閉塞性肺疾患(COPD)でも気道過敏性亢進が認められるが,これは予め気道が狭窄しているという物理学的因子によるもので喘息とは機序が異なる.
著者
高尾 芳樹
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.8, pp.1839-1846, 2014-08-10 (Released:2015-08-10)
参考文献数
11
被引用文献数
1

認知症の治療において,薬物療法は主役の一つであり,その選択肢を増しているが,根治治療薬を持たない現状では,認知症リハビリテーション等の非薬物療法への期待も大きい.しかし,既存の認知症リハビリテーションの介入技法に対してのエビデンスは低く評価されている.そのような背景の中,新たな介入技法が開発され有効性が示されてきており,また,介入技法に因らない新たな視点による有効性の評価も試みられている.
著者
中島 聡志 青島 朋裕 倉信 達臣 本橋 伊織 片山 順平 上田 剛士 神谷 亨
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.5, pp.887-893, 2016-05-10 (Released:2017-05-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1

25年来の統合失調症の既往があり,入退院を繰り返している54歳男性が,常用薬の自己中断により異常行動を引き起こし,その後に昏迷・発熱を来たした.悪性症候群と悪性カタトニアの鑑別に苦慮したが,悪性カタトニアの治療的診断として少量ベンゾジアゼピンの投与を行い,症状の改善を認め,悪性カタトニアと診断した.
著者
横川 直人
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.10, pp.2960-2965, 2011-10-10
参考文献数
31
被引用文献数
2

ヒドロキシクロロキンは,半世紀以上前に初めて承認されて以降,日本を除く全世界70カ国以上で皮膚エリテマトーデス,全身性エリテマトーデス,関節リウマチの治療薬として承認され,世界的な標準的治療薬として,教科書や欧米のガイドラインには必ず記載されている.日本では過去に抗マラリア薬は存在したが,適切な使用方法が周知されなかったことによるクロロキン網膜症の懸念より昭和49年より一剤もなくなり,ヒドロキシクロロキンは開発されることはなかった.日本にSLEの標準的治療薬がないことに危惧した著者らは,2009年に日本ヒドロキシクロロキン研究会を結成し,未承認薬の開発要望書を提出した.その結果,2010年11月の未承認薬・適応外薬検討会議において,本剤の医療上の必要性が正式に認められ,製薬企業に対して開発要請が出された.2012年より,産官学の協力により全身性エリテマトーデスおよび皮膚エリテマトーデスの患者を対象に製薬企業による本薬の開発治験が行われる.稀だが重篤な副作用である網膜症を生じさせないためにも,本治験後の国内承認を待ち,本剤の個人輸入は控えることが肝要である.<br>