著者
矢島 美寛
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:24321982)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.281-294, 2001-12-14 (Released:2017-04-08)
参考文献数
53

This paper provides a survey of long memory models and their applications in economic and financial time series. Section 2 describes the definition of long memory models, particularly two popular models, ARFIMA and FGN. Section 3 describes unit roots tests and cointegration, two major topics of the recent decades in theoretical and applied econometrics. Section 4 discusses a generalization of unit roots tests and cointegration to long memory models. Section 5 describes ARCH models and SV models which have been paid much attention to analyze volatility in actual financial data. Section 6 considers a generalization of these volatility models to those with long memory properties. Finally Section 7 considers some problems to be solved in future.
著者
宮武 勇登
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:24321982)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.15-22, 2018-09-26 (Released:2018-12-26)
参考文献数
35

Continuous stage Runge-Kutta (CSRK) methods, which were introduced around 2010, are a framework of iterative numerical methods for solving ordinary differential equations. It turned out that some CSRK methods preserve some underlying geometric structures of differential equations, such as symplecticity or energy-preservation of Hamiltonian systems. This paper reviews CSRK methods and their recent developments with emphasis on their structure-preservation properties.
著者
竹内 泉 真野 健
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:24240982)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.23-45, 2012-03-25 (Released:2017-04-08)
参考文献数
7

情報を秘匿するプロトコルの中には,確率変数によって秘匿性が保証されるものがある.そのようなプロトコルに対して,公理的体系の中で情報の秘匿性を証明することを目的とする.そのための,確率変数を扱うことの出来る公理的な論理体系を設計する.本稿では例題として簡単な秘密分散法及び暗号学者の会食問題を採り上げ,そのプロトコルの情報の秘匿をこの論理体系によって証明する.
著者
真尾 朋行 奥富 秀俊 梅野 健
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:24240982)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.383-394, 2019 (Released:2019-12-25)
参考文献数
12

概要. カオスを定量化する指標として,リアプノフ指数が一般的に用いられる.一方で,リアプノフ指数と同等の指標として情報理論の観点から提案されたカオス尺度は,データのみから計算できることを利点とするが,リアプノフ指数と差があることが報告されており,カオスの判定に注意を要する場合がある.本稿では両者の差について情報理論的に解釈するとともに,その差分を修正したカオス尺度について提案する.
著者
川越 大輔
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:24321982)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.16-23, 2020-12-22 (Released:2021-03-31)
参考文献数
18

Optical tomography is a new medical imaging technique which makes use of near infrared light, and it is mathematically modeled as an inverse problem to determine a coefficient in the stationary transport equation from boundary measurements. In this paper, we show two results on regularity of solutions to the direct problem of the stationary transport equation. The first result is to describe discontinuity of the solution which arises from discontinuous points of the incoming boundary data, and we show the exponential decay of a jump of the solution on a discontinuous point. The decay gives an idea for solving the inverse problem. The second one is to give a W1, p estimate of the solution to the direct problem in two-dimensional cases. Here, the exponent p has an upper bound pm, which is a real number depending only on the shape of the domain. This estimate is crucial when we solve the direct problem numerically with the discrete-ordinate discon-tinuous Galerkin method.
著者
田中 久稔
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会年会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.120, 2002

株価や為替レートなどの資産価値の変化分率が、正規分布に比べてより厚い裾野(Fat Tail)を持つことは古くから指摘されている。(Manderbrot 1963, Fema 1965)。この性質を説明するために、いままでにもいくつかのモデルが提案されてきた。それらはいずれもエージェントの行動あるいは市場の構造に特殊な仮定を追加することにより、モデルを大数の法則や中心極限定理から解放するという方針を採っているように見受けられる。<br>この論文では、非線形や局所的相互作用を持ち込まないシンプルなモデルであっても、Fat Tail 分布の再現が可能であることを示す。このモデルの本質的な仮定は、以下の二つである。:〈投資決定の独立性)多数の投資家が存在し、それぞれが他の投資家や前期の自分の決定から独立に投資決定を行う、(ワルラス型価格調整〉資産価値は、その資産に対する超過需要に比例して変化する。すなわち、t期における価格変化を&Delta;S<sub>t</sub>,超過需要ED<sub>t</sub>をとれば、Pを調整パラメーターとして&Delta;S<sub>t</sub>=<sub>P</sub>ED<sub>t</sub>となることを仮定する。したがって、この仮定から導かれるモデルは中心極限定理の支配下にあり、そのダイナミックはガウス仮定によって記述されることになる。しかしそれにもかかわらず、比較的ゆるい条件のもとで、このモデルを用いて変化率の Fat Tail分布を再現することが可能である。まず、導かれたモデルを Fokker-Plank 方程式と呼ばれる線形編微分方程式に変換することにより、価格の調整速度パラメーターがある水準を越えると価格過程の定常分布が単峰形へと変化することが証明される。次に、具体例の計算機シミュレーションにより、双峰形定常分布を持つ価格過程が、定常分布の一方の峰から他方へと頻繁に飛び移ることを観察する。ある定常状態からもう一方の定常状態へと遷移する過程において、資産価値の大きな変化率が生じ得るのである。
著者
今 隆助
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:24321982)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.112-119, 2015-09-25 (Released:2017-04-08)

Periodical cicadas are known for their perfectly synchronized prime number emergences of either 13 or 17 year period. One of th eexplanations for the prime periodicity is that the prime periods are selected to prevent cicadas from resonating with predators with submultiple periods. This paper considers this hypothesis by investigating a population model for periodical predator and prey. The study shows that if the periods of the two periodical species are not coprime, then the predator cannot resist the invasion of the prey. On the other hand, if the periods are coprime, then the predator can eradicate the prey. These results suggest that prime number periods are disadvantageous under periodic predation pressure. Numerical investigations illustrate a non-coprime case where both populations coexist.
著者
桂 利行
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:24321982)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.71-74, 2004-03-25 (Released:2017-04-08)
参考文献数
3
著者
松葉 育雄
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:24321982)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.192-208, 1995-09-18 (Released:2017-04-08)
参考文献数
22
被引用文献数
1

不規則に変動する成分をランダムノイズとする統計的手法に従う時系列データ処理法に対し,カオスの発見以来,確率的成分を有しない非線形ダイナミクスが内在するメカニズムのみから不規則な様相を見せることが明らかにされ,不規則データのモデル化に関して従来と異なるアプローチが要求されるようになってきた.実際,カオティックな時系列データに対して統計モデルよりも非線形なモデルを基礎にした決定論的な方式が優れていることが示されるようになってきた.本稿では,カオスモデルだけではなく実際的な例を通してニューラルネットワークを予測の道具に用いた非線形予測の可能性を議論する.
著者
河村 遼
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:24240982)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.163-176, 2020 (Released:2020-06-25)
参考文献数
7

概要. 枢軸選択付きQR分解は特異値分解に比べ低ランク近似として精度が悪いことが知られている.しかし計算量が特異値分解に比べて少ないので使われることも多い.本論文ではm × n(m ≥ n)の行列をrankがr行列に近似するときの枢軸選択付きのQR分解の打ち切り誤差の最小上界をr=n-1の場合にのみ正確に見積もったのでこれを紹介する.