著者
西尾 成子
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.73, no.8, pp.585-587, 2018-08-05 (Released:2019-03-12)
参考文献数
10

歴史の小径廣重 徹『物理学史I,II』出版50年にあたって―廣重の物理学史研究をたどる―
著者
岡本 拓司
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
大学の物理教育 (ISSN:1340993X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.10-14, 2019-03-15 (Released:2019-04-15)
参考文献数
16

1.はじめに2019年から数えれば51年前,約半世紀前となる『物理学史I,II』の刊行された1968年,廣重徹(1928-1975)の所属する日本大学(日大)や,東京大学(東大)は,学生紛争の渦中にあった.

1 0 0 0 OA KAMIOKANDEのこと

著者
小柴 昌俊
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.332-336, 1996-05-05 (Released:2008-04-14)

早いもので日本物理学会が独立してから50年になるそうで, 振り返ってみると私が第一高等学校の理科甲類一年だったのですから, スケールは勿論違いますが, 苦楽を共にしてきたような気がします. この50年をふりかえる特別企画のなかで, 唯一つの単独実験としてKAMIOKANDEが取り上げられたことは, この実験に関与した総ての人々にとって大きな名誉と喜びです. それではKAMIOKANDEは何を達成したのでしょうか? 以下に他の分野の方々にもご理解いただけるように述べてみたいと思います. まず挙げるべきは「ニュートリノ天体物理学観測の創始」であると, 国内外で認められています. 透過力がきわめて大きい素粒子ニュートリノが星の生涯で果たしているであろう役割については早くから知られており, 天体からのニュートリノを観測することの重要性も指摘されていました. 米国では20年以上も前から地下深い所に37CIを含む多量の液体検出器を設置し, 太陽から降り注いでいる筈のニュートリノが37CIを37Arに変換したのを月に一度位の割合で抽出し検出する方法で観測をつづけ, 太陽からの電子ニュートリノは理論値の三分の一くらいしかないという結果を報告しています. しかしこのような放射化学的方法では入射したニュートリノの到来時刻, 到来方向は不明ですし, またエネルギースペクトルもわかりません. Keplerの昔から天文観測には到来信号の時刻と方向を知ることが不可欠です. また天体物理的観測, たとえば表面の温度や元素比, には更に信号のエネルギースペクトルを知らなければなりません. KAMIOKANDEはこれら三つの条件をみたす方式で天体からのニュートリノを観測したので, ニュートリノ天体物理学観測を創始したとされているわけですが, この実験がどのようにしてはじまったか, また透過力が極めて大きく, レンズも反射鏡も遮蔽も使えない天体ニュートリノの観測をどのようにして達成したかに入りましょう.
著者
長谷田 泰一郎
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.40, no.11, pp.897-906, 1985-11-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
29

計算物理実験とはどんな実験なのか, これ迄, 現実の時間空間の中で現実の物質を対象に実験をしてきた一人の実験家があらためて考え直してみた感想と意見と提案が述べてある. 計算物理実験は仮想的な系についての実験を可能にするわけで, この事は物理学の中で実験も理論も何が目標であるのかを問い直されることになる. いずれも自然の論理構造の新しい発見が目標なのであって, その為にそれぞれはどのように役目を分担しているのか. 研究課題の具体的な分類学を試みてある. また温度バルクハウゼン効果と名付けている未解決の現象についての本当の実験と計算機シミュレーションを平行して行い, 相互比較の中から計算物理実験の今後の方向を探ってみる.
著者
中村 宏樹
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.829-834, 1996-11-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
26
被引用文献数
2

非断熱遷移は物理・化学・生物の様々な分野で顔を出す状態変化あるいは相変化の重要な基本メカニズムの一つである. その理論的研究は1932年のLandau, Zener, Stueckclbergによる先駆的仕事以来長い歴史を持つが, 多くの未解決な問題が残されたままであった. 最近我々は, 60有余年にして初めてこれら未解決な問題を解決するとともに, 実用上便利でコンパクトな諸公式を導出することに成功した. 例えば, 有名なLandau-Zener公式と同程度に簡単でありながら, それより遥かに精度の良い公式が求められた. しかも, 新しい定性的現象も見出されており, 将来この新理論は各種非断熱遷移現象の解明に大いに役立てられるものと期待される.

1 0 0 0 OA Jahn-Teller効果

著者
上村 洸 小出 昭一郎
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.16, no.7, pp.436-446, 1961-07-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
17
著者
永長 直人
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.520-529, 2004-08-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
47
被引用文献数
3

物理学における幾何学の役割は対称性の問題と並んで今日も理論物理学の中心的な興昧であり続けている.一方で近年,固体中の電子輸送現象に現れる量子力学的な位相-ベリー位相-の役割がいろいろなところで認識されるようになってきた.ベリー位相は,量子力学における幾何学の役割を考えるうえで,最も基本的なものである.この解説では,その基礎概念,過去の仕事,そしてわれわれの研究を中心にその最近の発展について述べたい.