著者
田邊 平學 勝田 千利
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
vol.49, no.594, pp.1-26, 1935-01-05
被引用文献数
1

昭和9年9月21日 關西地方大風水害に際し、著者等は狩野春一、神谷六美の兩氏(別項兩氏論説参照)と共に東京工業大學より出張を命ぜられ、兼ねて建築學會の調査委員を委囑されて9月22日より約1週間に亘り、大阪・境の兩市を中心に大阪・兵庫・京都の三府縣下に亘つて、主として建築物の被害状況を視察した。本文は前記風水害に關する著者等の視察報告であるが、前半に於いては主として『建築物に及ぼす風の諸作用』と『建築物倒潰の原因』とを説明する目的を以て撮影したる寫眞に依つて風害の特異性を論じ、後半に於ては特に注意して觀察したる所に基いて、今囘の風害に於ける『筋違・控柱の成績』を述べ、更に進んで過去の諸災害に於ける教示をも含めて『筋違・控柱の使用上に就ての注意』を記したものである。追つて昭和9年11月2日建築學會主催關西風水害に關する講演會に於て『筋違・控柱の耐風的効果』と題して著者の1人が講演せるものは本文内容の一端である。今茲に本報告を公表するに當り、公務御多端の際にも拘らず、調査に際して多大の便宜と援助とを與へられたる大阪府建築課長中澤誠一郎氏、兵庫縣建築課長山崎英二氏、京都府建築監督官和田甲一氏を始め三府縣の建築課員諸氏並に各被害學校の校長外職員各位に對して深厚なる謝意を表する次第である。
著者
稲葉 武司
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
vol.109, no.1353, 1994-02-20

今日,世界は様々な局面で大きな転換期にあり,建築職能,建築教育への社会の要求もまた変化が急である。この会議の目的は,昨年,本会と米国建築教育協会(ACSA)との間に協力協定が結ばれたのを機会に,日米の建築教育関係者がこの転換期について意見を交わすことにより,互いに状況を把握し国際協力の可能性を探ることにある。主旨説明は稲葉武司(共立女子大学),司会は山田弘康(横浜国立大学),岸本雄二(クレムソン大学)の日米2名によりすすめられた。
著者
多賀 直恒 富樫 豊 宮崎 正
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
no.324, pp.95-103, 1983-02-28

長周期微動観測によって地盤振動特性を評価する際に, 例えば, 得られた卓越周期が何に依存し, いかなる意味を有すのかを明確にする必要がある。そこで, 岩盤露頭のサイトからたい積層厚が2km程度のサイトまでの測線上の観測と, それらの結果を別の観点から補填する意味で空間的に広く分布する岩盤露頭の四サイトで固定観測も平行して実施した。既報の結果をも踏まえて, 本観測で得られた結果を以下にまとめる。1)たい積層厚が深くなるのに対応して, 水平動成分の卓越周期は1.5秒〜5秒まで伸長する。2)岩盤あるいはそれに等しいサイトではスペクトルは一か所で卓越し, 波浪を振動源とした時の周期と関連性が高いと考えられる5秒前後の卓越周期のみが現れる。3)たい積層厚が数百m程度のサイトまではスペクトルは二か所で卓越し, 振動源効果に依存する特性と地盤固有の振動特性の両方が現れていると考えられる。両者の卓越振動数にかなりの差がある時に, 明確な連峰型のスペクトル形状を示す。4)たい積層厚が2km程の深いサイトではスペクトルは一か所で卓越し, 振動源効果に依存する周期特性と共有する周期域(5秒前後)で地盤が卓越している。大型台風通過時の観測結果からも, 5秒前後が地盤の卓越周期と考える。5)空間的に広く分布する岩盤上での固定観測によれば, 水平動成分と上下動成分の卓越周期の値は, 互に良く似た値であり, また, 観測サイトどうしで比較的似た値である。そして, 波浪の周期特性と密接な関係がある。6)卓越周期・地盤構造と台風という関連では, スペクトル中の振動源効果に依存する部分が台風の影響を反映して変化しているものと考えられる。さて, 長周期微動の周期特性などが徐徐に解明されてきた。これからは, これまでに得られた結果や既往の研究をもとに, 数kmにもおよぶ地盤構造の推定やそれに基づく地盤の卓越周期の確認, そして地震工学への応用という観点から長周期微動特性と地震動特性との比較, あるいは数値実験的な面からの検討を目ざしたいと考える。
著者
腰原 敏夫
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
vol.100, no.1231, pp.56-57, 1985-03-20

構造委員会仮設建築物小委員会によるパネルディスカッションは,標記のテーマについて,大会第1日(10月14日)午後3時より,横浜国大の工202教室において開催された。司会は内山和夫(東北大),副司会は小林栄治(日本鋼管)が担当した。小林による開会の辞の後,主旨説明を内山が行い,続いて主題解説を坪井善勝(東大),石井一夫(横浜国大),川口衛(法政大),楡木堯(建研)が行った。質疑がなかったため,(社)日本膜構造協会の丸山時男のあいさつの後,石井によりアメリカを中心とした膜構造の実例についてのスライド説明が行われ,最後に海野三蔵(海野建築研究所)がまとめを行った。