著者
遠座 昭 飯沼 清 吉田 智治
出版者
一般社団法人日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.81-87, 1995-04-10

1月17日に発生した兵庫県南部地震は、阪神間の平野部に大きな被害をもたらしたが、被害は周辺の台地、丘陵地にも生じた。筆者らは地震発生の翌日(平成7年1月18日)から平成7年1月25日にかけて、比較的被害の小さかった芦屋市〜宝塚市にかけての六甲山地東南縁の丘陵地において、地震被害の調査を行った。調査範囲には、既往の文献^1)により活断層とされている甲陽断層が北東-南西方向に走り、また台地、丘陵地を開析する谷が発達することから、地形・地盤条件と地震による被害の関連を検討できる資料が得られるものと考えられる。調査地域の全般的な予察踏査を行った後、芦屋から武庫川にかけての地域に甲陽断層に直交する14のルートを選定し(図-1、p.84)、縮尺1:2,500の地形図を用い現地踏査を行い、顕著な地盤変状、家屋ほかの構造物の破壊状況および道路面に見られる顕著なクラックの分布や形状等について調査した。ここでは、上記調査結果のうち、主に地形や地盤条件に大きく影響されて生じたと考えられる地盤の変状について報告する。なお、調査は(株)建設技術研究所大阪支社、東京支社および福岡支社の地質部員によって行われた。
著者
菅原 捷
出版者
一般社団法人日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, 1997-02-10
著者
亀尾 佳宏 杉村 淑人 竹内 一郎 武田 伸二
出版者
一般社団法人日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.243-248, 2003-10-10
被引用文献数
3 1

現地発生材(掘削残土や河床堆積物)のコンクリート骨材への有効利用を検討するため,昭和33年に建設された砂防ダム堆砂部でハイブリッドボーリングエ法(気泡式ボーリング,以下「HB工法」という)によるサンプリングを行った.調査対象は,過去40年間に堆積した腐植物や粘土,砂,礫などの変化の著しい河床堆積物よりなる.HB工法は,高濃度気泡の安定供給と気泡送圧力の微調整により,地下水位以深での良好なコア採取が可能であり,HB工法によって原位置での堆積状況を示すほとんど乱れのないコアが採取できた.また,これにより堆積層ごとの代表的な区間で,有効な室内土質試験が行え,土木材料への転用の可否が明らかとなった.従来,河床堆積物の分布状況を把握する調査では,トレンチや普通工法によるボーリングが実施されてきた.しかし,調査対象の河床堆積物が厚さ20m以上である場合,トレンチでは深部まで調査を実施することが困難である.また,普通工法によるボーリングでは,コアが乱され精度の高い試料を採取することが困難である.これに対して,HB工法は河床堆積物の分布が厚い場合も,良好なコア採取ができる.河床堆積物の有効利用を検討するうえで,HB工法は有効な調査手段であることが明らかとなった.
著者
中川 正男 中山 義雄 安江 勝夫 上野 将司
出版者
一般社団法人日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.199-211, 1971-12-01

昭和46年7月18日,兵庫県西南部を襲った集中豪雨により相生市周辺で山地崩壊が相ついで発生した.相生市周辺の地質は後期中生代に噴出した流紋岩質溶結凝灰岩より構成される.一般に播磨地方の流紋岩質溶結凝灰岩地域は特異な山容をなし比較的安定した地貌を呈しており,崩壊等の災害は予測できそうもない地域である.この報文は相生市周辺の勾配 30° 以上のいわゆる急傾斜地の崩壊と法面崩壊の現場を観察し,地質状況や崩壊の形態を3つのタイプに分類してその数例を写真でしめしたものである.
著者
和田 卓也 井上 誠 横田 修一郎 岩松 暉
出版者
一般社団法人日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.349-358, 1995-12-10
被引用文献数
10 1

Downward infiltration of rainwater within the Quaternary pyroclastic plateau have been studied by using continuous and automatical survey of electric prospecting and chemical analysis of seepage water from the foot of the plateau. Reduction of apparent resistivity and its downward extension are recognized within the plateau just after the heavy rain. This means the existence of downward infiltration of rainwater. However, the style of infiltration is various, and it seems to be strongly influenced by rainfall condition and surface humus soils. Downward velocity of the infiltration is estimated to be 60 meters/12 hours, and this value is too rapid compared with the well-known value of 1〜3 mm/day. Probably, two types of downward infiltration may co-exist because of cooling joints or pipe structures within the pyroclastic flow deposits. On the other hand, chemical analysis of seepage water shows that the concentration of ions may change depending on that of rainfall. This may support the result mentioned above of the rapid velocity.
著者
加藤 弘徳 千木良 雅弘
出版者
一般社団法人日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.140-150, 2009-08-10
被引用文献数
1 3

四国中部において東西方向の中央構造線南側に平行する法皇(ほうおう)山脈には山体重力変形が生じている.変形は同構造線に沿う約20kmの区間にわたって断続的に発生しており,そのうち複数の区間では山上凹地の発達が認められる.中央構造線側の山脈北側斜面には脆弱な泥質片岩が流れ盤構造をなして分布し,中央構造線の南側の相対的な隆起運動に伴い,この流れ盤斜面が重力作用により不安定化し,斜面が全体的に北に移動するように変形している.一方で,一般に高角断層とされてきた中央構造線は山体変形箇所の下方で特徴的に南緩傾斜となっている.これは,山体変形に起因する荷重が作用した状態で南側隆起の断層運動が生じ深部の高角断層が地表付近で緩傾斜化して出現し,衝上断層となっているためと推定される.このように,山体重力変形と中央構造線の断層運動およびそれに伴う山体の隆起は相互に関係している.山上凹地の内部に分布するかつての湖沼堆積物の構造および年代測定結果から,山体変形は今から5万年以上前にはすでに発生し,山上には湖沼が形成されたが,今から4.5万〜2.4万年前の間に湖沼は決壊し,現在の地形が形成されたことが明らかになった.
著者
渡辺 邦夫
出版者
一般社団法人日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.33-45, 1982-03-30
被引用文献数
3 1

Proper idealization of geologic succession at the depth of Neogene sedimentary basin is indespensable to solve many problems in the field of Engineering Geology such as land subsidence, groundwater flow and stress distribution around deep excavation. A new procedure to idealize the succession by means of Markov matrix and its entropy of stratigraphic columns obtained from bore hole logs is given. As an application of this procedure, Markov matrix and its entropy are calculated from many stratigraphic columns obtained from two core boring logs and non core boring logs of over 300 in the east plain area of Saitama prefecture, Japan, with following results. (1) Markov matrix and its entropy represent well the regularity in the stratigraphic columns. (2) Some regional differences of the regularity are found in the area, and these differences seem to be caused by the regional variation of sedimentary environments. (3) Geologic succession in this area can be simply idealized as the alternation of some thick layers of coarse sediments and those of fine sediments. It has been clear that the procedure is quite useful to idealize the geologic succession under Neogene sedimentary basin.
著者
吉川 恵也
出版者
一般社団法人日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.45-55, 1975-06-30

新関門トンネルは,昭和45年着工し,昭和49年完成した延長18.7km(内,海底区間0.9km)の本州と九州を隔てる関門海峡下を貫く鉄道トンネルである.本論文では,このトンネルの海底区間に焦点を絞り,路線選定の階段より,施工法の策定の段階に至るまでにおこなった地質調査と,その成果の工事への適用,および関門海峡早鞆瀬戸から大瀬戸に至るまでの海底の地質の大略について述べたものである.
著者
林田 精郎
出版者
一般社団法人日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.150-156, 1971-09-01
被引用文献数
1

岩石の強度はそれを構成する鉱物や岩片の粒径と密接な関係があり,最大粒径を Griffith のいう割れ目の長さに対応させることにより岩石の強度論に Griffith の破壊理論を導入することの正当性を立証することができる.また,岩石の強度とヤング率との間に一定の関係があることが理論的にも実験的にも知られたこと,および静ヤング率と動ヤング率とにはその傾向において大きな違いがないことから弾性波速度と強度との間に一定の関係がある,それは,岩相と地質時代を考慮して両者を比較することによつて明らかになった.