著者
吉澤 陽介 日比野 治雄 小山 慎一
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.218-229, 2009-09-01
被引用文献数
4

「青」「青磁色」「ブルー」「セルリアンブルー」といった同一の基本色を含む慣用色名がどの程度弁別されているか、そして基本色とどの程度グループ化されているかを調査した。以下が一連の結果となる。1.慣用色全体の弁別率は53.9%であった。ASTM基準を考慮すると59.5%に上昇した。2.基本色とのグループ率は44.8%であり、各基本色グループのグループ率と弁別率のとの間には極めて強い負の相関が見られた。3.基本色との弁別において有意な差がない慣用色名は、基本色を手がかりとして色選択が行われている。4.慣用色傾向率と認識度との間に正の相関が見られた。また弁別率との間にも同様に正の相関が見られた。5.弁別率、慣用色傾向率、認識度、錯誤度の4指標による主成分分析の結果、慣用色名の「有効度」および「誤認度」が抽出され、79.8%の説明力を持つ。これを踏まえて、有効な慣用色名を明らかにすることができた。
著者
渡辺 明日香 城 一夫 児玉 好信
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.74-84, 2007-06-01
参考文献数
6

前報では、女性服装色における周期性、同調色・相反色の存在について明らかにすることができた。そこで、本報では原宿・渋谷・銀座の3地域の出現色の差異に着目しさらなる考察を試みたところ、以下のことが分かった。第一に、服装色の出現頻度は地域によって異なる。原宿ではブラック、ブルー、レッドの嗜好が高く、渋谷ではブラック、ホワイト、ブルー、ピンク、レッドの割合が高い。銀座はブラック、ホワイト、グレイ、ブラウン、カラードグレイ(アイボリー)が高く、無彩色の割合が服装色の50%以上を占めていることが特徴である。第二に、地域間の相関係数を求めた結果、原宿・渋谷は相関のある色が多く類似の傾向を示したが、銀座は相関のないものが多い。第三に、経年推移によって、類似する地域は変化することが分かった。1994年〜1998年では原宿・渋谷が類似の傾向を示すものが多く、銀座は独自な出現傾向であった。しかし1 999年以後、渋谷・銀座が類似の推移を示すものがみられ、さらに2002年以降は各地域の服装色に独立した傾向が生じている。
著者
若田 忠之 齋藤 美穂
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.147-158, 2015-07-01

本研究ではPCCSトーンおよび音楽の調性の変化に伴う高音の変化に着目し,それらの調和関係と印象次元における関係を検討することを目的とした.実験1では音楽刺激として2つの曲を8つの調性に変化させた刺激および色刺激としてPCCSトーンを用いた.被験者は刺激の印象評価を行い,音楽刺激に対する調和色の選択を行った.その結果,音楽の高さと色の明度の間に関連が見られた.そこで,実験2では音楽刺激の音域を拡げた上で再度検討を行った.その結果,色と音楽に共通する印象次元として,力量性因子,活動性因子が見られた.力量性は明度および音の高さと,活動性は彩度と対応することが示された.活動性因子と対応する音楽の属性は本研究からは明らかにすることはできなかった.音楽の印象は主に高音の変化に伴っており,これらは与えられた刺激の中で相対的に評価されていることが示唆された.本研究からは,"cross-modal研究においてPCCSトーンは感覚間のイメージをつなぐ表象として用いることができる可能性が示唆された.
著者
清井 計弥 山本 信次 森川 収
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.9-15, 2006-03-01
被引用文献数
1

本研究は、メタリック/パール色の粒子感を定量評価するためのハードウェアとアルコリズムを確立することを目的とした。粒子感の定量化は、(1)CCDを用いて試料面を撮像し、(2)画像データを人間が感じるイメージに合わせて加工し、(2)光輝材によってキラキラとした高輝度部分の特徴を抽出して粒子感を求めるという手順で行った。(2)の画像データの加工については、解像度や明るさのスケールを人間の感じるイメージに合わせることで、高い目視相関が得られると考えた。(2)の粒子感の計算については、まず、光輝材によってキラキラとした明るい部分を高輝度部と定義し、粒子怪を3つの物理量、高輝度部明るさ、高輝度部面積、高輝度部の数で表した。これらのパラメータを説明変数とした重回帰式によって目視相関のある粒子感を定量化できると考えた。39種のメタリック/パール塗板を用いて目視相関を検証した結果、高輝度郡明るさと目視粒子感の相関が非常に強く、それ以外のパラメータは相関があまり強くないことが分かった。
著者
槙 究 山本 早里
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.127-139, 1998-11-01
被引用文献数
3 1

似合う色についての理論であるパーソナルカラーシステムについて, その妥当性を検討するために, 胸のところにさまざまな色の布地をあてて, 女子大生6名に印象評価してもらう実験を行った。その結果, 次のようなことがわかった。(1)似合う色の個人差が小さいこと(2)高明度・中彩度色や中明度・高彩度色は, 地味な印象を与える方が似合うと評定されること(3)暗い色は, それ自体では好まれないが, 似合いの評定では, それが改善されること(4)似合う色の個人差は, 髪の色との関連が大きいこと(5)人々をイエローベースの色が似合うグループ, ブルーベースの色が似合うグループに分離できないこと
著者
池田 光男 小浜 朋子 久住 亜津沙 篠田 博之
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.26-35, 2004-03-01
被引用文献数
5

白内障手術を69歳で受けた筆者の一人を被験者として、物の見え方、携帯電話の見え方、および色の見え方を手術前後で検討した。手術前の物の見え方は、たとえば人の顔が判別できないとか、文章中の文字に分からないものがあるとか、あるいはグレアが嫌であるとかの不具合がはっきり経験された。携帯電話については手術前は画面が明るすぎる、画面のなかの区分けがはっきりしないなどの不具合があったが、手術後にはそれらは消滅した。色の見え方については手術後に青色の物体が目立つとか新鮮とかの驚きはあるが、手術前の不具合としては自覚しなかった。しかし光覚感については手術前はそれが高く、照度レベルの低いところで黒っぽい色つきの物体の色が見えないという不具合が経験された。つぎに色の見え方に関する3つの実験を行った。白内障の左眼と眼内レンズの入った右眼とで同じ色に見える白票の決定、JIS標草色票のシートで同じ色に見える全領域の決定、N8の参照刺激と同じ明るさに見える白票の輝度の測定である。いずれの実験でも白内障の眼では彩度が低下することが示唆された。また白内障眼による見えの色は、明るいところでは、青系が大きく黄方向へ、黄系はわずかに青方向へ移勤し、暗いところでは黄系が大きく青方向へ、青系はわずかに黄方向へ移動した。しかしいずれにおいても赤や緑方向への移動は見られなかった。
著者
鳥居 修晃
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.33-37, 1976-03-31
著者
潘 杰
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.232-239, 1999-12-01
被引用文献数
2

多色による感情表現の作品を測定分析して表現要因を検討し,使用色の選択の傾向を調べた。それぞれに対立するテーマを設定して製作された作品を「快」「不快」の二系統に分類し比較した。検討作品は総数14点で,快テーマ作品7点,不快テーマ作品7点である。作品の全体の測色値をまとめて,L ab座標における分布図と全使用色の面積比率図として表して検討して結果,快,不快の表現は三属性のうち主に明度と色相,及び面積比率によることを確認した。