- 著者
-
吉松 浩
山田 光穗
- 出版者
- 一般社団法人映像情報メディア学会
- 雑誌
- テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
- 巻号頁・発行日
- vol.49, no.8, pp.1042-1051, 1995-08-20
- 参考文献数
- 34
- 被引用文献数
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9
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視線は, 一点を注視している場合, 常に微小運動を行い, 不随意眼球運動として固視微動と呼ばれる.不随意運動は, ヒトの身体的・心理的状態を反映する可能性があり, 特に固視微動による視覚的注意や疲労の定量的評価へ, その時に映像のどの部分を注視していたか等の認知レベルの評価と統合し, 視覚情報に基づく感性評価への可能性がある.しかしながら固視微動は, 眼球運動モデルの中で外部雑音として扱われている.本研究では, 固視微動のドリフト成分の両眼間水平方向の相対運動について, フラクタ次元解析を行い, その不規則な実験データの定量的評価が可能であることをデータ点数依存性から示した.さらに, 擬似白色雑音と眼球運動データとの比較, および高速フーリエ変換により, カオスを示唆する1/fスペクトルを得た.固視微動の定量化は, 被験者の心理状態や情動反応の客観的評価の可能性ばかりではなく, 痴呆診断等の医用応用への可能性がある.