著者
吉松 浩 山田 光穗
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.1042-1051, 1995-08-20
参考文献数
34
被引用文献数
9 1

視線は, 一点を注視している場合, 常に微小運動を行い, 不随意眼球運動として固視微動と呼ばれる.不随意運動は, ヒトの身体的・心理的状態を反映する可能性があり, 特に固視微動による視覚的注意や疲労の定量的評価へ, その時に映像のどの部分を注視していたか等の認知レベルの評価と統合し, 視覚情報に基づく感性評価への可能性がある.しかしながら固視微動は, 眼球運動モデルの中で外部雑音として扱われている.本研究では, 固視微動のドリフト成分の両眼間水平方向の相対運動について, フラクタ次元解析を行い, その不規則な実験データの定量的評価が可能であることをデータ点数依存性から示した.さらに, 擬似白色雑音と眼球運動データとの比較, および高速フーリエ変換により, カオスを示唆する1/fスペクトルを得た.固視微動の定量化は, 被験者の心理状態や情動反応の客観的評価の可能性ばかりではなく, 痴呆診断等の医用応用への可能性がある.
著者
中山 弘敬 伊藤 智義
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.34, no.43, pp.53-56, 2010-10-15

同一空間内に複数の投影パターンを記録させるアルゴリズムを開発したので,報告する.2値化された投影パターンの場合,記録可能な組み合わせは限定されるが,本手法では投影パターンに階調を持たせることでこの問題を回避している.本手法は,クリスタル内部にレーザーで加工する3次元クリスタルアートへの応用が可能であり,さらに記録媒体の工夫次第ではカラー化も可能である.
著者
鈴木 将平 山本 和彦 加藤 邦人
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, no.34, pp.63-66, 2009-08-27

携帯電話のカメラ機能としてテキストリーダーがある。しかし、対象にカメラを合わせようとすると、自分からはカメラのついている位置を正確に把握することは難しく、対象にカメラを合わせにくいという問題がある。そこでユーザーが指先に小型カメラをつける「ネイルカメラシステム」を提案する。また、文字認識機能をこのシステムで実現する際の問題を解決するための特徴選択の考察を行い、特徴抽出として有効であるベクトル表現型四方向面特徴抽出法について述べる。
著者
朝倉 慎悟 村山 研一 蔀 拓也 斉藤 知弘 渋谷 一彦
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.37, no.39, pp.9-12, 2013-09-06

NHKでは,スーパーハイビジョンなどの大容量コンテンツのサービスを次世代の地上放送で実現するために,大容量無線伝送技術の研究を進めている.これまでに,偏波MIMO伝送の誤り訂正にLDPCブロック符号を適用するとともに,伝送システムの所要C/Nを低減する復号方法を検討・報告してきた.1024QAM, 4096QAMといった超多値QAMでの伝送において信号を安定して受信する為には,誤り訂正符号の高性能化を行い,伝送システムにおける所要C/Nの更なる低減が求められる.そこで,LDPCブロック符号の誤り訂正能力を凌駕することが知られている空間結合LDPC符号の検査行列を新たに試作し,偏波MIMO-超多値OFDM伝送への適用を計算機シミュレーションによって検討したので報告する.
著者
岡本 幹彦 松永 英一
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア = The journal of the Institute of Image Information and Television Engineers (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.66, no.11, pp.913-919, 2012-11-01
参考文献数
5

視聴者の皆さんにテレビ放送を快適にご覧いただくために,国際標準化されたラウドネス測定法を用いて番組の音の大きさ(ラウドネス)を管理する"ラウドネス運用規定"を,国内のテレビ放送に導入する.本稿では,国内ラウドネス運用規定策定に至った経緯とその仕組み,NHKと民放連における取組みと運用ルールについて紹介する.
著者
上原 年博 真島 恵吾 小川 正一郎
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.49, no.11, pp.1522-1528, 1995-11-20
被引用文献数
8

磁気記録では, 記録過程において非線形歪みが発生する.この非線形歪みは, 記録信号のパターンに応じて, 磁化遷移点の位置がシフトする位相歪みと磁化遷移点の磁化量が変化する振幅歪みに分けることができる.この非線形歪みは, ディジタル記録において誤り率を劣化させる一要因になっており, この定量的な測定と解析が重要な課題となっている.本論文では, まず非線形磁化遷移点シフト量を記録再生系のダイパルス応答から正確に求めることができる新しい測定法を提案する.次に, この測定法を用いてMPテープとCoアモルファスヘッドを組合せて, 記録電流の振幅レベル, 最短符号反転長, 記録電流の低域抑圧度を変化させたときの非線形磁化遷移点シフト量を測定した.その結果, 非線形磁化遷移点シフトは, 最適記録電流の50%以上で現れ増加すること, 直前の磁化遷移点までの距離が0.5μm以下で増加すること, 非線形磁化遷移点シフト量を最小とする記録電流の低域抑圧度が存在することがわかった.
著者
中嶋 正之
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.38, no.39, pp.33-36, 2014-09-25

本報告では、主に中嶋が所属するウプサラ大学におけるゲーム関係の教育と、スウェーデンで盛んになっているゲーム産業の一端を紹介する。ウプサラ大学のゲームデザイン学科は、スウェーデンを代表するゲーム教育に特化した大学であり、世界におけるゲーム産業への人材育成に貢献している。学科の紹介や、毎年行われる、GGC (Gotland Game Conference)と名づける、本大学独自での独自のイベント、また中嶋の所属するCML (Convergent media Laboratory)では、エンジニアリング教育と研究について紹介する。また最近大きな産業となっているスウェーデンにおけるゲーム産業の現状について紹介する。
著者
石丸 健二
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, no.47, pp.39-41, 2009-11-06

海外の3DCG市場の近年の動向を弊社オリジナル企画海外営業の実績を交えて報告します
著者
光山 和彦 村上 文弘 池田 哲臣
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.36, no.10, pp.53-56, 2012-02-17
被引用文献数
1

ロードレースやゴルフの中継番組において,広いエリアで安定した移動中継を実現する無線伝送システムの研究を進めている.筆者らは,互いに離れた複数の基地局で受信した信号を,光ファイバ無線を利用してスイッチングセンターに集めて1台の受信装置に入力するマクロダイバーシチ受信システムを開発した.開発した受信装置は,各入力信号の遅延時間差をFFT演算前後でリアルタイムに補正した後,受信品質の良好な信号を最大4ブランチまで自動選択してMMSEアルゴリズムで合成する.本受信システムは,基地局の区別なく最適な信号を合成するため,高い回線品質を広いエリアにわたって提供できる.また,使用する機器を大幅に削減できるため,運用性の向上にも大きく貢献するものである.今回,実際の京都駅伝中継番組でカメラバイク映像の地上受信システムとして使用し,全コースの約半分の区間を途切れずに受信することに成功したので報告する.
著者
柴田 賀昭 八木 伸行
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.66, no.10, pp.835-841, 2012-10-01

FIMSは,ファイルベース制作・送出システムに,最新のICT技術を導入することで,放送局の局内システムを従来よりも柔軟な構成にしようとする取組みである.本稿では,放送局における制作・送出システムのこれまでの変遷を概観した後,SOAアプローチに基づくFIMSの狙いを紹介し,続いてFIMS 1.0の内容とその実装事例,そしてFIMSフェーズ2の現状について解説する.
著者
三上 薫 加藤 和昭 砂川 昌志
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.26, no.43, pp.9-12, 2002-06-27
被引用文献数
1

BSジャパンは、BSデジタル放送におけるデータ放送コンテンツを検証する擬似放送設備(テスト系設備)を構築した。データ放送番組の技術的検証を目的に導入したが、運用を開始すると、番組演出面での試写、新規番組の開発支援、放送設備の試験など現業部門で幅広く活用されている。また、本設備は本放送用の放送設備の機能を削ることなく、大幅にダウンサイジングする形で構築したため、検証結果は実際に放送した結果とほぼ等しい。本報告では、テスト系設備導入の背景と設備の概要、運用例について報告する。