著者
藤田 誠
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.802-804, 2015-10-20 (Released:2016-10-20)

本研究は,日本農芸化学会2015年度(平成27年度)大会(開催地:岡山大学津島キャンパス)「ジュニア農芸化学会2015」において発表されたものである.アミガサハゴロモは,半翅目ハゴロモ科に属する昆虫で,本州,四国,九州の常緑照葉樹林に生息し,幼虫・成虫共に主にカシ類の葉や茎から吸汁して生活する.1~5齢幼虫は腹部先端からロウ物質を分泌し,このロウ物質は羽毛や花の雄しべに似た形になる(図1).発表者は小学2年生のときにその不思議な姿を見て,ロウ物質の形が作られる仕組みや役割に興味をもった.図鑑で調べたが生態や形態に関する詳しい記述がなかったことから自分で調べようと考え,長年にわたって研究を続けてきたという.今回発表されたのはその最近の成果の一端である.
著者
小林 加奈理 長戸 有希子 青井 暢之 L.R. ジュネジャ 金 武祚 山本 武彦 杉本 助男
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.153-157, 1998-02-01 (Released:2009-02-18)
参考文献数
24
被引用文献数
52 56 3

L-テアニンは緑茶の葉中および抽出液中に含まれているアミノ酸の一種で,カフェインによる興奮を抑制することが知られている.また,ラットへのL-テアニンの経口投与により,脳内のセロトニンが減少し,カテコールアミンの増加ずることが知られている. L-テアニンは動物実験で安全なことがすでに確認されている. 筆者らはL-テアニン服用による脳波への影響について検討した結果,リラックスをもたらすことを確認した. L-テアニンの影響を不安程度の異なる精神状態で調べるため, MAS法に従って段階I(高不安域群)の4名と段階V(低不安域群)の4名の計8名の女子学生を被験者に選定した. その結果, L-テアニン200mgを含む水100ml服用によって後頭部・頭頂部にα波の出現が認められた.α波出現は服用後40分後に観測され,少なくとも2時間は持続すると考えられる.α波の出現によるリラックス作用は,段階Vの低不安域群より段階Iの高不安域群の方が優れていた. L-テアニン服用後,被験者は眠気を感じず,十分なリラックスを感じた.また,指先が暖かくなったとの体感を感じた被験者もいた. 今回の研究により, L-テアニンは新しいタイプの添加物として食品や飲料に応用される可能性が示唆された.今後はさまざまなL-テアニン含有食品についての効果を検討するつもりである.
著者
和田 正 田中 彰裕
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.376-382, 2013-06-01 (Released:2014-06-01)
参考文献数
29
被引用文献数
1

筆者らは,スクロースをイヌリンに変換する酵素生産細菌 Bacillus sp. 217C-11 株を見いだすことに成功した.この酵素は,イヌロスクラーゼに分類される新規な糖転移酵素であることが明らかになった.また,酵素の反応条件を任意に選択することによって合成されるイヌリンの平均鎖長を制御できることもわかった.こうして作られたイヌリンは,植物由来のイヌリンに比べて水溶性が高く,食品加工特性に優れるものであった.近年では,脂肪に似た食感のゲルを形成する性質を利用して,油脂含有食品の低脂肪化のための素材としての利用が拡大している.
著者
本田 計一
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.359-367, 1998-06-25 (Released:2009-05-25)
参考文献数
37
被引用文献数
1 1

3 0 0 0 OA 中篇

出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.11, pp.752-756, 2002-11-25 (Released:2009-05-25)
被引用文献数
4 1
著者
北田 宗弘 古家 大祐
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.294-301, 2013-05-01 (Released:2014-05-01)
参考文献数
46

栄養応答シグナルは,アミノ酸やグルコースなどの栄養素摂取や活動により刻々と変化する細胞内のエネルギー状態を認識し,個体のエネルギー・栄養代謝の恒常性を維持している.栄養過剰状態では,栄養応答シグナルの調節不全として,mTOR経路(栄養過剰シグナル)増強やSIRT1, AMPK(エネルギー不足感受シグナル)の減弱が生じることで,エネルギー代謝の恒常性が正の方向へ破綻する.その結果,肥満・メタボリックシンドローム・糖尿病を引き起こしている可能性が考えられるため,栄養応答シグナル調節不全の是正,すなわちmTOR経路抑制やSIRT1, AMPK活性化が治療標的として期待できる.