著者
若井 暁
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.8, pp.515-520, 2015-07-20 (Released:2016-07-20)
参考文献数
26

微生物が金属材料を腐食する現象は,古くから微生物腐食として知られている.微生物腐食は,正に金属が患う微生物感染症と言える.1934年に微生物腐食に関する仮説が提唱されて以来,多くの研究者がこの問題に取り組んできた.しかし理論だけが先行し,疾患の原因とも言える腐食原因菌はなかなか同定されず,そのメカニズムも解明されていなかった.そのようななか,2004年Nature誌に新規腐食原因菌が報告されたことを端緒に,この10年間で次々と新規腐食原因菌が見つかり,研究が飛躍的に進んでいる.本稿では,微生物による金属腐食現象を微生物が引き起こす金属の感染症として捉え直し,今何が不足し,今後何を明らかにしていかなければならないのか解説する.
著者
村上 明
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.305-312, 2015

ポリフェノールなどのファイトケミカル(phytochemical)は植物の二次代謝産物で多彩な生理機能性を示す化合物群である.近年,ケミカルバイオロジーを基盤とした研究手法の開発によって,これらの標的分子が多数,明らかにされ,作用機構に関する分子レベルの知見が集積されつつある.その一方で近年,私たちは,生体タンパク質に対して非特異的に結合するファイトケミカルの例を見いだし,さらにそれが機能性の発現に寄与するという,ユニークな現象を明らかにしつつある.特異的および非特異的な特性の両面から作用機序を解析することは,「そもそもファイトケミカルがなぜ機能性を示すのか?」という本質的な命題を解く鍵でもあり,また安全性を議論するうえでも重要であると考えている.
著者
澤 新一郎
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.78-81, 2015-01-20 (Released:2016-01-20)
参考文献数
21

近年,哺乳類免疫組織に抗原受容体をもたない自然リンパ球が多数存在し,免疫式応答における主要サイトカイン産生源として重要な役割を果たすことが明らかになった.自然リンパ球は細胞障害活性をもつNK細胞とサイトカイン産生を主体とする1–3型ヘルパーILCに分類され,それらの分化に必要な転写因子群はT細胞と重複する.リンパ球における抗原受容体の発現は生物進化過程における獲得免疫系の発達という観点から興味深く,今後の研究展開が期待される.

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出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.9, pp.580-585, 1996-09-25 (Released:2009-05-25)
被引用文献数
1 1
著者
田中 保
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.187-192, 2011-03-01 (Released:2012-03-01)
参考文献数
31
被引用文献数
1 1

食べる胃腸薬といわれるキャベツやダイコン,春の七草に含まれるナズナ,スズナ,スズシロ(ダイコン)など,胃腸に良いとされる食物にアブラナ科の植物は多い.アブラナ科の植物を生で食べると,植物酵素のホスホリパーゼDと消化酵素のホスホリパーゼA2の作用で生理活性脂肪質のリゾホスファチジン酸(LPA)が生じる.消化管への野菜の効果にLPAが関与する可能性を論じる.
著者
仲井 まどか
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.693-701, 2013-10-01 (Released:2014-10-09)
参考文献数
15

昆虫に感染するウイルスが,害虫防除資材として使用されている.このような防除資材は,ウイルス資材 (Viral agent) あるいはウイルス殺虫剤 (Viral pesticide) と呼ばれている.ウイルス資材は,化学合成農薬と全く異なる作用機作をもち,世界各地で使用されている.本解説では,昆虫ウイルスがどのような生物学的特徴をもつのか,どのような特性が害虫防除資材として適しているのか,実際の具体例を示すとともに今後の展望について解説する.
著者
川島 伸麿
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.10, pp.675-680, 1975-10-25 (Released:2009-05-25)
参考文献数
21
被引用文献数
1
著者
黒田 公美
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.745-753, 2013-11-01 (Released:2014-11-01)
参考文献数
47

人間を含め,哺乳類の子は幼弱に生まれるため,哺乳をはじめとして身体をきれいに保つ,保温する,外敵から守るといったさまざまな親からの養育(子育て)を受けなければ成長することができない.そのため親の脳には養育行動に必要な神経回路が生得的に備わっている.一方,子の側も受動的に世話をされるだけの存在ではなく,親を覚え,後を追い,声や表情でシグナルを送るなどの愛着行動を積極的に行って親との絆を維持している.親の養育が不適切な場合でも通常子から親を拒否することはなく,親をなだめ,しがみつき,何とか良い関係を取り戻そうと努力する.社会や自然界でごく当たり前に営まれている親子関係は,実はこのように親子双方の日々の活動によって支えられているのである.親子関係はすべての哺乳類の存続に必須であるため,子の愛着・親の養育本能を司る脳内メカニズムも基本的な部分は進化的に保存されていると考えられる.したがってマウスモデルを用いた愛着・養育行動研究が,将来的にヒトの親子関係とその問題の解明に役立つことは十分期待できる.本稿では,マウスを用いた最近の研究を中心に,養育行動の概要とそれを制御する分子神経機構についてご紹介する.

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出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.7, pp.511-515, 2007-07-01 (Released:2009-05-25)
被引用文献数
2 1
著者
重岡 成
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.66, no.12, pp.1739-1747, 1992-12-01 (Released:2008-11-21)
参考文献数
64
被引用文献数
1 1