著者
春日井 愛子
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.33, no.13, pp.1111-1115, 1959 (Released:2008-11-21)
参考文献数
6

(1)わさび地下茎はかなり著量のβ-アミラーゼを含むが,しかしその量は部位によって異り,中央部が最大で葉つきの部がこれにつぎ,末端部は最も少かった. (2)酵素の抽出はわさびをEDTA-システインの混液(pH 4.0)中にすりおろし乍ら行うと,単に酵素力のみならず以後の精製にも好都合な結果が得られた. (3)酵素は硫酸アンモニア0.6飽和で殆んど完全に塩析され,また酒精濃度40%で殆んど完全に沈澱した.これらの事実を利用して酵素を精製した結果,α-アミラーゼ作用を完全に除きながら単位窒素量当り純度を9倍にすることが出来た.また硫酸アンモニア溶液中より結晶様沈澱物として酵素を析出させることが出来た.終りに臨み終始御懇篤なる御指導を賜りました大阪市立大学理学部教授福本寿一郎博士並びに講師山本武彦博士,又試料の御恵送を賜った静岡県林業試験場上狩野分場長に厚く御礼を申し上げます.
著者
木下 政人
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.7, pp.449-454, 2015-06-20 (Released:2016-06-20)
参考文献数
15

近年,CRISPR/Cas9やTALENなどを用いたゲノム編集技術が急速に進展し,非モデル生物においてもゲノムの改変が容易になった.同様に各生物におけるゲノム情報もますます充実してきている.このような背景の下,ゲノム編集技術は今後,水産業にも大きな影響を及ぼすと考えられる.本稿では,これまでの遺伝子導入技術とゲノム編集技術の違いを述べ,ゲノム編集技術の一つである遺伝子破壊技術を用いた養殖マダイでの育種の試みを紹介する.そして,ゲノム編集技術の水産生物への有効性と可能性,および,今後解決すべき課題について論じる.
著者
桑本 融
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.7, pp.439-445, 1984-07-25 (Released:2009-05-25)
参考文献数
7
被引用文献数
1
著者
斉藤 昌之
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.23-29, 2012-01-01 (Released:2013-01-01)
参考文献数
33

褐色脂肪は代謝的熱産生を行なう特異的な脂肪組織であり,寒冷環境下での体温維持やエネルギー消費の自律的調節に関わっている.褐色脂肪に関する従来の知見の大部分は冬眠動物や実験動物から得られたものであったが,最近成人にも褐色脂肪が存在し実際に機能していることが明らかにされ,肥満やメタボリックシンドロームとの関係で注目を集めている.ここでは,マウスなどでの知見をまとめてから,ヒト褐色脂肪研究の現状について食品成分による活性化の可能性を含めて紹介する.
著者
兼久 勝夫
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.156-163, 1984-03-25 (Released:2009-05-25)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1
著者
北田 宗弘 古家 大祐
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.294-301, 2013-05-01 (Released:2014-05-01)
参考文献数
46

栄養応答シグナルは,アミノ酸やグルコースなどの栄養素摂取や活動により刻々と変化する細胞内のエネルギー状態を認識し,個体のエネルギー・栄養代謝の恒常性を維持している.栄養過剰状態では,栄養応答シグナルの調節不全として,mTOR経路(栄養過剰シグナル)増強やSIRT1, AMPK(エネルギー不足感受シグナル)の減弱が生じることで,エネルギー代謝の恒常性が正の方向へ破綻する.その結果,肥満・メタボリックシンドローム・糖尿病を引き起こしている可能性が考えられるため,栄養応答シグナル調節不全の是正,すなわちmTOR経路抑制やSIRT1, AMPK活性化が治療標的として期待できる.