著者
中北 克己
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, 1975-09-15

酸素欠乏とは, 今まで地下水で飽和されていた砂レキ層中に地下水位の低下のため空気が浸透すると鉄塩類が酸化して空気中の酸素をうばい, 極めて酸素濃度のうすい空気ができることをいう。このため空気が流通しやすく砂鉄分を多く含む砂レキ層で起こり, 粘土・ローム層で起こることはまれである。酸素欠乏の状態は無酸素の地層を掘れば必ずといってよい位い起こり, 近くで圧気工法が行なわれている場合や低気圧通過時には特に危険度が高い。また古井戸や古い建物の地下室, マンホールなどへ入るときも注意を要する。対策は次のとおりである。(1)検知器を使用し, 酸素濃度21%以下となったら作業を中止する。(2)送風機によりたえず新鮮な空気を送る。停電の対策も考慮する。(3)非常用の空気ボンベ, マスクを用意する。万一事故が起きたら無防備で現場へ近づかないことで, 至急に救急車を呼んで処置をしてもらうのがよい。
著者
斎藤 政義 木寺 謙爾 福屋 智亘 戸井田 浩
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, 1979-03-15

鋼管杭の表面にアスファルトすべり層(平均厚2.0mm)とその保護層(厚1.5mm以上)を塗布しネガティブフリクションの低減をはかるNFパイルの紹介である。扇島現場における900日の観察結果ではφ609.6×9.5mm, 長さ42mの鋼管杭の最大軸力は無処理の場合に240t/本, NFパイルでは35t/本となり効果が認められた。この敷地の900日間の沈下量は約30cm, 地盤沈下を生じている地層の厚さは約30mである。NFパイルの設計用周辺摩擦力は扇島の場合に0.6t/m^2であるが, 地盤沈下速度などによりこの値は異なるものとなる。砕石や転石の埋立て土層を持つ沖積層の敷地8か所での打込み・引抜き試験の結果では保護層にかすり傷が生じたもののアスファルト層は無事であった。また打込みによる保護層のずれは数mm以下で実用上支障ない。各杭の先端にはフリクションカッターがついているが, 打込み時の抵抗は無処理杭と同じであった。1年間の屋外暴露試験や強制吸水試験の結果, アスファルトの粘度に大きな変化は見られず耐久性についても実用上問題ないと考えられる。
著者
河角 廣
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土と基礎 (ISSN:00413798)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.1-5, 1970-04-25
著者
橋本 博 高木 薫
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, 1980-12-15

方向性水圧発破とは, 発破に水反射体を使って, 全体として水で爆力を制御しつつ, 発破エネルギーに一定の指向性を与えるものである。この発破による圧力波形は管軸に直角の方向にだ円形をなす。このだ円形の長軸の方向と一致して並べたせん孔の方向性水圧発破は, 岩盤をラインカットすることができる。これによって発破エネルギーは制御され, 一定の指向性を与えられる。これをトンネル工事におけるNATM工法の掘削に応用すれば, 地山のスムースブラスティングによって吹付けコンクリートやロックボルト工に対して, 地山表面を平滑にし, 地山を傷つけない。これにより地山支保材の密着がよくなり, 空隙をなくし, 受働土圧を期待できる。また, これにより掘削断面を在来工法の場合より多少小さくできる。また, 浮石処理の手間が減り, 落石・落盤事故を防ぎ, 飛石少く低振動発破ができる。また平行せん孔発破であるから, せん孔, 装薬, 発破が合理化され, 在来のトンネル工法に比べ安全で工費が1割安くなる。
著者
野崎 哲夫
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土と基礎 (ISSN:00413798)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.98-100, 1977-02-25
著者
中村 良夫
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土と基礎 (ISSN:00413798)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.1-2, 1991-04-25
被引用文献数
2
著者
水野 敏実 松岡 俊文 山本 勝也
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
地盤工学会誌 (ISSN:18827276)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.12-15, 2009-05-01

Recently SAR images have been widely adopted for the monitoring of ground surface deformation. InSAR (interferometry SAR) becomes a powerful tool to clarify geological structures and tectonic motions cause of large earthquakes. The InSAR analysis which is centimeters order precision and used two images is convenient to make a quick report for the surface deformation after large earthquakes. On the other hand, PSInSAR technique which uses 20 SAR images or more over realizes millimetric precision in a wide area with a high-density. Especially, it enables to detect the historical deformation of the surface according to used images term. This paper discusses the geological structure and the mechanism of surface deformation for the Noto Hanto Earthquake in 2007 and Mid Niigata prefecture Earthquake in 2004.
著者
本島 勲
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, 1978-09-15

境界条件の変化が動水勾配の変化に大きな変化を与えず, また動水勾配が1.0程度の非常浸透流においては, 境界条件に非定常性を考慮すれば, あとは定流浸透流と同様の方法で解析できることに着目し, 基礎方程式を検討している。電気相似法を堤体内非定常浸透流に応用する際は, 特に各ゾーンで透水係数の異なるゾーン型フィルダムにおいては, 各ゾーンの浸透流は, おのおの単独で運動するものとして各ゾーンごとに境界条件を一致させることにより解析が容易になると報告している。具体的な解析方法として, 垂直浸入断面をもつ堤体内非定常浸透流の解析法が検討されている。また有限要素法との比較も行なわれており, 解析時間間隔を等しくすれば, 両者の結果はよく一致するとしている。実際の解析例として, 均一型フィルダム, ゾーン型フィルダムの例が載っている。以上の電気相似法による解析は, 特殊な技術を必要とせず, 装置さえ完備していれば手軽に行えるという点で, 今後の研究に期待される。
著者
中瀬 明男 小林 正樹
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, 1979-03-15

錦江湾及び広島空港の軟弱粘性土地盤におけるサンドドレーン工事の2例について圧密現象とその解析について報告したものである。まず前者については, 間隙水圧の消散, 沈下〜時間曲線ともに標準圧密試験より求めた鉛直方向排水による圧密係数c_vを用いて計算するとよく観測値と一致し, c_vの6倍程度大きい。水平方向排水の圧密係数c_hを用いることはできない。また強度増加についても現地観測より求めたc_u/Pと室内実験で求めた値とがよく一致した。一方後者は地盤がc_vの異なる各層よりなっているが, 無処理区間においては各層の平均のc_vを用いたもの, 各層異なるc_vを用いたときも過少な沈下量の値が計算されるが, サンドドレーン区間においては, 水平及び鉛直方向の圧密度を合成すると, かなり観測値とよい一致を示す。以上のことからサンドドレーンにおいては標準圧密試験のc_vが実際上適用されること, 一次元圧密においては標準圧密によって地盤全体のc_vを過少評価することを指向し, それらの原因について検討している。