著者
岡部 達郎 山本 博之
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, 1980-09-15

国鉄武蔵野線武蔵野ヤードの建設に際して実施した, 地盤中に打設される杭に作用するネガティブフリクションの低減に関する現地実物実験の結果を報告したものである。報告の内容は, 単杭に作用するネガティブフリクションの測定, ネガティブフリクション低減のための対策工法と施工結果, ネガティブフリクションの算定と対策工法に対する考察とからなっている。武蔵野ヤード建設位置の沖積粘性土層は40mと厚く, 年間10cmもの地盤沈下が観測されている。高さ4mの盛土下の粘性土地盤中に打設した鋼管杭(打設深度47m, 直径600mm)には, 最大10tf/m^2と非常に大きなネガティブフリクションが作用した。実際の杭基礎は, 群杭工法, 二重管工法, バランスドフリクションパイル工法によってネガティブフリクションの低減を計りながら施工している。これら杭工法のネガティブフリクション低減効果を原位置測定によって確かめ, 工法としての適用性を表にまとめている。また, ネガティブフリクションの算定手順についても考察を加えており, 実用性に富んだ内容となっている。
著者
沖村 孝
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土と基礎 (ISSN:00413798)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.1-4, 2007-06-01
参考文献数
16
被引用文献数
1

Many debris disasters took place in Japan every year, caused by heavy rainfalls. The present situation and some problems of research and management for this kind of disaster are discussed. Topics pointed in this paper are as follows: 1) Failure's site prediction models must be constructed from the stand point of physical consideration with detailed boundary condition obtained by the field investigation, 2) The real time prediction model must be proposed by using the data obtained by various monitoring measurements, 3) Failure prevention works must be constructed by considering the life cycle coast, and 4) Some kind of management must be proposed to decrease or to mitigate the debris disasters, during the time of heavy rainfall, by the refuge system from potential dangerous area and by the traffic control system from potential dangerous road.
著者
渡辺 邦夫 長田 昌彦 小口 千明
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土と基礎 (ISSN:00413798)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.15-17, 2007-03-01
被引用文献数
2

rights: 社団法人地盤工学会rights: 本文データは学協会の許諾に基づきCiNiiから複製したものであるrelation: IsVersionOf: http://ci.nii.ac.jp/naid/110006239355/Arg-e-Bam that was a UNESCO world heritage in Iran was caused serious damage by an earthquake on 26 Dec. 2003. Restoration and preservation of this heritage is now going on as an international cooperation. The site works of the restoration and preservation are reported with a brief explanation on the Japanese efforts in the international cooperation. It is proposed that geotechnical aid is required to the restoration and preservation since most of structures in Arg-e-Bam are made of mud bricks.
著者
上田 治 川島 一彦 和田 克哉 西村 昭彦
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, 1984-06-15

基礎の静的および動的耐震設計法を紹介したものである。まず静的耐震設計において考慮すべき諸因子について述べ, 更に, 地盤の流動化や支持力の低減の危険性がある場合の地盤の設計上での取扱い方について説明している。特に橋梁の耐震性には地盤条件が強く関係しているため, 設計上地盤を4種に分類する方法が述べられている。また, 震度法および修正震度法に用いる設計水平震度の求め方が紹介されている。次に, 静的設計法による安全性の検定だけでは不十分な場合には, 動的解析による耐震性の検討の必要性を指摘している。しかし現在のところ, 荷重の選定から応力度および安全性の検討に至るまでの手順を一貫して明確にした設計法は確立されていないので, ここでは, 動的解析の必要性と解析に考慮すべき事項を述べ, 動的解析手順の例を紹介するだけにとどめている。また, 流動化の判定がなされた後の基礎構造物の設計について説明をし, 更に国鉄における地震時の軟弱地盤の変形を考慮した基礎の設計法が紹介されている。
著者
中尾 健児 飯星 茂
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, 1974-06-15

従来, 口径60〜110 mm程度の岩盤ボーリングを行なう場合, 硬岩の短い孔では削岩機が用いられ孔壁が不安定な砂レキや土砂を掘る場合, あるいは硬岩でも長孔の場合にはロータリー式のボーリング機が用いられてきた。O.D.工法(Overburden Drilling Method)はこれらの機械の二つの働きを同時, または別々に一台で行なうローテーションドリフターと呼ばれる改良削岩機に, ケーシング掘進機能を持たせたものである。O.D.工法による海底岩盤の削孔発破の手順は1)海上作業船もしくは作業台からの削孔, 2)内管の回収, 3)ケーシングパイプを通して爆薬の投入, 4)ケーシングパイプの回収・脚線の引き上げ, 5)削孔位置を変え同様の削孔・装薬を行なう, 6)結線作業, 7)起爆, という手順である。結線作業をダイバーで行なう場合種々のトラブルがあるため, 起爆素子と爆薬・雷管とを接続し, 削孔内に設置後指令装置から発信された超音波信号により, 雷管に電流を流して起爆する遠隔起爆装置を開発し, その実験結果について述べられている。
著者
山口 柏樹
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, 1983-12-15

筆者は地下構造物の耐震性についての総論を述べている。地震と地盤災害の一般に関して, 地下構造物は地上構造物に比べて地震時に加わる加速度がほぼ1/2程度で, 耐震上安全であるとされているが, 実際には亀裂, 液状化, 地すべりといった被害が生じていることを述べている。また液状化に関しては, 設計指針のばらつきや地震波の取扱いに問題はあるけれども地盤の耐震指針としては今日最も確立したものである。むしろ問題なのは地中構造物の設計上の問題であると述べている。また地中構造物に対する地震の影響, 地震時の土圧, 横型トンネル式地下タンクの耐震設計, 掘削による地山のゆるみについて述べられており最後に結論として, 地下タンク建設用地としてできるだけ均一性に富む地点を選定すること, 大地震の起こりやすい地域では, 耐震時考慮を十分に行うことが望ましいがいたずらに丈夫なものを作るのは不経済である。地下躯体にき裂等の多少の損傷が生じても, 大きな破壊に至らないだけの靭性を確保し, 別途に漏雨を防ぐシステムを設けることが重要であると述べている。
著者
杉村 義広
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, 1975-09-15

わが国の地震応答解析の問題点について述べた。●わが国の強震記録は極めて少なく, 同一地盤でも地震の種類によって地震波が異なることもあると考えられる。●応答解析法にはA)周波数応答解析(モーダルアナリシス), B)直接数値積分法がある。●モデル想定法には次の方法がある。(1)重複反射型, 地震基盤の地震波形を推定するのに利用できるが, 地盤は弾性体とする。(2)半無限弾性体モデル, 逸散減衰の等価バネを想定するのに用いるが地盤は弾性体とする。(3)質点系振動モデル, 地盤も質点に置き換え, 非線型化も可能である。(4)FEMモデル, (3)を発展させたものであるが, 電算機の容量が大型になる。●軟弱地盤上の建物の場合に地下階があれば, (2)または(2)と(4)の組合せモデルを, クイ基礎であれば, (3)または(3)と(4)の組合せモデルを用いると便利である。いずれのモデルにおいても地盤またはクイをどのような数値で表わすかが, 最大の問題点である。
著者
福住 隆二 檜垣 陽一 本間 勝 篠崎 亘
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, 1977-12-15

リビア国, トリポリから地中海に沿って東へ150km, 内陸へ20km入ったところで行われているアースダム築造を中心としたかんがい事業の現地報告である。プロジェクトの中心は, 9月から翌年4月までの雨期に降るわずか190mmの降雨量の雨によってもたらされる地表流下水をせきとめて, 農業用水に用いようとするものである。3つのダムのうち最大のものの堤体高さは50m, 長さは629mで, コアとランダム材として風積土のレスを用いるのが特徴である。細粒含有率70%, 日本統一土質分類で(ML)に分類されるレス土の土工特性はすぐれたもので, JIS A 1210 1.1(b)の締固め方法による最大乾燥密度は1.90t/m^3以上, 最適含水比は10〜12%, 最小透水係数は最適含水比より2%湿潤側で1×10^<-7>cm/sec以下である。また, プロジェクトにおける著者らの役割に関する記述は, アラブ諸国内で土木工事の施工およびコンサルタンツ活動を志すものにとって, 有用な情報を提供している。
著者
中川 鮮 島 通保
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, 1982-09-15

徳島県上嵯峨地すべり地の地下帯水域に形成する地下水塊の挙動について, 1977年に発表した前報に引き続き, 1977年から1978年にかけての新しい資料を加えて検討した。地下水塊の増大現象には本地すべり地の地形的集水域に降る雨の約3分の1の量にあたる分が関与していることが分かった。地表排水の対策により浸透量を減らし, 帯水域への涵養を緩和することが効果的な手法であると考えられた。地下水塊の体積増加を予測する方法として, 地すべり地の観測孔(ボーリング孔)の水位変動の記録を使用した。前報と同じく7日間雨量による水位上昇値を用いている。地すべり防止対策で実施している地下水排水孔の観測結果より, 排水量が20/min以上の時の減水半減期は約2週間である。半減期が2週間位の挙動の激しい地下水を対象として防止対策を立案することが必要であると考えられた。
著者
清水 勇 伝田 篤
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, 1980-12-15

鉄道路盤には, 路盤特有の「噴泥現象」がある。この現象は比較的浅い部分に生じることが多く, 沈下等によって軌道の健全な機能を阻害している。本報告は, これらの防止対策として「高圧ジェットグラウト工法」を採用し, 実施計画したものである。本工法は比較的新しい試みであり, 現状では実験工事を経て本工事への適用性を考える必要があるとされている。実験は東京都町田市の東急電鉄の田園都市線延長工事区間において実施された。敷地の周辺地盤構成は, GL-5 mまでは立川ローム層で覆われ, GL-15 mまでは武蔵野ロームとなっており, これ以深は相模礫層と続いている。路盤はGL-8 mに位置している。実験は次の3項目に着目し行われた。1)セメントペーストの適性配合, 2)最適打設方法, 3)施工性および杭打設配置。本回の実験結果により, 今後の適用に関して十分に可能性のあるものにするため, 更に追加実験が必要であることを示している。
著者
時松 孝次 吉見 吉昭
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.56-74, 1983-12-15
被引用文献数
32

A critical review of field performance of sandy soil deposits during past earthquakes is conducted with special emphasis being placed on Standard Penetration Test N-values and fines content. The field relationship between adjusted dynamic shear stress ratio and normalized SPT N-values together with laboratory tests on undisturbed sands indicate that (1) sands containing more than 10 percent fines has much greater resistance to liquefaction than clean sands having the same SPT N-values, (2) extensive damage would not occur for clean sands with SPT N_1-values (N-values normalized for effective overburden stress of 1 kgf/cm^2) greater than 25,silty sands containing more than 10 percent fines with SPT N_1-values greater than 20,or sandy silts with more than 20 percent clay, and (3) sands containing gravel particles seem to have less resistance to liquefaction than clean sands without gravel having the same SPT N-values.On the basis of the above findings, an improved empirical chart separating liquefiable and non-liquefiable conditions is presented in terms of dynamic shear stress ratio, SPT N-values, fines content, and shear strain amplitude.
著者
李 相一 北村 仁
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, 1978-03-15

粒状体の流出というテーマに関して, 前報では円筒形の貯蔵ビン(内径6cm, 高さ90cm)に詰めた豊浦標準砂が底部の円形流出口から流出した際の試料高さと流出量の関係, 流出口径と流量の関係を求め, いくらかの検討を加えたが, 今回は実験をさらに精度よく行なうために内径15cm, 高さ180cmの貯蔵ビンを製作して前回と同様な実験を行なうとともに, 試料内に埋設した土圧計により土圧を測定した。実験の結果, 流出口径が10mm〜50mmの範囲では流出量は流出口径の2.55乗に比例し, 流出状態から静止状態に移行した際に流出口に作用する圧力は流出口径の1.1乗に比例するという結果が得られ, これらの値は前回の実験結果の値よりも確度が高いと判断した。土圧測定結果では, 試料を詰めた際の土圧分布は試料面からある深さまでは深さに比例した土圧分布となり, それよりも深くなるとほぼ一定値を示した。またいったん流出させて試料表面が5mm沈下したとき流出を止めた場合の土圧分布は, 上述の土圧分布に対し流出口に近い下部では著しい減少を示し, この結果から前報で演繹した諸結果の裏付けが得られた。
著者
李 相一
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, 1978-03-15

サイロなどに貯蔵される粒状体の流出機構に関連して, 内径60mm, 高さ90cmの円筒形容器に豊浦標準砂を詰めて容器の底面に設けた円形の流出口から流出させ, 試料高さと流量の関係, 流出口径と流量の関係を求め, その結果に関して液体(連続体)と比較しながら考察を行なった。結果として, 流出時の試料高さは等速度で低下すること, 流出量は試料高さと無関係に一定であること, 流動部分はタイ積時の密度を維持したまま流動していること, 流出量は流出口径の3乗に比例すること, 各粒子の平均落下速度は流出口径に比例することなどの知見が得られた。さらに, これらの事実から動的摩擦係数が一定であるとすれば, 流動部分の拘束圧は試料の高さにかかわらず一定であること, 一度流動部を形成させてから静止させた場合に流出口に作用する圧力は流出口径の2乗に比例することなどを推論した。