著者
渡 正亮
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, 1974-03-15

急傾斜地崩壊の全国的調査結果をもとに, 崩壊に関与する因子について説明し, その崩壊形態を論じるとともに, 崩壊予測と防止工計画の着眼点となるべき崩壊型を分類し, 各崩壊型についての説明を加えたものである。この報告においては, 急傾斜地の崩壊に関する因子として地形, 土質構成, 植生, 地表水, 地下水および地質を選び, 崩壊発生地におけるこれら因子の特徴を説明している。また崩壊の形態を崩落型と滑落型の二種類に大きく区分し, 滑落型をさらに静止形, 流動形, 分散形に再区分している。そして崩壊型の分類は, 表土, 崩積土, 火山砕屑物, 段丘タイ積物, 強風化岩(マサ, 温泉余土), 岩〔I〕および岩〔II〕について, それぞれ崩落型と滑落型があるとして典型化されており, 各崩壊型の特徴が説明図をつけて解説されている。
著者
立石 俊一 畑中 博文
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, 1978-09-15

中部地方には急しゅんな山岳地形が存在し, 地質的にも大小の断層破砕帯が発達しているため, トンネル工事は難工事となることが多い。本文は, 中部山岳地域で最近施工された四つの国道トンネルにおいて遭遇した断層破砕帯の状況とその処理例について述べている。岡部トンネルは, 糸魚川-静岡構造線の影響圏内にあり, 地すべりを誘発し, 対策を講じている。下呂トンネルは, 阿寺断層破砕帯の中に位置しており, クローラドリルによる先進ボーリング, アーチ支持横坑, 上半側壁先進導坑, 土平囲い支保工などの特殊工法を実施している。平湯トンネルは, 粘板岩の破砕帯部で強大な地圧を受け, キーストンプレートによる仮巻きなどの補強工を行なっている。また, 石灰岩層では, 空洞と湧水の対策としてセメント注入を行なっている。新鳥居トンネルでは, 未固結の砂状あるいはシルト状に破砕されたチャート層が約1000 m続き, 鏡張り, 鋼矢板, 支保工の根固め, インバートスラット, 同コンクリート打ち, 側壁一次巻きの繰返し施工により側壁導坑を掘進している。
著者
杉本 光隆
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土と基礎 (ISSN:00413798)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.57-62, 1996-04-01
被引用文献数
3
著者
武井 昌博
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, 1977-09-15

集中豪雨による切取りノリ面の受ける災害は, 質・量ともに多く, 台風がもたらす, 災害に劣らないことを統計量は示している。災害に対しては, 台風よりも割合いに処置しやすいと目される集中豪雨の降雨特性を分析することにより線区ごとに, 災害発生の時点を予察する際の一資料を提供する。集中豪雨のうち, ノリ面の大災害もしくは大量災害を誘発させた32例152か所の観測値を主体にして, ノリ面災害件数の推移と豪雨の性質, 降雨特性を分析した。集中豪雨によるノリ面災害は, 台風によるものに劣らない。集中豪雨は, 定着性・長期性が強いため, 降雨量も含めて現場ごとに予測することは可能である。たとえば, 降雨の初期後期は弱く, 中間において強雨があり, その連続の状況は相対分布としては握することができた。総降雨量は地域, 降雨月, 最大日雨量, 全体降雨日数の4要因の因子分析により確率的に推測することができ, さらにマルコフ連鎖理論を応用しての降雨状態推定の可能性を検討した。これら降雨パターンと集中豪雨による路盤災害の関係の解析を行なった。
著者
酒井 俊典 福田 雄治 中村 和弘 竹家 宏治
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土と基礎 (ISSN:00413798)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.39-41, 2007-04-01
被引用文献数
2

We developed a new maintenance jack used for a lift-up test of earth anchor. This machine jack is small and lightweight and it is easy to set it for the lift-up test. The liftup load obtained by lift-up tests using the new maintenance jack was the same value obtained by using a center hall jack. However the lift-up displacement obtained by the tests with the center-hall jack was larger than the displacement obtained with the new maintenance jack because of extension of tension-bar used for center hall jack. This new maintenance jack proposed in this paper can be convenience and can increase accuracy of lift-up tests.
著者
渡辺 健 和田 一郎
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, 1983-06-15

アースアンカーの利用が本格的に実用化され始めた当初から, アンカー体から地盤への力の伝達は引張り杭の力の伝達機構と同じものか・単位面積当りの周囲摩擦抵抗はどの程度か・経時的にアンカー周辺の土はクリープあるいはそれに近い状態が起こらないか, 等の問題点があった。本論では, アンカー導入当初および現在のアースアンカーに関する調査, 試験について述べている。まず, 代々木公園および市ケ谷濠における導入の実状すなわち, アースアンカーによる土留め支保工が最良であるとした経過を説明し, 引張り材の検査, 注入用モルタルの配合と注入量の検査, 外殻モルタルの加圧力の決定について述べられている。次に, 土質工学会の基準案による検査・試験方法のうち, グラウト材や引張り材の検査, 削孔・グラウトの注入等の施工管理, そして引抜き・引張り・確認・特殊の各試験で構成される耐力試験について詳述している。最後に, 現時点における検査・試験の状況について, 交通営団で行ったものを例にとって説明して, 今後の検討点に, 地震時のアンカー体の動的挙動の問題があると示唆して終えている。
著者
柏谷 健二 平野 昌繁 横山 康二 奥田 節夫
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, 1978-03-15

昭和50年8月16,17日にわたる台風5号の豪雨による高知県下の山腹崩壊の資料を用いて, 崩壊地の分布と崩壊に関係する諸因子, たとえば, i)降水量, ii)地形的特徴, iii)地質的特徴, などの比較検討を行ない, 傾斜と降水量を考慮した崩壊予測式を作っている。崩壊地分布は, 災害直後の空中写真および現地調査で, 降雨量は32か所の雨量観測所のデータで, 傾斜は2万5千分の1の地形図を用い2km×2kmの方眼内の平均傾斜角をホートン法で求めている。その結果, 次のことが明らかにされている。(1)継続雨量が一定のとき, 崩壊数はある限界傾斜角まではコウ配に比例する。(2)傾斜が一様なとき, 崩壊数は日雨量から崩壊無効雨量を減じたものに比例する。(3)崩壊予測の一般式としては次式が推定できる。N(i, r)=k_<ir>・(i-i_0)^p(r-r_0)^q ただし, i=tanα ここで, N(i, r) : 単位面積当たり崩壊数, k_<ir> : 係数, i_0 : 限界傾斜角の正接, r : 継続雨量(mm), r_0 : 崩壊無効雨量(mm), α : 単位地域内の平均傾斜角
著者
中川 恭次 渡辺 清治 角田 智彦 瀬尾 和大 此上 典文
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, 1974-06-15

ある場所で観測される地震動には波動の伝播過程におけるさまざまな要因による影響が含まれているが, 特に観測点直下の表層地盤の影響が大きいと考えられる。そこで表層地盤に関する資料は他の要因に比して比較的豊富であるので, 表層地盤の動特性を観測点ごとに求めることによって, 地表における地震観測記録から観測点直下の基盤における地震動を推定することはある程度可能である。この考え方から東松山地震(1968)の際, 都内13個所で得られたSMAC強震計の同時記録をもとに基盤入力波を逆算し, 表層地盤の動特性と基盤入力波の持つ性質についての考察を行なった。その結果, 基盤入力波の振幅レベル, 特性は推定可能であり, また他の場所で観測された地震記録から計算によって基盤入力波を求めることもある程度可能となった。
著者
稲垣 秀輝
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土と基礎 (ISSN:00413798)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.27-29, 2001-04-01
参考文献数
8
被引用文献数
5

This paper describes the land use and natural disaster with related to the topography and geology in Kozu island, Izu islands. There are three types of disasters based on the topography and geology except the damage from volcano eruption. Moreover, I summaries features of the damages from many volcanic earthquakes hit around the area of off shore near Kozu island on July, 2000. Finally, many investigations on the disaster protection and the way of living at various volcanic regions are expected.
著者
吉岡 昭三 木賀 一美 小杉 紘平 前田 穂積
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, 1978-12-15

稲城砂は, 三浦層群に属する細砂層で, 日本住宅公団が施工する多摩ニュータウンの宅地開発において遭遇する地層である。当公団が宅造法の主旨を守り, 補完し, 良質でかつ経済的な宅地造成を施工するという基本的観点から, 稲城砂の特性を解明するための各種の試験, 調査, 研究を実施し, その結果に基づく土工事設計基準を作成したものである。その内容としては, 締固めに関しては, 現場締固め試験結果と設計基準, 締固め仕事量が乾燥密度に与える影響, 細粒分含有量, 試料養生期間が乾燥密度に与える影響, 締め固めた土の透水性とせん断特性を考慮している。のり面に関しては, 模型盛土のり面の崩壊形式を実験より研究し, 勾配, 小段, 排水, のり面保護について基準が規定されている。造成面に関しては, その規模や勾配をいかにして土砂流出等の被害を少なくできるか把握する目的で浸食状況調査が行われた。その他, 調整池に関しても研究がなされている。
著者
木川 進 池上 雪男
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土と基礎 (ISSN:00413798)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.56-58, 1971-06-25
被引用文献数
1
著者
山本 荘毅
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, 1980-09-15

地下水の人工かん養に関する諸問題を, 人工かん養の歴史, 人工かん養の目的, 人工かん養の方法, 人工かん養における検討事項, ヨーロッパの人工かん養の実情などの項目から論じたものである。土質力学的視点からすれば, 地表流下水を人為的に地下に貯留して再利用しようとする地下水人工かん養の問題は, 地下水の地盤浸透現象との関連から論じられる。人工かん養の方法には直接法と間接法があること, 人工かん養を実施する場合には, かん養技術, 地下水管理, 経済性, 環境に対する影響などを検討すべきであると指摘している。また, ヨーロッパの人工かん養に関しては, 水温0〜15℃, 濁度の大きい河水を揚水して氷河堆積物であるエスカーの上まで圧送, このエスカー斜面に池を掘って浸透を行っているスウェーデン・ウプサラの例, オランダ・ハーグの人工かん養池, ドイツ・ルール河畔アルテンドルフの施設, フランス東南部シャトルナールとサン・アンジオールでの人工かん養, ソビエト連邦での例などについて説明している。
著者
佐藤 邦明 菊池 巌 林 歳彦
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土と基礎 (ISSN:00413798)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.43-48, 1985-06-25

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