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長崎に蘭船あるいは清船が珍しい鳥獣を持ち渡ると、長崎で御用物役を勤めていた高木作右衛門(代々同名)は御用絵師に命じて写実的な彩色画(御用伺絵と仮称)を描かせ、それを幕府に送って御用の有無を伺った。必要との返答があれば、役人を添えて江戸に送り、不要ならば返却するか、希望者に譲った。そのとき絵師や高木家は控図を手元に残したが、珍しい獣や鳥の図なので、画家や博物家が転写したし、長崎商人が刷物を作って「長崎絵」の名で売ることも少なくなかった。本資料はその高木家控図をまとめた可能性が高い。全39図、34種。飼育品種2種を除くと、すべてアジア産。うち28種は日本にまったく産しない。数例を挙げてみると(括弧内は原記載名)―シマハッカン(火鶏)、サンジャク(山鵲)、セイケイ(青鶏)、コウテンシ(百霊鳥、ヒバリ類)、カンムリヒバリ(叫天子)、クロウタドリ(烏春)、コジュケイ(竹鶏)、ソウシチョウ(相思鳥)。多くは渡来年不明だが、享保12年(1727)から文化5年(1808)にわたる。:『外国珍禽異鳥図』『唐紅毛渡鳥写生』解題参照(磯野直秀)