著者
河村 雄行
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学 (Low temperature science) (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.3-11, 2006-03-22

水分子を含む系の分子シミュレーション計算を行うため,有効原子間相互作用モデルを構築した.モ デルは原子の運動に関して全自由度を有するもので,かつ,水や氷などの凝集体の構造や物性を定量 的に再現できるように最適化された.構造や平衡物性以外に,分子振動スペクトルや誘電率での定量 的再現性が示された.さらに,水和物結晶への応用の有効性が示されている.
著者
三浦英樹
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
平成25年度北海道大学低温科学研究所共同利用研究集会『氷河変動の地域性に関する地理的検討』報告書
巻号頁・発行日
pp.38-44, 2014-05

現存する氷床である南極氷床とグリーンランド氷床が変動した場合、海面変化や海洋熱塩循環など地球環境に重大な影響を与えることが予想される。将来の南極氷床とグリーンランド氷床が、どのような条件でどのように融解し、それが地球環境や人類社会にどのような影響を与えるのかを検討するうえで、過去の2つの時代の氷床状態の復元は重要な基礎的情報を与える。ひとつは温暖化時代のアナロジーとなる「最終間氷期」、もうひとつが「最終氷期最盛期以降」である。本報告では、まず、現在の南極氷床とグリーンランド氷床が形成される気候条件と氷床の概況を示した上で、(1) 人工衛星測地データに基づく、地球温暖化時代である現在の極地の氷床変動の実態とその海面変化寄与量の定量的評価に関する最近の研究成果と問題点の紹介、(2) 野外地形地質調査に基づく、最終氷期最盛期の極地の氷床の拡大範囲と形状およびそれ以降の縮小過程の研究の概要と問題点の紹介、を行う。そのうえで、過去の氷床変動の研究が、どのように現在の氷床変動評価や将来の氷床変動と海面変化の予測に貢献するのかについて、その概略を説明する。
著者
奥地 拓生
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.169-174, 2008-03-31

宇宙空間から惑星内部にわたる多様な惑星形成・進化の場には,極低温から高温,また真空から超高圧までの,あらゆる外場条件が存在する.氷はこの多様な条件に対応して,自由な陽子の急速な拡散を始めとする多様な性質を示すことが理論的に予想されているが,その実験的立証はいまだに行われ ていない.このような実験を行うためには,従来の高圧実験技術を活用しつつも,さらに新しい手法をその上に作りあげる必要があった.筆者がそのために開発してきたダイヤモンドアンビルセルNMR の手法と成果を解説し,また将来への展望を述べる.
著者
小島 賢治
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科學. 物理篇 (ISSN:04393538)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.167-196, 1957-12-13
著者
水野 悠紀子 若浜 五郎
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科學. 物理篇 (ISSN:04393538)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.133-145, 1978-03-25
著者
堀口 薫
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科學. 物理篇 (ISSN:04393538)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.319-320, 1966-03-22
著者
木村 淳
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.149-157, 2008-03-31

太陽系の外惑星領域にある衛星は,そのほとんどがH2O主体の氷で覆われた"氷衛星"である.これらは数の多さや多様なサイズを持つが,最も注目すべき点は大規模な地質活動の跡が見られることである.地球の月とは異なるその外見は,氷衛星を覆う氷の存在とその特徴的な物性が作り出している と思われる.本稿では代表例として木星の衛星エウロパに見られる地溝帯と土星の衛星エンセラダスで発見された氷噴出現象に着目し,これらの現象の原因を探る.そこには,液体水が固化する際に体積が増加するという氷特有の物性が大きく関わっている可能性がある.
著者
松本 潔 井川 学
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.61-68, 2010-03-31

酸性沈着物の森林への沈着とその樹木への影響に関するこれまでの研究成果を概観し, 続いて著者らが行った丹沢大山における大気化学観測と, この結果をもとにこの地域への酸性沈着物の沈着状況について紹介する. あわせて, 大気圏・生物圏相互作用系の研究における, 酸性沈着物の森林への沈着に関する研究の重要性について考察する.

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著者
井上 名津子 菓子野 康浩
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.359-371, 2009-03-31

調製した生体試料のタンパク質組成を解析する際などに,最初に行われる最も基礎的な実験のひとつがSDS-PAGEであろう.近年のプロテオミクス解析に於いて広く用いられる等電点二次元電気泳動でも,二次元目にはSDS-PAGEが行われるのが一般的である.比較的容易に行うことができるSDS-PAGEであるが,手元の生体試料に含まれているタンパク質群の中にある重要なタンパク質を見落とさないために留意しておくと良いことがある.本稿では,4種類のSDS-PAGE系を比較しながら,それぞれの実験方法を簡単に記述する.