著者
長嶋 寿江
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.113-118, 2009-03-31

植物の成長は,光合成生産速度だけでなく,葉への分配など成長のしかたにも大きく影響される.本章では,成長を解析する方法と,それを行うための実験デザイン,測定方法について述べる.
著者
鈴木 覚 河村 雄行
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学 (Low temperature science) (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.71-75, 2006-03-22

ナトリウム型スメクタイトの層間水の分子構造と鉱物--水相互作用の関係について分子動力学法に より研究した.層間水の振動スペクトルは3365と3500cm-1 にピークを持ち,赤外吸収測定結果とほ ぼ一致している.後者は粘土表面に向かって配向したO-H 結合に帰属され,前者は配向していない O-H 結合に帰属される.水素結合距離(H...O距離)は,水分子--粘土表面間(0.22nm)の方が水 分子--水分子間(0.19nm)よりも長く,振動数との関係も調和的であった.
著者
小林 憲正 遠西 寿子 坪井 大樹 酒井 貴博 金子 竹男 吉田 聡 高野 淑識 高橋 淳一
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.39-46, 2008-03-31

炭素質コンドライトや彗星中に種々の複雑有機物が検出されていることから,地球外有機物が生命の誕生に重要な役割を果たした可能性が議論されている.隕石・彗星中有機物の起源としては,分子雲中の星間塵アイスマントル中で宇宙線・紫外線エネルギーにより生成したとするモデルが提案されて いる.われわれは模擬星間物質に重粒子線を照射することにより高分子状の複雑有機物に結合したアミノ酸前駆体が生成することを見いだした.このような高分子状結合型アミノ酸は遊離アミノ酸と比較して宇宙環境で安定であること,円偏光照射によりアミノ酸エナンチオ過剰を生じうることなどが わかった.これらの知見をもとに生命の起源にいたる新たな化学進化シナリオを提案する.

2 0 0 0 OA ヘムの分析

著者
高橋 重一 増田 建
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.327-337, 2009-03-31

光合成においてヘムは,光化学系のシトクロムや活性酸素消去系のカタラーゼなどのヘムタンパク質の補欠分子族として,酸化還元や電子伝達に機能している.本章では植物組織からのヘムの抽出・分析方法について紹介する.

2 0 0 0 OA 光合成細菌

著者
嶋田 敬三
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.3-7, 2009-03-31

酸素非発生型光合成機能を持つ細菌は絶対好気性のものを含め200種ほどが記載され,主に菌株保存機関から入手できる.培地,培養法は種や目的によりさまざまであるが,よく用いられる条件について注意点を記した.
著者
香内 晃
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.31-37, 2008-03-31

星間分子雲および隕石母天体で起こりうる新しいダイヤモンド形成過程を実験的に見いだした.星間分子雲では,不純物を含むアモルファス氷に紫外線が照射されることでダイヤモンド前駆体を含む有機物が形成された.さらに,それに紫外線が照射されるとダイヤモンドは5nm 程度に成長した.これ らの過程は宇宙では普通に起こっている現象なので,ダイヤモンドは宇宙のどこにでもあると言える.また,星間分子雲で形成された有機物が隕石母天体上で水と反応し,その後さらにドライな雰囲気で加熱される過程も実験的に再現した.得られた試料中にはかなりの量のダイヤモンドが含まれていた.隕石中に存在する性質の異なるナノダイヤモンドは,星間分子雲および隕石母天体上の双方で形成されたと考えられる.
著者
高谷 康太郎 中村 尚
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.31-42, 2007-03-23

シベリア高気圧の季節内長周期変動及び年々変動の力学を明らかにする。シベリア高気圧の季節内変動の増幅過程には、ブロッキング高気圧の形成が対流圏上層に見られ、それらは2つの典型的なタイプに類別される。両タイプとも、シベリア高気圧の増幅には、対流圏上層のブロッキングを伴う循環偏差と、シベリア高気圧に伴う地表付近の循環偏差との相互作用が重要であることが渦位反転法によって示される。年々変動に関しても、対流圏上層にはやはり2つの典型的な循環変動のパターンが観測されること、さらにそれらの循環変動が惑星波活動の変調として解釈できることが示される。
著者
照本 勲
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科學. 生物篇 (ISSN:04393546)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.1-7, 1959-10-24
著者
冨永 靖德 天羽 優子
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.121-134, 2006-03-22

水の動的構造をラマン散乱分光の観点から検討した.水のラマン散乱スペクトルは,H2O分子の基準 振動解析から得られる基準振動では説明ができない.水素結合の3次元的なネットワークで形成され る短い時間のクラスター的な構造を考える事によって,大筋が理解される事を示した.このクラスター 的な構造は,psのオーダーで生成消滅を繰り返しており,その揺らぎが,ラマンスペクトルの中心成 分に現れる.これらのスペクトル解析から,水と水溶液系の水素結合の状態を解析できる事を示した.