著者
串山 寿 三浦 洋子
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 = CHIBA KEIZAI RONSO (ISSN:21876320)
巻号頁・発行日
no.65, pp.95-112, 2021-12-01

新型コロナウイルス拡大の影響で、本学では一定数以上の受講者がいる授業については、オンデマンド授業を実施せざるをえなくなり、さらに今後こうした授業形態は長期間継続していくと予想される。もちろん教育分野に情報化が浸透していることは数年前から顕著であったが、本学は旧態然とした授業形態を採用していて、その波に乗り切れていなかった。しかし、絶好の機会が、新型コロナウイルス拡大とともに到来した。ここで大学のオンデマンド授業をどのように展開していくべきか、教員と学生との間での様々なやりとりを通して試行錯誤を繰り返すことにより、将来、情報化を土台にした大学教育をどのように実施すればよいか、そうした課題に一つの答えを導くことができるだろう。すなわち、本稿は、大学教育の将来を見据えながら、オンデマンド授業の実施方法を、暗中模索の中で、著者らが具体的に行った記録である。 本稿では、本学学生のオンデマンド授業を開講するうえで、学生の利用環境を調査するとともに、本学学生を対象にMicrosoft Forms(以下、Forms)を利用した出席管理についてその方法を提示し、学生のアンケートデータも加味して、その有用性や課題を分析した。 さらに、Microsoft Teams(以下、Teams)を利用したオンデマンド授業を行う上で、授業資料の掲載方法について提案した。ここでは、オンデマンド授業の資料提示について、Power Automateⅲを利用して指定した時間に自動的に掲載する方法を提案する。 また、テスト方法については、Formsを利用して行うことにしたが、以前から行っていた選択式に加え、計算した値を答えさせる作問方法を紹介する。
著者
岡室 美恵子 染矢 将和
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 = CHIBA KEIZAI RONSO (ISSN:21876320)
巻号頁・発行日
no.60, pp.91-110, 2019-06-28

The demonstration against the government which started in Tunisia, 2010 was quickly spread over the middle Eastern countries. Egypt was no exception. The President, Mubarak resigned in 2011. The government’s malfunction in the aftermath of the revolution, the emergence of the Islamic State, or IS in the region and the airplane crush put the Egyptian economy into deep troubles. The tourist revenue fell sharply and foreign direct investment flew out, which resulted in a shortage of international reserves. As a consequence, the Egyptian government asked IMF for rescue. One of the requirements for the Extended Fund Facility, the rescue package, was shifting to floating exchange rate regime. Egypt introduced floating exchange rate system in November 2016. This paper will investigate the impact of floating exchange rate regime on the Egyptian economy. The first paper analyzes the impact on trade. It is found the trade, both imports and exports, expanded soon after introducing floating exchange rate regime. Then, the paper runs the vector autoregressive model to analyze the impact of floating exchange rate regime on the monetary transmission channels. Four monetary transmission channels were identified to be working in floating exchange rate system. The study found that the exchange rate channel of discount rate and the bank lending channel of the reserve money were newly created after introducing floating exchange rate regium. The study also found that while discount rates were not statistically significant to explain exchange rates, bank lending yield of T-bill and asset prices, reserve money was significant.
著者
河原 礼修
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 The proceedings of Chiba Keizai University (ISSN:21876320)
巻号頁・発行日
no.61, pp.79-109, 2019-12

本論は自己評価点検の一つとして千葉経済大学で実施された学生の授業評価アンケートについて、学生満足度を向上させるためにどのような方法をとることが望まれるかを学生視点から検討し、学生満足度を向上させる要因について定量的な分析を行うことを目的としている。分析の結果、授業に対する学生満足度に授業内容への興味や関心、教員の授業に対する態度、および授業の難易度などが統計的に有意に影響していることが確認された。
著者
鶴岡 詳晁 Yoshiaki Tsuruoka 千葉経済大学 Chiba Keizai University
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 = The Chiba-Keizai ronso (ISSN:0915972X)
巻号頁・発行日
no.31, pp.1-15,

わが国の自動車産業は、大手のトヨタ、ホンダ、日産、マツダなどが2004年9月中間決算では過去最高の業績をあげた。そのなかにあって欠陥車問題を抱えた三菱自動車のみが不振をきわめている。死亡事故までもひき起したのは、三菱自動車工業が過去に生産したトラックであって、トラック・バス部門を分社化した現在の三菱自動車が生産している乗用車ではない。しかし、三菱のマークをつけたクルマは安全でないという庶民感情から国内での三菱のクルマは販売不振に陥っている。消費者の安全の確保から、欠陥車を全てリコールしてまず安全をとりもどし、つぎに消費者の選択の拡大から、消費者が買いたくなる車づくりができるかが三菱自動車の緊急の課題である。この小論は、2004年12月末までの三菱自動車の再建についてまとめたものである。
著者
増田 公一
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 The proceedings of Chiba Keizai University (ISSN:21876320)
巻号頁・発行日
no.63, pp.69-79, 2020-12

近年,日本企業の内部留保の積み増しが積極的に行われている.直近の財務省の法人企業統計によれば,金融業・保険業を除く全産業において,その額はおよそ463兆円にものぼる.一方,企業の現預金は約223兆円となっており,その金額は1998年から著しく増加傾向にある.2018年時点の日本の名目GDPが約548兆円であることを踏まえると,国内企業の内部留保や現預金の額がいかに莫大なものであるかが分かる. このように近年の日本企業の特徴の一つである現預金の保有行動の決定要因を明らかにしようと,国内外の研究者たちによって多くの実証研究がなされてきた.本稿では,それらの実証研究をサーベイして包括的に整理するとともに,今後の課題について言及する.
著者
黒羽 雅子
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 = CHIBA KEIZAI RONSO (ISSN:21876320)
巻号頁・発行日
no.64, pp.99-118, 2021-06-01

本稿は「Federal Reserve Committee on Branch, Group and Chain Banking」が作成を指示した「Bank Suspensions since January 1, 1921」という調査のネブラスカ州法銀行を対象とした部分の原資料を読み解く試みである。ネブラスカ州では1911年に預金者保証制度が開始され1930年まで続いた。本調査は、同州の預金保証制度下で営業停止(または支払い停止、suspended)となった州法銀行332行を対象にしたもので、営業停止時および整理の経過などが個別の銀行ごとに記録されている。本稿では、この資料の内容について、解説と若干の分析を加えた。
著者
菅根 幸裕 菅谷 祐輔
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 The proceedings of Chiba Keizai University (ISSN:21876320)
巻号頁・発行日
no.56, pp.1-28, 2017-07

近世における六十六部廻国聖に着目し、宝暦年間全国を行脚した安房国長狭郡平塚村(千葉県鴨川市)の高梨吉左衛門の日記から、巡拝の実態を探ろうというものである。この聖は、全国をおよそ三年間かけて廻ったが、日記には具体的な泊所・報謝の様子がわかり貴重である。今回は紙数の関係から原文の紹介に留まるが、詳細な分析については稿を改めて行いたいと考えている。
著者
串山 寿 三浦 洋子
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 = CHIBA KEIZAI RONSO (ISSN:21876320)
巻号頁・発行日
no.64, pp.33-45, 2021-06-01

新型コロナウイルスの影響で、大学によっては未だにオンライン授業やオンデマンド授業が中心に行われている。授業はオンラインやオンデマンドで行えたとしても、オンラインテストはどのように実施すればよいのかという課題がある。オンラインテストの場合、カンニングの防止方法や、テスト環境(途中で通信が途切れた場合等)の問題をどのように解決するのかという問題がある。 本稿では、本学学生を対象にMicrosoft Forms(以下、Forms)とMicrosoft Teamsⅱ( 以下、Teams)を利用したオンラインテストの実施方法とその結果を提示し、学生のアンケートデータも加味して、その有用性や課題を分析した。 分析の結果、ユーザー側の学生の意見としては、オンラインテストの方がペーパーテストと比べてやりやすいと回答した学生が多かったので、有用性は認められるが、やりづらいという回答も約3割あり、改善すべき点があることが分かった。出題者側の課題としては、テストを受ける学生の環境を事前に把握し、テスト問題の表示方法を工夫する必要があることが分かった。また、操作性について、スクロールをなるべくしないような設定をする必要があることが分かった。
著者
粟沢 尚志 Takashi Awasawa
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 The proceedings of Chiba Keizai University (ISSN:21876320)
巻号頁・発行日
no.57, pp.75-86, 2017-12

本稿の目的は、西千葉における地域通貨「ピーナッツ」に始まるまちづくり活動の意義を、渋沢栄一翁による道徳経済合一説から考察することである。第1節では、地域通貨「ピーナッツ」が単なる消費刺激的機能をもつ地域通貨ではなく、市民が有する人的資源を地域の場で発揮し、その発揮をとおして地域が活性化されるというシステムであることをみる。第2節では、コミュニティ論と日本型経営論(特に人本主義的経営)から地域通貨「ピーナッツ」が生み出した西千葉における人的ネットワークの特徴と意義を理解する。第3節では、渋沢翁の「論語と算盤」の考え方を使いながら、西千葉「ゆりの木商店街」における地元事業者による経営革新の動きをみる。第4節では、西千葉におけるまちづくりの代表例である「ようこそ西千葉へ」の意義を考え、さらにそれに続く最新のまちづくり戦略を紹介する。
著者
粟沢 尚志 Takashi Awasawa 千葉経済大学 CHIBA KEIZAI UNIVERSITY
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 = Chiba keizai ronso (ISSN:21876320)
巻号頁・発行日
no.50, pp.67-76,

本稿の目的は、西千葉における地域通貨「ピーナッツ」に始まるまちづくりの意義を、ポジショニング理論とコーペティション理論から考察することである。第1節では、地域通貨を牽引してきた経営者たち(ピーナッツクラブ西千葉)が渋沢栄一の唱えた論語と算盤の経営倫理観と整合的な考え方から行動してきたことをみる。第2節では、地域通貨の意義を経営学的にみると、コーペティション経営の協調(つまり市場拡大)にあたることをみる。第3節では、経営革新のために立ち上げられた異業種経営研究会の意義をポジショニング理論から考える。第4節では、2014年に始まった「ようこそ西千葉へ」プロジェクトの概要を紹介する。そこには、地元事業者の経営革新と地元事業者と学生との協働が両輪で進められるという新しいまちづくりのモデルがみられる。
著者
菅根 幸裕
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 = CHIBA KEIZAI RONSO (ISSN:21876320)
巻号頁・発行日
no.58, pp.139-161, 2018-06-30

平成30年3月、文部科学大臣は、中央教育審議会に公民館・図書館・博物館の所轄を教育委員会から首長部局への移転の可能性について諮問した。中央教育審議会は同年7月9日、特例としてこれを認めるとする答申を行った。一方、平成30年4月21日、政府の未来投資会議構造改革徹底推進会合「地域経済・インフラ」第4回会合で、文化庁は「アート市場活性化に向けて」という発表を行い、この中でリーディング・ミューゼアムの検討を明らかにした。これはアート市場活性化の役割を美術館や博物館にも担ってもらうというもので、このリーディング・ミューゼアムに指定された美術館や博物館には国から補助金が交付され、学芸員を増やすという優遇措置がされるという内容である。聞こえは良いが、実際にはミューゼアムが資料をオークションに売却する構造が示され、その売却のために展覧会などの活動が使われるというものである。結果として学芸員が美術市場に関与する必要が生じ、そのために学芸員は「残すべきもの」を見極める能力が必要ということになる。博物館の観光利用による地域活性化が提唱されて以来、様々な変動が起きている。前述の博物館の管轄が首長部局移転すれば、博物館は観光施設として営利活動を行うことを余儀なくされるであろう。一方、リーディング・ミューゼアムは、美術館・博物館の自活促する有効な手段であると解釈することができる。よって、博物館の生き残りのためには、生涯学習施設・教育的配慮などは等閑にならざるを得ないという結論になる。簡単に言えば、これからの博物館活動の基準は「資金稼ぎ」なってしまうのである
著者
鶴岡 詳晁
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 (ISSN:0915972X)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.47-60, 2006-01-31

去る2005年5月に米国の世界的企業のGMとフォードの業績が急激に悪化し、社債格付けが「投資不適格」にまで引き下げられた。ほぼ同時に米国の自動車市場での日本車のシェアが30%という経済摩擦の危機ラインを越えたというニュースも世界を駆け巡った。この小論は、第三次日米自動車摩擦が起きることはないのかを、GMなどの業績の問題点を指摘し、かつその改革案を経済論理的な視点から分析したものである。とくに、日本の大手3社が自社のクルマの値上げをはかって、米国企業のクルマの販売増を側面から支援したり、また、GMが日本の富士重工業の持ち株を売却したのをトヨタが引きうけるなど、従来の日米間の競争よりも共生を目指して日米間の摩擦の解消をはかっている。2005年11月時点では、日米間の摩擦は経済論理的な面では起こりえないと信じているが、来年にもち越されるリストラの動きと11月の中間選挙に関連して政治面的な要因から摩擦が起きる可能性がある。
著者
小野 正芳 Masayoshi Ono 千葉経済大学 CHIBA KEIZAI UNIVERSITY
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 = Chiba keizai ronso (ISSN:21876320)
巻号頁・発行日
no.50, pp.27-48,

2000年以降、社会保険・税ともにその負担は増してきた。社会保険料は年々増加し、減税措置はなくなり、所得控除も縮小されている。したがって、絶対額としての各個人の負担は高まっている。その一方で、その負担は高所得者に多く課されており、標準世帯全体としては、格差がより小さい状態へと向かっているといえる。どの世帯においても負担が増えながらも格差が小さくなっているということは、高所得者にかなりの負担がかかっているということでもある。
著者
小野 正芳
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 (ISSN:21876320)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.1-17, 2013-12-21

日本の財政再建に向けた第一歩として2014年4月から消費税が8%に、2015年10月から10%になることが決定している。しかし、GDPの2倍近くに迫る政府債務、GDPの8%に迫る毎年の財政赤字、国際的にかなり低い国民負担率といった点を考えると消費税の増税だけでは不十分である。そこでは国際的にみてもかなり低い水準にとどまっている所得税が増税の候補となりうる。一方で、所得税は景気に大きく影響される不安定な財源であるとの指摘がある。しかしながら、所得税の源泉となる給与収入と景気の関係はそれほど大きくなく、所得税収を不安定にしているのは主に所得控除項目である。特に、給与収入が高いほど配偶者控除や配偶者特別控除の適用割合が高くなっており、給与収入が高い者の納税額を減少させる要因になっている。また、社会保険料の負担増加も所得税を減少させる大きな要因になっている。現在の社会保障を維持するのであれば、社会保険料と所得税が相関をもたないように制度を設計すべきであろう。さらに、住宅借入金等特別控除も所得税を大きく減少させる要因になっている。住宅借入金等特別控除は、景気刺激を目的とした政策である。本来国庫に入るべき財が、住宅という個人の財の蓄積に回されているのであり、財政再建を考える場合には、その政策効果が十分に得られているのかを慎重に検討する必要がある。このように所得税を安定かつ大きな財源にするために、所得控除項目の見直しが急務である。
著者
粟沢 尚志
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 (ISSN:0915972X)
巻号頁・発行日
no.32, pp.43-62, 2005-07

本稿の目的は、少子高齢社会における地方自治体の競争優位がいかに変化するかを説明することである。財政学では、市場の失敗の度合いが公的部門の役割を決める要因とされるが、どれほど市場の変化へ柔軟な対応をできるかも重要となる。それを明示的に考慮すると、高齢社会における地方自治体の政策効果は混沌が長く続くだろうとの結論を得る。
著者
池田 宏樹
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済大学短期大学部研究紀要 (ISSN:13498312)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.一-一二, 2012-03-31

The universal suffrage of Japan was carried out in 1928 for the first time. Peasants have expected universal suffrage and supported the proletarian party. Furthermore they fought well in the universal suffrage. The peasant union was disuniting in that time. However, the peasant union unified it after the universal suffrage. And they orgnized the National Peasant Union. The National Peasant Union received a big suppression by the April 16 Incident. The biggest subject of the National Peasant Union was the relation with the proletarian party. This paper examines the 1930's beginning peasant movement of Chiba Pref.