著者
岡崎 勝世
出版者
埼玉大学教養学部
雑誌
埼玉大学紀要. 教養学部 = Saitama University Review. Faculty of Liberal Arts (ISSN:1349824X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.33-89, 2017

はじめに第1章 近代教育体制確立期における世界史教育(1886、明治19~1893、明治26)1.中学校令(1886、明治19)と世界史教育2.帝国大学と史学科の発足3.天野為之『萬國歴史』(1887、明治20) ―初期文明史型万国史―4.スウィントン『世界史概説』と木村一歩『萬國歴史』(1891、明治24)5.文明史型万国史教科書の二つのタイプ6.中国史の革新 (以上、前号)第2章 近代教育体制整備期における世界史教育(1894、明治27~1902、明治35)1.「完成期文明史型万国史」2.国史・東洋史・西洋史「三分科制」の提起3.「官学アカデミズム史学」の形成とドイツ近代歴史学4.万国史教科書の消滅と東洋史教科書、西洋史教科書の分立へ (本号)おわりに
著者
高木 英至
出版者
埼玉大学教養学部
雑誌
埼玉大学紀要 教養学部 (ISSN:1349824X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.133-141, 2010

高木(1992b,1993)では外見的魅力、態度の類似性、報酬履歴に基づいて恋愛関係が形成されるという前提に基づき、恋愛関係形成の計算モデルを構築した。本研究は、基本的にこのモデルを前提とし、新たなプログラミング環境に適合したコード化をしつつ、距離空間を導入した新たなモデルを構築する。距離空間の導入により、対人関係の古典的説明要因である近接性(proximity)をモデルの中で考慮することが可能になる。そしてこのモデルの実行による試験的なシミュレーション試行を実施する。シミュレーションから次の傾向が確認できた。1)成立するデート関係および婚約関係は、距離の導入によって近隣で生じるようになる。2)距離を導入した場合、デート関係の場合より近隣で婚姻関係が生じるようになる。3)距離の導入により外見の良い相手を求める傾向が阻害される半面、高い態度類似性をパートナー間で実現する傾向が生じる。4)位置によって相手の選択が分岐し、中心的位置にあるエージェントは周辺的な位置にある場合より態度類似性が高いパートナーを見出しやすい。これらのシミュレーション結果の含意と、今後の研究の展開を議論する。
著者
佐藤 雅浩
出版者
埼玉大学教養学部
雑誌
埼玉大学紀要. 教養学部 = Saitama University Review. Faculty of Liberal Arts (ISSN:1349824X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.51-70, 2019

本稿の目的は、「うつ」で通入院経験のある人々を対象とした社会調査の結果を分析することで、精神疾患に関する医学的知識が、どのような経路を辿って人々に受容されているのか、またその結果として、人々の意識や行動にどのような影聾を及ぼす可能性があるのかについて考察することである。これまで「うつ」をはじめとする各種の精神疾患の流行現象については、理論的・実証的な諸研究が蓄積されてきたが、精神疾患に関する大衆的な知識の普及という現象に着目し、当該の過程を精緻に検討した研究は少ない。本研究では、上記の人々を対象としたアンケート調査の結果を分析することで、精神医学的知識の普及過程とその自己への影聾について、社会学的な観点から考察を行った。またこのことにより、精神疾患の流行に関するI.Hackingの「ループ効果」概念の妥当性を、経験的なデータに基づいて検証することを目指した。
著者
水野 博介
出版者
埼玉大学教養学部
雑誌
埼玉大学紀要. 教養学部 (ISSN:1349824X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.309-318, 2011

1 仮説と問題意識2 検証方法 (1) データベース (2) 「創作者」についての情報 (3) 時代背景等3 Jポップ成立前夜4 Jポップの成立以降5 20世紀末~21世紀初頭6 結語
著者
水野 博介
出版者
埼玉大学教養学部
雑誌
埼玉大学紀要. 教養学部 = Saitama University Review. Faculty of Liberal Arts (ISSN:1349824X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.193-203, 2011

1 仮説と問題意識2 検証方法3 太平洋戦争敗戦直後の1940年代4 1950年代から1960年頃まで5 1960年代「和製ポップス」・GSブーム6 60年代「青春歌謡」および「演歌」7 60~70年代「フォーク」とアイドルたち8 結語
著者
中村 大介
出版者
埼玉大学教養学部
雑誌
埼玉大学紀要. 教養学部 = Saitama University Review. Faculty of Liberal Arts (ISSN:1349824X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.89-101, 2019

馬の利用開始は人類史のなかでも重要なテーマであり、馬具の存在や歯の分析など、様々な視点から検討が行われてきた。近年では土器残存脂質分析やDNA分析によって馬の家畜化は銅石時代からであることがほぼ確定されたが、その利用方法については末だ不明瞭な点が多い。さらに、銅石時代から青銅器時代早期までは馬具の装着方法や馬の操縦方法も多様である。一方でアルタイ山脈より東方では、馬の家畜化はかなり遅れる。こうした状況と近年のDNA分析成果を総合すると、銅石時代に家畜化された馬がそのままユーラシア各地に拡散するのではなく、刺激を与えつつ、各地で試行錯誤を経て家畜化されると推定された。
著者
高木 英至
出版者
埼玉大学教養学部
雑誌
埼玉大学紀要. 教養学部 (ISSN:1349824X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.149-159, 2012

高木(2010)で作成した恋愛関係形成のシミュレーションモデルをもとに, 恋愛関係における戦略が進化するシミュレーションモデルを作成し, 試行的に実施した. シミュレーション結果では次の結果(モデルの予測)が観察された. 1) 社会的望ましさを相手に求める傾向は, 望ましさが高い者ほど強い. 望ましさによるこの相違は, 両性が自由にプロポーズできる場合に顕著である. 2) 社会的に望ましい者は恋愛における積極性(プロポーズや受諾のしやすさ)が低くなる. またプロポーズ権に不平等があるとき, プロポーズ権のない側は積極性が低下する. 3) 相手との釣合いを求める傾向は社会的望ましさの高い者ほど強い. 釣合いを求める傾向はまた, プロポーズ権が両性にある場合に高くなる. さらに, 戦略進化の結果としてカップル間の望ましさにおける釣合いが高まることも示された. このシミュレーション結果は, 相互作用状況の構造的要因から個人レヴェルの志向が生まれる可能性を示唆している.
著者
ブラウン ロジャー
出版者
埼玉大学教養学部
雑誌
埼玉大学紀要. 教養学部 = Saitama University Review. Faculty of Liberal Arts (ISSN:1349824X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.69-103, 2018

This essay criticizes the contention of Anglophone scholars that fascism best describes the polity of wartime Japan. It disputes their claim of a Japanese scholarly consensus on the question of Japanese fascism and points out a historiographical divergence on this matter between Japanese and Anglophone scholarship. It surveys perceptions of fascism in the 1930s, revealing the diverse and imprecise usage of the term and the futility of appealing to the views of any given contemporary observer in order to argue convincingly for a fascist Japan. This survey does indicate the importance of idealist nationalism and the socialist critique of capitalism to the era’s nationalist movement, and thus for identifying any fascist components to prewar nationalism and assessing their significance to the wartime polity. The essay also contests the blanket portrayal of the “new bureaucrats” as fascists by revealing the divided nature of contemporary opinion on this matter and their own critical reaction to the prospect of Japanese fascism.
著者
岡崎 勝世
出版者
埼玉大学教養学部
雑誌
埼玉大学紀要. 教養学部 (ISSN:1349824X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.33-89, 2017

はじめに第1章 近代教育体制確立期における世界史教育(1886、明治19~1893、明治26)1.中学校令(1886、明治19)と世界史教育2.帝国大学と史学科の発足3.天野為之『萬國歴史』(1887、明治20) ―初期文明史型万国史―4.スウィントン『世界史概説』と木村一歩『萬國歴史』(1891、明治24)5.文明史型万国史教科書の二つのタイプ6.中国史の革新 (以上、前号)第2章 近代教育体制整備期における世界史教育(1894、明治27~1902、明治35)1.「完成期文明史型万国史」2.国史・東洋史・西洋史「三分科制」の提起3.「官学アカデミズム史学」の形成とドイツ近代歴史学4.万国史教科書の消滅と東洋史教科書、西洋史教科書の分立へ (本号)おわりに
著者
関口 順
出版者
埼玉大学教養学部
雑誌
埼玉大学紀要 (ISSN:05813654)
巻号頁・発行日
no.29, pp.p187-169, 1993
著者
牧 陽一
出版者
埼玉大学教養学部
雑誌
埼玉大学紀要. 教養学部 = Saitama University Review. Faculty of Liberal Arts (ISSN:1349824X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.109-123, 2020

不在をキーワードにして中国、韓国、日本の作品を比較検討する。まず岳敏君の「無人の風景シリーズ」と小泉明郎の「空気シリーズ」を取り上げて、その影の持つ不可視性について考察する。さらに空っぽの椅子の表象に注目し、キム・ウンソン & キム・ソギョン「平和の碑」から対話への希望と不戦へのメッセージを見出す。また不戦の具体的な意図を銃の表象に求め、小沢剛「ベジタブル・ウェポン」や尹秀珍「時尚恐怖主義」に共通する危機感を考察する。最後には二重の不在である毛同強「我有一個夢 I Have a Dream」を取り上げて、不可視的な観念の世界で結びあう可能性がある事を指摘する。
著者
古川 光流 袁 景竜 陳 怡禎 山崎 敬一
出版者
埼玉大学教養学部
雑誌
埼玉大学紀要. 教養学部 = Saitama University Review. Faculty of Liberal Arts (ISSN:1349824X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.237-258, 2020

本研究は、アイドルファンであることの経験を中心に、現代の大学生の音楽受容の実態を量的研究と質的研究を組み合わせた多段階調査を行い、分析したものである。本研究では、第1段階として、S 大学の学生を中心に音楽受容の実態を調査した。その結果、音楽受容に男女差は見られず、また、現代の音楽産業の中心となっている音楽ライブの参加経験者も少数にとどまっていた。しかし、S 大学の学生のうち、アイドルの音楽ライブ参加経験がある学生を対象にした第2 段階の調査においては、どのようなアイドルを応援するかについて、男女差がみられた。また、年間4 回以上音楽ライブに参加する熱心な参加者や、複数のアイドルを応援するファンが多く見られた。さらに、第3 段階の調査として、アイドルの音楽ライブ参加経験者に対して、グループインタビューとグループディスカッションを行い、日常生活におけるアイドルファンの応援活動やコミュニケーション、複数のアイドルを応援する傾向について考察した。This paper examines the music experiences practiced by Saitama University students through quantitative and qualitative research. Data analyzed in this paper were from the questionnaire survey for the quantitative analysis and group interviews for the qualitative analysis. The first questionnaire survey revealed that there was no gender difference in respondents’ music experiences and only a small number of students who had participated in music live. However, the second survey established that there was the gender difference in attending concerts between the respondents. The second survey also showed that the respondents who participate in music live at least four times a year have tendencies to support more than one idol. The third survey as a qualitative research was to demonstrate the fan activities and communications in the idol-fan communities. This is conducted through sources from group interviews and group discussions with fan club members and idol music live participants.
著者
水野 博介
出版者
埼玉大学教養学部
雑誌
埼玉大学紀要. 教養学部 (ISSN:1349824X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.175-182, 2014

1 はじめに2 リキッドモダンの諸相①都市の変容あるいは西洋的中世への回帰②非市民的な公的空間③相互不干渉な消費空間としての消費の殿堂④軽い近代⑤「現在」を生きる現代人3 リキッドモダンにおけるメディアの現状(前稿の続き)①日本のテレビ番組の「消費の殿堂」化②ネットの発展と特権的な場所の消滅?③刹那的なメディア消費4 結語
著者
水野 博介
出版者
埼玉大学教養学部
雑誌
埼玉大学紀要. 教養学部 (ISSN:1349824X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.159-164, 2013

1 はじめに2 リキッドモダンとは何か? ~近代史の現段階の比喩~ ① 近代の流動性 ② 自由と解放 ③ 個人化 ④ 人間的絆のネットワークの解体3 リキッドモダンにおけるメディアの現状4 リキッドモダンにおける「監視」の概要 ① パノプティコン時代 ② ポスト・パノプティコン時代5 結語