著者
渡辺 千香子 本郷 一美
出版者
大阪学院大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2021-07-09

従来、古代西アジアのライオンは「インドライオン」と考えられてきた。しかし新アッシリア時代のライオン狩り浮彫には、異なる2種類のライオンが描き分けられ、ライオンの身体的特徴と連動して身体のサイズが異なることから、両者の違いは個体差ではなく、異なる亜種か品種であった可能性が浮上する。古代の文献には「平原生まれ」と「山生まれ」のライオンが登場し、ライオンを意味するシュメール語とアッカド語には2種類ずつの語彙がある。ここからこの地域のライオンが必ずしも単一種ではなく、未知のライオンが生息していた可能性が浮上する。本研究は古代西アジアのライオンの実態を、図像・文献・動物考古学の学際的視角から探究する。
著者
八杉 佳穂 Yoshiho Yasugi
出版者
大阪学院大学
巻号頁・発行日
vol.4, 2003-03-25

研究課題番号: 11171101
著者
角田 聡
出版者
大阪学院大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1993

組織が低酸素状態に陥ると、キサンチンオキシダーゼ(XOD)の活性化により活性酸素の生成が増大する。激しい運動中には生体内において低酸素状態が生じ、XODの活性化によるO2・が生成される。そこで本研究では、骨格筋の虚血・再灌流により、活性酸素の生成が増加するかどうかを、抗酸化物質であるビタミンEを過剰に投与したラットにおいて検討した。5週齢のSD系雄ラットを5日間予備飼育した後、2週間通常食群(C)とビタミンE(1000IU/kgdiet)食群(VitE)に分けて飼育した。実験は、疑似手術(Sham)群を加えて計3群とし、12時間以上の絶食後に行った。ラットをネンブタール麻酔下で開腹し、腹部下行大動脈の血流を阻止し、20分間の虚血後に血流を再灌流した。血流再灌流20分間後に下肢の筋肉をサンプリングした。氷冷した生理食塩水で振り洗いした後、水分をとり液体窒素に凍結保存した。大川らの方法によって筋肉のホモジネイトの過酸化脂質(MDA)を測定した。筋肉のMDAは、VitE群とSham群がC群に比べ、有意に低い値を示した。また、ビタミンEの濃度は、VitE群がC群よりも約20%程度有意に上昇した。筋肉の損傷の指標である血漿CK活性を測定したところ、VitE群が最も低い値を示した。さらに、活性酸素を発生させるFe^<2+>を2mM加え、37℃で1時間インキュベーションした結果、C群に比べVitE群が有意に低い値を示した。これらの結果から、骨格筋の虚血-再灌流は活性酸素の増加を促し、筋肉の酸化ストレスを増加させることが示唆された。また、骨格筋の虚血-再灌流による酸化ストレス、もしくは活性酸素発生物質に添加による酸化ストレスは、ビタミンE含量が高い状態で軽減することが明らかになった。さらに、ビタミンEがCKなどの血中逸脱酵素の上昇を抑える可能性も示唆された
著者
山崎 照
出版者
大阪学院大学
雑誌
大阪学院大学論叢
巻号頁・発行日
no.2, pp.199-216, 1964-04
著者
和中 幹雄 渡邊 隆弘 田窪 直規 松井 純子 研谷 紀夫 横谷 弘美
出版者
大阪学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

情報のデジタル化・ネットワーク化が進展するにつれ、図書館目録は、他のコミュニティのメタデータとのつながりが求められるようになった。本研究では、新たな環境における図書館および文化機関(文書館、博物館など)の書誌コントロールの在り方の現状を分析するとともに、歴史的変遷を辿った。Linked Open Dataを用いたウェブ上での書誌コントロールにおいては、FRBRにおける各種実体(著作、体現形、個人、団体等)の識別子が重要となる。このような観点から、今後のわが国における書誌コントロールの課題(文書館・博物館における標準化意識、出版界との連携、複数のMARCの調整、典拠コントロールなど)を抽出した。
著者
中 則夫 宮田 Susanne 寺尾 康
出版者
大阪学院大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1997

(I)日本語における語彙の発達に関する予備調査本年度は、日英語のデータ整備、および少数の被験者を対象にした予備分析を行った。その結果、観察した四児にはいくつかの傾向がみられた。(11)タイプはすべて名詞が一番多い(12)間投詞類が多く形容詞、動詞の活用語が少ない(10%以下)グループがある(13)動詞の活用語が多く(20%程度)、間投詞類が少ない(10%以下)グループがある(14)上位を占める品詞はばらつきがあり、個人差により出現しない品詞もある(15)(12),(13)の結果は大久保のいう名詞型、動詞型にほぼ一致する(16)活用語のタイプが多いときはト-クンも多い(動詞は24%以上(II)幼児のメンタル・レキシコンを探る手がかり本年度行った、筆者が所属する大学の保育科の学生に依頼して行った予備的な実例収集では、(1)のような語彙の代用タイプの誤りは34例(総数750例)観察された。全体的な傾向としては、子どもの誤りであっても意図した語と誤った語の文法範疇は100%一致していること、誤りの要因では(2)に示すような、音韻的な類似性に影響されたと思われるものが多く観察された。(2)a.ハンバーグ(段ボール:1.6)b.オイナリ(かみなり:3.0)c.ガイコツ(がいこく:4.0)また、(1d)のような、文脈的な語彙代用は子どもの誤りには観察できなかった。語彙レベルに限らず、音韻的な誤りにおいても文脈の影響を受けていると思われる誤りはきわめて少なかった。このことは、子どもの記憶容量の限界からくるのか、発話部門内の操作の容量(音韻的な交換タイプは多く観察される。これも一種の文脈的な誤りとみるならば例外となる。)によるのか今後の課題としたい。
著者
鬼木 甫
出版者
大阪学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は、「既得権(vested interest)問題」を経済理論の立場から分析し、これを合理的に解決・処理するための経済システムを設計・提案することである。本研究ではまず、理論的基盤となるべき「既得権の経済モデル」を構築する。次いで具体的な分析対象として、多数種類の既得権のうち(1)電波利用、(2)土地所有と利用、(3)職位保持の3ケースそれぞれについて分析とシステム設計を行うこととした。前年度においては、上記のうち(1)電波利用にかかる既得権について研究成果を発表し、さらに(2)土地利用と所有にかかる既得権について文献調査をおこない、(3)労働者についての「職位保持」に関する制度の概要を調査した。これに引き続き、本年度においては、(4)電波利用に関する研究成果をさらに2件発表し(本様式p.2の#207、#210)、(2)土地所有に関する既得権について日本経済学会で招待講演をおこない(同上#210)、さらに(3)テレビ電波利用の既得権に関連して「アナログテレビ停止」についての研究を発表した(同上#211)。
著者
山本 博樹
出版者
大阪学院大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1996

情報化社会では、受け手に情報を「分かりやすく」伝達するにはどうすればよいかという問題が重視される。同時に、このような社会では、映像情報の重要性が高いため、映像情報をいかに「分かりやすく」伝えるかを考察することが急務である。これまでの研究から、理解を支援する画面構成については、受け手の認知過程に適合するような画面構成が重要であると考えられてきた。すなわち、物語を題材とした場合、主人公の目標構造を構造化するように画面を構成することが、受け手の理解を支援することが示されている。主人公の行為が物語の最終的な問題解決にどのように結びついているかは行為の重要度と呼ばれ、階層化されているが、階層の高い行為は基本動作であり、基本動作を踏まえた画面構成が物語の理解を支援すると考えられている。そこで、本研究では、基本動作を踏まえた画面構成が物語理解の構成過程に及ぼす効果について実験研究を行った。実験では、幼稚園を被験者にし、3群を構成した。課題として簡単な出来事について数枚からなる絵画物語を作った。それらは内容が同じであっても、基本動作として重要度の高い動作が描かれた基本動作条件と基本動作として重要度の低い動作が描かれた非基本動作条件、ならびに規範的な動作が描かれた規範動作条件の三つであった。理解テストとして、絵画をランダムな順序で提示し、それらが正順になるように配列させた。各条件が理解の構成過程にどのような効果を及ぼしているかを分析するために、絵画配列行動を下位行動を分析し、また、構成結果がどれくらい正順と相関しているかについても分析を行った。以上の結果から、重要度の高い基本動作に対応させて画面を構成することが理解を支援することが示された。
著者
荘厳 舜哉
出版者
大阪学院大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991

平成3年は,アメリカの5歳児との比較研究を,同一の観察パラダイムを利用することで試みた。現在,このデータ解析を日米両国で分析中であり,直接比較できる数値データは末だ出ていない。そこで両国で観察した印象を中心報告する。アメリカの子どもには遊んでいる玩具を,実験者が片づけてしまうストレス場面において,自分で箱を空けていったん片づけられた玩具を取り出す行動が散見され,また母親がお片付けの指示を出したとき,男女共にその理由を問いただす行動が目立った。翻って日本の子どもでは玩具を取り出す行動は皆無であり,また理由を問いただすのは男児に散見された。このような事実は,日米間の子どもの情動コントロールのあり方に大きな違いが存在するということを示唆する。6歳の観察では,前期に遊びたいのだがお母さんの言いつけに従ってお勉強を済ましてしまわなければ遊べないというストレス課題を,後期では男女別の3人集団の遊び内容の性差を見る課題を準備した。いずれの観察においても男女の性差が際立った結果となった。お勉強課題にあっては,男の子が女の子の約2倍の時間を必要とし,床に並べてある玩具で遊びたいという気持ちが,課題に集中することを妨害する傾向がはっきりと認められた。集団遊びでは男の子は互いの間にインタラクションが多く,会話も非常に豊富で,向社会的行動が豊かに出現した。また,全体のインタラクションでは,その状況がどのように変化するか全く予想がつかず,遊びのバリエションは非常に豊かであった。逆に女の子集団では会話すら行われないことが多く,一人遊びに終始する傾向が強く出現した。3人組にした女の子集団の約1/3のみに,不活発ながら相互作用が見いだされたが,互いが相手を意識して,結局相互作用を行うことが出来ないままに観察時間が終了する集団が目立った。
著者
荘厳 舜哉 山本 登志哉 亀島 信也 河合 優年 竹内 伸宜 坂元 章 藤永 保 上原 明子
出版者
大阪学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

全部で6つの大きな課題が,4つの研究集団の手によっておこなわれた。最初の3つは研究代表者を中心としたグループの,条件統制観察研究,乳児保育所の自然観察研究,それに河北と上海における感情意識構造の質問紙研究である。それぞれの結果は報告書にまとめられているが,全体を通じて,日本の母親や保育者が受け身姿勢であるのに対して,中国の母親や保育者の,指導をすることに対する強い姿勢が描き出された。坂元のグループは,最近日本でも話題になっている青少年の暴力犯罪に関する調査研究をおこなった。結果は多岐にわたるが,日中両国共,青少年犯罪の原因は家族内コミュニケーション不足といった後天的要因が作り出しているという見解において共通であった。日本ではメディアによる悪影響が問題にされるが,実際にはそれは青少年犯罪の本質ではないということも明らかにされた。山本のグループは,子どもが小遣いをどのように使うかということに視点を当て,日本民族,吉林省延辺に居住する朝鮮族,同じく延辺に居住する漢民族,上海市の漢民族とい4集団の比較研究をおこなった。その結果,民族間というよりも,居住地域において小遣いの使い方に違いが認められた。また,小遣いの使途に関する親子間の認識のずれは,これも当然のことながら,年代が上昇するにつれて拡大する。しかしながら,小遣いで購入する物品の価値判断については文化・地域において違いが認められなかった。河合のグループは,内モンゴル自治区の満州族を対象として,据え付けカメラを固定して日常を撮影するという手法,及び日記の分析を通じて,民族に特異的な養育観の研究をおこなった。幼稚園教育自体においては日中間に大きな違いはないが,集団の中での役割や行動規範の獲得において,中国側に強い強制力が働いていることが明らかになった。