著者
八島 一也
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.89-95, 2012-04-15 (Released:2016-08-31)
参考文献数
3

団塊世代の大量退職に伴い,経験した事の無い早さで従業員構成の世代交代が進んでいる.この結果として経験不足が原因と思われるミスやトラブルが少なからず発生しており,その頻度が過去の実績よりも増加傾向にある.このような傾向にストップをかけて減少傾向に導き,発生ゼロを継続して行けるよう,様々な安全活動に取り組んでいる.今回は当社工場における安全活動のうち,事故・災害防止の活動としてのヒヤリ・ハット活動とその活用事例およびアクシデント・ゼロプロジェクト活動について紹介する.
著者
森田 豊
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.121-125, 1977-04-15 (Released:2018-05-31)

1969年12月,アフリカ沿岸で3隻の巨大タンカーが,タンク洗浄中に原因不明の爆発事故をおこした.そこで,その原因の究明と対策の樹立を目ざして内外に研究組織が結成されたが,その結果,原因はタンク洗浄中の静電気現象にあることが推定されるに至った.本稿は,これらの報告書をもとに,タンク洗浄中の静電気現象の解明と,この爆発事故の発火原因の分析とを行ったものである.内容には,洗浄中の帯電現象,電荷の減衰,タンク内の電界と電位,放電とその関連事項を含んでいる.
著者
宍倉 正展
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.331-339, 2015-10-15 (Released:2016-07-01)
参考文献数
31

2011 年東北地方太平洋沖地震では津波が沿岸各地を襲い,甚大な被害をもたらした.その巨大な規模から想定外が叫ばれたが,実は古文書や地形・地質の痕跡から,過去にも同様の津波が襲っていたことがわかっていた.このことから東日本大震災後,過去の地震や津波を探る研究(古地震・古津波研究)が注目を浴び,日本列島各地で行われるようになった.一方,行政は想定外をなくすために,過去の事実に関係なく,予め最大クラスの想定を行うようになった.あまりに巨大な想定は,かえって地元住民を困惑させることになってしまいかねない.そこで古地震・古津波の研究者は,新たなアプローチで過去の巨大津波の実態を解明しようと試みている.
著者
加藤 亮平
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.455-462, 2017-12-15 (Released:2017-12-15)
参考文献数
24

マスコミ等で「ゲリラ豪雨」とも呼ばれる局地的大雨は,河川の急な増水や道路の浸水などを通じて時には人的被害をも引き起こすため,そのメカニズム解明と予測技術の開発・高度化は重要な研究課題である.本稿では局地的大雨について,その実態とメカニズムについて現在の知見を紹介し,その予測技術について解説した.実態とメカニズムについては,局地的大雨を引き起こす積乱雲について,その構造と発生条件を解説し,局地的大雨が起こるプロセスを考察した.予測に関しては,一時間程度の非常に短い予測時間に対し,積乱雲に伴う強雨の時間発展を予測する技術に焦点を当て,補外ベースのナウキャストとデータ同化を用いた数値予測について解説した.最後に局地的大雨研究の今後の展望を述べた.
著者
岩井 博樹
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.424-429, 2015-12-15 (Released:2016-07-01)
参考文献数
3

近年,様々なデバイスがインターネットに接続されると共にサイバー上からの脅威が高まってきている.その対象には,自動車や航空機,鉄道等の乗り物においても同様である.特に自動車においては身近な乗り物ある事に加え,人命が関係するために注目度は高いと言える. 従来,自動車の車載システムの不正操作はダッシュボード下からモジュールを接続するなど,物理的な側面が強かった.しかし,近年の車載システムはWi-Fi やBluetooth といった外部接続が可能であり,遠隔から自動車を不正操作することができるリスクが出てきた.現在,このリスクは特定条件下において実証されており,システム全体のセキュリティ対策の強化が望まれている. そこで,本稿では現状指摘されている自動車におけるサイバーリスクと想定される脅威について紹介し,その対策例を述べる.
著者
青木 通佳
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.164-171, 1982-06-15 (Released:2018-02-28)

前稿は大脳生理学の観点からヒューマン・エラーに対する見方と考え方について述べた.本稿では,化学プラントのほか産業各分野で実際に安全管理にたずさわる人々に事故原因となった作業ミス要因がどんな理由で発生し,どんな対策が有効かを自からの手で調査し,分析ができるようにすることを目的として,安全人間工学部会,石油化学分科会が作成した「人的事故の原因調査分析手順書」の試案を紹介した.またその使い方を理解してもらうため,過去に発生した化学プラント事故を分析事例として取り上 げ,その解析と評価の応用例を示した.
著者
黒田 勲
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.264-272, 1982-10-15 (Released:2018-02-28)

航空機発達の歴史は間時に人聞一機械系の安全追究の試行錯誤の歴史でもある, 憩速な性能伸展をとげる航空機と能力進展のない人聞との間のギャヅプをいかに埋めるかの努力が続けられてきた.従来の人的要因への対策の無効性の反省から,新たに人的要國の見直しが行なわれ,人的要因を誘発するデザイン,機器等の改善が実施されるようになってきた. 人的要因として最も童視される意識障害要因の排除方武,人闇の惜報処理能力に見合っ牟器材画の改善,自動化の導入,意思決定補助装置の開発,さらに教育方法等について検討を行なった. 同様の経過をとるであろう安全工学の進歩の資となれば幸いである.
著者
北川 稔
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.233, 1990-08-15 (Released:2017-09-30)
著者
石内 征夫
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.15, no.6, pp.382-386, 1976-12-15 (Released:2018-05-31)

可燃性液体の引火点を求める,次の推算式を提出した. 非会合性:TF={Tb0.119+(0.0656)(N/B)-0.119-0.185}1/0.119 会合性:TF={Tb0.105+(0.0570)(N/B)-0.105-0.142}1/0.105 TF:引火点[。K],Tb:標準沸点[。K],B:全圧[mmHg],N:可燃性液体1モルを完全に燃焼させるに必要な酸素の理論モル数. 二成分系以上の場合には,Nの代わりに,ΣyiNiを用いて,上式により推算できる.計算図表を,図1,図2に与えた. 計算値と実測値とは,よく一致しており,有用と考えるが,ハロゲン化合物には,その化学的抑制作用のために適用できない.
著者
佐藤 保和
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.378-385, 2005-12-15 (Released:2016-12-30)
参考文献数
15
被引用文献数
2

例えばメタンに比べると水素には,空気中での浮力が大きい,拡散が速い,ガス体積当りの燃焼熱が小さい,火炎の輻射率が小さいなどの安全側に働く性質がある一方で,ガス貯蔵で高圧を要する,可燃限界が広い,着火エネルギーが小さい,化学量論濃度において燃焼速度が大きいので爆風圧が大きい,爆ごうしやすい,火炎を視認しにくい,金属材料を脆化するなどの不安全な性質もある.水素の火炎伝播速度は濃度や乱流強度に大きく影響される.燃焼の伝播が管内あるいは障害物存在下で進むと,伝播がしだいに加速し,ついには爆ごうに転移することがある.可燃性ガスの体積の(1/3)乗で補正した換算距離を用いることで,ガスの種類,濃度,障害物の状況等が同一であれば,ガスの体積によらずに換算距離とピーク過圧の関係が定まる.
著者
田中 則章
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.39-44, 2008-02-15 (Released:2016-10-31)
参考文献数
12

可燃性粉じんの危険性,粉じん爆発の概要,爆発特性,影響因子,複合混合物,粉じん爆発の評価方法,安全対策の考え方について述べる.また,堆積粉じんの発火の特徴,発火・燃焼特性,粉じん火災の安全対策についても言及する.
著者
髙松 良晴
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.305-311, 2008-10-15 (Released:2016-10-31)
参考文献数
16

脱線転覆した列車が隣接線の列車や堅い構造物と衝突すると大惨事となる.1960 年代,貨物列車の脱線転覆から三河島事故,鶴見事故と続いた.当時の国鉄は,列車制御技術の開発とともに,北海道狩勝に実験線を設け,12 年間にわたり,2 軸貨車の脱線メカニズムの解明を行った.その成果が旅客線までに及び,その後,同種事故の発生は久しくなかった.だが,2000 年代に入ると,また,日比谷線事故,福知山線事故と死傷者多数を出す脱線転覆事故が続くようになった.今度は旅客電車のボギー台車の脱線である.自動車にはテストコースがあるが,わが国の鉄道にはない.大都市内鉄道や新幹線が,ともに,高頻度高速で運行されている.一方,東海・東南海・南海地震発生の確率が論じられている.より安全な鉄道を目指し,いまこそ,再び脱線実験線を設け,脱線のみならず,部材疲労,火災,衝突などの各種実車実験を行うべきである.
著者
秋田 一雄
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.138-139, 2005-04-15 (Released:2016-12-30)
参考文献数
5
著者
飯本 武志 米原 英典 小佐古 敏荘
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.215, 2009-08-15 (Released:2016-09-30)
参考文献数
22
被引用文献数
2

環境にはさまざまな自然の放射性核種が存在する.これらの核種を含む物質は,自然起源の放射性物質(NORM(ノルム):Naturally Occurring Radioactive Materials)と呼ばれる.また,このうち何らかの人為的な過程を経て,結果的に放射線量が高くなったNORM をTENORM(テノルム:Technologically─Enhanced NORM)と呼ぶ.このような自然起源の放射性物質の存在とその特徴を概説するとともに,放射線防護学的な安全の考え方について整理した.放射線量の定義,放射線被ばくの分類の基本的な考え方(「現存する被ばくの状況」と「計画的な被ばくの状況」など)を理解し,現実の状況に適合した自然起源の放射性物質の管理方針を策定することが重要となる.現在も,世界的な議論として,その検討活動が活発に展開されている.有効かつ合理的な安全を追求するための議論には,現状実態の把握とその分析が最も急がれるところである.系統的な実地調査が十分ではない分野と,放射線安全/放射線防護分野との分野の壁を超えた強い連携,相互の活発な意見交換を強く期待したい.
著者
澤田 晋一
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.458-467, 2011-12-15 (Released:2016-08-31)
参考文献数
13

東日本大震災後の復旧・復興作業を遂行する上で,夏の暑さと冬の寒さは不可避である.その上,がれきの撤去作業や除染作業では,粉じんや電離放射線からの防護と安全対策のために,マスク,ヘルメット,防護服,安全手袋,安全靴などの労働衛生保護具を着用しなければならない.これらの作業条件は夏季には作業者への暑熱ストレスを過酷なものにする.冬季の復旧・復興作業は特に被災地の大半が東北地方の太平洋沿岸の寒冷地域であることから,しばしば風雪や冷たい降雨に曝されて厳しい寒冷作業になる.本稿では,このような復旧・復興作業を遂行する上で懸念される暑熱,寒冷負担と健康障害の病因,病態,兆候について,温熱生理学的観点から概説した.またこれらの健康リスクを予防するための方策について,暑熱,寒冷ストレスの測定・評価法とそれにもとづく労働衛生管理対策のありかたに焦点をあてて論じた.
著者
八島 正明
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.169-176, 2011-06-15 (Released:2016-08-31)
参考文献数
35

2003 年8 月14 日,多度町(現・桑名市)にあるごみ固形化燃料(RDF)貯蔵サイロ内で小爆発が発生し,その後サイロ内でくすぶり続けていた.19 日,サイロが爆発し,サイロの屋根で消火活動を行っていた消防職員2 名が死亡,サイロのそばにいた作業員1 名が負傷する災害が発生した.RDF(Refuse Derived Fuel)は新燃料の一つとして脚光を浴びたが,この事故災害を契機に,爆発・火災の危険性があることが社会に知れ渡ることになった.本件では3 回に分けて報告するが,その1 では災害の概要と被害状況を述べる.
著者
安原 昭夫
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.392-399, 2004-12-15 (Released:2016-12-30)
参考文献数
15
被引用文献数
3

三重県,福岡県,石川県に設置されたごみ固形燃料(RDF)の貯蔵槽で起こった発熱・発火,爆発事故の概要を紹介した. つぎに,RDF が発熱・発火する危険性を生物発酵,化学酸化,無機成分の化学反応,高温RDF の持ち込みの観点から考察した結果,含水率が15%以上の場合には生物発酵で温度が60~80℃になり,化学酸化反応が促進されて発火する危険性があり,含水率が低い場合には低温化学酸化で発生した反応熱が蓄熱されて温度が上がっていき,反応速度の増大による発熱が温度を上昇させるという繰返しによって発火する危険性が明らかにされた. これらの結果を参考に三重県で起こった事故の原因を推測した.
著者
秋田 一雄
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.310-311, 1996-08-15 (Released:2017-05-31)
著者
佐々木 正大
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.189-194, 2016-06-15 (Released:2016-06-29)
参考文献数
2

平成26 年,危険ドラッグに起因する死傷事件・事故が相次ぎ,同年6 月には東京池袋において1 人が死亡し6 名が重軽傷を負う交通死亡事故が発生した.店舗に対する検査命令・販売等停止命令等により,販売店舗は徐々に減少し,昨年7 月に『全滅』するに至った. 本稿では,被害を防止するために講ぜられた危険ドラッグ対策について紹介していきたい.