著者
田川 佳代子
出版者
愛知県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

市民をサービス利用者、消費者、顧客と捉え、市場としてサービスの供給を進め、経営管理主義の台頭があるなかで、ソーシャルワークにおける社会正義への責任や平等主義への志向は後退した。主流のソーシャルワークは、システムの変革よりも秩序の維持・適応を目標に据え、社会構造の歪から生じる諸問題を解消する観点は乏しい。そうした脈絡において、次の観点からクリティカル・ソーシャルワークの構想を試みた。(1)抑圧の個人的経験を広範な政治的理解と関連づける構造分析、(2)抑圧や支配を除去し、搾取や社会的不正義を克服するのにふさわしい社会正義への志向、(3)批判理論、ポストモダニズム、ポスト構造主義の思考。
著者
中西 千香 荒川 清秀 明木 茂夫 塩山 正純 植村 麻紀子
出版者
愛知県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

わたしたちは、中国語のレアリア“realia”の中国語教育における可能性、妥当性について検討した。メンバーそれぞれが毎年、資料収集、そして、分析を行い、論文発表および学会発表を通して、このことを証明した。また、年に1回研究会やワークショップを行い、一般の学習者や中国語教育従事者に向けて、レアリアとは何か、レアリアの特徴を紹介し、中国語教育でどのように援用できるか、援用することが、これからの中国語教育にどういう意味をもつのかについて,利点を述べ、明確な示唆を与えることができた。メンバーそれぞれが限られた時間の中で、やるべきことはやりとげ、本プロジェクトは目標を達成したと言える。
著者
谷口 智子
出版者
愛知県立大学
雑誌
紀要. 地域研究・国際学編 (ISSN:13420992)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.247-266, 2007

植民地ペルーにおける「偶像崇拝・魔術」撲滅巡察の歴史は、16世紀から18世紀中頃までの約250年あまりである。しかし、そのもっとも最盛期は17世紀初頭から17世紀中ごろまでの約50年間である。本稿ではその50年間を中心に、巡察の歴史を概観したい。なお、参照した先行研究としてピエール・デュビオルの『アンデスの文化と抑圧』、ケネス・ミルズの『偶像崇拝とその敵』をあげておく。
著者
岩瀬 信夫 岩瀬 貴子 山田 浩雅 中戸川 早苗 糟谷 久美子 三上 勇気
出版者
愛知県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

セルフケア行為について慢性統合失調症患者に面接を行った。精神症状が落ち着いても日常的な会話の意味をとらえる困難さや、認知機能の低下、現実感覚の歪み、辛さ、不安がみられ、いざ退院準備をしようとすると、さまざまな提案に困難さを覚える。入院を継続している今は、病気の説明を受けることで疾患を受容し、自分なりに気分転換し、できることをし、代替を考えることにより、病気との付き合いを行っていた。
著者
梶原 克教
出版者
愛知県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究において発見できたのは、アフリカ系およびカリブ系の文化が修辞法の面において強く示す傾向が、先進的技術革新を通じて広く環大西洋にみられるようになった文化的側面と緊密な親近性を持つという点であった。それは、言語における形体的修辞法と、身体が示す擬態性との、さらにはサンプリングテクノロジー等により可能となった反復性との関連においてである。すなわち、地理的・人種的・民族的に後進的とされるアフリカ・カリブ系の文化が、先進テクノロジーと強い親近性を示し、新たな文化的潮流を生み出していることが立証できたのである。
著者
奥田 隆史
出版者
愛知県立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

我が国の大学においてもGPA制度が導入され,単位取得という学修の“量”だけに着目しがちであった成績評価を,その“質”も重んじるという効果をもたらした.一方でGPAを下げることにつながることを避けるために,学生がとる履修行動(成績評価が厳しい科目の履修回避等)が問題になってきている.つまり,GPA制度には,学修意欲向上インセンティブだけでなく負のインセンティブをも含んでいる.本研究では,野球における打者成績の質と学業成績の質とのアナロジーに着目し,野球選手評価数理理論セイバーメトリクスの着想を,大学における成績評価へ適用し,GPAに代わる新しい成績評価指標を提案するとともにその有効性を検証した.