著者
林田 伸一
出版者
成城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、フランス絶対王政の地方行政の末端を担った地方長官補佐(subdelegues des intendants)について検討することによって、近世フランスの権力構造の特質を明らかにすることにあった。フランス西部地方のアンジェの地方長官補佐をケース・スタディとしてとり上げ、従来制度的研究に傾いていたため検討がなされてこなかった地方長官補佐の実際の機能について、主として考察した。国王政府から広範な権限を委ねられながらも任地の事情に不案内であり、きわめて小さな下部組織しか備えていなかった地方長官は、任地の行政において在地の有力者である地方長官補佐の活動に依存するところが大きかった。その地方長官補佐の活動を網羅的に検討してみると、地方長官補佐は、王権の要求の実現のために動くと同時に、地方の必要を王権に伝えていることが明らかになった。すなわち、王権と地方的諸権力の間に立って、両者の利害を媒介する機能を担っていたとみられる。権力というものを近代国家的に、中央政府から発して地方に伝わっていくと考えるならば、地方長官補佐が在地の名望家であることは、マイナス要因として評価される。しかし、王権が地方にかなりの程度浸透して来ているとはいえ、まだ公権力が一元化されていない状況の中では、そして、中世的な代表制度も近代的な代表制度も欠如しているこの時代にあっては、地方長官補佐が名望家として二つの顔を持っていることは、王権の地方行政が動いていくうえで、逆に有効性をもっていたと考えられるのではないだろうか。
著者
岩田 一正
出版者
成城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本年度は、1930年代に新中間層によって都市郊外に形成された教育文化を事例として分析し、いくつかの研究会でその成果を報告した。その成果とは、次の2つである。第1に、千葉師範学校附属小学校の主事などを務め、八大教育主張(1921年)において「自由教育論」を提示した手塚岸衛が、硬直化が指摘されていた一斉教授を中心とする画一的な教育を斥けて、自由教育を実践するために設立した自由ヶ丘学園(1930年設立)にその名が由来する自由が丘に形成された教育文化と、箱根土地株式会社を中心として開発され、1927年に分譲が開始された国立に展開した教育文化を、成城に形成されたものと比較しながら考察したものであり、第2に、三田谷啓が1927年に設立した三田谷治療教育院や桜井祐男が1925年に設立した芦屋児童の村小学校が位置していた芦屋を中心とする地域において、どのような教育文化が展開していたのかを、東京に形成されたものと比較しながら記述したものである。研究会での報告を通じて、日本近代教育史を専攻する研究者からだけではなく、他の学問領域を専攻する研究者から、筆者未見の史料を紹介していただいたり、立論に関して助言していただくことができた。それらを踏まえていくつかの文献を購入し、それらを読み込み、報告に手を加え、改めて論文化しているところであり、公表は今年度に間に合わなかった。来年度以降に脱稿し、学会誌などに投稿することにしたい。
著者
北山 研二
出版者
成城大学
雑誌
Azur
巻号頁・発行日
no.8, pp.1-20, 2007
著者
野田 由美意
出版者
成城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

昨年度の調査結果をまとめた論文「1919-1920年代前半における読書を通じてのパウル・クレーとアジア・オリエントの関係」(『美學美術史論集千足伸行教授退任記念』19輯、2011年、219-233頁)で、クレーのアジア・オリエント関連文献の蒐集期には、1909年~第1次世界大戦期に第1次ピーク、1919~24年に第2次ピークがあることを取り上げ、その読書体験の分析を行った。本年度では、この第2次ピークにクレーがアジア・オリエントに関する作品をやはり多く制作していることに注目し、関連作品の精査を行った。昨年度から調査を行っていた作品《中国風の絵》(1923年)が、本年度の調査過程で《中国風の絵II》(1923年)ともとは1つの作品であり、クレーが制作のある時点で縦方向に2つに切断したという可能性が非常に高いことが発見された。そこで本年度は、ベルンのパウル・クレー・センターと宮城県美術館でこれらの作品についての情報収集と、作品調査を中心に行った。また、ヴァイマール・バウハウスにおけるアジア・オリエントの関心や当時のドイツと中国やインドとの政治的関係を明らかにするために、ベルリンのバウハウス・アーカイヴやヴァイマールのテューリンゲン州立中央文書館等で資料調査を行った。その調査結果を、美術史学会例会(於東京藝術大学)で「パウル・クレー作《中国風の絵》(1923)と《中国風の絵II》(1923)の制作背景について」として発表した。本発表では両作品やインドに関する作品を中心に、クレーがヴァイマール・バウハウスの当時の環境にあって、クレーがアジア・オリエントの芸術や社会に積極的に接近し、その関心が作品の源泉となり得たこと、そしてその関心は、画材や制作過程についての取り組みにまでも及んだということを明らかにした。これにより、クレーとアジア・オリエントへの関心とその作品制作への反映に関して従来の研究で取り上げられなかった局面が新たに実証され、クレー研究に新たな地平を開いたと考える。
著者
指宿 信 佐藤 達哉 渕野 貴生 堀田 秀吾 藤田 政博
出版者
成城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

取調べの録画におけるカメラ・アングルがもたらす偏見や、自白調書の三次元グラフィック・ツールによる表示、公判前報道が引き起こすバイアス、評議室における裁判員・裁判官の言語コミュニケーション等について、それらの適正化に向けた法学・心理学・言語学・情報工学等の技術や知見を組み合わせた"学融的"アプローチの有効性を検証できた。
著者
中川 和彦
出版者
成城大学
雑誌
成城法学 (ISSN:03865711)
巻号頁・発行日
no.27, pp.p55-74, 1988-03
著者
石鍋 真澄
出版者
成城大学
雑誌
成城文藝 (ISSN:02865718)
巻号頁・発行日
no.206, pp.67-86, 2009-03
著者
工藤 力男
出版者
成城大学
雑誌
成城文藝 (ISSN:02865718)
巻号頁・発行日
vol.194, pp.25-33, 2006-03-25
著者
田中 日佐夫
出版者
成城大学
雑誌
民俗学研究所紀要 (ISSN:03866440)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.39-49, 1985-03
著者
杉本 豊久 Rahimpour Massoud Yaghoubi-Notash Massoud
出版者
成城大学
雑誌
成城文藝 (ISSN:02865718)
巻号頁・発行日
vol.197, pp.154-137, 2006-12

It is argued that attitude plays a crucial role in motivating EFL learning. Along the same lines researchers in SLA believe that positive attitude facilitates EFL learning while negative attitude hinders it. The present study examines the attitude of male versus female university students as a motivating factor in studying English as a foreign language. The hypothesis set was whether the responses to each individual item significantly varied across the genders which may consequently lead up to better performance. Participants in the study were 84 male, and 102 female university students majoring in courses other than English (Science, Humanities, or Engineering) at The University of Tabriz and The Azad University of Tabriz. A Questionnaire was employed for data collection and the appropriate statistical means were employed for data analysis. Significant differences were found with 4 of the items corresponding to a) Hearing English language spoken, b) Being made to learn English, c) Appearing cosmopolitan as a result of knowing English, and d) Loss of identity as a result of foreign language ability. Implications of the study are discussed.