著者
三輪 勇四郎
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲 (ISSN:09155805)
巻号頁・発行日
vol.13, no.5, pp.255-261, 1939-12-30

以上の試驗結果によりクレンゼルの効力を考察するに誘殺瓶の位置或ひは其の形状等多々研究の餘地あるも, 附近に發生せる實蠅は多少共誘致せられる事は明かにして殊に9月30日より10月6日に至る間にウリミバヘ41頭, ミカンコミバヘ6頭を誘致したことは非常に効果的であると言ふ事を得べし。士林は一體, ミカンコミバヘの少き處なるも, それにしても相當の誘殺數である。然し乍らクレゼルの原液1ガロンの賣價は布哇に於て3.5弗で, 5ガロン入1罐を購入する時は1ガロン2.5弗になるとの事であるが, 此の販價にて殺蟲劑として經濟的なるか否かは兎も角, 斯る外國品を用ふる事は現時の情勢上絶對に之を許さぬのみならず, 今後と雖斯様なものに依存する事は先づ排除し, すべからく之に勝る有効適切なる國産誘殺劑の創製こそ望ましき限りなり。幸ひにして逐次調製せられたる薬劑は非常に効果的にして其の成績も刮目に値するものありと信ずるが, 之等は成績の纒り次第第2報に於て報告する豫定である。
著者
岩崎 拓
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲. ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.65-70, 2000-06-25
参考文献数
5
被引用文献数
1

1990年から1998年にかけて大阪府南部と和歌山県北部の数カ所の草地で, オオカマキリTenodera aridifoliaとチョウセンカマキリT. angustipennisの越冬卵嚢を採集し, オナガアシブトコバチPodagrion nipponicumの越冬世代成虫の羽化を毎日記録した.羽化がみられたのはオオカマキリの卵嚢のみからで, その期間は4月上旬から5月上旬にかけてであった.このコバチの羽化は, ほとんどの卵嚢において, オオカマキリのふ化よりも早かった.1卵嚢あたりの羽化数は1から55で, 平均は11.5個体であった.総個体数の比(オス : メス)は, 74 : 272であった.越冬世代成虫を準自然条件下で飼育した結果, すべての個体が7月中旬までに死亡し, カマキリの卵嚢が産まれる秋まで生存した個体はいなかった.
著者
澤田 義弘 広渡 俊哉 石井 実
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲. ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.161-178, 1999-12-25
参考文献数
20
被引用文献数
2

1. 1992年12月から1994年1月にかけて大阪府北部の里山的環境を残す三草山のヒノキ植林, クヌギ林およびナラガシワ林において, 土壌性甲虫類の群集構造および多様性を明らかにするために, 3地点の土壌から土壌性甲虫類をツルグレン装置で抽出し, 種の同定を行った後, 科数・種数・個体数を集計し, 種多様度(1-λ)および地点間の類似度・重複度を算出することにより群集構造を比較した.2. その結果, 今回の調査で三草山の3地点から, 合計24科104種1431個体の土壌性甲虫類が捕獲された.優占5科はハネカクシ科, ムクゲキノコムシ科, ゾウムシ科, タマキノコムシ科, コケムシ科, 優占5種はムナビロムクゲキノコムシ, イコマケシツチゾウムシ, オチバヒメタマキノコムシ, ナガコゲチャムクゲキノコムシ, スジツヤチビハネカクシの1種であった.三草山全体としての土壌性甲虫類の群集構造は種数, 個体数, 種多様度ともに四季を通じて安定していた.3. ナラガシワ林(地点3)では20科82種755個体が捕獲され, 種多様度(0.93), 平均密度(20.9個体/m^2)ともにもっとも高く, ナガオチバアリヅカムシ, ハナダカアリヅカムシなど41種がこの地点だけで確認された.ナラガシワ林における土壌性甲虫類の密度は1年を通じて高いレベルを維持し, 大きな変化はなく安定していた.4. クヌギ林(地点2)では17科47種512個体が捕獲され, 種多様度(0.91), 平均密度(14.2個体/m^2)ともに高かったが, この地点でのみ確認された種はアカホソアリモドキ, アナムネカクホソカタムシなど11種で, 固有性は地点3より低かった.この地点における種数, 密度は夏季にやや減少する傾向が見られたものの, 種多様度は地点3と同様, 安定していた.5. ヒノキ植林(地点1)では7科34種164個が体捕獲され, 種多様度(0.87), 平均密度(4.6個体/m^2)ともにもっとも低く, この地点でのみ確認された種はホソガタナガハネカクシ, チビツチゾウムシ類の1種など9種であった.地点1では, 種数, 密度, 種多様度が夏季に増加したが, これはハネカクシ科のスジツヤチビハネカクシの1種の増加によるものであった.6. 各地点間の類似度(QS)ならびに重複度(Cπ)は0.2∿0.5と低く, 各地点の土壌性甲虫類の群集構造はかなり異なっていることを示した.しかし, 地点2と3の間ではQS, Cπともにやや高い値(約0.5)を示したことから, 優占樹種が異なっても落葉広葉樹の優占する地点では土壌性甲虫類の群集構造は比較的似ていると考えられた.7. 以上の結果から, 三草山の里山林では, とくに落葉広葉樹の優占する地点における土壌性甲虫類の群集構造が多様性に富み, 四季を通じて安定していることが示された.また, 環境の異なる各地点に特有の群集が成立していたことから, 将来, 土壌性甲虫類は有用な環境指標として利用できると考えられる.
著者
小山 達雄 井上 大成
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲. ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.143-153, 2004-12-25
参考文献数
30
被引用文献数
6

従来,近畿地方以西に分布していたムラサキツバメは,近年,関東地方のほぼ全域で発生している.現段階での本種の定着北限に近いと考えられる関東地方北部において,2002〜2003年に野外における発生経過と幼生期の捕食寄生者および随伴するアリ類について調査した.1.野外における成虫・卵・幼虫の個体数調査の結果から,茨城県つくば市では,本種は部分4化であることが示唆された.第二〜第四世代の卵数のピークは,それぞれ6月下旬〜7月上旬,8月下旬,9月中旬であった.また第一世代に相当すると思われる卵が4月上旬に発見された.2.これまで,本種は4齢幼虫が終齢であるとされていたが,飼育観察と野外で採集された幼虫の頭幅の測定結果から,蛹化するまでに5齢を経過することが明らかとなった.3.幼虫あるいは蛹化後の蛹には,7種のアリ類が随伴していた.4,本種の卵期における捕食寄生者はこれまでに報告されていなかったが,本研究によって少ないながら卵が寄生されていることが明らかになった.また,幼虫期の寄生は確認できず,蛹期の寄生も数例のみに限られた.
著者
岸田 久吉
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲 (ISSN:09155805)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.95-106, 1935-07-20
著者
岸田 久吉
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲 (ISSN:09155805)
巻号頁・発行日
vol.18, no.6, pp.145-147, 1950-12-30
著者
岸田 久吉
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲 (ISSN:09155805)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.183-195, 1934-09-25
著者
岸田 久吉
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲 (ISSN:09155805)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.vii-xiv, 1935-05-21
著者
岸田 久吉
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲 (ISSN:09155805)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.59-61, 1934-03-15
著者
岸田 久吉
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲 (ISSN:09155805)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.114-116, 1934-06-30
著者
岸田 久吉
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲 (ISSN:09155805)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.1-"24-1", 1936-02-26
著者
守屋 成一 初宿 成彦
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲. ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.99-102, 2001-09-25
被引用文献数
2

The ragweed beetle, Ophraella communa LeSage, was found in Chiba Pref. in August 1996 for the fist time in Japan. The beetle severely damaged the ragweed, Ambrosia artemisiifolia L. and expanded its distribution rapidly. The insect has been found in 35 of 47 Prefectures till the end of 2000.
著者
永冨 昭 大石 良一 田中 章
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲 (ISSN:09155805)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.106-110, 1967-06-20

日本産のOxya属として本州, 四国, 九州にコバネイナゴO. yezoensis Shiraki (=O. japonica Willemse)とハネナガイナゴO. velox Fabriciusがいるが, これらの生態に関するまとまつた論文は熊代(1935)と勝又・西川(1935)の2つに過ぎないようである.もつとも勝又・西川は単にイナゴとして記したので, その対象がコバネかハネナガか判然しないが, おそらくハネナガを取り扱つたものであろう.熊代はコバネイナゴの産卵前期間について次のように記している.「産卵前期間の相当長いことは, 羽化当初の雌虫の卵巣の小形幼稚な点から想像される.実験は未だ行なつていないが昭和6年の8月23日羽化雌虫に雄を配し飼育した所, 9月21日産卵を始めた.即ち産卵前期間は30日を要したことを観察した」.著者らは本種の産卵前期間を日長, 温度との関連のもとに調査中であるが, 初年度に得た事実を予報の意味で記して参考に供したい.
著者
安松 京三 平嶋 義宏
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲 (ISSN:09155805)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.247-255, 1956-10-01