著者
西田 龍雄
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.1962, no.41, pp.55-65, 1962-03-30 (Released:2010-11-26)
参考文献数
10
著者
上野 善道
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.130, pp.1-42, 2006 (Released:2021-09-15)
参考文献数
31

現代方言と古文献資料に基づき,本土諸方言のアクセント祖体系を考える.高起群には従来の「高高高高…」の式音調を改訂して「高高中中…」の下降式を建てる.低起群には去声始まりのアクセント型などを組み込む.全体として,下降式と低進式の2つの式,それに昇り核と下げ核の2つの核からなる,従来よりも対立数を増やした私案を述べる.
著者
今野 弘章
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.141, pp.5-31, 2012 (Released:2022-03-08)
参考文献数
53

本稿は,「ださっ。」や「気持ち悪っ。」のような,形容詞の終止形活用語尾「い」が脱落し,形容詞語幹が声門の閉鎖を伴って発話された口語表現(「イ落ち構文」)を記述し,当該表現における形と意味の相関関係を明らかにすることを目的とする。統語的には,イ落ち構文は,C,T,Negの機能範疇を欠き,小節(small clause)が主節を形成する“root small clause”(Progovac 2006)の一種とみなすことができる。意味的には,イ落ち構文は,発話時における話者の感覚や判断を,「伝達」ではなく,「表出」する「私的表現行為」(Hirose 1995,廣瀬1997)専用の構文である。本稿では,このイ落ち構文の統語的特徴と意味的特徴を照らし合わせ,当該構文において,動機付け・類像性・有標性の相互に関連する観点から,形と意味が恣意的ではなく有機的に結びついていることを論じる。
著者
井上 史雄 半沢 康
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.162, pp.63-89, 2022 (Released:2022-10-25)
参考文献数
62

本稿では山形県庄内地方で行われた方言調査データに多重対応分析を適用した結果を報告する。江戸時代の方言集『浜荻』掲載406語の残存率について1950年に3世代,2018年に4世代の調査が行われ,長期の言語変化が分かった。「年齢柱方言地図」と「単純化グロットグラム」を作図して考察した。140年にわたる世代差を踏まえ,20世紀の地域差の大きい時期から,21世紀の世代差の大きい時期に移行したことを論じる。多重対応分析によって方言の分布と変化の複雑なパターンを要約し,全体傾向を把握できた。第1軸には140年という長さの年齢差が表れ,第2軸以下には庄内方言南北80 kmの地域差が示された。南北差が大きいので,鶴岡からの徒歩距離を計測して「単純化グロットグラム」を作成し,代表的な8語のうち3語を例示した。地方的周圏分布が見られるとともに,現在の若い世代の急速な方言衰退が見られ,他方中学生による方言使用も観察された。
著者
佐藤 純一
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.1968, no.52, pp.107-109, 1968-01-31 (Released:2011-10-21)
参考文献数
5
著者
簡 月真 真田 信治
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.140, pp.73-87, 2011 (Released:2022-03-08)
参考文献数
22

台湾東部,宜蘭県の山間部に日本語とアタヤル語とが接触して形成された新しい言語が存在する。われわれは,この言語を「宜蘭クレオール」とネーミングして記述調査をおこなっている。本稿では,まず,この宜蘭クレオールの概況を説明し,社会・歴史的背景および言語的特徴から,それがまさに「クレオール」であることを示す。次に,「宜蘭クレオール」の独自の体系を示す事象として否定辞を例に考察をおこなう。考察の結果,基層言語であるアタヤル語の「既然法」「未然法」といった範疇の中に上層言語(語彙供給言語)である日本語の否定辞「ナイ」と「ン」の2形式が巧みに取り込まれ,「発話以前(既然)の事態・行為」と「発話以後(未然)の事態・行為」を,それぞれnayとngによって弁別して描写するといった新しい体系化が図られていることが明らかになった。
著者
齋藤 静
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.1939, no.2, pp.15-33, 1939-04-20 (Released:2010-11-26)
参考文献数
15
著者
守田 貴弘
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.144, pp.29-53, 2013 (Released:2022-03-08)
参考文献数
35

本論文は,言語学におけるさまざまな分類の根拠を問うこと,特に,意味に基づく分類がいかにして正当化されるのか検討することを目的としている。言語学は科学の一種だと考えられている。しかし,言語学におけるすべての分類が「何らかの操作を行い,その操作に対する同質かつ恒常的な反応によって分類を決定する」という科学的要請に応えているわけではない。特に,意味的分類は検証可能な分類基準を設定することが難しく,科学性を保持することが困難であるにも関わらず,現在の言語研究ではほとんど不可欠である。では,何がこの意味的分類を正当化してくれるのだろうか。本論文では,意味的分類を支えてくれる条件として,(1)分類の動機が研究者の間で共有されることと,(2)当該の分類によって現象がより良く説明され,他の現象に対しても一定の説明力を有することの2点を提案する。
著者
小倉 進平
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.1941, no.7-8, pp.1-16, 1941-04-30 (Released:2010-11-26)
参考文献数
3
著者
小椋 たみ子
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.132, pp.29-53, 2007 (Released:2022-03-08)
参考文献数
36

日本の子どもの初期の語彙の構成を日本語マッカーサー乳幼児言語発達質問紙(JCDIs)標準化データ,縦断データ,横断データから明らかにした。特に子どもの初期の語彙が名詞優位か動詞優位かの問題を検討した。第1にJCDIsで語彙の構成を調べた結果,名詞が一番高い比率を占めていた。第2に,JCDIsで20ヶ月児158名の名詞,動詞,形容詞,閉じた語の語彙の構成を調べた結果,名詞の比率が高く,Bornstein et al.(2004)の7カ国の結果と一致していた。第3に2名の子どもの縦断データから語彙急増期の後は名詞優位,その後,文法発達に伴い動詞優位になることを明らかにした。母親の語彙は動詞優位であった。第4に,31名の日本の子どもと養育者の玩具場面と絵本場面の観察では絵本場面では一貫して名詞優位であったが,玩具場面では言語発達に伴い動詞優位に移行していった。玩具場面の養育者の発話は動詞優位で子どもの結果とは一致していなかった。以上の結果から,言語発達初期の子どもは名詞を学習しやすい概念的な傾向を有していると結論づけた。最後に名詞優位を引きこす語学習のメカニズムについて論じた*。
著者
土井 忠生
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.1969, no.54, pp.73-83, 1969

"Nanshizakkai"is a manuscript of three volumes, which was transcribed by a Tongking jurubaca (means an interpreter in Malay word), Gi Gozaemon (d. 1835). This book has a charactor which is called one of the Japanese-Portuguese dictionary, and in which we find the Portuguese language used by interpreters in Nagasaki during 17 th and 18 th centuries, and also we recognize some linguistic features of Portuguese spoken among the Japanese interpreters. Of course the phase of it was different from that of some lingusitic works compiled by Jesuit missionaries in 16 th and 17 th centuries. In this book Portuguese is written by Katakana. We are able to ascertain the practical pronunciations of that time by means of that orthography. First of all, double consonants in one syllable of Portuguese were reduced to open syllables according to the Japanese syllabic type, e. g. <I>letra</I>><I>reutara</I>, <I>escrito</I>><I>esukirito</I>; second, two words fused into one, e. g. <I>ja</I> <I>estou</I>><I>jastou</I>, <I>de</I> <I>ontem</I>><I>dontem</I>, and also abbreviations were often used, e. g. <I>alguma</I>><I>goma</I>, <I>ainda</I>><I>ain</I>.<BR>The word order was freely treated, e. g. Portuguese word order was arranged by Japanese order. The compiler of this book explained that the following three expressions had the same meaning: <I>arroz</I> <I>um</I> <I>fardo</I>, <I>um</I> <I>fardo</I> <I>arroz</I>.<I>fardo</I> <I>um</I> <I>arroz</I><BR>Portuguese has the complicated system of conjugations, of which interpreters, generally speaking, adopted present an preterite of Indicative. They used infinitive and present for other conjugated forms. Subjects did not always coordinate with Predicates in Person and Number. The form of Third Person, Singular of Conditional expressed more honorary than usual Imperative form. e. g.<BR><I>Anda por deante. Arnie Vossa Merce por deante</I>.<BR><I>Faze corn deligencia. Faza Vossa Merce corn deligencia</I>.<BR><I>Descobri</I>.<BR>Descobra Vossa Merce.<BR>This proper use in Portuguese syntax was exactly kept by the Japanese interpreters, because it has the correspondency to the sence of Japanese honorifics.<BR>It had the special function to compound with aru after Portuguese words or sentences. <I>Aru</I> was added at the end of predicate or sentence, to make sure of the meaning of preceeding words. e. g. <I>Ir templo aru</I>. <I>Veio arudo</I>. <I>Assi como imitar aprende aru</I>. <I>Saber de coy dearudo</I>. Näo <I>tern novas deyado</I>. Meu (<I>genitive was used for nominative</I>) <I>de dia de</I><I>noite tern sono aru</I>. It seems to me that it had some relations to the Portuguese verb ending, <I>ar</I>, at the same time, to the Japanese verb, <I>aru</I>.<BR>I will, therefore find out the facts of Japanese influence upon Portuguese, at any rate I would like to point out the Japanese sentence particle, ya was added to interogative sentences, and other sentence particles, <I>yo</I>, <I>do</I> were added to imperative forme. e. g. <I>Vossa</I> <I>Merce ter fome ya</I>? <I>Que parte veio ya</I>? <I>Vive yo</I>! <I>Escreva memoria do</I>!
著者
上野 善道
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.130, pp.1-42, 2006

<p>現代方言と古文献資料に基づき,本土諸方言のアクセント祖体系を考える.高起群には従来の「高高高高…」の式音調を改訂して「高高中中…」の下降式を建てる.低起群には去声始まりのアクセント型などを組み込む.全体として,下降式と低進式の2つの式,それに昇り核と下げ核の2つの核からなる,従来よりも対立数を増やした私案を述べる.</p>
著者
松本 泰丈 田畑 千秋
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.142, pp.143-154, 2012 (Released:2021-09-15)
参考文献数
8

2009年にユネスコによって「危機言語」として指定された奄美語の現況を,本土出身の研究者(松本)と島出身のnative speaker(田畑)という異なった立場を持つ二名が,それぞれの立場から粗描した。粗描の方法は「1960年代までの奄美語」,「1970~80年代の奄美語」,「1990~現代の奄美語」に分け,それぞれの時代における奄美語の状況を,両名の直接見聞をふまえて述べる。(結論的にいえば)両名は,1960年代まではシマユムタ(伝統的方言)が生きて使われていた時代,1970~80年代はトンフツゴ(奄美共通語)が急速に広まった時代,1990年~現代はシマユムタが急速に消滅している時代ととらえている。 また,論文末には,明治以降に奄美大島旧笠利村赤木名集落の人々によって再開拓されたトカラ列島諏訪之瀬島の言語事情についても現況を簡単に報告した。
著者
早田 輝洋
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
no.126, pp.145-148, 2004-12