著者
薩摩 雅登 竹内 順一 稲葉 政満 薩摩 雅登 横溝 廣子 古田 亮 佐藤 真実子 松村 智郁子 竹内 順一
出版者
東京芸術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

東京藝術大学大学美術館では、明治期の音楽録音資料・蝋管を212本所蔵している。しかしながら、経年変化とカビにより保存状態が悪く、音楽資料としての価値を失いつつある。そのため、その保存体制として、アモルデン水溶液による蝋管の洗浄、収納棚やトランクの薫蒸、針接触方式のデジタル再録音機・アーキフォン(Archeophone)により124本の音源の再録音を行った。また、蝋管の基礎調査として、国内や海外の各機関や個人コレクターを対象としたアンケート調査および実地調査にて、収蔵環境や音源のデジタル化、蝋管の公開の手法、関連する最先端の情報を収集した。さらに、明治期の蝋管や蓄音機に関する新聞記事および広告を調査し、当時の社会状況を把握した。現在に至るまで断片的な研究しか行われていなかったが、本研究において、蝋管に関する情報を集約した。
著者
塚原 康子
出版者
東京芸術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、近代日本において特異な役割を担った雅楽について、(1)近代の皇室祭祀との関係、(2)唱歌・儀礼歌など近代歌謡の創出との関わり、(3)公開演奏会・万国博覧会を通じた雅楽の国内外への発信、(4)近代の神社祭祀と雅楽の普及、に焦点をあてて解明した。主要な成果は『明治国家と雅楽』(有志舎、2009年)として刊行したほか、重要な史料である楽師日記の一部を『明治四年芝葛鎮日記翻刻・解題』(科研報告書、2011年)にまとめた。
著者
上参郷 祐康 大貫 紀子 野川 美穂子
出版者
東京芸術大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

名古屋の箏曲地歌演奏家団体のひとつである財団法人国風音楽会は、1893年に全国的組織の国風音楽講習所の名古屋支部として発足した。当初の会員は多くは江戸時代の盲人音楽家の組織である当道に所属していたので、国風音楽講習所では、多くの当道の制度や行事をとりいれた。これらのうちのあるものは、今日でもなお国風音楽会に伝えられ、また当道音楽のレパートリーの中でも、平曲や一部の胡弓曲のように、他には伝わらないものもある。本研究は、この国風音楽会の活動状況や活動内容を調査・記録し、その結果を、江戸時代以降の当道資料や音楽資料などと照らし合わせ、近世音楽史の重要な部分を担ってきた盲人音楽の実態を立体的に解明する事を目的としたものであり、その成果は主に以下の3点にまとめることができる。1.国風音楽会の年中行事について-年間約15種の行事を行うが、このうち室町時代に起源を持つ人康祭を含む重要な7種の行事については録音・撮影等による記録を作成し、調査検討を進めている。2.国風音楽会の教習制度について-盲人男子、盲人女子の場合、晴眼者の場合にわけて、教習上の曲の進度と弟子の側の資格取得(免状、許し等)との対応関係、盲人音楽家の資格の種類、およびその実態について戦前と戦後の変化にも留意しながら調査した。3.国風音楽会独自の伝承レパートリーについて-国風音楽会で伝承する、箏曲・地歌・胡弓曲・平曲について調査記録するとともに、国風音楽会所蔵の曲集の調査や名古屋で出版された曲集の収集も合わせて行った。
著者
稲葉 政満
出版者
東京芸術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

耐久性のある良い和紙を選択し、使用することが、現在の資料を残すためだけではなく、過去の遺産の保存修理のためにも望まれている。和紙の主原料であるコウゾはアルカリ水溶液で煮熟され、繊維化される。アルカリとしては木灰、石灰、ソーダ灰(炭酸ナトリウム)、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)が使用されている。煮熟剤の違いがどのように紙の耐久性などの違いをもたらすのかついて直接検討した例はない。そこで、同一の高知産楮から作成した和紙の保存性に及ぼす煮熟剤の違い、漂白の有無による影響について、検討することとした。本研究では、煮熟方法の違う和紙に酸(ドウサ)を塗布して湿熱劣化試験を行った。ドウサ引きを行った苛性ソーダ煮の試料はpHが大きく低下し、劣化処理によって大きな強度低下や変色を招いた。木灰や炭酸ソーダのようなマイルドなアルカリで煮熟した試料中にはアルカリが残留し、ドウサ塗布によるpHの低下を抑えることから、劣化処理による強度低下が少なかった。ほぼ同一のpHにおいても、漂白試料は未漂白試料よりも劣化しやすかった。和紙中のセルロースの重合度は強いアルカリである苛性ソーダで煮熟した場合は他のものに較べて低く、煮熟中に繊維が損傷を受けていることが明らかとなった。また、繊維中の構成化学成分としては、木灰などのマイルドなアルカリの方がヘミセルロース残量が多かった。煮熟剤を替えて作成した和紙の濡れ特性には差は認められなかった。以上の実験結果から、マイルドなアルカリで煮熟すること、そして漂白しないことが保存性の良い和紙を製造するための条件であると結論できる。
著者
大平 龍一
出版者
東京芸術大学
巻号頁・発行日
2011

平成22年度
著者
齋藤 芽生
出版者
東京芸術大学
巻号頁・発行日
2001

博士論文
著者
豊福 誠 佐藤 一郎 大西 博 滝 次陽 植本 誠一郎 小杉 弘明
出版者
東京芸術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

ラピス・ラズリ原石の選別と粉砕、粉砕粉から高純度青色顔料の抽出を初年度に行った。同時に始めた粉砕粉による陶磁器素地への焼き付け試験と分析の試験結果を踏まえ、釉薬としての発色維持の可能性を22、23年度にかけて探った。その結果、高火度釉への応用は出来なかったが、低火度釉薬として安定した釉調と発色の釉薬を完成し、最終年度に陶磁器作品への展開と成果報告展として研究を締め括った。