著者
児玉 望 コダマ ノゾミ Kodama Nozomi
出版者
熊本大学文学部言語学研究室
雑誌
ありあけ 熊本大学言語学論集
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-40, 2008-03-30

児玉(2007)では、川上秦氏の「句」を、階層的な日本語音韻構造におけるアクセント句の上位の構造(音韻句)として位置づけることを提案した。本稿では引き続き、この「音韻構造の階層性」について、主として鹿児島方言と東京方言を中心に考察する。
著者
児玉 望 Nozomi Kodama
出版者
熊本大学文学部言語学研究室
雑誌
ありあけ 熊本大学言語学論集
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-40, 2008-03-30

児玉(2007)では、川上秦氏の「句」を、階層的な日本語音韻構造におけるアクセント句の上位の構造(音韻句)として位置づけることを提案した。本稿では引き続き、この「音韻構造の階層性」について、主として鹿児島方言と東京方言を中心に考察する。
著者
児玉 望
出版者
熊本大学文学部言語学研究室
雑誌
ありあけ : 熊本大学言語学論集 (ISSN:21861439)
巻号頁・発行日
no.20, pp.87-110, 2021-03

アクセント以外が共通語化した鹿児島方言の複合終助詞ガヨとヨサについて、前者については終助詞ガのもつさまざまな用法のうち、直接経験を、それを自ら認識できないと話し手が判断した聞き手に伝達する用法に限定するもの、後者については、終助詞ヨの情報伝達用法のうち、特定の聞き手の関心事と話し手が判断した情報について話し手の判断を伝える用法として説明する。この論証のために、前者では終助詞ガ、後者では終助詞サの用法を概観し、さらに、これら二つの終助詞の用法を通時的に解釈することを試みる。終助詞ガが、終助詞ワと並んで、終助詞ヨ/ゾと対立する用法をもつ祖体系から継承されたと比較方言学的に推論できるのに対し、終助詞サは、方言談話録音資料の分析に基づいて,フィラーが接語化を経て終助詞として解釈されるようになった例として、20 世紀半ば以降の改新と説明できると主張する。
著者
児玉 望 コダマ ノゾミ Kodama Nozomi
出版者
熊本大学文学部言語学研究室
雑誌
ありあけ 熊本大学言語学論集
巻号頁・発行日
vol.5, pp.71-90, 2006-03-20

本稿では、九州の他の方言における指定助動詞の文法的特徴との比較により、熊本方言で起きたと考えられる変化について考察する。特に、「いいきり」の指定助動詞を欠くことと相関するようにみえる文末の終助詞バイおよびタイについても、簡単な史的再建を試みる。
著者
児玉 望
出版者
熊本大学文学部言語学研究室
雑誌
ありあけ 熊本大学言語学論集 (ISSN:21861439)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.21-56, 2014-03-31

この研究ノートは、NHK 資料の全体の、有意味と考えられるピッチ変化に転記を施した上で、間投詞や助詞類を除く各語形のアクセント型を同定する試みである。
著者
児玉 望 コダマ ノゾミ Kodama Nozomi
出版者
熊本大学文学部言語学研究室
雑誌
ありあけ 熊本大学言語学論集
巻号頁・発行日
vol.4, pp.281-307, 2005-02-28
被引用文献数
6

本稿は、母語話者の直観に基づいて、1個以上のアクセント単位を統合する音韻論上の単位として、東京方言などとも共通する音調句が鹿児島方言にも存在することを示し、この音調句を考慮に入れた上で、二型アクセントである鹿児島方言のアクセントにおける型の弁別の構造や、アクセント単位の統合の仕組みを記述しなおすという試みである。
著者
湯川 恭敏 ユカワ ヤストシ Yukawa Yasutoshi
出版者
熊本大学文学部言語学研究室
雑誌
ありあけ 熊本大学言語学論集
巻号頁・発行日
vol.3, pp.133-162, 2004-02-29

クワングワ語((é)sikwangwa)というのは、ザンビアの西部地方(Western Province)の主要都市モング(Mongu)とセナンガ(Senanga)を結ぶ線の東方に話されるバントゥ系の言語であり、話し手人口は3万人程度と思われる。この言語は(19世紀に現在の西部地方の主要言語であるロズィ語(Silozi)をもたらした)南ソト系のコロロ族(Makololo)によるこの地方の征服以前の主要言語であったルヤナ語(Siluyana)の東部方言の一つであるが、モングの西方のカラボ(Kalabo)等に話される西部方言(ニェンゴ語やムエニ語等)とは異なり、ロズィ語に押されて衰退過程にあるようである。なお、いいつたえによれば、西部地方の中心に住み、ロズィ語を母語として話しているロズィ族とクワングワ族はもと同ーの集団であったが、対立して逃亡したのがクワングワ族だとのことである。収拾したデータに基づく、現時点でできる限りの分析である。
著者
児玉 望 コダマ ノゾミ Kodama Nozomi
出版者
熊本大学文学部言語学研究室
雑誌
ありあけ : 熊本大学言語学論集 (ISSN:21861439)
巻号頁・発行日
no.13, pp.57-68, 2014-03

2013年3月と9月の2回にわたって、対馬市教育委員会の紹介で、対馬市鰐浦住民集会所において現地調査を行なった。2013年3月に実施した調査では、『全国方言資料』の談話録音を3名のコンサルタントに聞いていただいた上で、語裁リスト、文節リスト、連文節リストの読み上げ調査を行なった。2013年9月に実施した第2回調査では、対馬市厳原町在住の江崎マス子氏による、朗読CD付きの方言文学作品『あんねえし』巻末に収録された方言語葉リストを話題として、7名のコンサルタントに、鰐浦の方言について自由に談話していただくという形で、談話音声を録音させていただいた。また、この調査でも、ミニマルペアを中心とした文節・連文節リストと、複合語の読み上げ調査を試みた。談話音声資料の分析はまだ途上であり、この方言のアクセント体系をどのように分析するかは結論が出ているとはいえないが、シンポジウムで問題としていたピッチの揺れは、リスト読み上げ調査の段階で確認できたので、この点を中心に報告する。
著者
児玉 望 Nozomi Kodama
出版者
熊本大学文学部言語学研究室
雑誌
ありあけ 熊本大学言語学論集
巻号頁・発行日
vol.7, pp.41-60, 2008-03-30

本稿では、副詞のさまざまな用法の同義性の判定に、副詞が出現する統語構造・音韻構造上の位置の異同を考慮することを提案し、いくつかの日本語副詞のこの意味での多義(構造的多義)を例示する。あわせて、このような多義の存在が統語論全体にとってどのような意味をもつかを考察する。
著者
千田 俊太郎
出版者
熊本大学文学部言語学研究室
雑誌
ありあけ 熊本大学言語学論集 (ISSN:21861439)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.37-80, 2015-03-31

日本語・韓国語への学術翻訳論を含む書評論文。
著者
山部 順治
出版者
熊本大学文学部言語学研究室
雑誌
ありあけ : 熊本大学言語学論集 (ISSN:21861439)
巻号頁・発行日
no.20, pp.39-72, 2021-03

The term "negative conditional forms" shall in this article refer to verb forms in Japanese that formally contain the negative nai and one of the conditional endings: V-(a)naito, V-(a)nakereba, V-(a)nakattara, V-(a)nai nara (V: verb stem). "Negative conditional sentence" shall refer to a sentence that contains one of the negative conditional forms. Negative conditional sentences in some usage (such as ame ga hur-anaito komaru. 'It will be a bother IF it does NOT rain.') convey that the situation of the proposition (for it to rain) is desired. The present article, focusing on the V-(a)nto, the Kyushu-Chugoku-Shikoku verbal form corresponding to Standard V-(a)naito, argues that V-(a)nto, along with some other species of negative conditional forms, is ambiguous between conveying the desirability of the proposition (the speaker wants it to rain) and conveying the negation of the predicate (not raining): it can mean either, but not both at a time. Thus, negation does not "get overlaid with" desirability, but negation "alternates with" desirability. This claim is motivated by the following observations in Kyushu-Chugoku-Shikoku Japanese. The auxiliary verb ok-u 'put, keep' in one of its usages gets suffixed to a non-volitional predicate: ex. keeki ni ichigo ga nott-ok-anto sabisii kanji ni naru. 'Something feels missing IF a cake does NOT have a strawberry on it.' Ok-u in this usage only occurs in contexts conveying desirability. Contrary to this, negative polarity items such as nanimo 'anything' only occur in contexts conveying negation. Inside the V-(a)nto clause, negation and desirability are distributed complementarily: either of them can occur but both cannot co-occur. This and other similar observations lead us to conclude that the V-(a)nto clause can convey either negation or desirability in different times but not both at a time.
著者
藤川 直也
出版者
熊本大学文学部言語学研究室
雑誌
ありあけ : 熊本大学言語学論集 (ISSN:21861439)
巻号頁・発行日
no.12, pp.79-112, 2013-03

拙稿における第一の目的は、1980年代以降理論的整備をみた韻律階層理論において想定される韻律階層のうち、下位の韻律単位であるモーラ・音節・フットに特に着目し、それぞれの韻律単位が日本語東京方言においてどのような役割を担っているかを明らかにすることにある。またそれと同時に、拙稿は日本語東京方言において実際に観察される種々の音韻的事実、及び韻律階層理論における Strict Layer Hypothesis (SLH) 等を参照しつつ、それぞれの韻律単位はそもそも日本語東京方言において存在を積極的に肯定すべきであるのかについて、先行研究への批判を交えながら検証を行う。
著者
児玉 望
出版者
熊本大学文学部言語学研究室
雑誌
ありあけ 熊本大学言語学論集
巻号頁・発行日
vol.8, pp.1-26, 2009-03-30

本稿では木之下(1954)の句末イントネーションの記述を同様に再解釈し、鹿児島方言のそれと比較することにより、アクセント句、音韻句、イントネーション句から成る韻律構造階層がそれぞれどんな曲線音韻を標識とする構造であるかを考察する。
著者
金 善美 キム スンミ
出版者
熊本大学文学部言語学研究室
雑誌
ありあけ : 熊本大学言語学論集 (ISSN:21861439)
巻号頁・発行日
no.11, pp.69-84, 2012-03

本稿は韓国語と日本語の間投詞の用法において話し手と聞き手の、話題になっている事態や情報への関わり方について考察する。主たる観察対象は感情表出型間投詞の中でも特に意図していない状況に遭遇した場合や一時的に忘れていた情報を想起した場合に発する間投詞とし、話題となっている情報の帰属場所、話し手と聞き手の言語場における役割について検討する。
著者
片山 きよみ カタヤマ キヨミ Katayama Kiyomi
出版者
熊本大学文学部言語学研究室
雑誌
ありあけ 熊本大学言語学論集
巻号頁・発行日
no.4, pp.325-369, 2005-02-28

本稿では、様々な意味を表す日本語の再帰構文について、その「再帰性」が動詞の意味に内在するものか、構文レベルのものかという観点から、それぞれの再帰構文の意味的、統語的特徴について考察する。